胆石の原因とは?症状や治療方法も詳しく知っておこう!

胆石ができると痛い!激痛!というイメージがありますね。胆石とは一体どういった病気なのでしょうか。そして胆石ができてしまう原因とは何なのでしょうか。ここでは胆石について説明します。

胆石とは

胆石ってどんな病気

まずは胆石について紹介します。

胆道とは

胆道(たんどう)とは胆汁(たんじゅう)という液の通り道のことをいいます。胆汁とは肝臓でつくられている消化液で、脂肪分やタンパク質、ビタミンなどの消化・吸収を助ける働きを持っています。

胆道は大きく3つに分けられます。肝臓の中にある肝内胆管(かんないたんかん)、肝臓から十二指腸までを繋ぐ肝外胆管(かんがいたんかん)、そして胆汁を貯めておく胆嚢(たんのう)です。

胆汁とは

肝臓でつくられた胆汁は肝内胆管を通って肝臓から肝外胆管へと出ていきます。そして肝外胆管と胆嚢を結ぶ胆嚢管を経由して胆嚢へとたどり着きます。そこで一旦蓄えられ濃縮されます。食事を摂取すると胆嚢は収縮して、貯めていた胆汁を肝外胆管へ送り出します。

それから胆汁は十二指腸へ、十二指腸から小腸へと流れ、食べ物と混ざります。そして消化器官での脂質やビタミンの吸収を助けます。

胆石とは

この胆汁の成分が何らかの原因で固まって胆道上で結石となってしまったものが胆石です。肝内胆管に胆石ができると「肝内結石」、肝外胆管上であれば「胆管結石」、胆嚢にできれば「胆嚢結石」と呼ばれます。胆石症全体の割合では胆嚢結石が最も多く、80%を占めます。

逆に肝内結石は非常に少なく、全体の2%とほどしか発症しません。残る胆管結石は約20%となります。 ここでは割合の多い胆嚢結石と胆管結石を主に扱います。

胆石ができる原因

肥満

日本人の胆石症は増加傾向にあるといわれています。現代の食生活では摂取する脂肪分の量が増えているので、胆石ができやすくなったことが主な理由でしょう。

また検査の医療技術が進歩したために、無症状の胆石や初期の小さな胆石も発見されるようになったためという理由もあります。成人の10分の1もの人が胆石を持っていると推計されています。

胆石ができやすい人の特徴

胆石は中年以降の人にできやすい傾向にあります。また性別では男性より女性に多く、2倍にものぼるといわれています。

また、胆石は40歳以上の肥満女性に多いとされており、肥満、過食、不規則な食事、ストレスなどの生活習慣が影響していると考えられています。

胆石の種類

胆石は成分によって種類が分かれており、その種類によって原因が異なります。主な胆石の種類とは、「コレステロール系結石」、「色素結石(ビリルビンカルシウム系結石、黒色石)」の3種類です。

この中で最も多いのはコレステロール系結石で、胆石症全体の7~8割がこれにあたります。残りの2~3割をビリルビンカルシウム系結石と黒色結石の割合は同程度ずつ占めています。

コレステロール系結石の原因

コレステロール系結石の原因は、胆汁中のコレステロールが増加することです。胆汁の成分である胆汁酸は、本来水溶性でないため水に溶けない性質であるコレステロールを溶かすことができます。

しかしコレステロールの量が増えすぎると、過剰なコレステロールは溶けることができずに胆汁の中で固まります。この固まってしまったコレステロールを核にして、結石ができます。

胆汁内のコレステロールが増える原因はずばりコレステロールの過剰摂取です。脂肪分やカロリーの多い食事はコレステロール値が上昇します。

ビリルビンカルシウム系結石

食生活が欧米化する前は、日本人に最も多かった胆石症がこのビリルビンカルシウム結石でした。胆管が大腸菌などの細菌に犯されることによって起こります。

ビリルビンは胆汁内の色素成分ですが、胆汁内に侵入した細菌によってビリルビンが変化してしまい、それにカルシウムが結合することで形成される結石がビリルビンカルシウム結石です。

黒色石

黒色石は名前の通り黒い色の結石です。黒色石の原因もまたビリルビンが関与します。胆汁内でビリルビンが増えすぎると、ビリルビンはカルシウムや銅などの金属元素と結合を起こします。この複合体が固まりとなり、黒色石となります。黒色石の原因は、胃の切除手術や肝硬変、溶血性の貧血や心臓の弁の手術などが関与していると考えられていますが、まだ明らかになっていません。

黒色石はコレステロール系結石とは対照的に、痩せ気味の人や、若い人に多くみられます。

胆石の症状

胆嚢ポリープ

痛い!というイメージのある胆石ですが、無症状であることも多いようです。

胆嚢結石の症状

胆嚢に胆石ができる胆嚢結石では、多くが無症状です。胆嚢結石ができていても8割の人は何も感じていないとされています。

自覚症状として最も特徴的なのは胆石疝痛(たんせきせんつう)と呼ばれる腹痛です。背中と胸、さらには肩へ激痛が広がります。転げまわるほど痛む場合もあります。これが胆石=痛いのイメージのもとです。激痛以外の症状では、右季肋部痛が多く、右の肋骨の下あたりに差し込むような痛みを感じます。鈍痛や上腹部の違和感、腹部膨満管などを訴える人もいます。

胆石疝痛の症状は胆嚢結石が胆嚢の出入り口をふさいでしまったり、胆嚢管に詰まってしまったりしたために、胆汁の流れが妨げられることが原因です。その状態で胆嚢内で細菌感染を起こすと急性胆嚢炎となって高熱が出ます。

胆管結石

胆管結石では胆嚢結石と違い、9割以上の人に何らかの自覚症状が出てきます。その胆管結石の症状はみぞおち付近の腹痛、発熱などがあります。

いずれも胆管内の結石によって胆汁の十二指腸への流れが妨げられることが原因です。本来は、十二指腸の中の細菌が胆管へ入り込んだとしても、胆汁に流されて一緒に排出されるため問題を起こすことはありません。しかし、結石によって胆管が塞がれてしまうと、胆汁が流れていかないため細菌が溜まってしまいます。こうなると胆管炎の原因となります。また、胆汁が胆管から血液中へと逆流することがあり、この場合黄疸がみられます。

さらに胆管結石では、胆汁内の細菌が胆汁とともに血液内に入り込むことで重篤な病気を併発する恐れがあります。敗血症やDICなどです。そうなると急性閉塞性化膿性胆管炎(きゅうせいへいそくせいかのうせいたんかんえん)という大変危険な状態に陥ります。死に至る可能性もあるためすみやかな治療が必要です。

また胆管結石では急性膵炎(きゅうせいすいえん)の原因にもなることで有名です。これは胆管結石が胆汁の出口である十二指腸乳頭につまることで、膵液の十二指腸への流れが妨げられ、膵臓が炎症を起こします。胆管結石は急性膵炎の原因としてはアルコールの次に多く、全体の2割程度とされています。急性膵炎の症状は、腹部や背中の激痛、発熱、黄疸や嘔吐などです。重症の場合、命にかかわります。

胆石の治療

手術

胆石ができてしまったどのような治療があるのでしょうか。

胆嚢結石の治療

胆嚢結石で治療の対象となるのは何らかの自覚症状がある人です。胆嚢結石があるものの無症状の人は治療が必要と判断される所見がない限り積極的な治療の対象とはならず、定期的な検診での経過観察となります。

胆嚢結石治療で代表的なものでは、胆嚢摘出術が挙げられます。主流となっているのは腹腔鏡下胆嚢摘出術という方法で、腹部周辺に3~4個の穴をあけ、カメラや手術器械を穴の中に差し込み、モニターに映った画像を見ながら手術します。この手術では結石を取るのではなく胆嚢自体を摘出します。傷口が小さく、術後の回復が早いことがメリットです。ただし胆嚢の炎症のために胆嚢と周辺臓器とに強い癒着が見られる場合などは、腹腔鏡下胆嚢摘出術から開腹胆嚢摘出術に切り替えざるをえないケースもあります。

他の治療法では、胆石溶解療法があります。この治療が行われるのは、胆嚢の機能が保たれており1センチ程度の大きさのコレステロール系結石である場合に限られます。薬剤によって結石を溶解する治療です。手術と比べ体への負担がなく、また胆嚢を残すことができるメリットがありますが、長期間毎日薬を内服する必要があることや、必ずしも結石が消失することを約束できる治療でないというデメリットがあります。また、薬により結石が消失した後数年で再発する確率が30~50%もあると報告されています。

また、体外衝撃波結石破砕療法という治療も存在します。これは体外から衝撃波を当てて結石を砕いてしまう治療法です。この手法が行われるのは2センチ以下のコレステロール系結石に限られます。砕かれた結石は自然に体外に排出されます。

胆管結石の治療

無症状の胆嚢結石とは違い、胆管結石である場合は無症状だとしても治療の対象となります。先述のように、胆管炎や急性膵炎の原因となりうるからです。主流な治療法は内視鏡的治療法です。

内視鏡的治療法では内視鏡を使って胆管から結石を取り出します。この方法では最初に胆管の出口である十二指腸乳頭を広げる必要がありますが、その方法には内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)、内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)、内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD)3種類があります。内視鏡的治療では90%以上の確率で結石を完全除去することが可能とされていますが、まれに結石が大きく数も多い場合に、複数回の治療が必要になることがあります。

内視鏡的治療法でなく外科的治療法が行われる場合もあります。開腹手術を行い、胆管を切り開いて結石を取り出します。しかし体への負担が大きいため、内視鏡による手術では除去が困難な場合にのみ選択される治療という位置づけになっています。

まとめ

胆石の予防には多くの生活習慣病と同じように、日常生活での食事内容や規則正しい食生活を心がけることが重要です。脂肪分の多い食事を避け、魚中心の和食が理想的です。また過労やストレスを避け、適度な運動を生活に取り入れましょう。

  
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