疲れた時に食べる甘いお菓子やジュースは、格別ですよね。自分へのご褒美として、ついつい甘いものを摂りすぎてはいませんか?おかしやジュースのほかにも、炭水化物が大好きな人、清涼飲料水ばかり飲んでいる人は要注意!糖質の摂りすぎが体を壊す原因にもなるのです。
では、糖質を摂りすぎると一体どんな影響があるのでしょうか?健康的な毎日を送るためにも、糖質についての正しい知識を知っておくことは非常に大切です。
糖質の種類
糖質と言っても、その種類は様々です。糖質と言うとケーキなどの甘いものやご飯などの炭水化物をイメージしますよね。しかし、炭水化物そのものは糖質ではありません。
糖質とは、炭水化物から、消化吸収されない食物繊維を除いたものを指します。また、糖質はその構造によって、4種類に分かれているのです。
糖類
糖類は糖質の一種で、単糖と二糖類を合わせたものを指します。
単糖
単糖は、糖質の中で最も小さな単位で、ブドウ糖や果糖などが該当します。果実やハチミツに入っています。
二糖類
単糖が2つ結びついたものです。砂糖や乳糖、麦芽糖などがこれに当たります。
多糖類
多糖類とは、単糖が10個以上結びついたものを多糖類と言います。オリゴ糖やでんぷん、デキストリン(でんぷんを加水分解する)、グリコーゲン(動物の筋肉や肝臓に蓄えられるもの)が多糖類に当たります。
糖アルコール類
糖類に水素を添加すると、一部の構造がアルコール類特有のものになってるものがあります。これが糖アルコールで、野菜や果物、きのこや海藻類や酒類の一部(ワインなど)や発酵食品(醤油や味噌)などに含まれています。代表的なものに、キシリトールやマルチトールなどがあります。
高甘味度甘味料
漢字ばかりで少々読みにくいですが、要するに砂糖によりも甘味度の高い甘味料のことです。中には砂糖の数千倍もの甘味を持つものもあります。
例えば、酢酸類から作られるアセスルファムKは砂糖の200倍、砂糖をもとにして作られるスクラロースは、砂糖の600倍もの甘味を持っています。
糖質を摂りすぎると太るのはなぜ?
糖質を摂りすぎると太るというのは有名な話ですが、ではなぜ太るのでしょうか?
脂肪細胞ができる
糖質は食事などを通して体内に取り込まれ、胃腸などの消化器官で分解されます。やがて、ブドウ糖として小腸で吸収されると、わたしたしが活動するためのエネルギー源になるのです。
吸収されたブドウ糖の一部は血液と共に全身に運ばれ、細胞に取り込まれることでエネルギーに変わります。
この時、ブドウ糖が細胞に取り込まれる手伝いをするのが、インスリンというホルモンです。インスリンは膵臓のβ細胞で作られ、食事によって血糖値が上がると分泌されます。糖質の大半はインスリンの働きによってエネルギーに変わり、残りはグリコーゲンとなって肝臓や筋肉に蓄積されます。つまり、インスリンによって血糖値は一定に保たれてるわけですね。
しかし、糖質を摂取しすぎると、グリコーゲンとして蓄えきれなくなり、余ってしまいます。余った糖質があると、インスリンは血糖値を下げようと働きかけ、糖質を脂肪細胞として蓄えてしまうことになるのです。
つまり、糖質を取りすぎるときちんと処理しきれず、脂肪として体に蓄積されるために太る、というわけですね。脂肪細胞が増えすぎると、やがて肥満状態になってしまいますから、糖質の摂りすぎは禁物です。
脂肪は糖質よりも燃えにくい
わたしたちの体は、エネルギーが必要になると脂肪は燃焼させます。
しかし、脂肪は糖質よりも複雑な構造をしているため、即座にエネルギーに変えることができません。そのため、すぐにエネルギーとして消費できる糖質が使われるのです。糖質がなくなれば脂肪が燃焼されますが、糖質が余っているうちは糖質から消費するため、いつまで経っても脂肪が燃やされないわけですね。
つまり、糖質を取りすぎると脂肪が燃えにくい上に脂肪がどんどん蓄積されるという悪循環に陥ってしまいます。この悪循環から抜け出すためには、糖質や脂質を減らし、脂肪が燃えやすい体を作ることが大切です。
糖質の摂りすぎは万病の元
すでにお伝えした通り、糖質を取りすぎると肥満になるリスクが高くなります。しかし、弊害はそれだけではありません。糖質を過剰摂取し続けると、以下のようなリスクがあるのです。
老化
血液中のブドウ糖が溢れてタンパク質と結びつくと、体温で熱されて「糖化」します。糖化はAGE(終末糖化産物)という物質を作り出しますが、これは強い毒性を持っています。AGEは肌や骨の老化だけでなく、血管に溜まると脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなりますから、非常に危険です。
また、糖化すると血液の流れも悪くなり、ドロドロ血液になってしまいます。血液の循環が悪くなると、新鮮な酸素や栄養分を細胞に運んだり、二酸化炭素や老廃物などの排出もうまくできなくなるため、不要なものが体に蓄積し、体全体の循環も悪化してしまうのです。
それによって免疫力が低下し、関節痛や神経痛のほか、歯周病や感染症などを発症しやすくなり、がんや認知症などのリスクが高まるなど、糖化が及ぼす影響は深刻です。
糖質中毒
糖質中毒とは、脳が常に糖質を欲する状態です。糖質が切れるとイライラしたり集中力がなくなったりと、麻薬の禁断症状のような状態になります。普段から砂糖や炭水化物などをよく食べ、糖質を摂っていると、より多くの糖質を求めるようになってしまうのです。
症状
糖質中毒になると、以下のような症状が現れます。当てはまる人は、普段の食生活を見直してみるとよいでしょう。ご飯やうどんなどの炭水化物が好き、清涼飲料水をよく飲む、イライラすると甘いものがほしくなるなどの人は、糖質中毒の可能性があります。
- 冷え性
- 便秘
- 偏頭痛や肩こり
- 貧血やめまいに悩まされる
- 顔や足がむくむ
- 集中力がなく、イライラしやすい
- 忘れ物や物忘れが目立つ
高血糖・糖尿病の原因にも
普段から糖質を摂りすぎていると、血糖値をコントロールする機能が失われていき、血糖値の高い状態が続く「高血糖」になります。なってしまいます。高血糖が続く代表的な病気に糖尿病があります。
糖尿病との関係
糖尿病とは、血糖値が高い状態が続く病気です。初期の糖尿病では、食後をに血糖値が急上昇する「食後高血糖」が見られます。健康体であれば血糖値が急激に上昇すると、インスリンが大量に分泌されることで血糖値を下げます。
しかし、糖尿病になるとインスリンの分泌量が減ることで、うまく血糖値を下げることができず、高血糖が続くことになるのです。
糖尿病の種類
一口に糖尿病と言っても、大きく3つの種類に分類することができます。
1型糖尿病
インスリンを作り出す細胞が破壊されることでインスリン分泌量が少なくなることが原因のもの。
2型糖尿病
遺伝や生活習慣などが原因となるもの。
妊娠糖尿病
妊娠後に糖尿病の症状が現れるもの。
糖尿病には上記の3タイプのほか、遺伝子の異常や病気などに起因するものなど、複数のタイプがあります。しかし、日本においては糖尿病患者の95%が遺伝や生活習慣による2型糖尿病だと言われています。糖尿病はほとんど自覚症状がないのが特徴で、気付かない内に病気が進行していくのが恐ろしいところです。そのためサイレントキラーとも呼ばれ、合併症として心筋梗塞や脳卒中など、命にかかわる病気を併発する確率が高いとされています。
また、糖尿病まではいかないものの、正常値よりは高い状態にある「境界線型糖尿病」も多く、日本における糖尿病予備軍は700万人を超えています。
予防策
糖尿病や糖尿病予備軍にならないためには、血糖値が高くならないことを意識した生活を送ることが重要です。特に、食後に血糖値が高くなる場合ら、糖尿病の初期症状ですから、早めの対策がに必要になります。
血糖値の急激な上昇を防ぐ食事の仕方としては、食物繊維を豊富に含んだ食事を摂ることが大切です。食物繊維には糖質の吸収を緩やかにする働きを持つため、食物繊維を多く野菜から食べるようにしましょう。食事の際は、食物繊維、タンパク質、炭水化物という順に食べるのが理想的です。
このほかにも、よく噛んでゆっくり食べる、食べ過ぎをしないということも大切ですし、食事を抜くのも体に悪いですからやめましょう。
糖質の摂りすぎを防ぐには
糖質の過剰摂取がいかに健康を害するか、ここまでお話ししてきましたが、糖質自体は悪いものではありません。むしろ健康を保つには必要な栄養素なのです。何事も、適度に摂ることが健康維持には大切ですよね。
では、一体どうすれば適度な糖質を摂ることができるのでしょうか?1日の目安と糖質の取り方について詳しくご紹介します!
糖質は種類によってカロリーが違う
まず、一口に糖質と言っても、その種類によってカロリーが異なることを覚えておきましょう。すでにご紹介した通り、糖質は「糖類」「多糖類」「糖アルコール類」「高甘味度甘味料」に分類されます。
糖類(ブドウ糖や砂糖)と多糖類(でんぷんなど)1グラムにつき4キロカロリーあります。これに対し、糖アルコール類(野菜やきのこ・キシリトールなど)は小腸で消化・吸収がされにくいため、1グラムあたり2~3キロカロリーと、低カロリーのものが多いです。中でもエリスリトールは、摂取した90%以上はそのまま排出されるため、カロリーはほぼ0キロカロリーです。
そして、高甘味度甘味料であるアセスルファムKやスクラロースは、砂糖の数百倍の甘味を持ちながら、0キロカロリーです。
1日に必要な摂取量
およその目安ですので、働く環境や個人差はありますので、参考程度にご覧ください。
30〜40代の女性
デスクワーク中心であまり動かず、特別な運動をしていない場合、1日におよそ1,750キロカロリーを必要とします。そのうち6割に当たる1,050キロカロリーを糖類やでんぷんから摂る場合、1日におよそ260グラムの糖質が必要な計算になります。
ただし、運動量の多い人の場合や、妊娠している場合には、もっと多くの量が必要になります。
まとめ
糖質は体に必要な、大切な栄養分です。不足しても摂りすぎても体には悪い影響がありますから、バランスが難しいところですよね。
しかし、わたしたちの生活の中には、ケーキやジュース以外にも、あらゆるところに糖質が含まれていますから、知らない内に糖質を摂りすぎてしまう危険があることを頭に置いておきましょう。
偏った食事をせず、日頃からバランスのよい食習慣、適度な運動を取り入れた健康的な生活習慣を心掛けることで、糖質と正しく付き合っていきたいものですね。