風邪をひくと、発熱、鼻水、咳、たん、頭痛、腹痛、関節痛など、全身に及び様々な不快な症状が出てきますね。
栄養のある食事を摂り、ゆっくりと休養できれば良いのですが、お仕事や学校などもあり、発熱時以外はなかなかゆっくり休んでもいられないものです。
お薬での治療は効果も得られやすいですが、眠気などの副作用もありますし、そして何よりお薬の効果を最大に引き出すためには規則正しい生活で、からだに負担をかけない過ごし方を心がけることが大切になります。
生活習慣の中でも「食事」はお薬同様、からだのなかに栄養分や成分を取り入れるものなので、それぞれの不快症状を軽減されるといわれる食品を積極的に取り入れていきたいものです。
しかし、風邪をひくと、症状の出方によっては味覚が鈍麻することがあります。そうなると、食欲も減退し、風邪が長引く原因にもなるので、早めに改善したいものです。
ここでは、味を感じるメカニズムや、風邪をひいたときの味覚鈍麻の理由、対策などをご紹介します。
味を感じるメカニズム
人間は五感により、味を感じることができます。単純に口に入れて、食べ物を噛み、舌に乗せて感じるだけではありません。
五感とは「味覚・視覚・触覚・嗅覚・聴覚」です。
実際に味を識別するのは舌による味覚ですが、食事を楽しむためには、視覚による、目で見た色彩や、焼け具合。触覚による歯ごたえやお箸やスプーン、フォークで触れた硬さ、柔らかさ。臭覚による、食欲をそそる調理時、食事時の香り。聴覚による、食品を噛む音や、食材の焼けるジュージューといった音など。からだの五感をフルに使うことにより、より食事を楽しむことができます。
味覚について知りましょう。
味覚は舌にある、味蕾が口に入った食べ物や飲み物の味をキャッチし、脳に伝達することのより味を判別します。
味の識別は、「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」に分かれており、舌で強く感じる部分が違う「舌の味覚分布図」などとして広く知られています。「甘味」は舌の先で、「酸味」はその奥の両サイド、「塩味」は更におくの両サイド、「苦味」は舌の一番奥の舌の根の方に分布していると言われていました。
しかし、この考えは間違えであると近頃言われていて、舌が味を感じる場所は部分によっての違いはなく、舌全体で均一に味を捉えていることがわかっています。
味覚だけで味を感じることができるのか?
味覚で甘味、塩味、酸味、苦味を感じることはできますが、先に述べたように食事をする際は、味覚以外の感覚器官の働きが重要になっています。
特に「臭覚」は味を感じるためには、なくてはならないものです。
初めてのものを食べるときや、食べ物が傷んでいるかどうかを調べるときなど人は匂いを嗅ぎます。味を確かめるときには臭覚は大切な感覚になります。
風邪をひくとなぜ味覚がおかしくなるの?
風邪をひくと、様々な諸症状が出ます。
咳、喉の風邪だと飲み込むときの不快感や痛み等はあっても、味を感じにくいということはありません。
しかし、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの臭覚を司る、鼻の不快症状だと口に入れたものの匂いを感じ取れず、食べ物や飲み物の味を感じにくくなる味覚障害を引き起こすのです。
風邪を早く治すためには、栄養価の高い食事を摂ることも大切なことなのですが、味がしない、また、味を感じにくいとあっては、美味しく感じられず、食欲も落ちてしまいますね。
少しでも、そのような不快症状を軽減させ美味しく食事をしたいものです。
味覚障害はいつまで続くの?
風邪症状により引き起こされている味覚障害であれば、それらの症状が軽減するとともに、だんだん味覚も戻ってくるでしょう。
お薬を飲み、無理のない生活をしていれば1週間もすれば良くなってきます。
風邪の症状は治まっているのに、いつまでも味覚が戻らない場合は、ほかの疾患が考えられるので早めに、病院を受診しましょう。
味覚障害を早く治したい時はどうすればいいの?
風邪による、味覚障害であれば、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが原因であることがほとんどなので、それらを、いち早く軽減させるため、耳鼻咽喉科で治療することがおすすめです。
受診の際は必ず、味が感じにくくて困っていることをお医者さんに伝えましょう。
お医者さんに相談しても、睡眠不足や過労、過度のストレスなど生活スタイルに問題があっては、いくら医療による改善をはかっても、症状の軽減はみられません。
風邪をひいたときは、無理のない生活を心掛けましょう。
鼻呼吸ができず口の中が乾いていませんか?
食べ物を噛み、口の奥の方へ運ぶには、唾液が必要になります。
しかし、風邪をひいて鼻が詰まっていると、息苦しさから口が開いてしまい、口の中が乾いて唾液が少なくなることがあります。
そうすると、噛み砕いた食べ物を口の奥に上手く運べず味覚食害を引き起こすことがあります。そのような時は、室内の加湿に努め、マスクの着用をするなどして、口の中の湿潤を心掛けましょう。
また、ペットボトルや水筒などを携帯し、こまめに水分補給をし口の中を潤わせておきましょう。
鼻呼吸だけが原因でなく、処方されているお薬の中に口が渇く副作用を持ったものもあるかもしれません。お薬を飲んでいる場合は、効能だけでなく、副作用もチェックしておきましょう。
もしかして亜鉛不足では?
味覚障害を引き起こす原因として、風邪による鼻の不快症状で臭覚が鈍麻し、味覚が感じられなくなることも考えられます。
しかし、原因はそれだけでなく、風邪により、体調不良、食欲不振で、バランスの良い食事をとれていないということはないですか?
また、普段からも、忙しくしていて外食やお弁当が多いなど食生活の乱れはありませんか?味覚障害を引き起こす原因のひとつに、亜鉛不足が考えられます。
どうして亜鉛不足だと味覚障害が起こるの?
亜鉛は味を脳に伝達する器官である、「味蕾」の細胞の再生に必要不可欠のものです。
味蕾はからだの数ある細胞の中でも、最も代謝がよく1ヶ月のスパンで新しい細胞に生まれ変わっています。その、味蕾の再生に必要不可欠な亜鉛が不足していては、味蕾がうまく再生されず味細胞に影響が及び、味覚障害へとつながりやすいのです。
亜鉛不足にならないためにはどうすればいいの?
近年は若い方だと、男女問わず、プロポーションを気にする方も多くなり、ダイエットなどでバランス良い食事がとれていなかったり、お仕事などで忙しく、亜鉛の吸収を妨げる添加物が使われているお弁当やファストフードなどで食事を済ませる方もいらっしゃいます。
また、お年寄りの場合では、身体の不自由などで調理ができなかったり、お一人暮らしのため、日々の食事を簡単に済ませていたりなどの理由からバランスの良い食事を日常的にしている方が少なくなってきているようです。
それぞれに、様々な理由があるとは思うのですが、週の中でどこかに時間を作り、家庭できちんと調理されたものを食べる機会を作りましょう。
亜鉛不足は味覚障害だけでなく、皮膚障害や脱毛など原因のひとつにもなります。
正しい知識と、規則正しい生活と、バランスのとれた食事を心がけることで亜鉛不足を防ぐことができます。
亜鉛が含まれる食品は?
亜鉛の摂取量とし推奨されているのは、成人男子の場合10mg、成人女性の場合8mg程度が望ましいと言われています。
亜鉛の含有量が最も多いことで有名なのは「牡蠣」ですが、成人男子の推奨摂取量の10mgは牡蠣6個程度と言われています。
魚介類の場合、亜鉛の含有量が多いのは牡蠣についで、からすみ、煮干しです。
肉類ではビーフジャーキー、豚レバー、牛肩肉です。牛肉は全般的に亜鉛の含有量が高いようです。
乳製品では、パルメザンチーズ、エダムチーズ、チェダーチーズ。他には、いりごま、カシューナッツ、ひまわりの種、のり、など、様々な食品に亜鉛は含まれています。
人間のからだに必要な栄養素は亜鉛だけでなく、一日に必要な栄養素を全て、摂取しようと思うと簡単なことではありません。
亜鉛は魚介類や牛肉から比較的摂取されやすいものなので、推奨摂取量にとらわれすぎず、バランスよく質のいい食事を摂るように心掛けましょう。
亜鉛の含有量の多い食品をチェックし、食事作りやお菓子作りの時に役立てましょう。
手軽に亜鉛を摂る方法はあるの?
亜鉛に限らず、栄養素は天然の食品からとることが望ましいのですが、人により生活スタイルは様々で、時間のやりくりを工夫してもなかなか時間が確保できなかったり、料理があまり得意でない方もいらっしゃると思います。
そんなときはドラッグストアや通販などでも手軽に購入できるサプリメントをおすすめします。
サプリメントを摂取しているからと安心せず、時間に余裕があるときは天然食品を使った調理されたものを食べる機会を作りましょう。
まとめ
風邪をひくと、さまざまな不快症状でつらいことが多々あります。
しかし、近年では大人も、子供も何かと忙しく、質のいい食事や睡眠をゆっくりと取ることが難しくなってきています。
風邪をひかないためには、バランスのいい食事と、十分な睡眠と無理のない生活スタイルが重要となってきます。
万が一、風邪をひいてしまった場合でも、お薬や病院に頼ることだけでなく、生活スタイル改善も大切です。味覚障害を引き起こすまでになるには、鼻の不快症状もきつい状態だと思われます。
食事が美味しくなければ、食欲も減退し、風邪を完治するには悪循環になります。様々な不快症状を早めに軽減・解消し規則正しく、無理のない生活サイクルを送りましょう。それらに努めても、味覚障害が改善しない場合は、必ずお医者さんに相談しましょう。
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