褐色脂肪細胞とは?役割や効果を知ろう!増やすことは出来ない?

ダイエットと言うのは、女性にとっては非常に身近で、頭の片隅にいつもある、という人も少なくないのではないでしょうか?

もちろん、ダイエットとは無縁だという人もいるでしょうが、多くの女性にとって、痩せることは永遠の目標のようなところがありますよね。とは言え、ダイエット効果が出にくい人、出やすい人はいますし、太りやすい人や太りにくい人もいます。

ダイエットを成功させるには、何より痩せやすい体を作ることが大切ですよね。では、一体どうすれば痩せやすい体になれるのでしょうか?今日は、ダイエットと関係の深い、褐色脂肪細胞についてお話ししましょう。

脂肪の役割

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脂肪と言うと、わき腹やお腹周り、二の腕や太ももなどにつく、憎い存在ですよね。しかし、脂肪=悪者、というわけではありません。脂肪には、わたしたちが生きていくために欠かせない働きがあるのです。それは、必要に応じて分解され、活動するためのエネルギーになったり、熱を発し、体温を維持したりすることです。

また、脂肪には「蓄える機能」「燃やす機能」という2つの機能があるのですが、こちらはあまり知られていません。脂肪と言うと、身体に蓄えられる嫌なもの、というイメージが強いですよね。脂肪の持つ「燃やす機能」は年齢と共に低下するため、年齢が上がるにつれて痩せにくくなるわけです。

白色脂肪細胞

脂肪には2つの働きがあるように、種類も2つあります。1つは「蓄える機能」を持つ白色脂肪細胞です。名前の通り、白っぽい色をしていて、いわゆる体脂肪と呼ばれるものです。主に下腹部や二の腕、太ももやお尻などといった、脂肪のつきやすい部位に多く存在しています。

では、なぜ脂肪が体に蓄えられるのかと言うと、食品などから摂取したエネルギーの内、使われなかったものは、いつでも使えるように体内に蓄えておくわけですね。蓄えられた白色脂肪細胞は「蓄える機能」しかありませんので、自ら燃えるという働きをしないのも特徴です。

褐色脂肪細胞

一方の褐色脂肪細胞は、「燃やす機能」のある脂肪です。「蓄える機能」を持つ白色脂肪細胞を取り込み、燃焼させることで熱を生み出します。熱を発して体を保温する褐色脂肪細胞は、白色脂肪細胞と違い、体の決まった場所にしかありません。

首や脊髄、肩や肩甲骨付近、脇の下なのですね。そして、褐色脂肪細胞は年齢と共に減少し、このために徐々に痩せにくい体になっていくのです。その量は、30代では幼児期の半分ほど、40代になると30%程度にまで減ってしまうと言いますよ。

また、褐色脂肪細胞は「燃やす働き」があることから、肥満症やメタボリックシンドロームの治療法としても注目され始めています。メタボリックシンドロームや、肥満を伴う2型糖尿病には合併症のリスクが高く、心血管疾患や腎疾患などの危険があります。そこで、肥満症の治療法として、褐色脂肪細胞を活性化することが注目されているのですね。

褐色脂肪細胞は増やせない

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このように考えると、痩せやすい身体を作るためには、褐色脂肪細胞の数を増やすのが最も効率的ですよね。しかし残念なことに、「燃やす機能」を持つ褐色脂肪細胞は増やすことができないのです。

ただでさえ、年齢と共に減っていく褐色脂肪細胞・・・では、年々減って太りやすくなってしまうのを、ただ見ているしかできないのかと言うと、そうではありません。褐色脂肪細胞は増やすことはできませんが、活性化することは十分に可能なのです。

褐色脂肪細胞を活発化させるには

では、褐色脂肪細胞を活発化させるには、一体どのようにすればよいのでしょうか?方法はいくつかありますので、自分に合ったやり方で試してみてくださいね。

水泳を行う

水泳は褐色脂肪細胞が活発化する方法の中で、最も効果的な方法だと言われています。理由は2つあり、1つはクロールや平泳ぎなどをする時、背中や肩甲骨周りをよく使うためです。2つ目は、水泳後に浴びるシャワーが冷水と温水を切り替えて使用できるためです。

なぜこの切り替えが効果的なのかについては次の項目でお話しますが、プールは全身運動ですから、ダイエットにも健康維持にもおすすめですよ。

ただし、プールに通うとなると時間やお金、道具の準備などがあり、なかなか始められなかったり、長続きしなかったりする問題もありますよね。そこで、自宅でもできる方法を次の項目でご紹介します。

温冷浴

プールの項目でお話した通り、シャワーを使って冷水と温水を切り替えることで、褐色脂肪細胞を活性化させることができます。なぜかと言うと、褐色脂肪細胞は体温を一定に保つ働きがあるため、体温が下がるとエネルギーを燃やして熱を生み出します。これを利用すれば、シャワーで簡単に褐色脂肪細胞を活性化させることができますよ。

方法は至ってシンプルで、毎日お風呂の時間にシャワーを使って行えるので、毎日続ける上でも大変ではありません。

  1. まず、褐色脂肪細胞がある、首や肩甲骨などの部分に20度くらいの冷水を、30秒にわたってかけます
  2. 次に、同じ箇所に今度は40度のお湯を、同じく30秒かけます
  3. 1と2を5回繰り返しましょう

たったこれだけです。冷水と温水を30秒ごとに交互にかけていくことで、褐色脂肪細胞が体温を下げないようにと活発に働くのです。シャワー以外にも、水を入れて凍らせたペットボトルを首や脇に当てる方法や、冷やしたタオルで首や脇、肩甲骨を冷やす方法も効果的です。

こうして身体を冷やすことで、褐色脂肪細胞が活性化されて、痩せやすい身体作りに期待できます。お風呂を出る時、膝下を20度くらいの冷水で冷やすのも効果的でよいですね。

注意点としては、20度の水というのは体感としてかなり冷たいので、心臓に疾患のある人や、冬場など気温の低い時には、無理のない程度に温度を調節しましょう。

肩甲骨ストレッチ

肩甲骨ストレッチは、肩甲骨ダイエットとしても知られている方法で、肩甲骨まわりを動かすことで褐色脂肪細胞を活性化させよう、というものです。

もちろん痩せやすい身体作りやダイエット効果も期待できますが、肩甲骨周辺を動かすと言うことで、肩こり解消などにも効果的ですよ。普段から肩こりに悩んでいる人にとっては、一石二鳥ですね。

  1. 両手を身体の横に付けた状態で、足を肩幅に開いて立ちます
  2. 両手を広げて頭の上にまで持って行き、手の平を合わせましょう
  3. 両腕を肘からできる限り後ろに引くように意識して、肩甲骨が中央に寄るようにします
  4. 手を下ろしたら、今度は肩を前後にそれぞれ回していきましょう。ゆっくり行います

この4ステップで肩甲骨ストレッチは完了です。これを行うと、姿勢もよくなるので、肩こり予防としてもよいですし、美しい姿勢を手に入れられる点もメリットと言えますね。

何より、正しい姿勢を取るだけでも褐色脂肪細胞は活性化されるようですから、テレビを見たり、音楽を聴いたり、ちょっとした空き時間に行えるので、日常生活にぜひ取り込んでみてください。

バランスのよい食事を摂る

バランスのよい食事は、ダイエット面でも健康面でも欠かせないものですが、褐色脂肪細胞を活発化させる上でも大切です。

褐色脂肪細胞の中にはミトコンドリアがいるのですが、バランスよく食事をすることで、このミトコンドリアが活性化するのですね。ビタミンやミネラル、たんぱく質などをしっかり摂り、目に見えないミトコンドリアに栄養を与えることで、褐色脂肪細胞を活性化し、痩せやすい身体を手に入れられる、というわけです。

特に、緑茶の茶カテキンや、マスタードに含まれるイソチオシアネート、ニンニクに含まれるアリ心や唐辛子のカプサイシンなどは、褐色脂肪細胞を刺激し、活性化させる働きがありますから、積極的に摂るようにしましょう。緑茶ならばいつでも飲めるので、食事や喉が渇いた時などに飲むようにするとよいですね。

褐色脂肪細胞が上手く働かない原因

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脂肪を燃焼させるために必要な褐色脂肪細胞ですが、これが上手く働かない場合があります。

増やせない上に上手く働かないというのは、ダイエットでも健康面でも困りますよね。では一体、どのような原因が考えられるのでしょうか?

レプチンの過不足

褐色脂肪細胞が上手く働かない原因の1つに、レプチンの過多があります。レプチンには、脳に働きかけて食欲を抑制したり、消費カロリーを増やしたりする作用がありますから、ありがたい存在なのですが、多すぎてよいことはありません。

脳には、レプチンを受け取るレセプターと呼ばれる受容体がありますが、レプチンが多すぎると抵抗性が生じ、効果が出にくくなるのです。つまり、食欲を抑えにくくなるということですね。さらに消費カロリーも増えないために、太りやすくなってしまいます。こうしたレプチンの過多は、肥満の人によく見られます。

反対に、レプチンが欠乏していることで太りやすくなる場合もありますよ。原因は生まれつきレプチンが欠乏していること、または亜鉛が不足していることでレプチンが作られないことなどが挙げられます。

レプチン過多でも食欲抑制効果が低くなりますが、そもそも欠乏していては消費カロリーも挙がらず、太りやすくなるのは当然です。

ストレス

また、褐色脂肪細胞は自律神経によってコントロールされていますから、ストレスを受けることで自律神経が乱れると、白色脂肪細胞からのレプチン分泌量が減ってしまいます。

さらに、脳の視床下部から下される、アドレナリンやノルアドレナリンなどといった交感神経の指令も上手く行えなくなり、白色脂肪細胞を燃やすことができません。

太りやすいのは遺伝子のせいかも

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太る原因の1つとして、カロリーの摂り過ぎや運動不足と言った代表的なものの他に、アドレナリン受容体やUCP(脱共役たんぱく質)の異常も挙げられています。

いわゆる太りやすい体質、と言われる人に見られるようですが、一体どのような異常なのでしょうか?

β3アドレナリン受容体とUCP(脱共役たんぱく質)

β3アドレナリン受容体とは、アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンを受け取る、言わば受け皿の役割をするものです。

わたしたちの体は自律神経によってコントロールされ、活発に動く時には交感神経が優位に働くようになっています。そして、交感神経が優勢な時には、アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されるようになっているのですね。

ホルモンを受け取ったアドレナリン受容体は、UCP(脱共役たんぱく質)というものを作り出します。これによって、血圧や心拍数、体温の上昇など、身体が活発に動くための準備が整えられるわけです。アドレナリン受容体にはαとβの2種類があり、αアドレナリン受容体が刺激を受けた時には食欲が増進され、βアドレナリン受容体が刺激された時には食欲が低下します。

βアドレナリン受容体には3種類ありますが、太りにくい体質を作り出すのは、アドレナリンβ3受容体だと言われています。これは「アドレナリンβ3受容体遺伝子のミスセンス変異」と呼ばれており、正常な人と比べて200Kcalほど基礎代謝量が少ないようです。

このため、エネルギー消費が悪く、太りやすくなってしまうのですね。太りやすい体質と一口に言えば簡単ですが、遺伝子レベルではこのような原因が隠れているのです。

インスリン抵抗性

また、肥満になりやすい原因に、2型糖尿病の1つとも言われているインスリン抵抗性も関係しているようです。インスリン抵抗性とは、ブドウ糖が細胞にきちんと取り込まれなくなることによって脂肪細胞が炎症を起こす状態です。

ではなぜそんなことになるかと言うと、脂肪を溜め込むにつれて大きくなっていく脂肪細胞が、限界まで大きくなり、それ以上大きくなることができずに死んでしまうからです。

細胞が壊れると、その細胞からは血液中にDNAが放出されます(遊離DNA)が、肥満の人は遊離DNAの量が多いことが分かっていますよ。

この遊離DNAが厄介なのは、細菌や異物に対して免疫反応を起こす「Toll様受容体9」という受容体タンパク質が遊離DNAに反応してしまうことです。さらに、マクロファージと言う、免疫の働きをする白血球の一種を活性化させる働きもあるため、脂肪組織の炎症やインスリン抵抗性を引きおこす原因になるのです。

インスリン抵抗性になると、血糖値を調整する力が弱まるため、高血糖になり、やがては2型糖尿病を引きおこしてしまうのです。インスリン抵抗性の改善にはチアゾリジン薬やビグアナイド薬などがありますが、これは糖尿病の薬ですから、2型糖尿病を発症している人には有効ですが、糖尿病でない人には使用ができません。

糖尿病でない人は、運動によってインスリン感受性を高めたり、筋肉量を増やしてブドウ糖を取り込むようにするしか改善策はありません。あくまで改善策ですから、一時的なものではなく、継続的に行っていくことが大切ですよ。

治療法としての褐色脂肪細胞の活性化

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褐色脂肪細胞を活性化させることは、脂肪を燃焼させ、痩せやすい身体作りに効果があることが分かりました。

しかし、ダイエット以外に、褐色脂肪細胞は医療の場でも注目されているのです。

メタボリックシンドロームなどのリスク回避

なぜかと言うと、肥満症は健康被害も引きおこし、特にメタボリックシンドロームを伴う2型糖尿病になってしまうと、心血管疾患や腎疾患などの合併症を引きおこすリスクが高ままるからです。こうした危険な状況を打開する方法として、褐色脂肪細胞を活発にする方法が考えられるようになっています。

マウスを使った実験では、NFIAという転写因子の結合配列が、褐色脂肪細胞の活性化に関係しているという報告が挙がっていますよ。オープンクロマチン領域を凝縮する「FAIRE-seq」と言う手法を用いて、褐色脂肪細胞・白色脂肪細胞それぞれの結果を確認したところ、褐色脂肪細胞のオープンクロマチン領域に「NFIA」の凝縮がより強く見られたのです。

さらに「ChIP-seq」と言う手法で転写因子とDNAの結合を解析すると、「NFIA」に褐色脂肪細胞を活性化させる働きがあることが分かりました。ちなみに、脂肪細胞を分化させるのに必要な「PPARγ」という転写因子も存在しますが、これだけでは褐色脂肪細胞は活性化しないことも分かっているそうですよ。これによって、褐色脂肪細胞の活性化には「NFIA」が欠かせないことが明らかになりました。

こうした研究成果により、褐色脂肪細胞はダイエットや健康的な身体作りに役立つだけでなく、メタボリックシンドロームや糖尿病など、命の危険もある疾患を治療し、改善する方法として注目を集めることとなりました。こうしてみると、目には見えず、その存在も普段は気にされることのない脂肪細胞ですが、非常に大切な役割を果たしていることが分かりますね。

まとめ

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いかがだったでしょうか?脂肪と聞くと、すなわちダイエットの敵、というイメージが強いので、食事制限でつい避けてしまいがちですよね。しかし、間違った食事制限やダイエット法はストレスや体を壊す原因にもなります。痩せるためにダイエットしているのに、肝心の褐色脂肪細胞が上手く働いてくれなければ、効果的なダイエットを行うことはできません。

運動しないで痩せようとか、無理な食事制限で痩せようとするのではなく、正しい食生活や肩甲骨周囲のストレッチ、温冷浴など、褐色脂肪細胞を活性化させることで、健康的に痩せやすい身体を手に入れましょう。

また、糖尿病などの疾患がある人は、早めに専門家に診てもらい、適切な治療を受けることで改善への道が開けます。1人で悩まず、医療機関などできちんと診てもらうことが大切ですよ。

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