耳の後ろのしこりの原因とは?痛くないの病気もある?

耳の後ろに、コブのようなふくらみができることがあります。大きさは大小色々あり、柔らかいものもあれば、硬いものもあります。色も白っぽいもの、赤くなっているものとがあり、ちょっと気になります。

これは、ほぼ良性のもので、粉瘤と呼ばれます。他にもおたふく風邪、リンパ腺の腫れなどが原因で膨らむことがあります。さて今回は耳の後ろに出来るしこりについてお伝えしましょう。

粉瘤(ふんりゅう)

耳1

耳の後ろにできるしこりは「粉瘤」である可能性があります。

粉瘤とは?

これは、にきびのようなもので、そのほとんどが中に脂肪が固まって出来ています。人の表面の皮を表皮といいますが、内部にその表皮が袋状になり、表皮が細胞分裂を繰り返し垢となったものがその袋状になったところに溜まります。それが粉瘤なのですが、その袋は皮膚の下の毛穴の一部といわれています。

人間の身体は、不要物があると体外に出すように出来ていますが、外に出切れなくて、排出されず体内に溜まったことと考えられます。

そして、その粉瘤のできる場所も、いろいろです。できやすい場所は、耳の後ろですが、耳たぶ、お尻、背中、脇の下などで、大きさもまちまちです。そして、先天性の傾向もあるようで、よく粉瘤が出る人は、他の場所で膨らんだり、似たような箇所にも再び膨らむということが多いようです。

大きさは、肩、背中などではかなり大きくなるケースも多く、おできみたいな形で盛り上がり、炎症を起こして痛みを感じ、初めて気づくケースもあります。

これら粉瘤は、まったく問題のないできもので、いわゆる良性の腫瘍です。ただ、放っておいてもなくなりません。この放っておいてもなくならないのが特徴で、小さいものなら気にならずにそのままにしておいてもかまいませんが、徐々に大きくなるので、適度なタイミングで処置した方がいいでしょう。

治療法

飲み薬などで排除できますが、大き目のものは切開手術をします。なかの不老物などの塊をとるだけなのですが、場合によっては麻酔もかけずに行うことで多少痛いかと思われます。

これは、基本的に皮膚科での処置になりますが、整形外科でもかまわないでしょう。また、小さめなら、自分でつぶすこともできますが、この場合、中から白い脂肪が血とともに出てきます。ただつぶした場合、衛生的に充分注意しないと、ばい菌などが入ってしまい、化膿することもあります。

中に入っているものは、脂肪の塊でかなり硬いものが溜まっています。それは、長い年月かけてそこに溜まりこんだものと考えられます。この中のものを摘出した後は、針で傷口を縫うこともあります。この手術の際に脂肪を取り囲んだ袋も一緒に摘出しないと、再発する可能性が高いとのことです。つまり、中の脂肪のみを摘出するのではなく、脂肪の回りを包んでいる袋状のものも摘出する必要があります。

また粉瘤をよく見ると、へそと呼ばれる黒い点の部分が見えます。ここは通常、微妙に隙間があり、稀に白い内容物が出ていることもあります。特に内部が化膿している場合などは、赤くはれ上がってきます。この炎症を起こし化膿している場合は特に臭いもきつくなります。

リンパ節炎

のど 痛み

リンパ節炎により、耳の後ろにしこりが出来ている可能性があります。

リンパ節炎とは?

耳の回りにリンパ腺という、体液が流れる腺が通っています。リンパ腺が合流しているところが、リンパ節と言って、流れてきている老廃物をろ過する仕組みになっています。

そのリンパ節に不老物が流れ込み、菌が繁殖した場合、菌などの排除のために戦います。そのような場合はその場所が炎症をおこしています。その際、多少の痛みや、熱も帯びることがあります。

また、リンパの流れが悪い時も炎症を起こしやすいようです。そういった時は、多少の生活習慣が乱れていたり、風邪を引いた直後や体力を消耗した後で、免疫力が落ちている時になりやすいものです。この場合の耳の後ろにしこりには、炎症して腫れているような状態になっていることもあると解釈したほうがいいかと思います。

治療法

リンパ節が炎症をおこしていることなので、この治療はほとんどが抗生物質などの薬で解決します。痛みや、熱がある場合には、早めに医師の診断を受けることをお進めます。これは注意しないといけませんが、耳鼻科に行かなければなりません。先ほどの粉瘤は、整形外科か皮膚科ですが、こちらは耳鼻科です。この点も注意しましょう。

耳下腺腫瘍

耳管開放症

耳下腺腫瘍により、しこりが出来ている場合もあります。

耳下腺腫瘍とは?

ちょうど耳の下にあるのが耳下腺で、ここに腫瘍ができてしまうものです。これも目立つぐらいの大きさに膨らみます。この耳下腺は神経にも近く接近しているため、悪化して進行してしまうと、顔面神経痛などの症状を引き起こします。

その腫瘍ですが、良性もそくは悪性のどちらかの可能性があり、粉瘤か耳下腺腫瘍か判断が付きにくいものとして早急な対応が必要と思われます。一般的に粉瘤はへそのような、黒い点が中心部にあり、耳下腺腫瘍はそれがない傾向があるようです。

なお、この耳下腺腫瘍は治療は結構難しいといわれ、主に手術で摘出することになります。これも信頼できる医師の診断を仰ぐことが必要となりますが、手術が終わっても後遺症としての顔面神経痛などが懸念されます。こちらは耳鼻咽喉科もしくは内科での受診となります。

治療法

難度の高い手術での摘出となります。あまり例がないようですが、治療には注意が必要です。特に副作用の影響を受けてしまうと、厄介なことになります。この副作用が起こりうる可能性としては、耳下腺のそばに表情を動かす神経がたくさん通っているからです。

最近では医療の技術も進歩していますので、滅多に事故は起きにくくなっていますが、以前は多少の例が報告されています。

肉芽

聞き慣れませんが、肉芽によりしこりが発生することがあります。

肉芽とは?

これも皮膚の一種が固まってできるものです。それとできる場合は、ピアスの穴がピアスと合わない場合です。合わないというのは、特に金属アレルギーを持っている人などです。

これも粉瘤と一緒で、ピアスをつけると、敏感な皮膚の人はそれを外から入ってきた菌などと認識して、それを排出しようとします。これは、粉瘤と一緒の原理です。

ところが、金属からなっているピアスは排除できません。そこで皮膚及びその近辺の細胞は、排除しない代わりにその部分を孤立させようとします。そのためにできるのが細胞のかたまりで、これを肉芽と呼びます。

つまり内部へと外部の侵入するものを防ぐための壁みたいなものを作り上げるわけです。人の体というのは、非常に敏感にできているものです。

治療法

金属系のピアスが合わないためにできるケースがほとんどなので、ピアスを変えれば、ほとんどが自然になくなります。また、ピアスの材質を変えるのも一つの方法です。

耳に接触するところが樹脂系のものがいいと思います。ですが、それでもなくならない時は、ピアスをやめて穴を塞ぐとか、皮膚科に相談してそのかたまりを小さくしてもらう注射をしてもらう方法があります。

いずれにせよ、人工的な力が耳たぶに加わっているので、それは何らかの形で影響がでるのはやむを得ないところかもしれません。

おたふく風邪

おたふく風邪を患ったばあいも、耳の後ろにしこりが出来る場合があります。

おたふく風邪とは?

ちょうど耳の後ろ側に耳下腺が通っており、ここにおたふく風邪の菌が入り込み相当な腫れになってしまうことです。その腫れ方がおたふくのような状態になることから「おたふく風邪」と呼ばれています。

正式には流行性耳下腺炎といいます。耳の後ろから、顎の両サイドにかけて腫れあがるもので、口が開けづらい状態になり、ものを食べるのも大変な状況になります。そして、普通にしていても痛みが出ます。

この耳後ろの腫れですが、通常は左右両方が腫れるのですが、最初に左で、おさまったころに右が腫れるケースや、片方しか腫れなかったというケースもあります。ですから、治ったと思っても、注意が必要と思われます。

治療法

風邪ですから、薬の服用と自宅で養生することが必要かと思われます。麻疹ウィルスが原因によるもので、非常に感染力が強く、唾や飛沫で人に移ります。学校や職場などでは他の人に移さないようにすることが必要になるかと思われますので、登校や出勤は禁止されることがほとんどです。

特に治りかけの時が一番移りやすく、回りの人も注意が必要で、主に子どもがかかることがほとんどですが、まれに大人の人がかかる場合もあります。大人がかかる場合は、症状がかなりひどくなります。発熱、痛みと長引くことも考えられ、場合によっては入院の可能性が出てきますので、早めの対処が必要かと思われます。

それと特に大人の男性は、子供ができなくなとも言われていますが、これはほとんどないとのことです。発熱により無精子になってしまうということらしいのですが、38度の熱がそれこそ何日も続くときは、その可能性があります。ですが、ほんの2~3日程度の高熱では、そこまでにならないようです。そういうことでは、重症を避けるために大人の人は、おたふく風邪が流行っている時は、かからないように予防接種をするのもいいかもしれません。

それと、おたふく風邪は一回かかるとその免疫ができて、二度目はないとされていますが、中には一度目が軽い症状の場合、二度かかるケースもあるといいます。おそらくそれは、完治したと思われたけれども、菌がまだ残っていて、身体の免疫が弱まったころに再びかかったということかと思われます。まれに、多少の熱だけで治ってしまうこともあります。この場合、耳の後ろも腫れないので、本人はおたふく風邪と気づかないケースもあります。

まとめ

いかがでしたか。耳の後ろにできやすい理由、かたまりの中身がなんなのか、対処法はどうするのか、お分かりになったかと思います。意外にも悪性のものは少なく、ですが放っておくと無くならないばかりか、大ききなってしまうのには驚きですね。

特に粉瘤の場合は、取り出さないといけないとのことですが、成長しない粉瘤もありますから、気付かずに耳近辺や、首辺りをよく探してみると見つかるかもしれません。

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