現代人は目を酷使しています。スマートフォンやパソコンで作業していると、目が熱くなってしまう、ということは、頻繁に起こりうるのではないでしょうか?
どうしても頻発する目の疲れは、放置していると恐ろしい病気になってしまうこともあるので、楽観視することはできません。そこでここでは、目が熱くなってしまう原因や、目が熱くなってしまう病気、その治療法や対処法などを紹介していきます。
◆目のしくみとはたらき
正面から見ると、眼球は、ほぼボール形をしており、直径はだいたい2.4センチメートルの大きさをしています。
この眼球は、眼窩(がんか)と呼ばれる、じょうごのような形をした骨のくぼみの中におさまっています。眼球と骨のあいだには、脂肪組織や眼球を動かす筋肉があって、眼球と骨が直接ふれ合わないようになっています。
俗にいう黒目の中の、茶色をした輪の部分を虹彩といい、その中心にある黒い部分を瞳孔といいます。ちなみに、虹彩には、メラニンという色素が含まれており、日本人などの黄色人種はこの色素の量が多いので茶色に見えますが、白色人種は色素が少ないので、青色に見えます。
眼球は、カメラによく似た構造をしており、カメラのしぼりの役目をしているのが虹彩で、レンズに相当するのが水晶体、フィルムに相当するのが網膜です。
○結膜
目の表面は、黒目の部分は角膜、白目の部分は強膜という連続した1枚の膜でおおわれています。
このうち、白目の部分は、その上から眼球結膜という膜でさらにおおわれています。この眼球結膜は、眼の奥で反転し、上下のまぶたの裏側もおおっています。この、まぶたの裏側をおおっている膜の部分を、眼瞼結膜といいます。
○角膜
上で述べたとおり、黒目の部分の表面は、約1ミリメートルの厚さの透明な角膜でおおわれています。
また、黒目をとりかこむ白目の部分の表面は、強膜という膜でおおわれていますが、角膜と強膜は連続している一枚の膜です。
この強膜は、外からは見えない眼窩内におさまっている眼球の表面全体もおおっています。
○虹彩、瞳孔、水晶体
角膜の後ろ側には虹彩と瞳孔があります。角膜は透明な膜なので、虹彩と瞳孔が外から見えるのです。
瞳孔は小さな穴で、ここから目の中に光が入ってきますが、虹彩が伸び縮みして瞳孔の大きさを変え、目の中に入る光の量を調節しています。
急に明るいところに出るとまぶしく感じるのは、入る光の量を少なくする虹彩の調節が間に合わなかったためですし、暗いところでもしばらくすると見えるようになってくるのは、虹彩の調節によって入ってくる光の量が多くなるためと、網膜が慣れてくるためです。
虹彩と瞳孔の裏には、カメラのレンズにあたる水晶体があります。水晶体は凸レンズの形をしていますが、弾性があり、丸くなろうとする性質があります。
この水晶体の厚みを調節して、瞳孔を通って入ってきた光を屈折させ、網膜に焦点を結ぶようにしているのが、水晶体の周りにある、毛様体とチン帯です。近くのものを見るときには、毛様体の筋肉が縮んでチン帯がゆるみ、水晶体が厚くなって、光の屈折が強くなります。
遠くを見るときには、毛様体の筋肉がのびてチン帯が緊張し、水晶体の厚さが薄くなって、光の屈折が弱くなります。これを調節作用といいますが、この結果、網膜に焦点が合うのです。
カメラは、レンズが前後に動いて焦点をあわせるのですが、目は、水晶体の厚さを変えることによって焦点を合わせているわけですね。
◆目が熱い!その原因は?
目が熱くなる症状が出る病気に、「ドライアイ」といわれるものがあります。
通常、目の疲れを感じたり、目がしょぼしょぼしたり、痛みや腫れ、充血したり、などといった症状が現れるようです。
どちらかと言うと、かかる人は女性が多く、女性ホルモンが関係しているといわれています。
○パソコン
今日、パソコンを使っている人の割合は8割を超えるといわれており、その結果、想定外に目を使いすぎる時代になってきているようです。
さらに、ここ数年でスマートフォンも広まり、携帯電話を所持している人の約半数が、スマートフォンを使用しているとも言われます。
仕事にパソコンが不可欠な人は、1日の半分は、嫌でもパソコンの画面をひたすら見続けるわけですから、どうしても目に疲れが現れてくるのは避けられませんよね。そんな状態でドライアイになってしまえば、目が熱を持ってしまうのもうなずけます。
○エアコン
冬期になると、目が熱くなるという人が多いようです。その原因としては、寒くて乾燥しやすいから、という理由が考えられています。
でも、気を付けないといけないのは、夏も同じ。家庭や職場でエアコンを使っている部屋が多く、送風を目に受けてしまい、目が乾燥してしまうようです。
直接、目に風を受けることは少ないと思いますが、エアコンの使用で目がいつも熱くなるとすれば、できるだけ使わないように心がけるとよいでしょう。
○コンタクトレンズ
コンタクトレンズを装着すると、黒目の部分に空気が透過しにくくなり、涙の量も少なくなって、ドライアイになりがちと言われます。
通常、人間は、風で入ってしまったゴミを洗い流すために、風を感じると、涙が出るようなメカニズムになっています。
ところが、コンタクトレンズが眼球の表面を覆うことで、風を感じにくくなってしまい、涙が出るのを抑えてしまうのです。
近年、「パソコン」「エアコン」に続き、「カラコン(カラーコンタクト)」が、ドライアイの原因となっていると言われていますので、注意が必要でしょう。
○目の病気
日常生活の中で、目の酷使による疲れで熱を持っているだけなら、まだいいでしょうが、場合によっては、目の病気の可能性もあります。
その場合には、速やかに医療機関を受診し、薬を処方してもらうのがオススメです。
目は、空気中に浮遊するゴミやウイルスにいつもさらされており、影響を受けやすいデリケートな器官ですから、注意が必要です。
角膜炎や結膜炎、ものもらいになると、目が充血し、対処が遅れると症状が長引く危険性もあります。不安な場合には、ばい菌が入らないよう、目をこすらないように気をつけましょう。
◆目が熱い時に考えられる病気とは?
目が熱い、と言う場合、何らかの病気にかかっている可能性があります。そこで、この項目では、身近な目の病気の主なものをいくつか紹介していきたいと思います。
○角膜炎
角膜の表面は、通常、上皮細胞と言われる細胞がおおっており、しかも涙の成分の中に、細菌の感染を防いでくれるものが含まれています。
ところが、何らかの原因で、その膜が傷つけられた場合に起こりうるのが、角膜炎という病気です。角膜に菌が感染してしまう病気で、これによって白目が充血し、目が見えにくくなってしまいます。
また、目やになどがたまって、肉眼でも確認できるほど、角膜が白く濁るといわれます。
この病は、片方の目だけかかることがほとんどです。症状が悪化すると、角膜に孔が開く危険性もあるため、早めに受診するようにしたほうがよいでしょう。
詳しくは、角膜炎とは?症状・原因・治療法・予防法を紹介!を参考にしてください!
○結膜炎
結膜は、白目とまぶたの裏側をおおっている膜で、外気とじかに触れているため、炎症をおこすことが多い場所です。
結膜炎の原因は多く、感染タイプといってもウイルスが原因のものもあれば、細菌が原因となっているものもありますし、その他、アレルギーによるものもあります。
多くの場合、急に結膜が充血して、目やにが出たり、目の中がころころしたり、かゆみなどを感じたりします。悪化すると、痛みも感じ、視力が極端に下がってしまうため、早めに医療機関を受診することをオススメします。
詳しくは、結膜炎の原因は?種類や症状、治療方法について!を読んでおきましょう。
○白内障
白内障は、目をカメラに例えた時の、レンズの役目を果たしている水晶体が、白く濁ってしまう病気をいいます。
症状としては、明るい場所でまぶしさを覚えたり、物が白く見えたり、という状態になり、症状が進行すると、視力が悪くなります。
加齢で発症する場合が多く、60歳以上なら、定期的に検査を受けることをオススメします。
治療としては手術が一般的ですが、目薬を処方して治すこともあります。
◆目が熱い時の治療法と対策
目が熱い時には、大抵、パソコンやゲームで長時間画面を見つめすぎて目を酷使していることが多いので、大体、1時間に1回ほど目を閉じて休めたり、目をストレッチしたり、温めたおてふきを目の上に乗せるなどして、血行をよくするのが有効です。
ちなみに、「冷やして休めるのが気持ちいい」という人もありますが、熱を取るのには有効ですが、冷やすと血行が悪くなるため、長時間冷やすのは、やめたほうがよいでしょう。
○食事の栄養バランスを考える
目の疲れは、ビタミン類の不足によっても引き起こされることが多いようですので、野菜や豆類、海藻など、様々な食品をバランスよく摂ることで、栄養バランスを改善しましょう。
また、冷たいものばかりを飲食すると、腸の働きが悪くなり、栄養を吸収しにくくなってしまいます。なるべく、温かい食べ物を摂るようにするといいですよ!
なお、目の疲れに効き目があると言われる食べ物は、ドライフルーツ、ナッツ類だそうですから、積極的に摂るといいでしょう。
○ストレスをためない
目は、自律神経と直結していますから、ストレスがそのまま症状として現れることが多いようです。
精神のバランスを保ち、ストレスを解消するように、趣味やリラックスできる時間を持つように心がけるとよいでしょう。
◆まとめ
いかがでしたか?
目が熱い、という場合には、日頃の生活習慣からきている場合が多いようですが、目の病気の可能性があるので、眼科に行き、一度診てもらうのがよいましょう。
また、風邪のウイルスが元で眼病になることも多いようですから、風邪が長引いた場合には、耳鼻咽喉科で鼻腔洗浄を行い、薬を処方してもらうもよいでしょう。
いずれにしても、大切な器官が目ですから、目の健康を守れるように、注意を払っていくことが大事な心がけですね!