プラシーボ効果(プラセボ効果)ってどういう意味?具体例や必要性を紹介!

プラシーボ効果という現象について、耳にしたことはあるでしょうか?医療知識のある方や心理学を勉強したことのある方は耳したことがあるかと思いますが、それ以外の一般の人にとっては頻繁に耳にするような言葉ではないかもしれません。

プラシーボ効果とは、偽の薬を処方されたにもかかわらず、患者が本当の薬だと思い込み服用することによって、患者に何らかの症状改善効果が現れる現象のことです。このようなプラシーボ効果は、医療の世界で様々な形で利用されていますが、実はその効果の発生メカニズムは未だ明確に解明されていません。

そこで今回は、プラシーボ効果についての用語解説をした上で、プラシーボ効果の具体例やメカニズムなどについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

プラシーボ効果とは?

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そもそもプラシーボ効果とは、どのような現象のことを言うのでしょうか?

そこで、まずはプラシーボ効果がどのような現象であるのかを簡単に解説してみたいと思います。

プラシーボ効果(プラセボ効果)とは?

プラシーボ効果(プラセボ効果)とは、偽薬(プラシーボ・プラセボ)を処方したにもかかわらず、患者が薬だと信じて疑わずに服用することによって、患者に何らかの症状改善が見られる現象のことを言い、別名で偽薬効果(ぎやくこうか)とも呼ばれます。

ただし、プラシーボ効果は必ず効果として現れるわけではありません。プラシーボ効果の発生度合いは患者によって個人差が大きく、偽薬の服用で大きな症状改善効果(プラシーボ効果)が現れる人もいれば、全く効果が現れない人もいます。

名称の由来

プラシーボ(placebo)は英語で、プラセボ(placebo)はフランス語ですが、いずれもラテン語のプラケーボー(placebo)に由来する言葉です。ラテン語では「喜ばせる」という意味を有していて、患者を喜ばせるという意味に派生した後に、薬理作用が存在しない薬という「偽薬」の意味に転じたと考えられています。

プラシーボ効果が世の中で知られるようになった契機は、アメリカのハーバード大学の医師だったヘンリー・K・ビーチャーによって1955年に発表された研究報告だとされています。それまでにも偽薬(プラシーボ・プラセボ)の処方は、当時の多くの医者が偽薬だから効果がないと考えていながらも、まさに患者が喜ぶという理由で実施されていました。しかしながら、ヘンリー・ビーチャーが「偽薬(プラシーボ・プラセボ)」の症状改善効果を発見し実験・研究・調査を経て、その研究成果を発表したのです。

そして、本来は何の薬効作用もない偽薬によって症状が改善するという、非論理的かつ説明不可能な治癒現象が当時の医療関係者や研究者たちの目の前に現れ、この非論理的かつ説明不可能な治癒現象を説明する必要性から、説明のための概念としてひねり出されたものが「プラシーボ効果」という名称なのです。

プラシーボ効果の具体例

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このようにプラシーボ効果は、偽薬を処方したにもかかわらず、患者が薬だと信じて疑わずに服用することによって、患者に何らかの症状改善が見られる現象です。といっても、プラシーボ効果は偽薬の投与という場面だけで現れるものではありません。

そこで、プラシーボ効果の具体例について、ご紹介したいと思います。

医療における具体例

例えば、医学界・医療の世界においては、偽薬(プラシーボ・プラセボ)として何の薬理作用・薬効成分もないとされる生理食塩水・澱粉(でんぷん)・乳糖などが用いられ、これらを与えられた患者が治療薬と信じて服用すると、患者によっては本物の薬に近い症状改善効果が見られます。

ただし、プラシーボ効果がもたらすのは症状改善効果・治療効果ばかりではなく、副作用をもたらす場合もあります。例えば、乳糖の錠剤を鎮痛剤として患者に与えた場合に、患者が鎮痛剤と信じて服用した結果、治療効果として痛みが緩和される鎮痛効果が現れる一方で、吐き気・頭痛といった副作用も現れる可能性があるということです。

アルコールの具体例

例えば、飲酒をする場面において、偽薬に当たるものとしてノンアルコールビールなどのノンアルコール飲料をアルコール飲料だと偽って飲ませると、実際にはノンアルコール飲料であるにもかかわらず酔った気分になってしまいます。

また、ある研究報告によると、偽薬に当たるものとして炭酸水を、高アルコールで有名なウォッカと偽って飲ませる実験をした結果、被験者が酔った気持ちになったことに加えて、判断力についても鈍ったことが報告されています。

これらは、一種のプラシーボ効果の具体例と言えるでしょう。

学力向上の具体例

アメリカのサンフランシスコでは、興味深い実験結果が公表されています。

ある学校で3人の教師と90人の生徒を選び、教師には「3人は学内最高の教師なので、特別にIQ値の高い90人の生徒を担当してください」と伝え、生徒には「IQ値の高い90人を集めた」と伝えます。しかしながら実際には、くじ引きで選ばれた普通の教師であり、平均的な成績の生徒でした。

にもかかわらず、これらの先生と生徒たちは、やる気に満ちて勉強をすることにより、1年後に近隣の学校に比べても2~3割程度も高い成績を叩き出します。

厳密な意味ではプラシーボ効果と言えないかもしれませんが、一種の思い込みによって思い込みが現実になったのです。

プラシーボ効果のメカニズム

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このようにプラシーボ効果は、本来何の薬理的影響もない偽薬によって症状が改善するという、一見すると非論理的かつ説明不可能な現象と言えます。しかしながら、実際には医療現場で、プラシーボ効果が頻繁に見られるようになります。

それでは、このようなプラシーボ効果は、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか?

そこで、プラシーボ効果のメカニズムについて、ご紹介したいと思います。

現状では未だ完全な解明はされていない

プラシーボ効果が生じるメカニズムについて、現段階では未だ完全に解明がなされているわけではありません。

前述のようにプラシーボ効果の発生度合いは患者によって個人差が大きく、偽薬の服用で大きな症状改善効果が現れる人もいれば、全く効果が現れない人もいます。このようにプラシーボ効果の現れ方や発生頻度は一様ではないため、現状では全体を通じて科学的な理論的説明をすることは難しい状態だと言えるでしょう。

それでも、医学・薬学・心理学など様々な側面から研究がなされ、現段階で次のような要素が、プラシーボ効果の発生メカニズムに関与していると考えられています。

  • 暗示的効果
  • 条件付け効果
  • 人間の自然治癒力
  • ストレス低減効果

暗示的効果

暗示とは、強制されていないにもかかわらず無批判に特定の考え・意見・価値観などを受け入れ、人間の思考・感情・価値観・行動などに変化が生じることを言います。

暗示を言い換えると、無批判に特定の考え・意見・価値観などを信じることであると言えます。「鰯(いわし)の頭も信心から」という諺は、鰯の頭のような価値の無い物であっても、神棚に祀って信じてしまえば有難い物と考えるようになる、という意味です。この諺のように「信じる」ということは、いわば自己暗示のようなものなのです。

そして、暗示的効果とは、暗示によってもたらされる人間の思考・感情・価値観・行動などの変化のことを言います。一般的にも、自分自身に良い自己暗示をかけることができる人は、高いパフォーマンスを発揮しやすいことが広く認知されています。一方で、自分自身にネガティブな暗示をかけてしまうと、マイナスの結果が出やすいのです。

例えば、一流スポーツ選手の、具体的な目標を紙に書き出して常に自分の目に入る位置に貼っておく、というようなエピソードが良く取り上げられますが、これは一種の自己暗示と言えるでしょう。

女性と暗示的効果の関係性

ちなみに、プラシーボ効果や暗示的効果は、男性よりも女性に効果が現れやすい傾向があるとされています。

これは、女性には生理・月経が存在し、周期的に女性ホルモンのバランスが変化することで、精神的不安定な時期が男性よりも多くあるからだと考えられています。そして、精神的に不安定な時期こそ、不安を解消しようという心理が働きやすく、特に暗示にかかりやすい時期なのです。

また、女性は男性よりも、人間関係において他者への共感力が高いことも、暗示にかかりやす要素と言えるかもしれません。

医療行為の暗示的効果

医療行為そのものにも、暗示的効果をもたらすことがあると考えられています。

そもそも医師になるには非常に高い学力が必要不可欠で、それゆえ数々の難関を突破して医師となった人は、高い社会的ステータスや信用力を得ることができます。そして、特に日本社会においては、このような傾向が顕著です。多くの人は特に強制されていないのに、医師の言葉の信用性は高いと考える傾向にあり、一種の自己暗示にかかっているとも言えます。そのため、医師が実施する医療行為を受ければ病気が良くなるという自己暗示のもとで、自らも病気が良くなるような思考・行動に移り、結果として病気が快方へと向かうと考えることもできます。

この点、現行の医師法にも「暗示的効果」という言葉が使われています。要点をまとめると、医師は患者に薬剤を投与するときは処方箋を交付しなければならないのが原則ですが、例外的に暗示的効果を期待する治療の場合には処方箋を交付しなくて良い、と規定しているのです。このような医師法の規定を逆から見れば、医療行為に暗示的効果があると国が認めていると考えることもできるでしょう。

ですから、プラシーボ効果の発生メカニズムは完全に解明されてはいないものの、このように暗示的効果がプラシーボ効果の発生に大きく関わっていると考えられているのです。

条件付け効果

条件付け効果とは、何度も同じ経験をすると次第に条件反射のように行動反応が変化することを言います。条件付け効果は、いわゆるパブロフの犬のエピソードが元になった理論です。パブロフの犬のエピソードとは、ロシアの生理学者イワン・パブロフが事前にベル音を鳴らしてから犬にエサを与えていたら、次第にベル音が鳴っただけで犬はヨダレを垂らすようになったという研究観察のことです。

つまり、人間は小さい時から病院へ行き薬をもらって服用すると症状が良くなるという経験を繰り返すので、次第に薬を服用する行為自体が症状改善の契機となっている可能性が高いと考えられるのです。

ですから、プラシーボ効果の発生メカニズムは完全に解明されてはいないものの、条件付け効果とプラシーボ効果の発生との間に関係性があると考えることもできるのです。

人間の自然治癒力

そもそも人間の身体の中には免疫システムが存在し、それらが働くことにより、病気の治療をしなくても回復することがあります。例えば、重度の風邪でなければ、放置していても次第に症状が良くなって、しばらくすると治っていたという経験をしたことがある人もいるでしょう。

このように人間には自然治癒力が存在することが、プラシーボ効果の発生において大きな役割を果たしていると考えることもできるでしょう。

ストレス低減効果

人間は脳がストレスを感じると、自律神経に不調を来して、自律神経支配下の胃腸などに消化性疾患が生じるなど様々な身体的影響や精神的影響が現れます。

このような状況下で偽薬を服用すると、偽薬とはいえ治療薬を服用した、あるいは治療を受けたという安心感が生じて、脳が感じるストレスが低減します。すると、それに応じて自律神経の不調も緩和されます。その結果として、症状が改善するということも考えられます。

ですから、プラシーボ効果の発生メカニズムは完全に解明されてはいないものの、そのメカニズムの一つとしてストレス低減効果があると考えることもできるのです。

プラシーボ効果の必要性

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自己暗示によって自分で自分に暗示をかける場合は特に問題はありませんが、プラシーボ効果を期待する治療の場合、偽の薬を処方して結果的に患者を騙すことになるため、倫理的に問題があるのではないかという批判・見解が存在します。

そこで、プラシーボ効果の必要性について考えてみたいと思います。

プラシーボ効果は治療に有効

プラシーボ効果は、何度も申し上げたように偽薬を処方したにもかかわらず、患者が薬だと信じて疑わずに服用することによって、患者に何らかの症状改善が見られる現象のことです。

病気の多くは、「病は気から」という故事の通り、身体的要因だけでなく心理的要因も加わって症状が現れますから、プラシーボ効果によって心理的要因を取り除いていくことは、非常に有効な治療になると言えます。

このようなプラシーボ効果は、様々な治療法・民間療法・健康商品・健康食品などにも当てはまります。ですから、プラシーボ効果は、いわば心理療法のような存在だと言うこともできるでしょう。

新薬開発における必要性

新薬の開発においては、臨床試験で新薬候補となる治験薬の効果を調べなければなりません。

臨床試験では、既存の効果が似た薬(対照薬)と比べる方法、すなわち比較試験(比較対照試験)が行われます。具体的に通常の場合は、複数の被験者を二つのグループに分割して、片方のグループには治験薬を投与し、もう一方のグループには対照薬を投与します。そして、治験薬が対照薬と同等かそれ以上の効果を発揮すれば、新薬の認可につながるわけです。

しかしながら、既存の薬の中に似た薬がなかったり、新薬候補の治験薬が全く新しいタイプのものであれば、比較対象がありません。そこで、外観・味などを治験薬と完全に同一にした偽薬(プラシーボ・プラセボ)を作成して、比較試験を行うのです。そして、治験薬が偽薬のプラシーボ効果を明らかに上回る効果を発揮すれば、新薬へとつながるのです。

ちなみに、比較試験の内容を医師にも患者にも不明にして行う場合を、二重盲検法と言います。

このようにプラシーボ効果は、新薬開発における臨床試験において、その必要性が認められる場合があるのです。

まとめ

いかがでしたか?プラシーボ効果の用語の意味、プラシーボ効果の具体例やメカニズムなどについて、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、プラシーボ効果は医療の世界で様々な形で利用されていますが、その効果の発生メカニズムは未だ明確に解明されていません。また、プラシーボ効果の発生には個人差があり、病気の症状改善効果が現れる可能性があっても、それは可能性に過ぎず、積極的に病気の治療手段として期待することはできないという見解もあります。

しかしながら、効果の発生メカニズムが未解明であっても、プラシーボ効果が医療の世界において、有用な働きをしていることは事実です。

そのため未解明だから、あるいは倫理的に問題だからと言って、プラシーボ効果を否定することは得策ではありません。メカニズムの解明には、今後の研究を待つより他ありませんが、私達はプラシーボ効果を上手く利用して行くことが求められるでしょう。

  
  
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