外出している時や、仕事の最中、人と話している時におならに悩まされたことはありませんか?おならは、だれにでも起きる生理現象ですから、特別深く悩む必要はありません。どんな人でも、おならは出てしまうものです。
しかし、そんな相談するのにも恥ずかしいような、おならの話ですが、実はおならは心身の健康の一つの指標になる、という事をご存知でしょうか?
今回はそんな、おならや腸に関する記事をまとめてみました。最近、おならに関して悩んでいるという方は、ぜひ一度見てみてください。
おならの原因
健康な人でも誰しもおならは出るものですが、おならが出るのにはどういった理由があるのでしょうか?
おならについて
私達の体は食べ物を食べると、胃腸に入り分解吸収されるものですが、小腸上部で消化吸収されなかった食べ物の残留物は、小腸下部や大腸で腸内細菌の作用によって分解されます。その時に、ガス(腸内ガス)を発生させるのです。このガスはほとんどが、腸管から吸収されますが、吸収しきれなかったガスは、肛門から排出される、というものがおならです。
単純に、口から飲み込んだ空気、炭酸飲料もガスとして胃腸に吸収されますので、腸内のガス(おなら)が生じる原因は基本的に以下の3つになります。
- 食物の分解時に生じるガス
- 口から飲み込んだ空気
- 炭酸飲料に含まれる空気
詳しくは、おならがよく出る6つの原因とは!病気の可能性も!を読んでおきましょう。
おならの量が多い
炭酸飲料を飲み過ぎると、おならの量が多くなってしまうという事があります。炭酸飲料を飲み過ぎると、どこかからガスを排出しなければいけませんから、必然的におならの量は増えてしまうと言われています。
また、食事を早く食べてしまう人も、おならが多い傾向があります。食べ物をあまり噛まないで食べると、食べ物だけではなく、空気も一緒に体の中に入ってしまい、おならの量が増えてしまうのです。食事の時は、よく噛んで、ゆっくりと食事してくださいね。
おならが臭い原因
ガスの量が多くなってしまうのは、空気を体内に取り込んでしまうからですが、臭いの原因となるのは、主に食べ物を分解するときに生じるガスが原因です。
食生活のバランスが乱れていたり、油分の多いものや、脂質の多い食事を摂ったりなど、偏った食事をしてしまうと、強い臭いのおならが出る原因になってしまいます。特に肉とニンニクなどは、おならの強い臭いの原因になっていると言われています。日常的によく食べることが多いという方は、お気をつけ下さい。
食べたものに心当たりがなく、おならの臭いが気になる、という場合は腸内環境が悪化していて、悪玉菌が増殖している可能性が高いといえます。通常の健康な人の場合は、口から摂取した食物は消化酵素によって分解され、小腸で吸収されます。ただし、このとき腸内の大腸菌や、ウェルシュ菌といった悪玉菌が多いと、胃腸に入ったものを腐敗させてしまい、強い臭いのおならの原因となってしまうのです。
また、おならを我慢してしまうのは良くありません。おならを出すのを我慢すると、出なかったガスが体内の血液の中に入り、体に吸収され、体臭として発散されてしまうか、もしくは呼吸として放出されるので、体臭や口臭の原因になってしまうこともあります。
健康な人は、1日に5回~20回程度のおならは出ますので、このくらいの回数であれば、心配はいらないので、我慢し過ぎないようにしましょう。
とはいえ、通常の社会生活の中では、全く我慢せずにどこでも出してしまう、というわけには行きませんので、回数や臭いが気になってしまう方は、腸内環境を整える必要があります。記事の後半の、胃腸の改善方法なども参考にして、腸内環境を健康に近づけましょう。
そしてもうひとつ、おならの臭いが強くなってしまう原因として、腸内の病気の可能性も疑われます。腸内疾患の多くは、腸内の悪玉菌を増やしてしまい、その結果強い臭いを放つおならになってしまうのです。特に、一時的なものではなく、慢性的におならの臭いや回数が気になる方は、大腸がんなどの重大な疾患も疑われますので、直ちに医療機関に受診してください。
胃腸とストレスの関係性
緊張すると、胃が…なんていう話もよく聞きますが、胃腸とストレスはどのような関係性があるのでしょうか?
胃腸と自律神経
ストレスが溜まると、お腹が痛くなるとか、緊張すると腸の具合が悪くなるなんていうこともあると思います。腸内環境の悪化は食物繊維の摂取不足、運動不足、脂肪分の多い食べ物のとりすぎなど、バランスの悪い食生活や生活習慣が、主な原因となりますが、全身の体調不良や、ストレスなどが原因で、腸内環境が悪くなることもあります。
胃腸は、副交感神経によってコントロールされていますので、心身の不調がダイレクトに反映されるのです。便秘や下痢、もちろんおならも胃腸の不調症状に含まれます。
自律神経がストレスなどによって乱れれば、大腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が鈍くなって便秘になることもありますし、反対に過度に働いて、下痢になったりすることもあります。その際に、余分にガスが生成されれば、おならの回数なども増えます。
過敏性腸症候群
腸内とストレスにまつわる疾患に、過敏性腸症候群という病気があります。
過敏性腸症候群はお腹の痛みや、不快感、下痢、便秘などを伴う症状が長く続く疾患で、血液検査や内視鏡検査などを行っても、異常が見つからないという特徴があり、ストレスによって症状が悪化することから、心身症の一つとされています。
男性では腹痛やお腹の不快感を伴う下痢型が多く、女性の場合は便秘型になることが多いと言われています。致死率などがある致命的な病気というわけではありませんが、電車の中、人混み、トイレのないところに長時間いることが出来ないなど、通常の日常生活を送ることが難しくなる事も多く、精神的な不安や、苦痛がとても大きい疾患と言えます。
過敏性腸症候群の治療は、下痢や便秘、腹痛を抑える為の薬、消化器系の薬を処方することと合わせて、患者さんがそれらを適切な量で服用できるように、正しい指導のもと処方を行い、それに合わせて症状とストレスに対してどのように向き合っていくのか、医師と相談していく、ストレス・マネジメントという治療が行われます。
強いストレスを感じていて、便秘、下痢など、腸内環境に異常を感じる場合には、一度検査を受けてみてください。
過敏性腸症候群については、過敏性腸症候群の症状をチェック!治療方法は?を参考にして下さい。
おならの臭いや回数を改善する方法
では、おならの臭いを無くし、回数を減らすにはどうしたら良いのでしょうか?腸内環境を健康に近づけることが、一番大事なのですが、具体的にどのような点に気をつければよいのか、見てみましょう。
食生活の改善
普段の食生活のバランスなどに問題がある場合は、おならを頻発させる原因になったり、腸内環境を乱れさせてしまい、便秘や下痢などを引き起こす原因となってしまいます。
基本的には、栄養バランスを意識すると良いのですが、腸内環境を良くするには、食物繊維が大事です。肉をよく食べてしまうという人は、腸内環境が悪くなりやすいので、食物繊維の豊富な野菜を摂るようにしましょう。
野菜以外にも、腸内環境を改善してくれる代表的な食べ物には、ヨーグルトがあります。腸内環境は善玉菌が多ければ健康であり、悪玉菌が多ければ、不調を起こしてしまうものですが、ヨーグルトに含まれる乳酸菌には、胃腸のなかの悪玉菌を減らし、善玉菌の割合を増やす力があります。その結果、胃腸を健康に近づけてくれるということなのです。
ヨーグルトを摂取して、効率よく腸内環境を整えるには、他にも、食物繊維や、オリゴ糖と一緒に摂取すると良いでしょう。食物繊維やオリゴ糖は、善玉菌を強くする力があります。例えば、バナナには食物繊維とオリゴ糖が、両方とも含まれていますので、朝にバナナ、ヨーグルトを食べるようにすると、胃腸を健康に近づける効果が期待できます。
また、ヨーグルトを食べると、むしろお腹が痛くなるという方は、冷えたヨーグルトをお腹にいれることで、胃腸が冷えてしまうという事があります。なので、ヨーグルトを食べるときは、ひと口ずつ、ゆっくりと食べると良いでしょう。
食生活によって、腸内環境を整える場合は、腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やしていくことによって改善しますが、食事療法には即効性はありませんので、継続的に整腸作用のある食べ物を摂取する必要があります。朝にヨーグルトを一つ食べる習慣をつける、などするだけでも、高い効果を期待できるでしょう。
正しい姿勢
姿勢を良くすることで、肺と胃腸のガス交換が円滑になり、腸内環境を改善してくれます。
姿勢が悪い場合は、腸内にガスが溜まりやすく、必要以上におならが出てしまうこともあります。座るときや、歩くとき、普段過ごしている時にも少し、姿勢に意識を向けてみてください。
また、日常的におならに悩まされないようにするには、排便時におならを多く出すことが重要です。姿勢を良くすることで、腸内環境が正しくなり、しっかりと排出することができるでしょう。
ストレスを軽減する
前項でも説明しましたが、胃腸は自律神経の乱れを直接受けてしまいます。
なので、ストレスで自律神経が乱れると腸内環境が乱れて、慢性的な便秘や、下痢の原因となってしまうのです。反対に言うと、ストレスが原因で胃腸が調子が良くないと言う場合には、ストレスを減らすことができれば、腸内環境がすぐに改善される、ということでもあります。
ストレス社会と言われる現代では難しいかもしれませんが、日常のストレスを増やさないこと、ストレスを適度に発散することも、胃腸にとっては大事なことなので、日々の生活に楽しみを見つけるなど、自分の心の健康にも気を使ってあげてください。
まとめ
今回はあまり話題にすることのない、おならに関する記事でしたが、いかがだったでしょうか?臭いも健康で、回数もそれほど多くなければ、心配いりませんが、最近においがきつくなったりした場合には、何かしらの心身の不調の可能性もあります。
長期間に及んで、腸内環境が乱れている場合には、腸の病気の原因にもなったりすることもありますので、たかが、おならと思わずに、自分の胃腸をいたわってあげてくださいね。