あまり知られていない病気ですが、最近はこの適応障害はよく聞くようになりました。これは、ある状態とか出来事が耐えられないようなことがあり、その影響により、気持ちの中に今までと違った変化が現れたり、行動が過剰になったりするような症状をいいます。
気持ちの変化に対しては気付かないケースもありますが、行動に関しては、注意しないと、他人に被害を与えることもあります。
例えば、涙もろくなったり、心配しすぎる傾向が出たり、無謀な運転をしたり、喧嘩を吹っかけたり、物を破壊したり…。周りから見れば、どうしたんだろうというように思える行動が、何回も続くことにより、その病気になったのかという認識に至る経緯となります。当初は気付きにくいことがほとんどです。
主な原因はストレスのようです。では、その原因と症状を挙げてみましょう。症状としては主に5つに分かれます。
適応障害の症状について
適応障害には、どのような症状があるのかを知っておきましょう。
不安感による症状
不安感や焦燥感、恐怖感を常に感じる症状とそれに嘔吐感や動悸を伴うことが多いと確認されています。ストレスが過大になり、その対象に近づいていくと、不安感や恐怖感などが強くなります。
例えば仕事で出勤しようとすると、頭痛、腹痛、吐き気など緊張や不安が強くなる傾向があります。同じように学校でも仲間とうまくいっていない時や溶け込んでいない時は、同じような症状が起きます。
抑うつ感からくる症状
憂鬱感や喪失感から突然涙もろくなったりする傾向があります。
例えば仕事中に涙を流したり、仕事への意欲もなくなり、やる気が起きないケースもあります。
行動の障害からくる症状
職場での勤務がまともでなくなったり、車の運転が荒くなる、物を破壊したり、過剰な飲酒などが上げられます。
身体的苦痛による症状
頭痛や倦怠感、腹痛など痛みや身体の不調へ逃避する傾向があります。これもストレスに大いに関係している状態です。
混合的な症状
上記の症状が複雑に絡み合って出る傾向にあります。どれかが突出していたり他の症状は隠れているケースもあります。
適応障害になりやすい傾向の人
一般的にはなりやすい人というのは、主に性格的なものが多いようです。基本的にはストレス耐性の弱い人はなりやすい傾向にあると言えます。
つまり、ストレスに遭遇した場合、精神的に弱いとその耐性も弱いことにつながるということです。ある意味、現実逃避的な要素でこの障害が現れるといってもいいかもしれません。
つまり、その現実をどうしても拒否したいが、現実面でそれが難しいとなると病気という壁の内側に逃げ込むということです。病気という壁がそれ以上の進入を防ぐわけですから、本人にとってはそれ以上の苦しみは免れるわけです。
ですが、実際の人の話を聞くと、決して現実逃避ではないと言います。上記の内容は一部でそのような解釈をしているということで、必ずしもそうとは言い切れないということになります。
その原因となる、ストレスはどのようなものがあるかといいますと、そのほとんどが仕事と家庭です。仕事でいえば、業務に対する内容、仕事の量の多さや責任の重さ、職場の人間関係などです。家庭では、夫婦の関係、義理の親との関係、教育、受験、いじめなどです。
これらの要素が重なると、耐性の強い人は持ちこたえられますが、弱い人となると、一つ一つは大したことがないかもしれませんが、積み重なるものが多くなると、知らず知らずの内に重圧になっているケースがほとんどです。
そしてその重圧に耐えようと、頑張れば頑張るほど、空回りをして知らぬ間に変調を来たしていることとなります。
適用障害の対処法
早期の発見で、重症になりにくい統計が出ていますが、なかなか早期の発見は難しいのが現状です。例えば身体的な苦痛の症状などは、その苦痛そのものを取り除こうと努力します。当然医者にかかったり、薬を常用したりとすると思われます。
しかし、根本的に原因が適用障害にある場合は、ストレスからの原因なので、今目の前の症状に対処しても一向に改善できない状態がほとんどです。それが、早期発見の難しさなのです。まさか、自分がそのような病気になるとはほとんどの人が疑わない訳ですから、当然のことです。
よく、受験生なども試験直前まで頭痛や腹痛を訴えたりしてますが、試験が終わると、うそのようにその症状は治まることがあります。これなどは、適応障害といえないまでも、完全なストレスの影響でしょう。しかし、それも試験が終わって初めて気付くといったことが、いい例と思います。
また、適応障害の疑いは自分では判断できない傾向が非常に強く、そういった意味での難しさが、この適用障害の病気の治りにくい状況をも生み出しています。
症状が適応障害だということで、医師の診断を仰いだ場合は、その指示で治療を行うことが最善策といえるでしょう。その場合は以下の方法で主に3つあります。
ストレスの回避
根本となるストレスを取り除くことが、最善の治療法です。
当人はあまり感じていないようでも、心の奥底にはかなりの負担がかかっているケースもあります。理由はわからないけど体調が著しくないといったことは、まさしくこのことを指しています。
先ほどの、試験が終わったら、うそのように体調が戻ったとか、ある仕事のプロジェクトがストレスだったが、そのプロジェクトが終了したら体調も良くなったなどは、その典型といえるでしょう。
何がその症状を引き起こしているかをよく考えるといいかもしれません。しかし、その時点での判断はものすごく難しいものと考えられます。ここは勇気を持って、医師の診断を仰ぐとよいでしょう。その方が、早く改善することが多いと確認されています。
ストレスの適応力を上げる
これは逆に、ストレス耐性を強くするということで、いわば精神を強くするということです。生半可なものではないかもしれませんが、ある意味、今後の人生を考える上ではこの方法が一番いいかもしれません。
具体的には、医師とのマンツーマンによる診療がほとんどです。そして順を追ってカウンセリングなどによって問題を解決していく方法です。
その原因を真正面から受け止めて、問題を解決していくことにより、自発的に解決することができ、その後も同じような問題が起きた場合は、対処ができるということになります。それが、その後の自信を生じさせ、ストレスへの耐性が出来て、いい方向に快方していくのではないでしょうか。
この治療には、催眠療法や瞑想、心理療法などの非科学的な治療もあることが特徴です。人によっては受け入れがたいことも出てくると思われます。問題は何を信じるかによります。その辺が受け入れがたいというのであれば、他の方法をお奨めします。
薬物療法
薬による精神安定を前提とした治療法となります。よく、映画やドラマで患者が落ち着けなくなったときに、鎮静剤を飲んだり注射することがありますが、それに近い治療法です。
一過性のものならこの方法もいいのですが、長期に渡る治療の場合には、薬も当然長期の投与になり元来の人間の自然治癒に反し、身体に無理な負担がかかる恐れがあります。そういった意味では少し怖い部分はあります。
部分的に使用し、一時の安定でのものでしたら、効果は高いと思われます。
適応障害の人との接し方
取り立てて、かしこまって接するほどではありませんが、やはり適応障害がどんなものかを知らないと、その接し方で相手にさらに悪い状況に追い込んでしまうこともありえます。そういう意味では、気を遣うことは必要となります。
特に、相手への悪い状況を加えてしまうことや、気遣いのなさが、そこから悪化の恐れがあるからです。
一番の接し方は、病人扱いしないことです。それと、加害者が知らない間に害を与えている場合が多いということです。それも、気付かぬうちにということです。当人はそれを指摘できません。そういう意味では、若干厄介な状況といえます。
それと、寛容な心持ちで接することも重要です。初めて接するのであれば、そのような性格と受け止められますが、以前の当人を知っていると不安定な状態の当人に対し、嫌悪感を持ったり、接するのが面倒になるケースもあります。
決して追い込むような状況にせず、逆に心理的に快方に向う接し方が理想です。会話の中にいい方向に行っているという結論付けの相槌をすると、当人にもその自覚が出てきます。細かいですが、そのような小さな積み重ねが大事なのです。
まとめ
いかがでしたか。適応障害といっても、症状的にはいろいろなものがあり、また、接し方もいろいろとあることがわかりました。また、これといった画期的な治し方も明確化されていないのが実情です。要は根気よく長い目で、相手と接していくことが、重要です。
適用障害がどのようなものかを知る
寛容な心持ちで接するようにする
相手を追い込むようなことは避ける
当人に、快方へ向っているという自覚を生ませる言動をする
不安がっていることを、気にさせないように心がける
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