仕事や恋愛などに一心に突き進んできた人たちは、一度大きな失望を感じると自暴自棄に陥りやすくなります。この状態になるとお酒に溺れたり、家に引きこもったりと将来を見据えた行動が取れなくなり、自分自身を粗末に扱い始めます。
自暴自棄とはどういったものか、ここでは特徴や対処法について詳しくご紹介します。
自暴自棄について
自暴自棄は、責任感が強い人や真面目な人、完璧主義者、負けず嫌いな人が比較的になりやすい傾向があります。何か失敗してしまった時、自分に期待していたものが大きければ大きいほど落胆の度合いも大きくなり、自暴自棄に陥りやすくなります。
ここでは、自暴自棄とは何か、また原因や心理状況についても詳しくご紹介します。
自暴自棄とは?
自暴自棄とは、目標や夢を失ったことで、何もかもがどうでも良くなっている状態のことです。自分の思った通りにならない為に、自分は「ダメな奴」だと決め付け、自分の身を粗末に扱い投げやりな行動を起して本当に自分をダメにしていきます。
「自暴」はめちゃくちゃな事をして自分の体を損なう事で、「自棄」は自分自身を見捨るという意味があります。心の中で自分を見捨てている為、自分の身がどうなっても構わないと思ってしまうのです。
自暴自棄の行動
男性の場合、仕事一筋で会社に尽くしてきたのにも関わらず、同期が昇進して自分だけは昇進できず、自暴自棄になりお酒に溺れてしまったり、 離婚により家族に別れを告げられて生きる勇気が沸いて来ずに引きこもるなどの行動が見られます。
他にも、片思いの人に思い切ってラブレターを渡したにも関わらず、皆に回し読みされて「好きな人に裏切られた」という気持ちでいっぱいになり、誰とでも体の関係を持ち始めたりする事もあります。学生の場合は、親に夢を押し付けられたり、厳しい評価をされて追い詰められてしまい、自暴自棄になる人もいます。また、周りを巻き込まないで自分を傷つけるだけならまだしも「こうなったのは社会のせいだ」と復習の為に強盗や犯罪に手を染めてしまうケースもあります。
自暴自棄になると、人と会っても劣等感を感じたり、周囲から見捨てられているような不快感を感じたり、人を妬んだりひがんだりとマイナスな心が働き始めネガティブな思考へと変わっていきます。
自暴自棄に似た言葉
- 失意
- 自暴
- 捨て鉢
- ヤケクソ
- 失望
自暴自棄になる原因
自暴自棄になる原因は人それぞれです。その為、どうしてこうなってしまったのか自分で考えてみることが重要です。「きっかけは何か」「その時どんな気持ちだったか」「どうしたかったのか」を考えてみましょう。
一般的には心の裏側には、
- 本当は周囲に認められたいのに、認められなかった
- 本当は愛されたかったのに、愛されなかった
- 本当は注目されたかったのに、されなかった
といった、要素が隠されています。これにより「もういいや」と拗ねているわけです。自分には本当は○○して欲しかったという本心があるにも関わらず、この本心を見ようとはせずに否定して、求めている行為の逆の事を自分にするようになります。
例えば、「自分なんか認めない」「自分なんか愛さない」「自分なんかに期待しない」と本心とは逆の行動に出て、未来や将来を考えた行動をせずに自分を大切にしなくなります。自暴自棄になってしまった場合、まずはどんな出来事があったのか、きっかけを考え自分の本心と向き合うことが重要です。
自暴自棄の心理状況
人間には心の中(脳)で感じている事と、外の状況を一致させたいと思う欲求があります。その為、心の中で「自分はダメな奴だ」と決め付けると、それを証明するに「やっぱり私はダメな奴」と思わせる行動を取ります。
その為、罪悪感を持ち始めると自分を罰せなきゃいけないという心理が働き出し、「なんて私はバカなんだ!」と、自分を傷つけるような行動にでます。お酒を浴びるように飲んだり、遊び人になったりするなどして本当に自分をダメな方へと向かわせていきます。そして、この行動をしていくうちに、そんな自分が嫌になり自己嫌悪にも陥っていきます。
このように人は思考の違いで、行動に大きな影響を与えます。自暴自棄から立ち直るには自分の思考を変えることが大変重要になります。
自暴自棄の人の特徴について
自暴自棄に陥る人は、社会や周囲の評価に不満を感じていたり、自分の能力に対して不満を感じています。ここでは、自暴自棄に陥る人はどのような思いを持っている人か、特徴についてご紹介します。
社会への不満を抱えている
自暴自棄になる人は、社会への不満を抱えている場合が多いです。不満の内容は人それぞれですが、「税金が高い」「犯罪が多い」「住み難い」「ストレスが溜まる」など様々な事が挙げられます。
社会への不満というのは無くなるものではなく、出し始めたらキリがありません。もちろん、労働環境や教育、所得格差、少子化問題など全てにおいて、全員が満足できる状態ではないかもしれません。
しかし、日本は他の貧困な国に比べたら誰もが快適な暮らしが出来る環境が整っていると言えると思います。社会のルールや組織を変えるには時間も労力もかかるので、すぐに自分の思う通りに動くわけではありません。
自分の思うようにいかないから「これは社会のせいだ!」「仕組みがおかしい」といって自暴自棄になってしまうのであれば、もう少し視野を広げてみる必要があります。住みやすい社会を作るのは私達1人1人の力でもあります。人を羨ましいと思ったり、妬んだり、拗ねたりするのではなく、一度他の国とも見比べて視野を広げてみる事をオススメします。
将来に希望を感じない
自分の将来もしくは、世の中全般に希望を感じていないということも特徴して挙げられます。希望というのは、他人が希望をくれるわけではありません。自分の人生においての目標となるもの、遣り甲斐を見つけ出した時に希望というものが生まれてきます。
人生の希望を持っていたのにも関わらず、裏切られて失望してしまった場合はショックで立ち直れない気持ちも分かります。何をしていいのか分からなくなってしまうという状態に陥り、どう立ち直っていいのか分からないでいます。
自分に不満がある
自暴自棄に陥る人は「自分はどうして出来ないのか」と自分に不満を持っています。このような考え方にある人は、基本的には負けず嫌いな性格です。競争心を持っていなければ、失敗してもひどく落ち込むことはありませんが、競争心が強い人は失敗への落胆が激しくなります。
その為、目標や夢を持って前に突き進んでいるなど自分への期待度が高かった人ほど、思っていた通りの期待が出ずに落胆してしまいます。例えば、仕事一筋で昇進を目指して頑張ってきたにも関わらず、中途社員で新しく入ってきた人にマネージャーのポストを奪われてしまい、その人が周りや上司からも期待された目で見られ始めたら、自分の不甲斐なさややるせなさを感じて自分に対する不満を抱えます。
特定の分野に対して自信を持っているからこそ、負けてしまった時に負けを認めることが難しくなります。しかし、自己否定をし続けていると思考がネガティブになり、より悪影響を与えていきます。ポジティブな思考へと変えることが重要だと早く気づかないと、いつまで経っても自暴自棄から抜け出せなくなります。
自分の欲求が満たされてない
自分の欲求が満たされていないと感じている人も自暴自棄に陥りやすくなります。今まで努力してきた分の成果が報われていないとも言えます。例えば、営業マンで営業成績を1位や2位をキープしている状態が続き、自分の中では「次は必ず昇進できるはずだ」と思っていたとします。しかし、実際にその通りの評価にならなかった場合は、自分の欲求が満たされずに自暴自棄に陥ります。
しかし、実際に上に立つ人間というのは営業成績がいいだけでは認められない事があります。もちろん組織によってはその経験を生かしてマネージャーなどのチャンスを与えてくれるところもありますが、営業成績がトップクラスでなかったとしても、チームをまとめる力があったり、部下にやる気を与えたりコミュニケーション能力が高い人は選ばれる可能性があります。
このように、他者の評価は自分の評価と異なる時が多くあります。しかし、このような場合は昇進は出来なかったとしても、トップを維持しているのであれば給料の交渉はできます。どのような状態にあれば自分が満足がいくのか、別の案はないのかよく考えてみてみましょう。「昇進してマネージャーになる」のを目標にするのではなく同じ価値のある「給料を手取りで40万円を貰えるようにする」などの目標を用意しておくと気持ちが楽になります。
すぐに逃げ出す
自暴自棄に陥りやすい人は、すぐに逃げ出すという特徴もあります。何か問題があった時にどのように解決していいのか分からずに、そのままにして逃げ出している癖がついていると、いざ大きな問題が起こった時に自暴自棄に陥ります。
自分の本心を見極めてどうしていきたいのかをきちんと答えを出す必要があります。これができないと、楽なところへ逃げようとして結局自分の思っている事とは違う方向に進んでしまい、「何をやっているんだろう」と後々になって後悔してしまうかもしれません。
自暴自棄の対処法について
罪悪感を感じてしまうのには必ず理由があり、酷い行動を起させるような絶望や悲しみがあったのだと思います。自暴自棄になる事が今のあなたにとってベストな選択だったのかもしれません。
しかし、その状態のままではダメである事はよく分かっていると思います。まずは、それほどまでに苦しんだという自分を理解して許してあげることが重要です。ここでは、自暴自棄になった時の対処方法についてご紹介します。
自分の本心を探る
まずは、自分が自暴自棄である事を受け止めましょう。自分を否定したり大切にできていない自分がいる事を認識して、今いる状況をしっかりと受け止めます。そして、なぜこうなってしまったのか原因を考える為には、一度客観的に自分を見てみることが重要です。
自分ひとりでは解決できなかったり、どうしても納得できない場合は今起きている状況を仲のいい友達や心が許せる先輩に相談してみて、自分の本心を見極めましょう。第三者に助言をもらうことで、見えてなかった事が見えてくる場合があります。
自分は「周りに認められたかったのか」「大事にして欲しかったのか」など、怒りやイライラしている気持ちに隠れた本当の心の中を読み解く必要があります。
人に相談する
人に相談して気の利いた意見を貰えなかったとしても、自分の気持ちに共感してもらったり、話を聞いてもらうだけでスッキリとします。その為、自分1人で抱え込まずに今のモヤモヤしている気持ちを友達や先輩に聞いてもらいましょう。
周りを恨むだけ恨んだり、愚痴を言うだけ言ったら意外とスッキリしてしまい、新しい気持ちに切り替える事ができる場合があります。
ダメな自分を受け入れる
自分の本心を探ったら、その後はダメな自分を受け入れてみましょう。周りは受け入れてくれなかったとしても自分だけは認めるように思考を変えてみます。
例えば・・・
- 周りから認められていないけど、自分だけは自分を認めてあげよう。
- 周りからは嫌われているけど、自分だけは自分を愛してあげよう。
- 周りからは期待されていないけど、自分だけは自分に期待をもとう。
といった、周りや他人からは相手にされていないけれども、そんな自分でもいいと受け止めるのです。自分の能力や環境、結果、効果など自分自身を失望したかもしれませんが、人間誰しも完璧ではありません。出来ないこともあれば、出来る事もあり、人より優れる場合もあれば、劣る場合もあるのです。
「出来ないからダメだ」と設定していますが、まずは出来ないことを認めて「出来なくてもいいんだ」と思いましょう。他人の評価などで周りに振り回されてはいけません。そうする事で能力や結果に捉われずに、自分の価値や人生の幸せというのは自分で決めることができるようになります。
ポジティブに考える
「テストで100点を取らないと気が済まない」「完璧じゃないとダメ」といった昔から完璧主義な考え方をもっている人は、失敗すると「自分はダメだ」と否定しやすくなってしまいます。自分を否定し始めるとネガティブな思考が止まらなくなります。このような状態にあるのは責任感が強すぎるという性格があなたを苦しませている原因にもなっています。
適当な人間は自己嫌悪に陥ったり、自暴自棄に陥ることはありません。責任感が強すぎて、完璧を目指してしまうために、差異が少しでも生じると自分を否定しようとしてしまいます。
しかし、完璧な人間とは世の中に存在せず、また正解というのもない場合が多いです。人生人それぞれであり、その人の人生の中でこれが正解と思うものもあれば、他の人から見たらそれは間違いであったりと人それぞれ異なります。
ダメな自分を受け入れた後、物の見方を変えたり、視野を広げたりすると物事を違った角度から見ることができ、ポジティブに考えられるようになります。ポジティブに物事を考え始めると、自暴自棄からも抜け出せるようになってきます。自分だけではポジティブな思考にならないという人は、いつもポジティブな人の周りにいるようにしましょう。ポジティブな人の周りにいると、考え方もどんどん変わっていきます。
自暴自棄を終わらせるのは自分しかいない
自暴自棄になった時には、誰かが手を差し伸べて救ってくれるわけではなく、最後は自分で終了させるしかありません。周りから不当な扱いを受けたり、自分の能力に失望して傷ついたと思います。しかし、この自暴自棄は自分で終わらせるしか方法がないのです。
こんな自分だと認めて一生付き合っていこうと腹をくくるしかありません。そして、自分の本心に耳を傾けて、どうする事が自分にとって本当に満足のいくことなのか考え自分を大事にしましょう。
今抱えている失望は自分が今までの人生で作り上げてきた価値観により、間違いだと認識されただけであって、他の価値観をつくればそれはそれで正解でもあるのです。思考の違い1つで幸せにも不幸せにもなれるのです。
自暴自棄になると自分の道が見えなくなり、先が真っ暗に感じているかもしれませんが、あなたの思っている失望は違う角度から見れば、自暴自棄になる程の事ではないかもしれません。価値観を養う為にも新しい世界や物事を見てみましょう。
おわりに
希望や夢をもっている時に失敗して自分に失望したりすると「もうどうでもいいや」と自暴自棄に陥る場合があります。この状態になると何もかもが嫌になり、自分を大事に扱わなくなります。
しかし、気持ちや行動はあなたの思考次第で大きく変えることができます。今どん底の気分にいる人も「落ちるところまできたから、後は上に登るしかない」と気持ちを切り替え、新しい世界や物事に目を向けてみて下さい。
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