妊娠期間中の10ヶ月はたとえ安定期の時期であっても、何が起きるかわからないものです。妊娠初期のつわりや不安定な状態が落ち着いて安定期に入り、体調も安心したマタニティライフを送っていても、検診で、急に早産の危険性の注意を受ける事態になる事も考えられます。
医師から切迫早産の診断を受けると、状態によってはそのまま入院になる事もあります。ここでは、切迫早産で入院になった場合の期間や費用等、もしもの時の為に知っておくと安心な情報をまとめてみました。
切迫早産とは?
妊娠週数22週~37週未満の間に赤ちゃんが産まれると早産になります。切迫早産とは、早産になりかかっている状態の事をいいます。母体の状態が子宮が開いていたり、子宮の収縮が頻繁に起こったりすると、赤ちゃんが出てきやすい状態になってしまいます。このような状態や、破水が起きてしまった時には早産の危険性が高い為、切迫早産の診断を受ける事になります。
症状が軽い場合には、医師からの指示を受けながら自宅で安静にして、薬による治療で済む事もありますが、状態によっては診察後にそのまま入院になる場合もあります。早産を防ぐ為にも、症状にあった適切な処置が必要になります。
切迫早産になる原因とは?
切迫早産になる原因としては様々な要因が考えれますが、主な原因として、以下のようなものがあります。
絨毛膜羊膜炎
絨毛膜羊膜炎になると、細菌感染によって子宮頚管や卵膜が炎症を起こし、進行すると子宮収縮や破水も引き起こしてしまいます。
子宮頸管無力症
子宮頸管無力症は、体質的な問題で起きる症状だといわれています。子宮口は、通常はしっかりと閉じて赤ちゃんを支えていますが、陣痛が始まると、子宮の収縮により子宮口が開いてきます。子宮頸管無力症は、陣痛が起きていないのに、子宮口が開きかけてしまう状態になります。
子宮筋腫や子宮奇形
子宮筋腫や子宮奇形があると、子宮筋腫の位置や大きさ、子宮の形の先天的な異常が原因となり、子宮内の血流障害が起きて子宮収縮を引き起こす原因になります。
多胎妊娠
多胎妊娠の場合は、母体に掛かる負担も多くなる為、子宮収縮が起きやすくなったり様々なリスクが高くなります。
過度のストレス
過度のストレスや疲労の蓄積などが原因となり、子宮収縮が起こりやすくなる事もあります。
切迫早産の兆候とは?
妊娠後期や体質的なもので、お腹が張りやすい場合もありますが、横になっても治まらなかったり、普段とは違う症状だと感じた時は切迫早産の可能性も考え、すぐに受診するようにしましょう。
下腹部痛
横になって安静にしても痛みが治らない時は、子宮収縮が原因となる痛みの可能性があるので、受診するようにしましょう。
お腹の張り
妊娠後期はお腹が張る事も多くなりますが、いつもと違うお腹の張り方だったり、規則的にお腹が張る時には、受診するようにしましょう。
不正出血
おりものに混ざる程度で他に自覚症状がない場合は、様子を見てもいいでしょう。しかし、自己判断が難しい時は、念の為にも受診するようにしましょう。
破水
破水が起きてしまうと胎内に雑菌が入りやすくなる為、早期の治療が必要になります。病院に破水した事を連絡して、早急に受診する必要があります。
切迫早産入院中の治療は?
軽い症状の場合には、薬による治療と自宅安静で様子を見る事もあります。しかし、症状が強かったり破水している場合には、入院して安静治療を行う事になります。症状や状態によって行われる治療は変わりますが、切迫早産の時に行われる様々な治療をまとめました。
点滴による治療
お腹の張りを抑える為に、子宮筋弛緩剤の点滴を投与しながらベッドで安静にするように指示を受けます。点滴を行う期間は、症状や状態によって異なります。
安静にする
自宅であっても、入院であっても、切迫早産の一番の治療は安静です。症状が強い場合は絶対安静入院になり、ベッド上で横になる生活を基本として、トイレや食事等の最低限の動作以外は避けて、安静に過ごすように指示される場合もあります。
炎症や感染症の治療
炎症や感染症を抑える為に、膣洗浄や抗生剤を投与して治療を行う事もあります。行う回数や方法は、母体の症状や状態、病院によって違いがあります。
子宮口頸管縫縮術
子宮口の開きを抑える為に、子宮頚管を縛る手術を行います。手術自体は簡単な手術で、経過が良ければ、数日の入院で済む事もあります。子宮口頸管縫縮術には、以下のような方法があります。
◆シロッカー法
シロッカーテープで子宮頸管の粘膜下の結合組織を縛る方法です。この方法は、より子宮に近い内子宮を縛る事が出来るので、効果が高いといわれています。
◆マクドナルド法
子宮頚管の内部を外側から縫う方法です。シロッカー法よりも簡単に行えて、抜糸もしやすいのが特徴です。
切迫早産の入院期間や費用は?
切迫早産の状態によっても異なりますが、一般的な例として紹介します。
入院期間
子宮頚管縫縮術や、子宮収縮を抑える薬の投与で症状が治まる軽い症状の場合は、5~7日間程で退院出来る事もありますが、2~3ヶ月の入院が必要となる事も多く、妊娠週数37週を過ぎる正期産になるまで入院が必要とされる場合もあります。
入院費用
入院費用は、病院や部屋のタイプによって変わってきます。基本的には、医療費、食事代、差額ベッド代等が掛かります。
一般的には、一日15、000円~20、000円位かかるといわれていますが、病院や治療内容によっても、掛かる費用は変わってくるので、病院に確認してしておくようにしましょう。
高額療養費制度
切迫早産の入院は長期入院になる事も多く、その場合は入院費用も高額になります。高額療養費制度とは、入院費や治療費に上限が設けられている為、申請する事によって支払いの金額が限度額内で済むようになります。
ただし、差額ベッド代や食費は含まれません。支払の上限となる金額は、所得によって違いがあります。申請方法等も含めて、病院で詳しい説明を受けるようにしましょう。
民間の医療保険
民間の医療保険に加入されている場合は、加入されている保険プランによって、入院保険の金額が入院日数分支払われる事になります。
医療保険によって特約プラン等が異なる為、保険会社に確認するようにしましょう。
早産マーカーで早期発見を!
妊婦検診での子宮頚管の状態や子宮筋腫、子宮の形等の状態の診察で、ある程度の切迫早産のリスクを診断する事は出来ます。しかし、絨毛膜羊膜炎の場合は、診断された段階には、かなり進行している事が多く、その為早産になる可能性が高い要因だといわれています。
絨毛膜羊膜炎を早期に発見する事が出来る、早産マーカーという検査があります。早産マーカーで早期に発見する事で早期の治療が可能になり、切迫早産の危険リスクを減らす事が出来ます。
保険適用の検査なので、妊娠週数22週以降になったら、少しでも不安要素がある場合は検査を受けておく事をおすすめします。
まとめ
切迫早産で入院になった場合は、点滴と安静の毎日で、不安とストレスが募る日々になるかもしれません。入院期間が長くなればなる程、拘束される時間も長くなり、絶対安静入院の場合は更に我慢の日々になります。
妊娠期間中には様々なトラブルが起きる事もありますが、赤ちゃんとママのこれから先の人生を考えると、妊娠期間の10ヶ月はまだスタート地点です。妊娠期間中のママとお腹の赤ちゃんは、常に一緒に一喜一憂しています。ママが不安な時は、赤ちゃんも不安なはずです。そんな時は赤ちゃんに沢山話しかけて、お腹の中で一緒に頑張っている赤ちゃんを思って、乗り越えていきたいですね。
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