他人に興味を持つと、相手のことが知りたくて、つい根ほり葉ほり聞いてしまいます。それで、おしゃべりが長くなることが、よくあります。
「人に興味がない」と、会話も弾みません。「フーン、そう」を繰り返していれば、相手も話すことが嫌になります。
「人に興味がない」のは、たいてい「自分のことで手いっぱい」とか「不器用で社交が苦手」とか、そんなことが原因です。しかし、「アスペルガー症候群」という発達障害や「スキゾイドパーソナリティー障害」という精神疾患が、原因のこともあります。
「人に興味がない」人間の特徴・心理や対策法について、お伝えしますね。
「他人に興味がない人」とは?
人に興味がない人間は、たいてい会話が弾みません。普通は、相手の気持ちや考え、本音などが知りたくて、いろいろ質問したり、相手の話を熱心に聞いたりします。しかし、相手に関心がなければ、質問もしませんし、相槌を打つのもおざなりになります。
「他人に興味のない人」は、コミュニケーション能力が不足と思われがちです。学校や職場での人間関係に問題を生じることが多く、恋愛や結婚にも支障をきたすことがあります。
[他人に興味がない人の心理的特徴]
「人に興味がない人」の心理的特徴は、大きく6つにまとめられます。人と会話することが苦手です。集団でいるよりも、独りでいることが多くなります。
興味の対象が限られていて、それに熱中しすぎて、他人への関心が薄れてしまうのです。
①「世間話」や「雑談」が苦手
他人に興味や関心がないので、相手に何を話せば良いのか、わかりません。目の前の相手に興味がないのですから、全く関わりのない赤の他人のことなど眼中にありません。
そのため、いわゆる「世間話」や「雑談」をするのが、難しくなります。話題にも話の内容にもついていかれず、話していても、しらけた雰囲気になるばかりです。
②相槌を打つのが下手
興味や関心がないので、相手の話を熱心に聞こうとしません。相槌を打つのもおざなりです。「フーン、そう。だから?」と、気のない言葉を繰り返すだけです。「わかる、わかる」と言っても、話している人に熱意が伝わりませんから、気まずくなります。
相手の話を聞く時も、相手に目を向けず、うなずくこともしません。リアクションがないので、会話が長続きしません。
③自分の興味のあることばかり話す
「他人に興味のない人」の興味の対象は限られています。自分の興味のあることについては、自分自身が満足するまで話します。話す相手はだれでもよく、相手を選びません。
「相手が自分の話に興味がある」とか「自分の話を喜んで聞いている」とか、相手の気持ちは考えません。逆に、相手が話し始めると、そっけない態度をとります。
(相手を利用する道具と考え、見下している)
相手に反応を求める人もいます。相手に反応を求めるのは、「他人は自分が利用するために存在する」と考えている人です。相手の反応が薄かったり、相手が話をさえぎったりすると、急に相手に対する関心を失います。極端な場合、自分の話に賛意を示す人は味方、自分に反対する人は敵と見做すことがあります。
相手を利用する道具と考える人は、「自分は他人より優れている」と思い込んでいることが多いようです。友達も同僚も上司も、自分より下に見ています。
④独りでいることが好き
旅行でも観劇・映画鑑賞でも食べ歩きでも、独りで楽しめる人がいます。これは、「独りでいる方が気楽で、他人に興味がない」タイプと、「他人と付き合うことが苦手で、独りが気楽」タイプがあります。
(自分の世界を持ち、熱中することがある)
独りでいることが好きな人は、自分独特の世界を持ち、周囲のことなど忘れて熱中する仕事や趣味があります。そのため、他人に興味がなく、他人に理解されにくい言動をとります。コミュニケーション力が低く、口下手な印象を与えます。
独りでいることに抵抗がなく、遊ぶ時も独りで十分楽しめます。
自分の世界観を持つ女性は、恋人に理解されにくい態度をとる傾向があります。「冷たい」とか「近寄りにくい」と思われがちです。
興味のあることに熱中するあまり、周りが見えなくなる人の中には、他人に対する関心を持ち続けている人もいます。他の興味が強すぎて、人に対する興味を忘れているだけです。
(人付き合いが苦手で、独りでいる)
他人に全く興味がないわけではありませんが、「人と親しくするのが苦手で、独りでいる方が気楽」ということがあります。上手に誘われると、仲間に入ることもあります。ただ、コミュニケーション力が低いので、周りの人達と会話が弾みません。
⑤集団行動が苦手
他人に興味がないので、他人に合わせることが苦痛です。集団行動・団体行動をすると、自分の全く興味のないことをしなければなりません。団体旅行は苦痛ですが、一人旅は、興味のあることだけすればいいので、気楽です。
集団行動・団体行動を避けていると、ますます他人に対する興味が薄れていきます。
ただ、興味が同じ人たち2~3人となら、一緒に行動することができます。興味対象が同じ人となら友達にもなれますし、一緒に行動しても苦痛ではありません。
⑥妄想・空想の世界に住む
他人に興味のない人の中には、妄想を張り巡らし、空想の世界に住む人がいます。前述の独自の世界・世界観を持つ人とは、全くことなります。いわば、「現実逃避」です。
妄想の中では、なにもかも順調にいき、人間関係のトラブルもありません。しかし、現実は逆で、人と付き合うことが難しいので、人との関わりを避けるようになります。現実の人への興味を失い、妄想の中に閉じこもります。
インターネットやゲームにばかり熱中していると、現実の人に興味のない、妄想世界の住人になりやすいようです。
[他人に興味のない原因]
「他人に興味のない人」の原因は、その人の性格や環境、考え方など心理学の分野にあります。しかし、発達障害や精神の病気が原因のこともあります。
発達障害「アスペルガー症候群」とパーソナリテイー障害「スキゾイドパーソナリテイー障害」については、次の章で述べます。
他人に依存しない厳しい生き方
明確な価値観や高い目標水準を持ち、自分の意見・主張を述べることができる人は、他人に依存することなく、独りで生きることができます。独自の世界観を持っています。他人に依存しないので、他人へ興味が薄くなります。
自分に厳しい生き方なので、自分自身のことで手いっぱいで、他人に関わる余裕がありません。
一つことに熱中する
仕事や学業、趣味などに没頭すると、周囲が見えなくなり、周りへの興味も失います。「他人に興味がない」人の心理特徴の1つは、興味の対象が狭い範囲に限定されることです。興味の対象外の事柄や人には、関心度が極めて低くなります。
自分のことを他人に知られるのが怖い
不器用で、人付き合いの苦手な人に多い心理は、自分の欠点や弱みを他人に知られるのを恐れ、自分の殻の中に閉じこもることです。他人と距離を置き、興味を持たないようにします。
心理学的な問題を抱えていることもあります。
人間関係に疲れ果てた
学校や職場、近所付き合い、恋愛などの人間関係に悩み、身も心も疲れ果てて失望し、他人に対する興味を失うことがあります。
また、「人の顔と名前を覚えるのが苦手」な人も対人関係に疲れ果ててしまい、他人への関心を失うことがあります。
「人に興味がない」精神的障害
「他人に興味がない」のは、「アスペルガー症候群」という発達障害や、「スキゾイドパーソナリティー障害」という精神障害が原因の可能性があります。
[アスペルガー症候群とは?]
「アスペルガー症候群」は、発達障害の1種です。知的障害をともなわない、自閉症と類似性のある先天性の病気です。アスペルガー症候群や自閉症は、昔は「広汎性発達障害」といいましたが、現在では「自閉症スペクトラム」と呼ばれます。
アスペルガー症候群は、遺伝的・生物的・免疫学的要素が複雑にからみ合って、胎内における中枢神経の発達に作用して発症すると考えられています。大脳前頭葉に異常が生じるため、対人関係にトラブルが多くなります。まだ、その発症メカニズムの詳細は解明されていません。
アスペルガー症候群は大人になっても治らない
アスペルガー症候群は、発達過程にある子供の病気ではありません。大人になっても、その特性や症状は変わりません。
子供の頃は「少し変わっている」くらいにしか思わなくても、社会に出ると、仕事や対人関係に様々な支障が生じて、生きることが辛くなることがあります。社会人になってから、アスペルガーであることに気づくことが多いようです。
アスペルガー症候群の特徴・心理
アスペルガー症候群と自閉症の大きな違いは、アスペルガーは他人とコミュニケーションをとろうとすることです。自閉症は人とのコミュニケーション自体に関心がありません。ただ、アスペルガーはコミュニケーション能力に障害があります。
子供がアスペルガーであることは、幼稚園や保育園に行く頃になって気づくことが多いようです。同じ年齢の子供と接すると、問題行動が目立つようになります。
①社会性の障害
「社会性」の欠如とも言えます。アスペルガーは興味の対象が限られています。興味の対象外には全く関心がありません。人間関係の基本的な作法がわからず、関心もありません。
相手によって言葉や作法を使い分けることができません。上司に対しても同僚に対しても、同じ態度で接します。服装についても、ドレスコードやTPOを全く気にしません。
②コミュニケーション能力の障害
言語発達に遅れはありませんが、言葉の使い方や話し方が標準とは異なります。「口下手」な印象を与えます。
言葉や会話の裏の意味を読み取ることができません。相手の喜怒哀楽などの感情やその場の雰囲気・感じを読み取ることができません。いわゆる「空気が読めないKY」です。
「そこは、よろしくお願いします」などという抽象的な言い方を理解できません。アスペルガーの脳の特性で、想像力が働かないのです。「〇〇を✖✖して」と、具体的に言えば、理解します。
質問によっては的確に応答することができません。
空気が読めず、想像力が働かないので、人と交渉することは大の苦手です。
(自己愛性人格障害との相互影響)
「自己愛性人格障害」はパーソナリティー障害の1種です。他人の気持ち・感情を理解したり、思いやったりすることができません。
相手の感情やその場の感じを読み取ることができないアスペルガー症候群と、お互いに影響し合うことがあるようです。
③喜怒哀楽の表情に乏しい
喜怒哀楽を顔に表したり、ジェスチャーを交えて話したりすることができません。相手が話している時に、うなずくこともしません。相手に対するリアクションがないのです。
感情を顔に表せないので、「冷たい」とか「何をしても喜ばない」などと誤解されます。しかし、表情に乏しいだけで、喜怒哀楽の感情がちゃんとあります。
④興味の対象が極めて限られている
興味の対象が限定されるので、他人に興味を持ちません。
自分の興味のあることについては、相手の気持ちや態度にかまうことなく、自分が満足するまで話し続けます。
興味のある仕事や趣味、研究に没頭し、周囲を全く気にしません。
細部に注意が集中し、全体像が見えなくなります。葉の葉脈まで細かに見ているのに、木の全体の形がわかりません。
人の顔には興味がないので、毎日会っている人の顔もなかなか覚えられません。
⑤こだわりが強く、予定外のことにとまどう
アスペルガーは、自分の行動や習慣に対して自分自身でルールを定め、そのルールに強くこだわります。想像力が働かないので、突然の予定変更に対処することが困難です。
アスペルガーがルールに執着する理由は、周りの人には理解できません。
数字など普遍的なものに安心し、「変動」「変化」に不安を感じます。
⑥選択的注意の欠如
アスペルガーは、騒がしい場所や乱雑に散らかった場所が苦手です。
騒がしい場所で、特定の相手の声を聴き分けるのが困難です。乱雑に散らかった机の上から目的の品物を取り出すことが、なかなかできません。
多くの情報が入り乱れている中から、必要な情報を選択して取り出すことができないのです。
⑦同時に2つのことができない
前頭葉に異常があるので、2つのことが同時にできません。電話を聞きながら、メモを取るなどということができません。しかし、社会生活を送る上では、同時に2つの作業をするのは、極めて普通のことです。
⑧生き辛いと感じている
アスペルガーは知的障害がないので、「自分は他の人と少し違っている」ことを自覚しています。小学生・中学生時代には、イジメを受けることもあります。できるだけ人に合わせるようにしますが、脳の特性により思うようにいきません。
学生時代を終えて社会に出ると、「人と違っている」悩みは、いっそう大きくなります。頭では「人と合わせよう」としても、行動・言動がついていきません。
人との付き合いに身も心も疲れ果て、生き辛いと感じます。人間関係の難しさが嫌になり、自分自身の中に閉じこもることが少なくありません。
アスペルガーの脳はフル回転を続けているようなものですから、脳が疲れ切ってしまいます。
[アスペルガーのお金・服装・言葉・暗黙]
アスペルガーは興味が限られ、こだわりが強く、想像力が欠如していますから、お金や服装などに独特の行動パターンをとります。
アスペルガーお金
アスペルガーはお金に対して極端な態度をとります。
お金に興味があると、強くこだわりますから、周囲から「ケチ」「守銭奴」と言われます。
お金に興味がないと、全く無頓着です。残高など気にしないで、どんどん浪費します。
アスペルガーの服装
アスペルガーは、「他人が自分をどう見るか?」について全く興味がありません。他人の目を気にしないので、服装に無頓着です。TPOを気にして、その場にふさわしい服装をすることがありません。毎日同じ恰好をしていても平気です。
こだわりが強いので、服の素材・肌ざわり・形にこだわることがあります。
アスペルガーの言葉
アスペルガーは社会の基本的作法に興味がなく、わかりません。しかも、変化や変動に対処することが苦手です。
相手によって尊敬語や謙譲語など言葉を使い分けることができません。目上とか目下とか、自分の視点を変えることが困難です。ですから、敬語でなくても、「行く」「来る」などの使い分けに苦労します。それで風変わりな言葉遣いや話し方をするのです。
こだわりが強いので、気に入った言葉を何度も繰り返すことがあります。
アスペルガーの暗黙
アスペルガーは、言葉の裏を読むことができません。抽象的な言い方をすると、理解できません。脳の特性で、想像力が働かないためです。
ですから、「暗黙のルール」とか「暗黙の了解」などということは、全くわかりません。はっきりと具体的に言わないと、わからないのです。
[スキゾイドパーソナリティー障害]
社会的な関心や他人への興味などがなく、孤独を好む傾向があり、感情の起伏がないというパーソナリティー障害を「スキゾイドパーソナリティー障害」といいます。
スキゾイドパーソナリティー障害の特徴
何事にも興味や関心を持ちません。社会的関係や他人、性的関係(恋愛など)にも興味がありません。何事にも興味のないところが、アスペルガー症候群や単なる「他人に興味がない人」と大きく違っています。
他人はもちろん、家族とも親密な関係を持とうとしません。社会性が欠如しています。
自己表現や感情表現が苦手で、表情に乏しくなります。
関心は常に自分の内部世界に向いています。孤独を好み、自然の中で世捨て人のように暮らす傾向があります。金銭欲や名誉欲は、ほとんどありません。
スキゾイドパーソナリティー障害の原因
遺伝的要素と幼少期の親子(母子)関係が関係しています。脳本体の傾向に加えて、幼少期の虐待やネグレクトなどで母親(養育者)と健全で安定した愛着を形成できないことが、大きく関係しているようです。学童期から青年期にかけて、親が否定的な感情表現をしたり、子供の意見を受け入れてやらなかったりすることも、影響します。
「人に興味がない」人の対処方法
「他人に興味がない」と言っても、ただ単に「人に興味がないだけ」の場合と、アスペルガー症候群やスキゾイドパーソナリティー障害の場合とでは、対処法が異なります。
[人に興味がないだけ]
人に興味がないと、世間話や雑談に加わることができず、学校や会社(職場)で孤立する傾向があります。人間関係にも様々な支障が生じます。
①ありのままの自分を受け入れ、無理に他人に合わせるのをやめる
自分なりの価値観や世界観を持ち、高い目的を持っていることを、むしろ良しと考えます。
ありのままの自分を受け入れて、無理に他人に合わせるのをやめると、気持ちがぐっと楽になります。
他人に興味がなくても、強い興味のある仕事や研究、趣味があります。世間話や雑談には加われませんが、興味のある分野については、周囲の人たちや会社の役に立つことができます。同じ興味のある人と親しくなるチャンスもあります。ただし、得意分野のしゃべりすぎには、要注意です。
②孤独は悪いことではない
人は独りで生まれ、独りで死んでいきます。独りは悪いことではありません。独りで遊んだり、楽しんだりできれば、行動範囲も広がります。独りの方が、勉強や仕事に集中できます。
独りが気楽なら、無理に集団に入ることはないのです。
③コミュニケーションのスキルを上げる
独りは悪いことではありませんが、人は多くの人と互いに関わって生きているのも事実です。無理して人に興味を持つ必要はありませんが、人とコミュニケーションを上手にとるようにすると、社会生活が楽になります。特に会社などで働く人は、コミュニケーションのスキル向上の必要性があります。
(できるだけ笑顔で人に接する)
心の中はどうでも、表面は、できるだけニコニコと笑顔を作ります。周りに与える印象が良くなります。ニコニコ笑っているうちに、自分もなんとなく楽しくなります。「人は泣くから悲しい。笑うから楽しい」という心理学の説があります。
(マニュアルを利用する)
マニュアルを利用して、コミュニケーションのスキル・会話力を向上させます。
「人見知り克服マニュアル」には、人と話す時の、相槌の打ち方・うなずき方・手など身振りの仕方などが書かれています。まずは、できるだけうなずくことです。相手を見ながらうなずくと、会話が長続きします。
「会話マニュアル」は、職種別にあります。これを参考にして、自分の意見や気持ち・感情を素直に伝えるようにすると、相手も本音を語るようになります。そのうち、だんだん親しく付き合えるようになります。
「人に好かれる会話術」の公式サイト、コミュニケーション力を上げるマニュアル記事や経験記事のサイト、スポンサーリンクの体験サイトを参考にするのもいいですね。
「ユニバーサルコミュニケーション」の会話力を開発する個人講習を受ける方法もあります。
[アスペルガー症候群の治療法と対処法]
現在では、まだアスペルガー症候群が発症するメカニズムの詳細が解明されていません。そのため、アスペルガー症候群の根本的な治療法はありません。
そこで、対処法として、「コミュニケーションが苦手」とか「暗黙のルールがわからない」など社会生活に支障をきたす症状・特徴を心理学のテクニックで改善するようにします。
アスペルガー症候群の診断と病院
子供の場合は、小児科で診察してもらい、大学病院や総合病院の精神科を紹介してもらいます。発達障害の専門家がいる精神科で診断テストを受けます。
大人の場合は、アスペルガー症候群の自己診断サイトがいくつもありますから、自分でチェックできます。この記事の「アスペルガー症候群の心理特徴」をチェックして、あてはまることが4つ以上あれば、専門家に相談するといいですよ。
大学病院・総合病院の精神科や精神神経科を受診します。大人のアスペの専門家は少ないので、適切な病院が見つからないこともあります。各都道府県の「発達障害者支援センター」に相談するのも、良い方法です。
アスペルガー症候群の治療
アスペルガー症候群の治療は、「対症療法」です。心理療法が主ですが、薬物療法を併用することがあります。
(心理療法による訓練)
心理療法の1種である「社会生活技能訓練SST」や「認知行動療法」などにより、社会生活の中で望ましい言動ができるように訓練します。
(薬物投与)
こうした訓練をする間も、アスペの患者さんは人間関係においてフラストレーションが生じ、ストレスが溜まっていきます。患者さんの落ち込みが激しかったり、不安症状が激しかったりする場合は、抗うつ薬や抗不安薬など薬物投与が必要になることがあります。
(アスペルガー症候群を理解して受け入れる)
アスペルガー症候群の治療の第一歩は、本人自身と家族が、この病気を理解して受け入れることです。
人に自分の意志や気持ちを伝えられなかったり、その場の空気を読めなかったり、暗黙のルールを理解できなかったり、社会生活スキルは低いかもしれませんが、ある分野の専門知識が豊富だったり、仕事に集中する力が極めて高かったりします。この特性を活かせる職業や職場を見つけるようにすれば、生きる辛さは生きる喜びに変わります。
野球のイチローや科学者のアインシュタインは、アスペルガーです。小説家の中にも、アンデルセンやルイス・キャロルなどアスペルガーは沢山います。織田信長とレオナルド・ダビンチもアスペルガーの可能性があります。
アスペルガーに苦しむ人にオススメしたいのは、佐々木加奈氏の著書「これって大人の発達障害?」です。松下幸之助の政策シンクタンクPHP総研から出版されています。
[スキゾイドパーソナリティー障害の治療]
心理カウンセリングがスキゾイドパーソナリティー障害の主な治療法です。
患者本人と家族が、障害を理解し受け入れるようにします。劣等感や自己否定を軽減し、自分の個性と考えるようにします。
パーソナリティー障害は年齢とともに軽減する傾向があります。カウンセリングなど心理療法を受ければ、軽減するのが早くなるようです。
まとめ 「人に興味がない」と人とうまく付き合えない
「人に興味がない」人は、他人に興味や関心がありませんが、特定の分野に強い興味を持っています。周囲が見えなくなるほど熱中できる仕事や趣味を持っています。
自分独自の価値観・世界観を持ち、独りでいることに抵抗がありません。食事も旅行も遊びも独りで楽しめます。
しかし、他人に興味がないので、他人と話すことが苦手です。何を話せば良いのか、わからないのです。世間話や雑談ができません。他人の話に興味がないので、相槌を打ったり、うなずいたりしないので、会話が長続きしません。
自分のことや自分の興味のあることは、相手の気持ちなどかまわず、一方的に話します。
コミュニケーション能力・スキルが低くなり、対人関係がうまくいきません。社会生活に支障が出て、苦しんだり、悩んだりします。
「人に興味がない」自分をありのままに受け入れ、自分の特性を活かすようにすると、ずっと楽になります。同時に、マニュアルを利用して、コミュニケーション力を上げるようにすると、自分の意志や気持ちを周囲にうまく伝えられるようになります。
「人に興味がない」のは、アスペルガー症候群という発達障害かスキゾイドパーソナリティー障害という精神障害の可能性があります。専門家の診断と治療が必要ですが、治療の第一歩は、自分の個性として受け入れることです。そして、障害の特性を活かすようにすると、生き辛さが軽減できます。
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