ファッションに興味や関心が強い人にとっては、「原宿系」と聞いて豊富なイメージが湧いてくるかもしれません。しかしながら、それほどファッションに興味や関心が強くない人にとっては、「原宿系」と聞いてもピンとこないのではないでしょうか。
実は一口に原宿系ファッションと言っても、原宿系ファッションの幅はとても広いため、これが原宿系ファッションという典型的な特徴はありません。敢えて原宿系ファッションの特徴を挙げるとすれば、それは一般的な人の感覚からは突き抜けた極めて強い個性と言えるかもしれません。
そこで今回は、それほどファッションに興味や関心が無い人にも分かるように、「原宿系」ファッションの概要、原宿系ファッションの種類、原宿系な人の傾向や特徴などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
「原宿系」ファッションとは?
そもそも「原宿系」あるいは原宿系ファッションとは、どのようなタイプのファッションスタイルなのでしょうか?それほどファッションに興味や関心が強くない人にとっては、「原宿系」と聞いてもイメージしにくいですよね。
そこで、まずは「原宿系」の概要について、簡単に分かりやすく説明してみたいと思います。
「原宿系」とは?
「原宿系」とは、東京の原宿を発信地とするサブカルチャーやファッションのことで、そのような原宿発のサブカルチャーやファッションを好む人たちを指す場合もあります。原宿は、東京都渋谷区に存在する地区の一つで、主にJR原宿駅周辺から表参道周辺までの一帯のエリアです。
そして、原宿系ファッションとは、原宿を発信地とした極めて強い個性を放つ着こなしをするファッション・スタイルのことです。原宿系ファッションについては、シーズンごとに移り変わるファッション・トレンドとは距離があり、どちらかと言うとコスチュームのようなスタイルに近いと言えるかもしれません。
裏原系・裏原宿系とは?
原宿系ファッションと似て非なるものとして、裏原系ファッションあるいは裏原宿系ファッションというものがあります。
裏原宿は、東京都渋谷区の原宿通りや渋谷川遊歩道の周辺エリアの通称です。裏原系ファッションとは、裏原宿と通称されるエリアに1990年代後半から2000年代初頭にかけて集積したカジュアルなファッションブランドの総称です。
裏原宿に集う新興ファッションブランドが人気化したことで、Tシャツやパーカーなどが高値で取引されるなど、いわゆる裏原ブームが到来しましたが、現在は多くのブランドが解散したりしているようです。
原宿系ファッションの種類
一口に原宿系ファッションと言っても、原宿系ファッションの幅はとても広く多岐にわたります。とはいえ、敢えて原宿系ファッションの特徴を挙げるとすれば、それは一般的な人の感覚からすると、極めて突き抜けた強い個性と言えるでしょう。
そこで、主な原宿系ファッションの種類を紹介したいと思います。
ゴシック系
ゴシック系は、肌の露出が少なく全身を黒色系でまとめることによって、魔女や悪魔といったものを連想させるファッション・スタイルのことです。
よりイメージしやすいように具体例を示すならば、いわゆるヴィジュアル系バンドが多く取り入れているファッションのスタイルと言えるでしょう。ヴィジュアル系バンドやその熱狂的なファンたちが身につけている黒を基調にした個性的な衣装は、あたかも魔女や悪魔といったダークな世界を想像させますが、そのようなファッション・スタイルこそがゴシック系なのです。
ロリータ系
ロリータ系は、全身を白色系やピンク色系でまとめ、レース・リボン・フリルなどを多用した衣装から、外国のあどけない少女を連想させるファッション・スタイルのことです。
西暦2004年に公開された深田恭子さん主演の映画「下妻物語」が、ロリータ・ファッションを広く認知させるきっかけになったと言われています。そして、この映画の影響によって原宿を中心に、ロリータ・ファッションに興味や関心のある女性が集まり、原宿系ファッションの一つとしてロリータ系が定着していきます。
ゴスロリ系
ゴスロリ系は、ゴシック系とロリータ系のハイブリッドタイプともいえるファッション・スタイルです。
ゴシック系の要素をロリータ・ファッションに取り入れる形がメインで、レース・リボン・フリルなどを多用するロリータ・ファッションが基調となりつつも、全身は白色系と黒色系がメインカラーとなっています。
フェアリー系
フェアリー系は、全体的にパステルカラーでまとめ、その名の通り海外アニメに登場する妖精(フェアリー)を連想させるようなファッション・スタイルのことです。
いわゆる日本発の「Kawaii(カワイイ)」ファッションとして、近年急速に広がりを見せているポップかつ奇抜なファッション・スタイルがフェアリー系です。このフェアリー系の急速な広がりは、きゃりーぱみゅぱみゅさんの登場によるところが大きいと言えるでしょう。
サイバー系
サイバー系は、SFの世界観や近未来的イメージを表現しようとするファッション・スタイルのことです。
サイバー・ファッションにおける最大の特徴は、従来のファッションで用いられるコットン(綿)やシルク(絹)といった素材ではなく、光沢感があるビニール素材やポリエステルに代表される化学繊維が多く用いられる点にあります。そのため、全身の色彩の基調は蛍光色やシルバー(銀色)が多く、全体的に光沢感に溢れたスタイルとなります。
また、近未来感を演出するために、ゴムやシリコーン製、金属製のアクセサリーを身につけたり、髪の毛を蛍光色に染めたりして、とても派手に着飾る傾向もあります。
サロン系
サロン系は、チョキチョキ系や美容師系とも呼ばれることがある通り、オシャレな男性美容師に良く見られるような主にメンズのファッション・スタイルです。
サロン系の特徴として、ハイブランドと古着を上手くミックスさせる点と、女性並みにフェミニンな雰囲気である点が挙げられます。カットソーやロング丈のカーディガンなど一般的な男性が手を出すことがないようなアイテムの重ね着や、小物類やアクセサリーの多用もよく見られます。
古着系
古着系は、その名の通り古着が好きで、全体的に古着でコーディネイトしたファッション・スタイルのことです。
原宿系ファッションの一つとしての古着系の特徴は、単なる古着のコーディネイトではなく、手に入れた古着を自分なりにリメイクやアレンジをする点にあります。例えば、和服である着物を大胆にリメイクして、自分なりのアレンジを加えて、全く別の洋服として生まれ変わらせたりします。その結果として、古着系はオンリーワンの個性的なファッション・スタイルとなるのです。
原宿系な人の傾向や特徴
このように一口に原宿系ファッションと言っても、原宿系ファッションの幅はとても広く多岐にわたることが理解いただけたと思います。
それでは、このような原宿系ファッションに身を包む原宿系な人には、どのような傾向や特徴があるのでしょうか?そこで、原宿系な人の傾向や特徴について、ご紹介したいと思います。
個性的で、こだわりが強い
原宿系ファッションに身を包む原宿系な人は、当たり前ですが非常に個性的で、こだわりが強い側面を有しています。
原宿系ファッションの幅は非常に広くて多岐にわたるのですが、いずれの系統のファッション・スタイルであっても、一般的な人の感覚からすれば奇抜で極めて個性的と言えます。そのような一般的な人の感覚では奇抜で個性的と感じるような原宿系ファッションを普段から身につけようとするのですから、原宿系な人はファッションについて強いこだわりを持っているのです。
オシャレが自己実現となっている
アメリカの心理学者アブラハム・マズローによると、人間の欲求は次のような5段階に分類できるそうです。
- 生理的欲求:生存に欠かせない本能的欲求(例:食欲、睡眠欲)
- 安全欲求:危険を回避して安全を求める欲求。(例:寒さをしのぎたい)
- 社会的欲求:集団に帰属を求める欲求(例:仲間外れにされたくない)
- 承認欲求:他人に認められたい欲求
- 自己実現欲求:自分らしく自分にしかできないことをしたい欲求
このような5段階の分類に洋服への関心を当てはめてみると、通常の人は寒さをしのげれば良いという安全欲求、あるいは社会的に最低限の身だしなみをしようという社会的欲求の段階にいると言えるでしょう。トレンドに敏感で自分のオシャレ画像をSNSに投稿するような人でも、承認欲求の段階です。
これに対して、原宿系な人は奇抜で個性的な衣装に身を包んで街中を歩くわけですから、他人に認められたいという次元を超えて、自分らしくありたいという段階にあると言えるのです。
ですから、原宿系な人にとっては、奇抜で個性的な原宿系ファッション・スタイルをすることが、自分らしく自分にしかできないことをするという自己実現となっているわけです。
まとめ
いかがでしたか?「原宿系」ファッションの概要、原宿系ファッションの種類、原宿系な人の傾向や特徴などについて説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、それほどファッションに興味や関心が強くない人にとっては「原宿系」と聞いてもピンとこず、奇抜で個性的なファッションをする人に対して、理解できない思いがあるかもしれません。
しかしながら、本記事で紹介したように原宿系ファッションには様々な種類があって、原宿系な人はオシャレによって自己実現をしていることが分かれば、見る目も変わってくるのではないでしょうか。一般的な人が仕事や趣味などで自己実現しようとするのと同様に、原宿系な人は個性的なオシャレをすることによって自己実現をしているだけなのです。