人前に立つと思っていることを話せなくなってしまったり、緊張で顔が真っ赤になってしまったりそんな経験はありませんか?それはあがり症という症状です。
人前で話せるようになりたいのにできない自分が嫌になったりしていませんか?なぜ緊張してしまうのか、その原因を突き止め、克服しましょう。
あがり症とは
日本人に多くみられる、人前に出ると極度に緊張してしまい話すことができなくなってしまったり、注目を浴びると手が震えるなどの緊張している状態のことをいいます。
あがり症が出る場面
自己紹介、会議、、面接、たくさんの人を前にして話す、初対面の人と話す、新しい職場(環境)に入るとき、電話で話すときなど様々な場面があげられます。
代表的な症状
顔が赤くなる、汗が出る、声や手足が震える、目が泳ぐ、頭が真っ白になる、言葉が詰まるなどがあげられます。
原因
あがり症の原因は交感神経と副交感神経のバランスが乱れることによって起こると言われています。そして血液中のノルアドレナリン値というものが上昇することで起こります。ノルアドレナリンは神経伝達物質で、脳のノルアドレナリン神経という部分から分泌されます。神経伝達物質は覚醒や興奮に関係していると言われています。
緊張や不安を感じたときにノルアドレナリンが多く分泌されます。心拍数、体温、血圧が急に上がることで動悸や汗がでたりします。これは交感神経が刺激されたことで起こるようです。
そして考えすぎてしまうことでより症状を起こしやすくしてしまっています。「周りから良く思われたい」「恥ずかしい思いをしたくない」「どう思われているのか」と気にしすぎてしまう精神的なものから、症状が出てしまうと考えられています。
あがり症に関係する神経
あがり症には神経の関わりがあります。どういう神経があるのか書いていきます。
自律神経
自律神経とは人が生きていくにあたってとても大切な神経です。24時間休みなく循環器、消化器、呼吸器などの調整をしています。自律神経は交感神経、副交感神経の2つの神経に分けられます。この2つの神経のバランスが悪くなってしまうと、カラダに不調が現れたりする自律神経失調症という症状が出てしまうのです。
交感神経
あがり症の症状で汗が出たり、動悸がしたりするといった症状が出るのは、この交感神経が刺激されることによって起きると言われています。交感神経は主に人が活動をしている昼間などに働きます。ストレスを感じていたり緊張している時にも働きます。その場の状況に合わせて行動ができるのは、交感神経が素早く反応しているおかげです。
もう一つの神経の副交感神経と交感神経とシーソーのような関係です。1つの神経が働いている時はもう1つの神経は休んでいる状態になります。どちらかの神経に異常があったりバランスが崩れてしまうと、カラダに不調をきたす原因となってしまいます。
副交感神経
副交感神経は交感神経とは逆の動きをします。主に寝ている時、リラックスをしている時に働きます。昼間など活動している時に溜まった疲れなどを寝ている間に回復させるのが副交感神経の仕事です。副交感神経はカラダを修復するという役割をしているのです。
ノルアドレナリン神経
ノルアドレナリンは神経伝達物質と言われるものの一つです。ノルアドレナリンの神経伝達物質はアドレナリン、ド-パミン、アセチルコリン、セロトニンと言われるものがあります。痛みやストレスを強く感じたりした時にノルアドレナリンが分泌され、精神を高めさせてストレスなどを回避しようとする働きをします。
また怒りや不安を感じた時にも分泌されます。ノルアドレナリンが分泌されることでカラダに現れる反応は、血糖値や血圧が上がり、心臓の動きが活発になります。精神面で現れる反応は興奮する事による高揚感や集中力が高まり、怒りや不安といった気持ちも高くなることがわかっています。
反対にこのノルアドレナリンの分泌が少なくなると、やる気が低下、痛みやストレスに過剰に反応してしまう、無気力、うつ状態になってしまうなどの精神的に負担をかけてしまう状態になってしまいます。このことからノルアドレナリンはとても重要な神経伝達物質であるということがわかります。
あがり症と共通の症状がある神経症
神経症と言われるものは数多く存在しますがその中でもあがり症と症状が似ている神経症を挙げたいと思います。
赤面症
赤面症は人前などで顔が赤くなってしまう症状で多くの人にみられます。
赤くなる場所は主に顔ですが人によっては耳が赤くなったり、頬など顔の一部だけ赤くなるということもあります。顔が赤くなるとこで「周りから変に思われていないだろうか」「恥ずかしい」といった思いが更に赤面症を起こりやすくしてしまっている可能性があります。
過去に人前で恥ずかしい思いをしたことがあったりなど、そういった経験がトラウマになってしまい赤面症を起こすきっかけとなることがあるようです。赤面症は心の問題だということが言われているそうです。
笑顔恐怖症
笑顔恐怖症ってなに?と思う人もいるかと思いますが実際にある言葉です。
人前で笑うことができない、笑おうとしても顔が引きつってしまう、顔がこわばってしまう、笑おうとすると頬や唇がピクピクと痙攣してしまうなどの症状がでることを笑顔恐怖症といいます。これは表情恐怖の一つですがこの症状で悩んでいる人が多いことから笑顔恐怖症という名前がついていると言われています。
笑顔恐怖症もうまく笑うことができないと悩むことでより症状を悪化させている可能性があります。また顔がひきつる、こわばるといった症状は病気が原因で起こることもあります。
震え恐怖症
震え恐怖症も多くの人が悩んでいる症状の一つです。大勢の人の前で話をしたり、上司にお酒を注いだり、かしこまった席での食事、人前で字を書くときに手足やカラダが震えるといった症状が起こります。人によっては人と話をしている時に顔が震えてしまうといった症状が出る人もいます。
多汗症
多汗症は手や足、わきの下、頭や顔など大量な汗をかくことです。日本人は7人に1人が多汗症であると言われていますが、多汗症ではなくただの汗っかきと思っている人が多いのが現状です。緊張をした時はもちろん何もしていない時にも多くの汗をかいたりすることもあります。
汗は汗腺と呼ばれる部分から出てきます。アポクリン腺、エクリン腺という2つの腺から出ますが多汗症に関係しているのはエクリン腺です。エクリン腺が汗を出す仕組みには自律神経が関わっていて、その中でも交感神経が信号を出しているのです。体温が上昇すると交感神経が反応して信号を送り、エクリン腺が汗を出すといった仕組みになっています。
多汗症については、多汗症の治療方法は?原因や症状を紹介!を参考にしてください。
視線恐怖症
視線恐怖症は人の視線が怖い、誰かに見られている気がする、自分の視線が不快感を与えてしまうと思い目を向けることができないといった社会不安障害の症状です。考えすぎ、気にしすぎと思うかもしれませんがこの視線恐怖症は、カラダにも症状が出てきてしまったりする治療が必要な病気です。
不安な気持ちが大きくなり、汗をかいてしまったりひどい場合だと倒れてしまったりすることもあるそうです。視線恐怖症は治療を受けることで治る病気です。
電話恐怖症
電話恐怖症は職場などでの電話に出るのが怖い、電話に出ても話している声が周りに聞かれているんじゃないかと思い声が震えてしまうなど、電話に対しての不安や恐怖心が出てしまうものです。
電話は顔が見えない為、相手からどんな言葉がくるのかといった不安や、電話の受け答えを聞かれたときにどう思われているかといった不安が強くなってしまうことで、電話に出ることすらできなくなってしまうこともあります。
対人恐怖症
上記に挙げた様々な症状はこの対人恐怖症の一つであると言われています。対人恐怖症は人が怖いと思ってしまう症状で、近年若い人に増加しています。生活していく上で人と接することが必要ですが、対人恐怖症になると人と関わることがストレスと感じてしまいます。
それにより学校や会社を休んでしまったり人と関わらないような環境を作ってしまっています。人と話すこと、人とすれ違うのが怖いといったものから、人と接することで赤面症や視線恐怖症などの症状が出ることもあります。
詳しくは、対人恐怖症と仕事について!向いている職業は?を読んでおきましょう。
あがり症を克服するには
あがり症で悩んでいる人はとても多いですが、克服する方法がいくつかあります。少しでも緊張を抑え、あがり症の症状が少なくなれば自己嫌悪することも少なくなります。すぐに試せる方法を挙げます。
自己暗示
自己暗示というと本当に効くのかと思われるかもしれませんが、繰り返し続けていくことで効果はあります。ただし「自分はあがり症ではない」といった否定をするような言葉は逆効果です。
あがり症は失敗を恐れたり、周りからの評価を気にしすぎることで起きることが多いです。なので「失敗しても大丈夫」「緊張することはいいこと」と心の中で唱えたり、紙に書いたりしてみましょう。すぐに効果が出なくてもやめずに繰り返し行うことが大切です。
深呼吸
深呼吸はリラックスする効果があります。緊張するとどうしてもバクバクと心臓が早くなってしまうと思います。緊張した時にはまず深呼吸をして気持ちを落ち着かせてみてください。
リラックスすることで集中力も高めることができます。話の途中、作業の途中に深呼吸をすることも効果があります。
自分を褒める
なかなか自分のことを褒める事はしないと思います。ですが克服するには自信を付けることがとても大切なのです。自信を付ける方法はたくさんありますが、まずは自分を褒めることから始めてみましょう。褒める言葉はなんだっていいのです。
人前でうまく話すことができなかったとしても「今日も良い声だった」「人前で声を出すことができた、すごい」とか些細な事、どんなことでもいいです。自分を褒めていくことで少しずつ自信をつけることが目的です。失敗することを恐れなくなればあがり症の症状も緩和されていくでしょう。
まとめ
あがり症とは
・人前に出ると緊張で話せなくなってしまう
・注目をあびると手足が震えたりする
あがり症が出る場面
・自己紹介
・会議、面接
・たくさんの人の前で話す、初対面の人と話す
・電話で話す
・新しい職場に入る
代表的な症状
・顔が赤くなる、汗が出る
・声や手足が震える
・目が泳ぐ
・頭が真っ白になる
・言葉が詰まる
原因
・交感神経と副交感神経のバランスの乱れ
・血液中のノルアドレナリン値が上昇する
・考えすぎることによる精神的なもの
あがり症に関係する神経
・自律神経
・交感神経
・副交感神経
・ノルアドレナリン神経
あがり症と共通の症状がある神経症
・赤面症
・笑顔恐怖症
・震え恐怖症
・多汗症
・視線恐怖症
・電話恐怖症
・対人恐怖症
あがり症を克服するには
・自己暗示
・深呼吸
・自分を褒める
あがり症は克服することができます。あがり症の悩みをなくして楽しい日々を送りましょう。