運動中や運動した後、急に頭が痛くなって困ったという経験はありませんか?
運動は健康のために良いはずなのになぜでしょう。予兆もなく急に頭が痛むため、大きな病気のサインじゃないのかと不安に思ってしまいますよね。
でも安心して下さい!実はこれは『労作性頭痛』といって、運動などの特定の動作をきっかけに起こる頭痛なのです。偏頭痛と同じように、他の病気をともなったものではないため、心配する必要はありません。
『労作性頭痛』なんて聞いたことのない方がほとんどですよね。一体どのような頭痛なのでしょうか? その原因と症状、解消法などについてご紹介していきます。
この記事の目次
運動すると起こる頭痛『労作性頭痛』
運動している最中、もしくは運動した後に起こる頭痛を『労作性頭痛』といいます。
頭痛は大きく分けて『一次性頭痛』と『二次性頭痛』の2つのタイプがあります。
- 『一次性頭痛』…偏頭痛や緊張性頭痛など、他の病気をともなわない頭痛。
- 『二次性頭痛』…くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍などの病気が原因で起こる頭痛。
『労作性頭痛』はこのうちの『一次性頭痛』にあてはまります。『労作性頭痛』は『良性労作性頭痛』とも呼ばれるように、他の病気をともなった頭痛ではないので、心配しなくても大丈夫です。
ただし、同じく運動中、運動後に起こった頭痛とはいえ、次のような場合にあてはまる場合は『労作性頭痛』ではなく、命の危険性がある『二次性頭痛』の可能性がありますので、すぐに病院へ行きましょう!
- 痛みがどんどん強くなり、鎮痛剤が効かないほど激しい頭痛。
- 手足の痺れやけいれん、嘔吐、ろれつが回らないなど、頭痛以外の症状がある場合。
- 50歳以降に初めて経験したタイプの頭痛
『労作性頭痛』の症状
運動など特定の動作をした時に起こる『労作性頭痛』の症状にはいくつかの特徴があります。紹介していきましょう。
痛み方
『労作性頭痛』は運動などの特定の動作をすると、すぐに発症するのではなく、運動してから6時間ぐらい経ってから痛くなったり、翌日の朝、急に痛くなったりと、人によって時間差があります。
痛み方は少し緊張性頭痛に似ていて、偏頭痛のように頭の片側がズキンズキンと脈打つように痛むのではなく、頭の両側か後頭部、もしくは頭全体がズーン、あるいはグワングワンと重苦しく鈍い痛みが襲います。
痛みが続く時間
痛みが続く時間は、他の『一次性頭痛』に比べて短く、大体5~10分程度、長くとも1時間くらいで自然に治りますが、まれに2日ぐらい続いてしまう場合があります。
また『労作性頭痛』は発症すると、一生つき合わなくてはならない頭痛ではありません。個人差もありますが、およそ2~3か月の間、原因となる運動などの特定の動作を続けているうちに、体が慣れてきていつの間にか頭痛がしなくなったという方がほとんどです。
『労作性頭痛』のメカニズム
では『労作性頭痛』はなぜ起こるのでしょうか。あらかじめ正直にお話ししておきますと、『労作性頭痛』の確固たるメカニズムはまだわかっていません。今のところ考えられているのが以下の通りです。
- 運動によって酸欠状態になるため、血流量を増やそうと脳の血管が拡張して、周りにある神経を刺激するためではないか。
- 運動によって脳の周りにある髄液の圧力が上昇するために起こるのではないだろうか。
- 頭蓋骨の周りにある筋肉が運動などによって痛むためではないか。
こういった状況は、運動など特定の動作をしたことよって起こるのですが、具体的にどんな動作なのでしょうか。『労作性頭痛』の原因となる動作にはどんなものがあるのかみていきましょう。
『労作性頭痛』の原因となる動作
一般的に『労作性頭痛』は運動によって起こると言われていますが、運動以外の動作が原因となることもあります。
激しいスポーツ
ランニングや水泳、サッカー、ラグビー、ジムでの筋力トレーニングなど、呼吸が乱れるほど激しいスポーツをした時に『労作性頭痛』が起こる場合があります。
特に水泳は水の中でのスポーツなので、酸素が不足するために『労作性頭痛』になりやすいと言われています。
力仕事
重い物を持ち上げたり、遠い場所まで運んだり、慣れない力仕事を無理をしてすると『労作性頭痛』になりやすいそうです。
セックス
かなりの体力を消耗するので激しい運動の一つといえるでしょう。女性より男性のほうが行為中に『労作性頭痛』に襲われるケースが多いようです。
咳やくしゃみ
当然のことながら、咳やくしゃみは運動ではありませんが、咳やくしゃみによる筋肉の動きも脳は運動とみなすため、『労作性頭痛』の原因となる場合があります。咳による頭痛を『良性咳嗽(がいそう)性頭痛』とも言います。
『労作性頭痛』の対処法
さて、実際に『労作性頭痛』になってしまったら、どのようにしたらよいのでしょうか。
『労作性頭痛』の痛みはそれほど長くは続かないので、すぐに運動などの特定の動作をやめて安静にすることが大切です。横になれない場合は座ってじっとしていて下さい。しばらくすると、自然と痛みは治まっていきます。
『労作性頭痛』の解消法
痛みは長く続かないと言っても、頭痛はつらいですし、できることなら避けたいですよね。『労作性頭痛』の痛みを和らげるにはどうしたらよいのでしょうか。考えてみました。
薬を飲む
『労作性頭痛』になった時、よく処方されるのが、頭痛を予防してくれるインドメタシンという薬です。運動する30分~2時間前に飲んでおくと、痛みを和らげることができます。
また痛みを解消してくれるといえば鎮痛剤ですが、この鎮痛剤に抵抗を感じる方は少なくないと思います。しかし、『労作性頭痛』は一生続く頭痛ではないので、痛みが続く期間だけ鎮痛剤を服用するのも悪くないのではないでしょうか。好きな運動を我慢するのも、痛みに耐えながら無理して運動するのも苦しいですよね。
運動の制限
『労作性頭痛』は動かなければ起こりません。出来るのであれば、原因となる運動などの特定の動作をするのを控えるのが一番です。一般的に『労作性頭痛』は長期間続く頭痛ではないと言われています。頭痛が治るまでの期間、原因となる運動や力仕事をしないようにしてはいかがでしょうか。
仕事の場合は、そういう訳にはいかないかもしれませんが、ご自分の病状を話し、しばらくの間だけでも仕事内容を変えてもらうのもよいかもしれません。
運動に慣れる
『労作性頭痛』の原因となる運動などの特定の動作に慣れてしまいましょう。荒療治に思えるかもしれませんが、『労作性頭痛』を何度も経験していくうちに、ご自分の『労作性頭痛』のパターンがわかってくるかと思います。
どんな運動や動作をすると頭が痛くなるのか、どのくらい続けていると発症するのかを把握できましたら、そうなる前に運動などの特定の動作を中断するようにしましょう。
スポーツや力仕事によって『労作性頭痛』になってしまう方の場合は、動作を途中でやめてしまうと「怠けている」とか「さぼっている」ように見られるかもしれません。誤解されないためにも、あらかじめ周りの方に、きちんとご自分の病状を伝えて理解して頂くとよいでしょう。
ここまで『労作性頭痛』の解消法についてご紹介しましたが、お役に立ちましたでしょうか?確実な治療法がない『労作性頭痛』は発症した場合、いつかは治る頭痛だと諦めて、上手につき合っていくことが痛みを乗り越える近道なのかもしれませんね。
ただ、頭の痛みが長期にわたって続いたり、痛みが激しくなるようでしたら、すみやかに病院へ行き、検査するようにして下さい。
さて、運動している最中、もしくは運動した後に起こる頭痛は『労作性頭痛』の他にも原因があるのです。お話ししていきましょう。
『労作性頭痛』以外に頭痛が起こる原因
運動などの特定の動作が原因で起こる『労作性頭痛』以外にも、水分不足や低血糖になると、運動中や運動後に頭が痛くなることがあります。
水分不足
運動している時、水分が足りなくなると頭痛が起こる場合があります。特に暑い中でスポーツや力仕事をすると脱水症状になりがちです。こまめに水分を補給して頭痛を予防しましょう。
低血糖
空腹のまま運動や力仕事を始めると、低血糖になり頭痛がすることがあります。運動や力仕事の前に軽く食事をして低血糖にならないようにこころがけましょう。また体を動かした後は低血糖になりやすいので、運動や力仕事が終わった後にも糖分を摂るとよいでしょう。疲労回復にもつながります。
ところで『偏頭痛』に悩まされている方は『労作性頭痛』にもなりやすいそうです。同じメカニズムで発症するからでしょうか。ということは、『労作性頭痛』を予防するためには、普段から頭痛持ちにならないようにすることも大切になります。そこで最後に一般的な頭痛の予防法を付け加えておきましょう。
頭痛の予防法
- ストレスや疲れをためこまない。
- 寝不足、寝過ぎをしない。
- 空腹時は頭痛になりやすいので、食事はしっかりとる。
- 赤ワインやチョコレートなど血管拡張作用のあるポリフェノールを多く含む食品を控える。
- 貧血にならないよう鉄分を多く含む食品を摂る。
まとめ
運動した後に起こる頭痛、『労作性頭痛』について原因や解消法などについて解説してまいりました。
『労作性頭痛』はマイナーな頭痛ですし、突然頭痛がすると、くも膜下出血や脳出血の前兆じゃないかと不安になりますよね。しかし、そういった他の病気をともなう二次性頭痛であるケースはごくまれで、およそ9割は心配のない一次性頭痛だということですから、過剰に心配しなくても大丈夫なようです。
『労作性頭痛』は慣れない運動をした時に起こるのがほとんどです。痛みに耐えるのは大変ですが、『労作性頭痛』は、自分の体力の限界にチャレンジした時に生じる痛みだと考えてみてはいかがでしょうか。つまり『労作性頭痛』は次のステップに進むために必要な『成長痛』なのです。乗り越えれば、たくましく成長した自分に出会えるはずです。頑張って下さい!
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