口の中は、なにか食べ物や飲み物を入れて舌で味あわない以外は特に匂いや味はしないものです。しかし、なにかの拍子に口の中が苦いと感じたり、味覚に違和感があったりすることがあります。
普段とは違う様子を感じると、なにか病気なのではないかと、誰しも気になるものです。
しかし、大抵は大きな病気ではなく、日常生活における変化やストレスなどによることが多く、体調や環境の変化による、からだの変化であることがほとんどです。
考えられる原因をひとつ ひとつ照らし合わせて、セルフチェックを行ってみましょう。
通常の味の感じ方はどのようなのでしょう。
私たち人間は、味覚があり、食べ物や飲み物を口に入れたときに甘み、渋み、辛味、塩味、苦味、酸味などさまざまな味を感じることができます。
少し前までは、舌は味を感じる部位が決まっていて、舌先が甘味、舌の両サイドが酸味、舌の中央が塩味、下奥が苦味を感じる部位であると言われており、舌の味覚分布図などと言われ広く知られていました。
しかし、この考えは間違いであり、舌は味を感じる部位が分かれておらず、舌全体で味を感じることができることがわかっています。
口の中に食べ物や飲み物入っていないときは、とくには何の味もしないものです。
口の中が苦いと感じる原因
口の中が苦いと感じるにはさまざまな原因が考えられます。必ずしも、病気と隣り合わせなわけではなく、日常の些細なことがきっかけとなっている可能性もあります。
困った症状もセルフケアで改善するかもしれません。まずは、日常の中に原因がないかをしっかり調べてみましょう。
口の中が乾いていませんか?
鼻詰まりなどにより、口呼吸をしていたり、水分補給がうまくできていない時などは、唾液の分泌量も減り、口の中が乾いてしまいます。
口の中が乾くと、浄化作用もある唾液の分泌量も減り、口の中に雑菌が繁殖しやすくなります。それにより、口の中に苦味を感じることがあるのです。
もし、鼻詰まりなどの原因で口呼吸になってしまってい場合は、こまめに水分補給をしてマスクの着用で口の中が乾きにくい状態を作るようにしましょう。口が乾く原因については、口が渇く原因を紹介!病気やストレスが関係している?の記事を参考にしてください。
口腔内の治療をしていませんか?
歯の治療をしていたり、歯周病や歯茎のトラブルなどがあったりすると、口の中の苦味感じることがあります。
歯の治療中である場合、完治させるための過程であるため、治療に使っているお薬や治療法の相談をするしかありません。もし、歯の治療のために通院中である場合は、口の中の苦味があまりに気になる時は歯医者さんに相談してみましょう。
歯周病や歯茎の炎症などにより、歯茎にトラブルを抱えている場合は歯茎に膿がたまっていることがあり、それが原因で苦味を感じることがあります。また、そのような状態だと、歯茎に歯ブラシが当たると痛みを伴うため、口の中の清潔を保つことができずに雑菌が繁殖しやすくなり、苦味を感じることがあります。
そのような場合は、まず歯茎や口の中のトラブルを解消したあと、きちんと口腔内を清潔にしましょう。
舌の表面が汚れていませんか?
食後の歯ブラシは、歯や歯茎は意識して磨きますが、舌まではきれいに磨きません。舌の表面はザラザラしていてよごれがたまりやすいのですが、なかなか舌までは磨きません。
舌の表面のザラザラしている部分を舌苔(ぜったい)とよび、健康状態が良い時は薄い白色です。しかし、体調が悪かったり、タバコの吸いすぎ、刺激物の食べ過ぎなどの理由で舌苔も黄色や黒色に変色し、汚れが蓄積しやすくなります。
そうなると、口の中が苦いと感じることがあります。歯磨きをするときは、歯や歯茎だけでなく、舌の表面も歯ブラシで軽くこすり、きれいにしましょう。舌専用の舌ブラシなども販売されています。
苦味のあるお薬を服用していませんか?
お薬の中にも、さまざまな味や匂いのものがあります。苦いお薬は飲むのも大変ですが、苦味のある成分が強いと、お薬が体内に吸収されたあと、その苦味成分が唾液に分泌され口の中が苦いと感じることになります。
お薬の中でも、苦味で有名なのがゾピクロン錠です。このお薬は飲んだときだけでなく、お薬が吸収された後からも苦いと感じることで知られています。
子供用のお薬ではクラリスが苦いと言われています。子供でも飲みやすいように甘い成分でコーティングしていますが、長く口に入れていると、このコーティングがはがれてしまい、強い苦味を感じます。
また、このお薬はスポーツ飲料などで飲むと更に強い苦味を感じます。服用の際は、必ず水か白湯で口の中に飲み残しがないように飲みましょう。このお薬も、服用時だけでなく、服用後1~2日後に口の中が苦いと感じるケースがあるお薬です。
点眼薬では、レバミピド点眼液があります。点眼薬ではありますが、涙腺と鼻が通じているために点眼液が鼻に通ってしまった場合、苦味を感じます。
なるべく鼻に流れてしまわないように、点眼直後はあまり瞬きをせずに、目頭を抑えて1分程度静かにしておきましょう。
点鼻薬では、スマトリプタン点鼻薬が使用後に苦味を感じることで知られています。このお薬を使用後に口に中が苦いと感じたときは、すぐにお水を飲むことで解消されると言われています。
これらの他にも、苦味のあるお薬は多々あります。お薬を飲む際は市販薬の場合は添付されている説明書を、病院で処方される場合は薬剤師からの説明を十分に理解し、お薬の特徴を知っておきましょう。
副作用に「苦味」を感じるお薬を服用していませんか?
お薬そのものには苦味はありませんが、服用後に副作用として苦味を感じるものもあります。先に述べた、ゾピクロン錠やクラリスもそうですが、内服したあとに体内に吸収されたあと苦味成分が唾液に分泌されるものもあります。
副作用で苦味を感じることで最もしられているのが睡眠を促すお薬のアモバンです。このお薬の苦味はとても強く、飲んだ時だけでなく、飲んだ翌日も苦味が口に残りやすいことで知られています。お薬の副作用で苦味の訴えのあるお薬No.1です。
他にも、抗甲状薬のプロピルチオウラシルなども副作用に苦味があります。
ストレスのある日常生活を送っていませんか?
ストレスで苦味を感じるの?と疑問に思う方がいらっしゃると思いますが、過度のストレスは味覚障害を引き起こす原因になります。
舌にある味蕾から味わった感覚を脳の扁桃体や大脳皮質に伝達するのですが、脳のこの部分では精神面によるストレスの情報も伝達されてくるため、過度のストレスがかかった場合、味覚にも影響が及ぼされると考えられています。
過度のストレス、長期的なストレスは苦味だけでなく味覚そのものに影響があります。
偏った食生活を送っていませんか?
口の中の苦味だけでなく、偏った食生活はさまざまなからだの不調を引き起こします。
味覚障害に大きく関わる栄養素はミネラルや亜鉛です。これらは舌から脳へ味を伝達する味蕾の再生、代謝アップに大きく関わっています。味蕾は器官のなかでも代謝がよく、円滑に機能を果たすには十分なエネルギーを必要とします。そのエネルギーとなるのがミネラルや亜鉛なのです。
お弁当や外食が多かったり、偏った食生活を送っていると、味蕾の働きが悪くなり、口の中が苦いと感じることがあります。
口の中の苦味を感じる病気
上記のようなセルフチェックを行っても、なにも思い当たることがない場合、口の中が苦いと感じる自覚症状がある疾患が隠れているかもしれません。
風邪や花粉症、うつ病、逆流性食道炎や胃の病気など考えられることはさまざまです。
日常生活を見直しても思い当たることがない、からだのどこかに異変を感じる、なかなか良くならないという時は、一度お医者さんに相談してみましょう。
口の中が苦いと感じる時の対処法
口の中が苦いと、一日中、不愉快であり、また食事も美味しく感じず食欲も落ちてしまいがちですね。そうなると、体重の減少や疲れやすくなるなど、味覚障害以外の問題も出てきます。
早めの対応や、そうならないための予防に努めることが大切です。
食生活を見直しましょう。
先に述べたように、ミネラルや亜鉛不足は味覚障害を引き起こします。規則正しい、バランスのとれた食生活を心がけましょう。
亜鉛を多く含む食材は牡蠣、からすみ、ビーフジャーキー、豚レバー、パルメザンチーズ、ごま、アーモンド、抹茶などさまざまあります。
ストレスコントロールをしましょう。
ストレスは味覚を感じる脳の部位と関わりがあるため、ストレスが溜まりすぎる、または長期に及びストレスを感じている場合は、要注意です。
普段から好きなことに取り組んだり、適度にからだを動かし何かに夢中になれる時間を作ったり、アロマやヨガ、音楽などさまざまなリラックス効果のある活動をしたりするなどして、ストレスコントロールをしましょう。
口の中を清潔にしましょう。
歯磨きをする時に、舌の表面もきれいにしましょう。舌苔がたまり過ぎると雑菌繁殖や口臭の原因になり、分泌される唾液が苦いと感じることがあります。
ブラシで強く擦り過ぎると舌の表面を傷つけてしまうため、ブラシは優しくあてましょう。
ドラッグストアなどに行くと、シリコン製の舌に刺激の少ない舌専用のケア用品が販売されています。
お薬は正しい飲み方をしましょう。
お薬の味や副作用で苦味を感じることがあります。
服用の際は、説明書をしっかり読んだり、医師や薬剤師の説明を十分に聞いてお薬の服用のしかたを理解しておきましょう。
お薬は味の変化などがあることから、必ず水か白湯で飲みましょう。
苦い後味がどうしてもつらい方は、服用後にチョコレートなどの甘くて味の濃いものを食べるといいでしょう。
水分補給をこまめにしましょう。
口渇は口のなかの苦味を感じてしまいます。普段から水分補給はこまめに行い、唾液の分泌が十分にできるようにしておきましょう。
喉が渇いたと感じる前に、こまめに水分をとっておくことが大切です。
お医者さんに相談しましょう。
どうしても苦味が気になる方、また長期にわたり口の中の苦味があり、改善されない方は一度お医者さんに相談してみましょう。
考えられる原因はさまざまありますが、まずは耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
服用しているお薬がある場合は、それらの種類や服用期間をお医者さんにきちんと伝えましょう。
まとめ
口の中が苦いと、とても不愉快ですよね。少しでも早く、この不快症状を取り去り、美味しく食事をとりたいものです。
もし、あなたがこのようなお悩みを抱えているならば、まずはセルフチェックをしてみましょう。日常生活の見直しで改善できるかもしれません。
味覚障害に限らず、規則正しくバランスのとれた生活と、ストレスコントロールでからだの調子がよくなることが多々あります。
まずは自分の生活スタイルを見直し、それでも気になる、または良くならない時はお医者さんに相談してみましょう。
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