重い物を持ち上げた瞬間などに突然、腰に痛みが走り、その格好のまま動けなくなる……。別名「魔女の一撃」ともいわれるぎっくり腰は、激しい痛みを伴うため、仕事や日常生活にかなりの支障をきたしてしまいます。寝返りをうつこともできずに、「これからどうすれば良いのだろう・・・」と不安になっている人もいるのではないでしょうか?
そんな、「とりあえず、この痛みをなんとかしたい」という人におすすめなのが、通称「ロキソニン」の名で市販されている鎮痛薬です。
そこで今回は、このロキソニンの効能や服用する際の注意点について詳しくご紹介するとともに、ぎっくり腰のメカニズムや、その対処法、ぎっくり腰の痛みを解消するための秘訣などをまとめました。
一日も早くぎっくり腰を改善するには、正しく原因を知り、適切な治療を行うことが必要です。この記事を参考に、少しでも早くぎっくり腰の痛みを和らげてください。
ぎっくり腰とは?
そもそも、この「ぎっくり腰」とは、「急性腰痛」「椎間捻挫」と言われ、何らかの刺激で、腰を支える筋肉や関節、椎間板などを痛めた状態をいいます。
「腰」という字は、体を表す「月(にくづき)」に、「要(かなめ)」と書きますが、ぎっくり腰になると体を支えている腰に痛みを伴うため、姿勢を変えたり、歩いたりという日常動作が難しくなり、腰の大切さを、まさに痛感させられます。
一口にぎっくり腰といっても、腰は、関節や靭帯、椎間板など、いろいろな部分から構成されています。そのため、痛めた部分によって、感じ方に違いが現れます。
痛みが軽ければ、腰痛用のベルトやコルセットをつけることでゆっくりと動くことができますが、痛みがひどい場合には、入院が必要なこともあります。
いずれの場合も、痛みの程度や原因に応じて、正しい処置をしていくことが大切でしょう。
ぎっくり腰の原因
日本人の8割は腰痛の経験者だと言われていますが、これほど多くの人が腰の痛みでつらい思いをしているにも関わらず、病院では原因がわからないと言われることが多いようです。
病院でレントゲンやMRIの撮影検査を受けても、その85%は、医師から「特に異常はないので、安静にして様子を見てください」と言われます。
「じゃあなんで痛いの?」と聞きたくなったことのある人も、少なくないのではないでしょうか?画像診断では腰痛の原因は見えないのです。
よく、「骨が原因で腰痛になる」と思っている人がありますが、スイスの研究チームが、腰痛のない人を41名選び、MRIで繰り返し腰を撮影すると、約75%の椎間板にヘルニア(髄核が飛び出ている状態)が認められました。
ここから、ヘルニアだから腰が痛いというのは、必ずしも言えないようです。
腰痛の原因は「筋肉」
ではどうして痛みが起きるのかというと、筋肉が硬くなっているからです。
実は、痛みは筋肉の硬直から来ていることが多く、筋肉の硬さがほぐれると、痛みがとれることが多いのです。
レントゲンの撮影も、骨に重大な変形や歪みが生じていないかを見ることもさることながら、筋肉がどれくらい硬くなっているかを知る手がかりになるからだとも言われます。
このことが分からずに、素人考えで、安静にして腰の筋肉を動かさずにいたり、冷やしたりすると、筋肉がより硬直して一向に腰痛は治らず、腰痛の慢性化に陥る人も多いのです。
立ち仕事はぎっくり腰になりやすい?
例えば、立ち仕事で腰が痛くなる場合、足の筋膜が硬くなってしまったことが原因のことが多いようです。
体の筋肉は、筋肉を包む「筋膜」でつながっています。
足と腰の筋膜は繋がっているため、足の筋肉が硬くなると、その筋肉を包んでいる筋膜も固まってしまい、繋がっている腰と足の筋膜が引っ張り合って、腰の筋肉に負担をかけてしまいます。
このように、一箇所の筋肉の疲労が、別の筋肉につながり、肉体の要である腰に影響を及ぼし、筋肉が硬くなると、その箇所の神経が圧迫され、痛みが発生するのです。
同じ姿勢をとり続ける仕事はぎっくり腰になりやすい
机に座ってパソコンに向かう事務職や、長距離トラックの運転手、タクシー運転手など、長時間、同じ姿勢をとり続ける仕事は、体を動かさないため体幹の筋肉が硬くなっていき、ちょっとした動きでもぎっくり腰になりやすい状態に陥ってしまいます。
特に、パソコンの画面を覗きこんだり、スマートフォンを見たりする時になりやすい「前かがみの姿勢」は、腰の筋肉に大きな負担をかけているため、日々の負担が腰に蓄積され、許容量を超えた時、ぎっくり腰になるのです。
ぎっくり腰の対処法
それでは、ぎっくり腰になってしまったら、どうすればよいのでしょうか。ぎっくり腰の対処法についてまとめました。
膝を立てた状態で横になる
ぎっくり腰になったら、腰の筋肉に負担をかけないように、少し背筋を丸めた姿勢で横になるのがよいようです。また、先ほど述べたように、足と腰の筋膜はつながっているため、膝を曲げた状態のほうが腰に負担にならずに済みます。
温める
ぎっくり腰の場合は、筋肉が硬くなっているため、ほぐすために温めた方がよいようです。
ただし、筋断裂を起こしていることがハッキリしている場合や、痛みがひどい場合は、炎症をおさえるために冷やすことがあります。その場合には、病院で医師に診てもらいましょう。
少しずつ動くように心がける
2~3日は安静にしていたほうがよいですが、じっとしていると、腰の筋肉が固まりやすくなり、慢性の腰痛になりかねません。少しずつでいいですから、日常動作を行うことが大切です。痛みがある場合は、コルセットを着用するとよいでしょう。
ロキソニンはぎっくり腰に有効?
ぎっくり腰には、鎮痛薬が有効です。いろいろな方面で発表されている研究の結果を見ても、痛み止めがぎっくり腰に効果があることが立証されています。
ロキソニンについて
その鎮痛薬の中でも、特に知られているのが「ロキソニン」で、皆さんも名前を耳にしたことがあると思います。正式には「ロキソプロフェン」という成分が多く含まれた薬で、腫れや痛みを緩和したり、解熱するための薬です。
以前は医師からの処方のみでしたが、平成23年1月から、ドラッグストアや薬局などでも販売することできるようになり、「ロキソニンS」という名前で市販されています。
おかげで、手軽に入手することができるようになり、多くの人が日常生活に取り入れるようになりました。
ロキソニンがぎっくり腰に効くメカニズム
では、ロキソニンは、どのようにぎっくり腰に効くのでしょうか。
そもそも、痛みや熱が発生するのは、体内にもともと存在している、プロスタグランジンという物質が患部で作用するからです。
ところが、ロキソニンの成分には、このプロスタグランジンを生まれにくくする働きがあるので、発熱や、体内での炎症が起こりにくくなるわけです。
ロキソニンは、普通、1回分の服用量が1つの錠剤に収まっているため、一粒飲めば効き目が現れます。もちろん個人差はあるものの、効き始めるまでには早い人で15分前後、おおよそ30分程度で多くの人に効果が出てくることが分かっており、これは同種の鎮痛薬の中では、かなり早いほうです。
また、いったん効き始めたならば、5時間から7時間ぐらいは効果が続きます。これも、同種の薬の中では効果が優れている方だと言われています。
なお、ロキソニンは経口の服用薬だけでなく、湿布タイプのロキソニンテープというものも売られており、皮膚の表面から成分が入り込んで、患部に働きかけ痛みを鎮めるタイプもあります。
ロキソニンの副作用は?
「クスリ」を反対から読めば「リスク」。どんな薬にも副作用がつきものです。
ロキソニンと同種の薬は、通常、胃や腸が荒れてしまうという副作用を持っているのですが、ロキソニンには工夫が施されており、胃腸が荒れないように、体内に吸収されてから、始めて効果が出るように作られています。これを、「プロドラッグ製剤」と呼ばれます。
一方、貼るタイプのロキソニンテープにも副作用があり、かゆみや発疹、かぶれなどを生じさせる危険があります。痛みがひどいからといって、1日に何度もロキソニンテープを貼り変えると、上のような副作用が出やすくなってしまいます。
医師や薬剤師に指示された用法・用量を守って、ロキソニンを正しく服用しましょう。
ぎっくり腰に必須のアイテム「腰痛ベルト」
休めない仕事があるとき、痛みを緩和するアイテムとして、腰痛ベルトがあります。病院だけでなく、ドラッグストアや、通販でも取り扱われています。
いろいろな種類がありますが、ぎっくり腰の直後なら、幅の広いもので、腰に接する部分の上に、伸縮素材のベルトがついて、何重にもサポートしてくれるものが良いと思います。
柔らかめの素材のベルトもありますが、ぎっくり腰の時には、支えが弱く感じることもあります。
また、夏はベルトの内側に汗をかきやすいため、メッシュ素材など通気性の良いタイプを選んだほうがよいでしょう。
ただ、ぎっくり腰になってからすぐ、腰痛ベルトを買いに行くのは、痛みが強く、無理な場合が多いと思います。
もし心配な人は、薬箱と同じように、腰痛ベルトも家に常備しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
ぎっくり腰になってしまったら、動けるようになるまで少し安静にして、その後はロキソニンを服用しながら徐々に動かしていけば、ほとんどの場合、1~2週間で症状が改善されます。
できることならば、日頃から腹筋や背筋を鍛えておくことで、ぎっくり腰を予防していきたいものですね。
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