co2ナルコーシスという言葉はあまり耳にした事が無い人がほとんどだと思います。病名を見ただけでもどんな病気なのか、まったく予想出来ませんよね。
この病気になる人のほとんどは肺の基礎疾患からco2ナルコーシスを患います。その原因から症状まで詳しく説明していきます。
co2ナルコーシス
CO2ナルコーシスについて紹介します。
co2ナルコーシスとはどんな病気なの?
co2ナルコーシスとは急激な高炭酸ガス血症により、中枢神経や呼吸中枢が抑制され、中枢神経障害や意識障害が発生してしまう病気です。症状が重くなると自力で呼吸する事が困難になる非常に難しい病気です。「ナルコーシス」とは「昏睡状態」という意味を持つ言葉です。
高炭酸ガス血症とは、二酸化炭素の排出が思うようにいかず、動脈血中の二酸化炭素の濃度が増加した状態の事を言います。症状としては「頭痛」「めまい」「発汗」「錯乱」「高血圧」があり、これが悪化する事によりco2ナルコーシスを引き起こします。
症状
主な症状としては、高炭酸ガス血症による中枢神経の圧迫やCO2の血管が拡張されてしまう作用により頭痛が起きます。
その他にも「発汗」「痙攣」「傾眠」「意識障害」「昏睡状態」「自発呼吸が出来なくなる」といった症状が現れます。
原因
このco2ナルコーシスは、慢性的な肺疾患(肺気腫や気管支炎)や気管支喘息や結核による酸素不足、体内のCO2の増加によって起こる病気です。
本来は呼吸によって酸素を取り入れCO2を体外に排出するようになっていますが、呼吸する肺の機能が弱まったり、容量を超えたCO2が体内に大量に溜まってしまうと呼吸中枢や神経中枢を抑制してしまうので、呼吸困難になってしまうのです。この病気は基本的に基礎疾患が無いと発症しない病気です。何も疾患が無く発症することはごく稀です。
CO2ナルコーシスを引き起こす基礎疾患
ではco2ナルコーシスを引き起こす基礎疾患を確認してみましょう。
肺気腫
肺気腫(はいきしゅ)とは、気管支の先端にある「肺胞」という部分が何等かの原因により破壊されてしまう病気です。この肺胞が壊れてしまうと息を吸う機能や吐く機能が低下してしまい、体内に必要な酸素がうまく循環させられなくなってしまう病気です。
――症状――
症状としては、まず息切れが激しくなります。生活であまり苦にならなかったちょっとした運動でも息が上がります。
例えば、階段を上る時・数メートル走った時・普通に歩いている時・しばらく立っていた時が挙げられます。今までこんな事で息上がっていたっけ?と思う人は要注意です。最近運動していないせいだ、と間違って思い込んでしまう人も多いので気を付けて下さい。
更に症状が進行していくと、体を動かさなくても息が苦しくなってしまい肺のあたりがゼーゼーする感覚になります。ここに来ておかしいと気付く人がほとんどです。
――原因――
肺気腫は「タバコ病」とも言われており、主な原因は喫煙にあります。肺気腫になる人の8割は喫煙している人ですが、喫煙者の2割程しか肺気腫になっていないので、喫煙にプラスして遺伝子要素が重なり発症すると考えられています。
壊れた肺胞を元に戻すという事は難しいので、以下の療法がとられます。
- 禁煙対策
- 感染予防、気道の浄化
- 気管支拡張剤投与
- サプリメントでの栄養補給
- 腹式呼吸の強化運動
詳しくは、肺気腫の生存率はどのくらい?原因や治療方法を紹介!を参考にしてください。
慢性気管支炎
慢性気管支炎とは、気管支が炎症を起こし、咳や痰といった症状を繰り返し起こしてしまう病気です。この症状が3か月以上続くようなら気管支炎、2年以上続くようなら慢性気管支炎と呼びます。
――症状――
咳と痰が日常的に起こります。特に起床時に咳と一緒に粘液性の痰がいつもより多くなります。症状が悪化してくると呼吸困難になり息切れを起こします。
――原因――
主な原因は明らかにされていませんが、長期の喫煙、自分が喫煙していなくても受動喫煙や排気ガス、大気汚染によって起こると考えられています。他にもアレルギー体質による咳や痰の症状でも気管支炎と診断される事もあります。それに肺気腫を患っている人の気管支炎率が高いです。
気管支炎については、気管支炎はうつるの?症状や原因を知っておこう!を読んでおきましょう。
気管支喘息
喘息になっている人は症状が出ていなくても、一般的な人に比べ気道が狭くなっており空気が通りにくい状態にあります。狭くなった気道は、普段のホコリやタバコの煙などにとても敏感で、発作が起きてしまいます。
――症状――
主な症状は咳や痰です。人によって症状が様々あり、息苦しい感じゼーゼーやヒューヒューと空気が抜けるような感覚もあります。他にも胸の辺りが痛んだり喉に違和感を感じるのも喘息の症状です。就寝中や起床時に症状が悪化するので、眠る事が困難になったり不眠症になる人もいます。
――原因――
喘息を引き起こす原因は色々あります。ダニ・ほこり・カビ・花粉などアレルギー反応によって引き起こされる物や、風邪・タバコの煙・ストレス・天候などアレルギー反応以外によっても引き起こされます。
結核
結核菌を体内に吸い込むことにより起こる空気感染での感染症です。結核菌を保有している人からの咳・くしゃみ・唾に触れることで感染します。
結核は感染してもすぐ発病するというわけではありません。感染した人のうち10~20パーセントの人が発病しています。その中で感染から1年以内に発病する人は半数で、感染しても発病しない人が80パーセントもいるのです。ですので、知らないうちに感染しているという事が有り得るのが怖いところです。
結核はHIVの次に死者の多い感染症で2013年には900万人もの人が発症し150万人が死亡しています。結核は臓器、リンパ、粘膜に感染しますが、ここでは肺結核について説明していきます。
感染してから発病するまでの経緯を説明します。結核菌は気道を通って肺胞に行きます。肺胞には肺胞マクロファージという細胞がいて、結核菌を細胞内に取り込むことにより殺菌する働きを持っています。
しかし結核菌が肺胞マクロファージ細胞には殺菌出来ないほど強い物だと、肺胞マクロファージ細胞内で増殖してしまい巣を作ってしまうのです。この肺胞マクロファージがリンパに流れリンパ節にいってしまうと、結核性リンパ節炎になります。
肺胞マクロファージが結核菌を殺菌する事ができれば、結核菌を封じ込ませる事が出来ますが一部は生きており、増殖はしないものの体の中に潜伏している形になり休止菌と呼びます。この状態では薬などの治療をしてもまったく効果が無いのが結核の怖いところです。体内に結核菌がいる状態で免疫力が下がると、結核菌が増殖し発病してしまいます。
――症状――
初期症状は全身の倦怠感、食欲不振、体重の減少、37度前後の微熱、多汗などが見られます。症状が悪化していくと吐血などもあります。
――原因――
結核菌が体内に入ることによって引き起こされる感染症です。
以下の人がなりやすいと言われています。
- 授乳時期の赤ちゃん
- 思春期の子供
- 糖尿病や人工透析をしている人
- HIVに感染している人
- 喫煙している人
- BCGを受けていない人
- 家族に結核感染者がいる人
- 医療関係で働いている人(患者に接する為)
――予防――
結核は予防する事が大事になります。それは感染しないようにする事も勿論ですが、感染後の発病前の予防もです。感染予防としては定期的に健康診断を受診する事です。日常ではマスクを着用し、室内の換気を心がけるようにしましょう。
発病前の予防はBCGワクチンの接種を幼少期に必ず受ける事です。人工的に免疫を作り、感染したとしても症状が悪化するのを防いでくれます。他に感染が分かってから受ける物として、結核の治療薬を6か月ほど服用する化学予防があります。
感染したとわかっているようなら体の免疫力を下げないように日々心がける必要があります。規則正しい生活を送れるように、十分睡眠を取り、軽い運動をし体力を下げないようにしましょう。
co2ナルコーシスの治療
基礎疾患もわかったところでco2ナルコーシスの治療について説明していきます。
まずはco2ナルコーシスを引き起こしている基礎疾患を治療する事が大事です。それから以下の治療を一緒に行います。
低濃度・低流量酸素投与
呼吸不全を起こしている場合は、日常的に高炭酸ガス血症になっているので呼吸中枢の二酸化炭素への反応が低下しているので、酸素投与を行う必要があります。
人工呼吸器管理
意識障害が重度の場合や呼吸停止の可能性がある場合は、すぐさま器官挿管を行い人工呼吸を行う必要があります。その際急激にCO2が低下してしてまうので、血圧が低下してしまったり痙攣や不整脈を引き起こすので注意が必要になります。
人工呼吸管理
意識障害が軽い場合は専用のマスクを顔や鼻に装着して人工呼吸を行います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?co2ナルコーシスは「肺気腫」「慢性気管支炎」「気管支喘息」「結核」などの基礎疾患から引き起こされる病気という事がわかって頂けたでしょうか。そして昏睡状態に陥るとても怖い病気です。
二酸化炭素を体内に溜まらないようにする事が一番ですが、まずは基礎疾患について見直し発生しないように務める事が大事になります。そしてどの疾患にもタバコが原因という共通点があります。
肺の機能を低下させ病気の発生率を高める作用がとても強いので、現在喫煙している人は今からでも遅く無いのでよく考えてみて下さい。この記事が皆さんの役に立つと幸いです。
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