唐突ですが、「あれ、なんか首が痒いし赤くなってる・・・」と思ったことってありませんか?実は首周りの皮膚は人体の中でも非常に繊細な部類に入るのです。一説では、最も敏感な顔面に次いで二番目に敏感な個所ではないかという声もあります。それ程に繊細なのですから、ケアを怠るとすぐに荒れてしまうのは自然の成り行きかもしれません。
特に湿疹(しっしん)が出来てしまうと要注意です。湿疹とは首回りの皮膚などの柔らかい部位に出来る赤いブツブツです。最初はただ痒いだけですが時と共に水疱に変化してしまいさらに痒くなります。掻いてしまうとさらに悪化し荒れてしまいます。
赤くなってるとどうしても目立ちますし、それが湿疹や水疱だとより一層見栄えが悪くなります。例えば浴衣を着た時などに首の荒れが悪目立ちしてしまうのは、女性にとっては絶対に避けたい事態でしょう。
ですので今回の記事では、そんな湿疹が出来てしまう原因(特に首周りに関するもの)や、その対処法について紹介したいと思います。
湿疹の症状
改めて確認させて頂きたいのですが、湿疹とは、皮膚の表層に生じてしまうあらゆる炎症の総称のことです。つまり、「皮膚炎」という言葉と湿疹が意味するところは同じです。
それ故当然なのかもしれませんが、皮膚科医に訪れる人で最も多いケースはこの湿疹です。統計によりますと、全国の皮膚科医を訪れる患者さんの30-40%がこのケースに当てはまるほどです。
特に、アレルギーを多く抱える人は湿疹になりやすいことが研究を通して明らかになっています。また、繰り返しになりますが湿疹の症状の特徴は、痒みを伴う赤いブツブツや小さな水疱です。つまり、仮に赤いブツブツが見受けられたとしても、全く痒くない場合というのは湿疹ではない可能性が高いです。
蕁麻疹との見分け方
湿疹(皮膚炎)と最も紛らわしく見分けづらいのが、蕁麻疹(じんましん)です。蕁麻疹も湿疹と同じように、痒みを持った赤い斑点が出来てしまう疾患だからです。もちろん、どちらの方が重いかということはない(というよりケースバイケース)ので、どちらを発症したとしても病院に行くべきです。しかし、もし病院に行く時間がなく市販の塗り薬や飲み薬でなんとかしなければならない際はこの見分け方を参考にしてください。
両者の違いは非常にシンプルでして、「出来たり消えたりを繰り返すか否か」という点に尽きます。蕁麻疹の場合、そもそも皮膚自体には問題はなく、皮膚下の血管から水分がもれることによって引き起こされます。その漏れは数時間で治まり、また血管の別の個所で起きます。つまり、蕁麻疹の場合は赤い斑点が消えたり移動したりを繰り返すのです。
逆に、同じ個所がずっと赤く痒いままである場合、蕁麻疹ではなく湿疹の可能性が高くなります。
病状の進行
では湿疹はどのような書状と状態から始まるのでしょう。また、発症から時がたつに連れてどのように変化していくのでしょうか。その一連の変化と症状を紹介したいと思います。
- 湿疹にかかると、まず赤い斑点が出来てしまい、痒みを感じます。湿疹の中では最も基本的な症状です。まだ軽い症状だとも言えますが、油断は禁物ですのでなるべく早く医者の診察を受けることをおススメします。
- 斑点のみの時期を過ぎると、冒頭でも述べたように水疱が出来てしまいます。もっとくだけた呼び方をすると、所謂「水ぶくれ」です。斑点の時よりも痒みが強くなってきます。また、その中には膿が発生し溜まってしまいます。
- その水疱が破けてしまい、膿が散り広がってしまいます。そのため、患部の表面が半分水っぽくなります。一般的に「ジュクジュクしている」と言われてしまうような状態ですね。強い痒みはありますが掻くとさらに悪化してします。
- 一度破けてしまったら、それ以降はさらにかゆみが強くなります。とはいえ、この状態が暫く続くと、最終的にかさぶたが形成されます。そしてそのかさぶたが自然に剥がれれば、完治に大分近づきます。しかし、稀にですが、単純に悪化しているだけの場合もあります。ですので、水疱が破けたら一刻も早く皮膚科に向かい、診察によってえ判断してもらいましょう。
首に湿疹ができる原因
当然のことですが、湿疹は何の理由もなしに、突発的に自然発生するわけではありません。疾患の一つである以上、病気の原因があります。
湿疹の場合、特にその原因を当人の体質的なものによる場合(内的要因)と外界からの何らかの刺激によるもの(外的要因)の二通りに大別できます。ここでは、特に首まわり特有の理由なども取り上げていきたいと思います。
内的要因
ざっくりと言ってしまえば遺伝的なものや、体質的な異常によるものです。以下にザッと列挙致します。
- アレルギーによる炎症の場合です。動物へのアレルギーなどによって、肌が荒れ、湿疹が起きてしまうことは非常に良くあります。
- アトピーによる皮膚炎の場合です。上述のアレルギーの症状と外的要因の組み合わせによって起きやすくなってしまうようです。例えば、アレルギー体質の人にダニや紫外線などの外的要因が降りかかってしまった場合や、心理的な強いストレスを感じた際などに引き起こされやすくなるようです。複数の要因が複雑に絡み合っているため、原因の特定が難しくなることがあります。
- 乾燥肌による場合もあり、このケースは特に要注意です。乾燥肌とは文字通り、肌のうるおいや水分、油分が損なわれており、がさついている状態のことです。潤いが不足し肌が乾燥すると、外部からの刺激(紫外線など)に対して肌が脆弱になってしまいます。特に首周りはただでさえ皮脂が少なく保護機能が弱いので、さらに荒れやすくなってしまうのは必然だと言えます。
- 皮脂分泌異常による場合です。乾燥肌とは逆に、皮脂が多すぎても肌荒れと湿疹の原因になります。睡眠不足などの不規則な生活や、洗顔のし過ぎによって起こります
- 発汗異常による場合もあります。要するに、汗をかきすぎたことによる炎症です。発汗異常自体は、自律神経失調症や更年期障害、リウマチに糖尿病などに罹患した際に起きやすい症状ですので、湿疹の他の原因よりもレアなケースだと言えます。またそのため、これを防ぐには病院での治療が不可欠です。
ちなみに、三番目に挙げた乾燥肌になる理由にも内部要因と外部要因の両方があります。エアコンがついている場所に長く滞在する、紫外線対策をしない、入浴時間がやたらと長い、ストレスを強く感じる、栄養バランスの偏り、喫煙などの条件を満たしてしまうと、乾燥肌になりやすくなります。
外的要因
文字通り、体の外からの刺激によって引き起こされる場合です。それこそ極めて多様な刺激がありますが、主要なものは以下の通りです。
- 化学物質(5や光化学スモッグなど。あるいは殺虫剤の噴霧など)
- ハウスダスト
- 花粉
- ダニ
- 細菌
- 紫外線(への対処不足)
- 化粧品
- 摩擦による刺激(要するに、風呂場などでの肌の擦り過ぎによって荒れてしまうケース)
サッと一瞥しますと、アレルギーの引き金になる要因が多いように見受けられます。ただのアレルギーであれば良いのですが、内的要因のところでも述べたように、内的要因と複雑に絡み合ってしまいアトピーなどを引き起こすケースもあります。
こうなってしまうと、原因の特定が難しくなってしまうのです。
首の湿疹への対処法
さて原因が分かったところで、治す為にはどうすればよろしいのでしょうか。身も蓋もないことを言いますが、医師の診察が一番です。特に湿疹の場合はそうなのです。というのも、首回りの湿疹に限定しても原因は多種多様です。そして、どの原因によって引き起こされたかによって、治療法が変わるのです。
軟膏が必要になる場合もあれば、飲み薬がベストな時もあります。使う薬や対処を誤ると余計に酷いことになります。ですので、治す為には医師の診察が不可欠なのです。とはいえ、医師抜きでも予防はできます。特に、乾燥肌対策、汗対策、刺激対策の三つにまとめました。
乾燥肌対策
保湿クリームなどで保湿を心がけるのも結構ですが、基本的に健康的で規則正しい生活を実践していれば問題ありません。
すなわち、エアコンを使い過ぎない、栄養バランスのよい食生活、喫煙を控える、睡眠をしっかりとるなどを実践すれば十分乾燥肌は防げます。
汗対策
汗をかいたまま放っておくとあせもとなり、皮膚炎の原因の一つとなります。また、汗を過剰にかいてしまうとやはり湿疹の原因となります。あせもを防ぐためには、言うまでもなく汗ふきシートなどでの洗浄が大事になります。
ですが異常発汗の場合はわかりません。病気によるものだった場合は医師の診察と治療が不可欠です。また病気以外による場合は、生活習慣の管理や軽い運動を習慣的に行うことで防げます。
外部刺激対策
もしかしたらわざわざ書くまでもないかもしれません。湿疹の原因となる外部からの刺激を極力減らす方法です。例えば、
- ダニやハウスダストを減らすために部屋をこまめに掃除して清潔に保つ
- 花粉の時期はマスクを着用する
- 紫外線対策の徹底
- 風呂などで体を擦り過ぎない
などがあります。
まとめ
ご一読下さりありがとうございました。簡単にまとめますと、首回りの湿疹は規則正しく健康的な生活を送り、また夏場は汗をこまめにふき取り、そして体を洗う際には肌を擦り過ぎないことで予防しましょう。
しかし、これらを心掛けても湿疹になってしまう時はあります。そういった時は迷わず医師の診察を受けて支持を貰いましょう。誤った治療法を施せば、かえって悪化しかねないためです。