「メニエール病」という名前を聞いたことがありますでしょうか。
あまり聞きなれない方もいるかと思いますが、突然のめまいに襲われ、吐き気を起こすことが頻繁にある場合、メニエール病である可能性があります。
今回はメニエール病の原因や症状、治療方法についてご紹介します。
メニエール病とは
メニエール病とはどのような病気なのでしょうか。詳しくご紹介していきます。
メニエール病の症状
特徴的な症状として、回転性のぐるぐる回るようなめまいが突然起こります。
立ち上がった時にめまいに襲われて立っていられなくなったり、歩いていて急に周りの風景が回り出すような感覚になり、数十分から酷い場合は数時間続きます。
このめまいが起こる間隔は人によって毎日起こる人もいれば、数日に1回、数週間に1回、月に1回あるいは1年に数回等様々です。
また、めまいの他にも耳鳴りや耳の閉塞感、難聴等の症状も現れます。
最初は低音から聞こえにくくなり、進行していくと次第に高音も聞こえにくくなっていきます。
その他にも、めまいによって吐き気や嘔吐、動悸等を伴うことも多く、発作が起きている間は非常に辛い状態が続いてしまうと言えます。
進行速度も人によって異なり、徐々に進行する場合もあれば急速に進行してしまう場合もある為、早期治療を受けることが大切です。
メニエール病の原因
メニエール病の原因は、内耳にある内リンパ液が過剰に分泌され、蝸牛(かぎゅう)、半規管(はんきかん)、耳石器(じせきき)と呼ばれる、音や平衡感覚を司る器官に内リンパ液が溜まり水腫となって腫れあがることで発病します。
しかし、この内リンパ液の過剰分泌が起こる原因はまだ明らかとなっていません。
研究によって現在分かっていることは、ストレスや疲労、低気圧が影響しているのではないかと言われています。
メニエール病にかかりやすい人
メニエール病は若い女性、特に30代~40代の女性に多いと言われています。
とはいえ男性の患者もおり、多忙やストレスを抱えやすい年代に多く見られます。
また、ストレスの影響を受けて発病すると考えられていることから、以下のような性格や状況の時に発病しやすい傾向があるようです。
- 神経質な人
- 几帳面な人
- 完璧主義者
- 過度な疲労
- 睡眠不足
- 引越、転職、異動等環境の変化
このように、不安やストレスを抱えやすい人、状況の時に発病しやすく、現代社会においてその患者数も増加しています。
メニエール病と間違えやすい病気
メニエール病と似た症状を持った、間違えやすい病気もあるようです。
遅発性内リンパ水腫
こちらも内リンパ水腫が原因となる病気で、メニエール病と同様に回転性めまいを起こします。
メニエール病との違いは、元々高度感音難聴を持っていて、数年から数十年かけてめまいの発作が現れる点です。
高度感音難聴の原因は、ジフテリアやウイルス感染、流行性耳下腺炎、何らかの外傷によって起こると言われています。
症状自体はメニエール病と非常によく似ていることから、病院での検査によって診断、治療が行われます。
前庭神経炎
前庭神経炎は内リンパ液ではなく、前庭器官と呼ばれる重力や直線加速度を司る感覚器官に障害が起こり、突然激しい回転性のめまいが起こる病気です。
原因はまだ明らかになっておらず、恐らくウイルス感染によるものではないかと考えられています。
こちらも症状はメニエール病と非常によく似ていますが、耳鳴りや難聴といった聴覚の症状が現れないのが特徴です。
また、発作が起こると数日から一週間程度とメニエール病よりも長い時間発作が続きます。
発作がおさまってもしばらくの間はふらつきや歩行困難の状態が続き、長いと半年程症状が持続することもあります。
早期回復をさせる為には、めまいが起こったらすぐに治療を行うことが大切です。
発作が起きた時の対応
発作が起きてしまった場合の対応方法を幾つかご紹介します。
横になる
突然の発作にパニックになってしまう人もいると思いますが、必ず発作は落ち着きますので、まずは安全な場所で楽な姿勢、できれば横になりましょう。
家にいる場合はテレビ等の音を消し、静かな環境で休んだ方が耳鳴り等の苦痛が和らぎます。
食事は無理に摂らない
吐き気を伴っている場合、無理に食事を摂ると嘔吐の原因となってしまいます。
吐き気がおさまるまでは水分だけにしておきましょう。
めまい止めの薬を飲む
既に病院を受診していて、めまい止めや抗不安薬の頓服を処方されている場合は、薬を飲んで安静にします。
薬を飲んでいても100%発作が起きない訳ではない為、頓服は常備しておきましょう。
メニエール病の治療
メニエール病はどのような治療が行われるのでしょうか。また完治は可能なのでしょうか。
検査
メニエール病は初回の発作だけでは診断が難しく、何度か繰り返すことで診断を行うことができます。
問診を十分に行い、体のバランス検査、目の動きを調べる眼振検査、聴力検査等が行われます。
類似の病気や脳神経に問題がないかどうか等の診察も非常に重要となりますので、できれば総合病院の耳鼻咽喉科、めまい科を受診することをお勧めします。
薬物療法
メニエール病の治療は薬物による治療が中心となります。
めまい止めや循環改善薬、抗不安薬、ビタミン剤、利尿剤等を状態に合わせて使用し、予防や症状改善を図ります。
点滴
めまいによる吐き気が強く、薬を飲むことが困難な場合、めまいを止める為の点滴を行うことがあります。
心理療法
薬物療法を行っても、原因がストレスや生活習慣である場合は根本治療とはならない為、発作を繰り返してしまうことが多く見られます。
その場合、専門のカウンセラーによる心理療法や生活指導が行われることもあります。
完治するのか
メニエール病は進行性の病気です。発作を繰り返す度に悪化してしまう為、早期治療をすることが大変重要となります。
また、すぐに完治の難しい病気ではありますが、数か月から一年程じっくり時間をかけて治療を続けることで完治することができる病気です。
早期治療を受けた場合、それだけ早く改善が期待できます。
メニエール病の予防
メニエール病を事前に予防として気を付けたいことをまとめました。
睡眠不足に気をつける
メニエール病、あるいは発作予防として、規則正しい生活を送ることが重要となります。
特に睡眠不足は発病や発作の引き金となりますので、慢性化しないよう疲労やストレスが溜まっていると感じたら、十分な睡眠をとることを意識しましょう。
塩分を控える
塩分の摂り過ぎによって発作が起こる危険性があるという説もあります。
健康的な食生活を送ることで、その他の生活習慣病の予防にもなりますので、偏食は避け、バランスの良い食事を心掛けましょう。
ストレスの軽減
何度も述べてきた通り、メニエール病とストレスの関係性は非常に強いものです。
生活をしていると様々な人間関係等のストレスを抱えることになりますが、できるだけ趣味や適度な運動、入浴等、自分のストレスを解消する方法を見つけておきましょう。
まとめ
メニエール病はいつ突然発作が起こるか分からない不安を抱える上に、なかなか周りから理解されずらい病気と言えます。
また、完治までにある程度の期間を要する為、めまいを繰り返している場合は早めに病院を受診し、焦らず治療を続けていくことが大切です。
ストレスを抱えやすい人の場合は放置せず、日頃から自分の心や体の疲労の状態に耳を傾け、ストレスの解消を意識的に行うこともメニエール病予防の大きな鍵となります。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!