皆さん疥癬って病気はご存知でしょうか?言葉だけ知っていても具体的にどういうものなのかというのは知らないという方が多いかもしれません。今回は疥癬とは一体何なのか?
そして疥癬が引き起こす症状や原因、それを治療するにはどうすればいいかを紹介出来たらなと思います。昨今では、高齢者の方達にも疥癬を発症される方も増えていたりと私たちの生活の中でいつ起きてもおかしくない病気のひとつになっています。
この記事を見て、お役に立てればなと思います。
この記事の目次
疥癬とは何なのか?
ヒゼンダニが人間の皮膚に寄生し、人から人へ感染する病気です。多数のダニが寄生する角化型疥癬と少数寄生だが激しい痒みを伴う普通の疥癬があります。
日本では、病院や高齢者施設、養護施設などで集団発生しているのが増加しており、疥癬感染防止対策マニュアルの作成など対策が行われています。
また、男女間での性行為で感染するケースもあり、年間7万~15万人もの疥癬患者が出てきていて、放ってはおけない状態にあります。
疥癬の症状ってどういうものがあるの?
疥癬の症状には何があるのかに移ります。通常の疥癬と角化型疥癬に分けて記載させて頂きます。
通常の疥癬
通常の疥癬では、疥癬トンネルという疥癬特有のものが手首や手のひら、指、肘、足などに見られます。丘疹や結節、小水疱といった症状も見られます。
疥癬トンネルはヒゼンダニが患者の皮膚に作るトンネル状の線状疹のことです。ヒゼンダニが皮膚の表面を歩き回り、交尾と産卵を繰り返し、角質層の中にどんどん卵を産み付けてダニの数を増やしていきます。
あちこちに卵などがありますが、トンネルの先端にメスのヒゼンダニがいる可能性が高いです。肉眼ではミミズ腫れのようになっており、皮が剥けてしまうといったことに繋がります。ヒゼンダニ自体も肉眼ではほぼ見えないため、拡大鏡を使ってダニやトンネルを見つけていくことになります。一度に沢山の卵を産み付けていくので、早期発見、治療が必要になってきます。
丘疹は直径1㎝以下の異常な皮膚組織で皮疹につながる可能性もあります。
結節は発疹のひとつで腫れのようなものです。その範囲は真皮や皮下組織にまで及びます。陰茎や陰嚢、脇の下や肘、お尻などにできるとも言われています。結節は他の症状が治まっても数か月残り、痒みが残るとも言われているのです。
小水疱は皮膚の上に表れる液体を含んだ小さな袋のことです。液体には血液などが混ざっています。小さいものから大きいものまで様々で水ぶくれと呼ばれたりしています。
性行為の場合は男女ともに同様の症状が起こります。指や性器、太ももの内側や臍まわり、脇の下などに丘疹や結節が起こりやすいです。
角化型疥癬
角化型疥癬は全身に薄茶色の角質が表れるとも言われています。通常の疥癬とは異なり、高齢者や癌患者、免疫不全、ステロイドや免疫抑制剤を服用していて免疫力が低下している方に出てくる症状で重症なものです。
痒みがある場合と無い場合があるので、痒みが無いからといって油断するのは禁物なのです。手や体の骨を触りやすい所に発生しやすいとも言われています。中には爪に限局したものもあり、診断が難しいために集団感染を引き起こす要因とも言われているのです。
総じて言える事
通常の疥癬にしろ、角化型疥癬も内臓に影響を与えることはないと言われており、命に関わる症状は無いと言われています。しかし、自分だけでなく、周りの人に感染してしまう恐れがある病気なので、早期発見と治療を行う必要があると言っても過言ではないのです。
また、疥癬のもたらす痒みは夜間に激しくなり、夜眠れなくなり、不眠症になってしまうといった弊害もあります。
疥癬になった際はどこに受診すればいいの?
皮膚科のある病院を受診する必要があります。施設などに入所されている場合は回診の際に症状を訴えて早期発見も大事になってくるので、わずかな変化に気づけるかどうかという所もあります。
疥癬の診断方法って?
疥癬かどうか分かるにはどういったことを見ればいいの?って思う方もいると思います。次は疥癬の診断方法について移ります。
疥癬かどうかを診断するには、何といってもヒゼンダニを検出するという事がまず挙がってきます。ちゃんと検出できても6割と決して高くはないです。そのため、疥癬トンネルや丘疹や結節、小水疱といった症状を見ていくことが重要になってきます。
ヒゼンダニや疥癬トンネルを見つける際は拡大鏡を用いて行われます。疥癬トンネルを見つけた後、ダニを取り出します。疥癬トンネルの一部や疑わしい皮膚の一部を取り出して顕微鏡で調べるといった方法もあります。
通常の疥癬では、ヒゼンダニを取り出すのは難しいと言われていますが、角化型疥癬の場合は角化した部分にいることが多く、見つけやすい傾向があります。
疥癬の診断では血液検査は意味を成さず、行われていないとも言われています。
疥癬の感染経路はどこから来るの?
疥癬が広がった際、感染経路はどこから始まったのかを知る必要があり、それが感染の拡大防止にも繋がります。感染経路は通常の疥癬から感染する場合と角化型疥癬から感染する場合があり、感染の仕方もタイプによって異なってきます。
通常の疥癬の場合
通常の疥癬の場合、長時間直接肌と肌が触れ合うことで感染します。性行為などの場合は注意が必要となります。疥癬患者の寝具に触れて感染するケースもあります。
角化型疥癬の場合
短時間の接触で感染します。衣類や寝具を介しても簡単に感染するので、病院や施設などでは手袋の着用などが必要になってきます。
潜伏期間は?
通常の疥癬の場合は約1,2か月と言われています。角化型疥癬の場合は4,5日と短期間で発症します。一度に多数のヒゼンダニに感染するため、発症が早いとも言われています。
疥癬の治療について
疥癬の治療は主に薬物療法になってきます。ここでいう薬とはヒゼンダニを殺す薬になります。
薬自体は成虫や幼虫に効果はあるものの卵には効果が無いと言われており、基本的には2クールにわたって治療が行われていくことになります。塗り薬は正常な所も含めて塗り残しが無いように首から下の全身にくまなく塗ります。痒みに対して、痒み止めの内服薬が使われます。
それを踏まえ、日本で使われている主な治療薬を紹介させて頂きます。
オイラックス
オイラックスはヒゼンダニを殺す殺虫効果がありますが、効果は比較的弱いです。痒み止めとしても効果があります。保険適用外の薬であるため、安価で手に入れることができます。
フェノトリンローション
フェノトリンローションは首から下の全身に塗布して使用します。1週間に2回使用し、成虫と幼虫、卵から孵化したダニを死滅させるためです。有効性も高く、比較的安全性も高いので、子供や妊婦にも使用禁止されていないのです。1週ごとに検査をして経過観察を行うと尚いいです。
イオウ剤
皮膚の代謝を促し、ヒゼンダニの増殖を抑える効果があります。他の薬剤に比べると、効果が弱いのが悩みの種です。しかし、弱い反面妊婦や幼児に使用できるメリットにもなっています。ワセリンを混ぜた軟膏タイプが用いられます。
安息香酸ベンジル
オイラックスよりも殺菌効果の強いローションです。塗布後、24時間以内に洗い流す必要があります。協力である分、妊婦や幼児に使用する際は注意が必要になってくるので、医師の相談を行うといいです。
イベルメクチン
イベルメクチンは空腹時に内服する治療薬です。角化型疥癬のような重症例にも1,2回の内服で効果が表れる強力な治療薬になっています。強力である分、副作用も考えないといけないので、患者の状態を把握し、医師との相談を行った上で使用する必要があります。
市販のものにはどういったものがあるの?
クロトラックスクリームやオイラックスといったものがあり、インターネットなどでも安価で簡単に購入できます。
治療薬の副作用ってどういったものがあるの?
疥癬に使用される治療薬には副作用があります。
疥癬に対する治療薬だけでなく、どの薬にも副作用というものは切り離せない存在でそれらを踏まえた上で市販の治療薬を購入したり、医師が処方したりするのです。免疫力が低下している人が使用しない方がいいものもあるので尚更考えていかないといけないのです。
それらを踏まえて、主なものを紹介させて頂きます。
オイラックス
オイラックスの副作用として、皮膚がひりひりする、かぶれや発疹といったものがあります。場合によっては頭痛や目の痛み、吐き気といった症状が出ることがあります。
フェノトリンローション
フェノトリンローションの副作用として、ひりひりする感じ、しびれ感、熱感や痒み、肝機能障害、血小板の増加といった症状があります。
イオウ剤
イオウ剤の副作用として、発赤や痒み、皮膚がガサガサになるといった症状がありますが、外用薬のため、起きることが少ないです。
安息香酸ベンジル
安息香酸ベンジルの副作用として、軽度の炎症や中枢神経障害といったものがあります。
イベルメクチン
イベルメクチンの副作用として、下痢、便秘、腹痛、めまい、貧血、蕁麻疹、痒みが強くなる、肝機能障害、中毒性表皮壊死症といったものがあります。
疥癬の治療期間
疥癬の治療期間を通常の疥癬の場合と角化型疥癬の場合に分けて説明させて頂きます。
通常の疥癬の場合
通常の疥癬の場合、治療開始から2週間程度で症状が治まり、3週~1か月で完治できると言われています。その後は3か月ほど皮膚の状態を観察する必要があります。
角化型疥癬の場合
角化型疥癬の場合、治療開始から2か月程かかると言われています。その後、6か月ほど皮膚の状態を観察する必要があります。
疥癬の予防法
疥癬の予防法を説明させて頂きます。
衣類・シーツ
衣類・シーツは毎日交換して50℃以上のお湯に10分以上浸した後に洗濯を行います。
寝具
マットなどを掃除機で丁寧に掃除していきます。
入浴
毎日行います。
掃除
居室を掃除機で丁寧に行う必要があります。
殺虫剤
治療開始時と終了後に散布する必要があります。
隔離
発症したら行う必要が出てきます。特に角化型疥癬の場合はすぐに感染してしまいます。
まとめ
疥癬はヒゼンダニというダニに寄生する病気で感染する恐れのある病気です。普段から衛生状態をしっかりすることと症状からどのタイプの疥癬なのかを知って治療や感染が広がらないようにすることが大切です。治療した際も症状が治まったりしても皮膚の状態を観察して完治したかどうかを判断する必要があります。
この記事を読んで、疥癬はどんな症状があるのか、発症してもどういう対処をしたらいいか少しでも理解出来たら幸いです。