脊索腫って何?症状や原因、治療方法は?発症しやすい人はどんな人?

悪性腫瘍には様々なものが存在します。肺や食道、子宮など様々な部位に発生したり、様々な転移が起きたりします。今回は頭蓋骨にできる脊索腫という悪性腫瘍について取り上げていきます。多くの方は頭蓋骨に腫瘍ができるのか?と疑問に感じたと思われます。

骨の悪性腫瘍と言えば、大腿骨や脛骨、上腕骨に多く発症します。それに比べると頭蓋骨に悪性腫瘍ができるのは極めて珍しいケースとも言えます。この記事では、脊索腫の病態などを紹介し、頭蓋骨に腫瘍ができるというのはどれだけ恐ろしいかというのが伝わればなと思います。

脊索腫とは何なのか

頭蓋骨

脊索腫は頭蓋骨や脊椎に起きる悪性腫瘍です。年間100万人に1人に起きるとても珍しい腫瘍で頭蓋底腫瘍の中でも治療が困難とされています。頭蓋骨から神経や血管、周囲の骨へと腫瘍が増大していきます。

場合によっては硬膜を破り、脳の方に腫瘍が増大するので厄介な悪性腫瘍とも言えるでしょう。全脳腫瘍の約0.5%とごくまれに起きる悪性腫瘍とも言えます。また、軟骨肉腫と判別しにくい部分もあります。脳脊髄表面に広く転移する特徴が見られます。

悪性腫瘍とは

悪性腫瘍は増殖が早く、発生した部位での増生だけでなく、周囲にも浸潤し、血管やリンパ管に入り、他の臓器やリンパ節に転移する腫瘍です。

ちなみに良性腫瘍は局所に留まり、増殖や発育もゆっくりで死に至ることのない腫瘍として知られています。

脊索腫はどんな人に多いのか

30~60代に多いとされています。性別で見ると、男性に多いと言われています。場合によっては10代の女性に発症したというケースも見られます。

脊索腫はどこにできる腫瘍なのか

厳密に言うと、頭蓋骨の斜台、脊椎の仙尾椎にできるとも言われています。約50%が仙骨部に発生、頭蓋底は約35%、脊椎が約15%に起きるとの報告もあります。

場合によっては

脊索腫は黄色半透明赤褐色の腫瘍ですが、石灰化や出血、壊死、嚢胞といったものを伴う腫瘍でもあります。

脊索腫の症状について

痛み

脊索腫の症状について説明していきます。

目の症状

目の動きが悪くなったり、複視が起きるとも言われています。複視は物が二重に見えることです。視力視野障害も起きます。

食事や発声に関する症状

嚥下障害や嗄声といった症状が現れます。嚥下障害とは物の飲み込みが悪くなること、嗄声は声がかすれることを指します。

鼻に関する症状

鼻詰まりが起きます。

脊髄に関する症状

脊髄を圧迫して、脊髄症状や手足の痺れや麻痺といった症状が現れます。

顔面の症状

顔面の感覚異常や顔面神経麻痺といった症状が現れます。

顔面神経麻痺では、額、口角の動きが非対称となるのが特徴的です。目を閉じることができないといった症状も見られます。

下垂体機能障害

下垂体は成長ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、プロラクチン、抗利尿ホルモン、オキシトシンといった人間に必要なホルモンを分泌する場所です。

もしも下垂体の機能が障害されると、低身長による筋肉量の減少や骨密度の低下、易疲労性になる、甲状腺の機能低下、体重増加、便秘、低血圧、低血糖、ストレスに対する抵抗力の低下といった症状が現れます。

その他の症状

頭痛、めまい、ふらつきといった症状が現れます。

つまり

脊索腫は目や鼻など全身に影響を与える極めて厄介な悪性腫瘍だということが言えます。顔面神経麻痺や下垂体機能障害が起きた際はその裏に脊索腫の疑いがあるのではないかという疑問を持っておく必要もあるということです。

脊索腫の診断はどのように行われるのか

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脊索腫の診断について移ります。MRIとCTで診ていくことになります。腫瘍は硬膜外にあると言われていますが、中には硬膜内に及んでいるものもあると言われています。病巣から広く浸潤しているのを見ることができます。造影剤で白く増強されて見えるのも特徴的です。

CTではどのような所を見ていくのか

CTでは、境界明瞭な膨張性の軟部組織腫瘍の有無を見る、骨溶解像、石灰化の有無などを見ていくことになります。

中等度から著明な造影効果があります。

MRIではどのような所を見ていくのか

MRIでは、腫瘍内出血や粘液貯留、石灰化などを見ていくことになります。軟骨肉腫との鑑別が難しい面があります。

病期分類を見ていくことも大事

悪性腫瘍の病期の分類として、TNM分類というものがあります。原発巣の大きさや周囲への浸潤の度合い、リンパ節への転移はどうなのかといったことを見ていくのが重要となります。

これらを踏まえて病期を4段階に分けていきます。病期が進むにつれて予後不良となります。この病期を見て、治療をどうするかなどを検討していく必要があるのです。

脊索腫の治療について

治療

脊索腫はじめ、頭蓋底腫瘍の治療も変化が見られています。腫瘍の根絶を目指し、入院から手術前後を含め、負担を軽減し、苦痛を減らしていくことが重要となってきます。基本的には手術による治療が行われていくことになります。

腫瘍の発生部位に応じて様々な方法を用いて行っていきます。ケースによっては1度に全て摘出するのか、複数回に分けて手術するかが分かれます。患者の状態や腫瘍の部位や大きさといったものも関係してきます。

開頭術

顕微鏡を用いて基本的に広いスペースから腫瘍を摘出することができるというメリットが大きいです。

しかし、血管を切断したり、脳神経を傷つけてしまうなどのデメリットが存在しています。腫瘍が残存している場合は悪化してしまう恐れもあります。

経鼻手術

内視鏡を用いて行われます。低侵襲かつ腫瘍に直接到達できるため、よく用いられています。中にはこの方法ではできないものもあります。それでも手術の効果や再手術のしやすさという意味では開頭術より優れているとも言えます。

経口手術

経鼻手術では到達できない困難な腫瘍に対して有効な手術です。頸椎移行部に対する腫瘍に対しても行うことができます。

サイバーナイフによる放射線治療

サイバーナイフは一般的な放射線に比べ、治療精度が向上しているのが特徴です。分割の回数を減らして治療効果を期待し、合併症の危険を減らしています。

ガンマナイフによる放射線治療

高線量でのガンマナイフによる治療が最も安全かつ有効とも言われています。照射範囲をある程度小さくしたり、視神経などが腫瘍に接していないという所に注意する必要があります。初回で安全かつ徹底して腫瘍を摘出したかがポイントになります。

強度変調放射線治療

強度変調放射線治療は腫瘍の形状に合わせた線量分布を形成できる放射線治療です。被ばく線量を軽減できる利点があります。固定や位置確認を行うため、1回の治療時間が15~20分と長めになります。

重粒子線治療

重粒子線治療は炭素イオンを癌病巣に狙いを絞って照射する放射線治療です。放射線量が弱く、癌病巣で放射線量がピークになる特徴があります。

癌病巣にピンポイントで照射できるかがポイントになります。癌殺傷能力が陽子線より2~3倍大きいので、照射回数を少なく、治療期間を短くすることが可能になるのです。

手術が難しい理由

脊索腫は手術が難しい腫瘍です。その理由として以下の事が挙げられます。頭蓋骨の深部にまで達する腫瘍のため、正常の周辺の脳や神経を障害せずに腫瘍を摘出するのが難しい、摘出した部分の処置が不純分の場合は再発する可能性がある、通常の放射線治療が無効であるという点の3つです。

頭蓋底という部分は非常に小さいにも拘わらず重要な機能を司っているという面があるため、豊富な知識と高度な技術が求められてくる場所という言えます。

リハビリテーション

手術後、回復するのに時間がかかるため、リハビリテーションによって運動機能を向上させておく必要性も出てきます。つまり、術後のケアを行っていくことが脊索腫において重要となってくるわけです。つまり、患者のQOL(生活の質)に目を向けていかなければならないというわけです。

投薬治療は?

色々な病気で投薬治療という言葉を聞いたりしてると思います。脊索腫の場合、エルビタックスやイレッサが効いたというケースもありますが、有効だと言えるものはまだ厳密には存在していないです。欧米では臨床研究が行われている段階にあります。

治療を行っていく際は

脊索腫の治療を行っていく上では、色々な可能性を加味したうえで完治できるかがポイントとなります。手術で腫瘍を全て摘出したとしても、再発する可能性があるということを考える必要があります。

病院によっては耳鼻咽喉科や眼科、形成外科、口腔外科と組んで治療を行う所もあります。全身に渡って様々な症状があるため、様々な診療科とチームを組み、治療を行っていくことも必要ということです。

手術においても、メリットとデメリットがあるため、その患者にはどの手術方法が有効なのかを考えて行っていかなければなりません。放射線治療も放射線量やどこに照射するかを考えると技術が必要になってきます。それだけ機器も発達してそれを扱えるようにならないといけないということです。

術後もリハビリテーションを行い、機能を向上させて日常生活に戻れるようにすることが出てくるのではないでしょうか?ただ単に手術が成功したからゴールというわけではありません。その後の日常生活などにも目を向けていかなければならないと思います。

もしも脊索腫の疑いがあるとどこに受診したらいいの?

脊索腫の疑いがもしもあると思ったら、脳神経外科のある病院を受診してください。手術でないと治療できない病気です。

まとめ

今回、脊索腫という頭蓋骨に起きる珍しい悪性腫瘍について紹介させて頂きました。滅多に起きない珍しい悪性腫瘍ですが、一度発症すると脳にまで障害を及ぼす厄介な病気です。治療の際、完全に腫瘍を摘出しないといけない等完治するのが難しい病気ということを理解して頂けたらなと思います。

  
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