温熱蕁麻疹の治療方法や特徴的な症状、原因を詳しく紹介!

「蕁麻疹(じんましん)」は、皮膚にツブツブができたり、皮膚が厚くなったりする症状です。「蕁麻」という草に触れたことで皮膚の異常が起きたことからこうした名前が付きました。

「アレルギー体質の人が蕁麻疹を起こす」と理解している人は少なくないと思います。しかしアレルギー体質でない人も蕁麻疹を発症します。また、何かに触れたわけでもないのに発症することもあります。

なんと、気温が高い場所にいるだけで蕁麻疹が起きる「温熱蕁麻疹」という病気もあるのです。ここではその温熱蕁麻疹を中心に、蕁麻疹の基礎知識を紹介します。

すべての蕁麻疹に共通した症状

じんましん

温熱蕁麻疹の症状の大部分は、その他の蕁麻疹と変わりません。一言で表現すると、皮膚の異常です。そこで温熱蕁麻疹を含むすべての蕁麻疹に共通してみられる症状を紹介します。

膨疹

蕁麻疹は突然現れます。皮膚が赤くなり、盛り上がります。これを「膨疹(ぼうしん)」といいます。かゆみを伴うことがほとんどです。まれにチクチクした痛みや、焼けるような痛みになる人もいます。

1日

突然現れた膨疹は、すぐに消えてなくなります。「すぐ」とは、数十分のこともありますし、1日のこともあります。しかし数日以上続くことはありません。つまり何日も膨疹が現れたままの場合、蕁麻疹以外の病気が疑われるのです。

全身

最長1日で治まるとはいえ、蕁麻疹の症状は決して楽ではありません。軽症の場合、膨疹は1つひとつの赤いツブですが、重症患者になると膨疹と膨疹がつながってしまい、あたかも「板」状に広がってしまいます。薄手のウエットスーツを着用したように、全身の皮膚が厚くなることもあります。

虫刺されとは異なる

毒を持つ虫に刺された場合でも、蕁麻疹に似た症状を起こします。しかし虫刺されの場合、1日以上しこりが残りますし、ひっかくことによって症状が拡大したりします。しかし蕁麻疹は、症状が治まったと同時に、その痕跡はまったく残りません。

赤は血液の色

蕁麻疹が起きている場所が赤くなるのは、血液が透けて見えているからです。蕁麻疹が発症しているとき、血液中の血漿と呼ばれる成分が、血管の外に滲み出ています。

血漿が漏れ出ることで、血管の周囲が盛り上がります。血管が膨らんだように見えます。皮膚の表面に近い血管にこの症状が現れると、体表面が赤く見えるのです。

血漿が漏れ出るのと同時に、周囲の細胞から「ヒスタミン」と呼ばれる物質が放出されます。ヒスタミンは神経を刺激するので、これがかゆみを作り出しています。

温熱蕁麻疹の特徴的な症状

暖房

次に、温熱蕁麻疹に特徴的な症状をみてみましょう。温熱蕁麻疹は、体が急に暖かくなったときに、蕁麻疹の症状が出てきます。温度差によって生じることから、冬場に起きることが多いです。

状況

温熱蕁麻疹が出る典型的なケースは次の通りです。

  • 寒い屋外で長時間にわたって作業をした後に暖房がきいた部屋に入ったとき
  • 温風を出す暖房器具を集中的に使ったとき
  • 寒い場所で暖かい飲み物を飲んだとき
  • カイロで体の一部だけを暖めたとき
  • 寒い場所で運動をして体が暖まったとき

体質

また、体温が低くなりやすい人や、日頃から体温が低い人は、温熱蕁麻疹を引き起こしやすいです。なりやすい体質は次の通りです。

  • 肌が乾燥しやすい人
  • 血行が悪い人
  • 低血圧の人
  • 痩せている人

周囲の気温によって体温が上下しやすい人ほど、温熱蕁麻疹を発症しやすいのです。

蕁麻疹の原因

エビ

蕁麻疹の原因は、アレルギーによるものと、アレルギーによらないものに大別されます。「温熱蕁麻疹」は、アレルギーによらない蕁麻疹ですが、ここでは両方を紹介します。

アレルギーによる蕁麻疹の原因

エビやソバや小麦粉など、特定の食物を食べると発生する蕁麻疹は、アレルギーによる蕁麻疹の代表格です。この場合、蕁麻疹は数あるアレルギー反応のうちのひとつに数えられます。蕁麻疹を発症させるものを「Ⅰ型(即時型)アレルギー反応」といいます。

Ⅰ型(即時型)アレルギー反応を起こす患者は、皮膚の細胞の「lgE」というタンパク質が、ある物質と「結合」して「暴走」する性質があります。lgEが結合する「相手」は、患者によって異なり、ある人はエビの成分とlgEが結合しますが、ソバの成分とは結合しません。また別の人は、エビの成分には反応せず、小麦粉の成分とlgEが結合するのです。つまりlgEの種類によって「エビアレルギーの人」「小麦粉アレルギーの人」となるわけです。

lgEは、結合すると「ヒスタミン」という物質を放出します。これが「暴走」状態です。ヒスタミンが、蕁麻疹の症状を起こしているのです。

温熱蕁麻疹の原因

発症メカニズムとしては、アレルギーによる蕁麻疹も、アレルギーによらない蕁麻疹も同じです。皮膚の表面に近くにある血管の細胞が刺激されて発症します。それがアレルギー反応によって刺激されるものを「アレルギーによる蕁麻疹」と呼んでいるのです。

温熱蕁麻疹の患者は、体温が急激に上がることが、血管の細胞を過度に刺激してしまっているのです。それにより皮膚の細胞が「暴走」し「ヒスタミン」を放出してブツブツやかゆみを引き起こすのです。

コリン性蕁麻疹の原因

急激に体温が上がったことで起きる蕁麻疹でも、温熱蕁麻疹ではない蕁麻疹があります。それを「コリン性蕁麻疹」といいます。発生する条件や症状はほぼ同じなのですが、発生原因が異なります。

コリン性蕁麻疹の原因は、「アセチルコリン」という神経伝達物質です。アセチルコリンは人が興奮状態にあるときに現れます。アセチルコリンが出てくると、神経は脳に対し「興奮状態にある」と伝えます。

脳が「興奮状態」を理解すれば、アセチルコリンは消えてなくなります。しかしコリン性蕁麻疹の患者は、なんらかの原因で、アセチルコリンが皮膚近くにたまってしまうのです。この状態が蕁麻疹の症状を引き起こしているのです。

ただ、なぜアセチルコリンが皮膚の近くにたまってしまうのかはまだ分かっていません。またコリン性蕁麻疹は、汗をかく運動によって体温が上昇したときに起きやすい特徴があります。

コリン性蕁麻疹については、コリン性蕁麻疹の症状は?原因や対処方法も紹介!を参考にしてください。

蕁麻疹の治療

漢方

温熱蕁麻疹の治療

温熱蕁麻疹が10分程度で治まる場合、特に治療は必要としません。気にならなければ医者にかかる必要もないでしょう。ただ数時間以上続く場合、皮膚科にかかってください。内科の医師でも温熱蕁麻疹を治療できますが、まずは皮膚科にかかる方がよいでしょう。

温熱蕁麻疹の原因は、アレルギーでもアセチルコリンでもなく、温度差なので、温度差を大きくしない生活を送ることが「治療」になります。ただ、かゆみがひどい場合は、かゆみ止めの薬が処方されます。この薬選びが重要になります。

蕁麻疹の種類を特定する検査を行い、その蕁麻疹に合った薬が得られることが、病院にかかる最大のメリットです。

ヒスタミンに対抗する薬

温熱蕁麻疹も、アレルギーによる蕁麻疹も、皮膚周辺の細胞がヒスタミンを出すことで発症するので、抗ヒスタミン薬は共通した薬になります。またアレルギーによる蕁麻疹の患者には抗アレルギー薬が使われますが、その薬にもヒスタミンの発生を抑制する働きがあるものが選択されます。

抗ヒスタミン薬は、塗るタイプがあり、かゆみの軽減が素早いので患者にとってはありがたいのですが、その効果は長時間は続きません。飲み薬か注射によって投与した方が、効果は期待できます。

ステロイド

かゆみにはステロイドも有効です。ステロイドは効果が大きい反面、副作用が大きい薬ですので、必ず医師の処方に従ってください。

漢方薬

温熱蕁麻疹と同様に体温の急激な上昇で発症するコリン性蕁麻疹は、最も治療がやっかいな病気です。抗ヒスタミン薬と抗アレルギー薬は合せて20種類近くがあるのですが、どれも効きづらいのです。なんと、ステロイドも効果を発揮しないこともあるそうです。

そこで漢方薬を使う医師も多いです。漢方薬は速効性は低いのですが、マイルドに、確実に治っていくことが期待できます。

まとめ

温熱蕁麻疹は軽症の場合が多いのですが、その症状が温熱蕁麻疹ではない可能性があります。「温熱蕁麻疹である」ことを確定させることが重要で、そのためにも、軽症でも皮膚科にかかることをおすすめします。

  
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