誰かと会ったときに、いつもと違う様子にびっくりしたりすることありませんか?急に暗くなった印象や言動がちょっと違うなど。そんな時は精神的な病に罹っているのかもしれません。精神病についてまとめてみました。
精神病とは?
一口に精神病といっても、その定義は様々で、診断する医者によっても違うことがあります。一般的な考えでの精神病には大きくわけて3つのタイプがあると言われています。
精神異常
いわゆる平均的な精神レベルを超えた状態を言います。平均でないということは、知能指数が桁外れに高い天才もいれば、認知症を患った痴呆の人、また知能指数の極端に低い人などもここに分類されます。
精神障害
精神状態が平均と比べて極端に偏っていたり、社会生活、日常生活の中で、その障害が社会的・教育的な対応や支援が必要な場合は精神障害といわれます。
精神疾患
精神障害の中で、医学的な治療が必要なもの。精神的に病に冒されている状態です。
また、精神病を患う理由として実に様々な要因があります。
- 生活習慣や家族、または社会的な環境が原因
- ストレスなどの心理的なことが原因
- 遺伝による体質や精神的、外傷や疾患による後遺症的なものが原因
またそれがいくつも重なり合ってる場合が多く、この理由と特定できないのが精神病の診断を難しくする一因でもあります。
精神病の種類とは?
大きく分けて3種類あります。
内因性精神障害
遺伝的性質や体質が原因と考えられるものです。
躁うつ病や統合失調症などが分類されます。原因がはっきりと特定できないことや環境的なものが原因にもなっているといわれています。
外因性(身体因性)精神障害
脳に異常があって発症したものやホルモンなどのバランスの崩れが原因となって発症したものです。
①症候性精神障害
内分泌の異常によって肝臓障害やその他内臓の障害を起こしそれによって発症する精神障害
②中毒性精神障害
麻薬依存症やアルコール依存症による精神疾患などが含まれます。
③脳器質性精神障害
脳炎の後遺症が原因で発症する精神障害
などがあげられます。
心因性精神障害
精神的なストレスや性格的な偏りなど、または環境などが原因で発症するものです。心身症やノイローゼなども含まれます。この原因によるものは他の2つに比べ比較的症状が軽く、改善しやすいのが特徴です。
代表的な精神病は?
では、代表的な精神病について紹介します。
統合失調症
以前は精神分裂症と言われてきた精神疾患です。
・症状
主に青年期に多く発症します。幻聴や被害妄想などの症状や考えがまとまらず、些細なことで大声を上げて興奮したりします。また反対に常に気力がなく、人と関わることを避けたり、無口になり、喜怒哀楽の感情が出てこなくなったりします。
統合失調症については、統合失調症の特徴を紹介!治療するために必要なことは?の記事を参考にしてください。
・対処法
特に症状が顕著に現れるときは薬物療法を中心に行います。慢性的に症状としてある場合はレクリエーション療法、芸術療法、作業療法などを中心に行います。
気分障害(感情障害)
①うつ病
うつ病はストレスの多い最近の社会では珍しくない病です。誰でもかかる可能性のある疾患と思っていたほうが良いでしょう。しかし早期発見で治療を開始することでほとんどの場合が良くなっています。
診断は、精神的に落ち込んで食欲が無くなったり、眠れなくなったりするようなことが一日中続き、改善しない。または、これまで興味のあったことに対して全く無関心になってしまったなどが1ヶ月程度続くとうつ病と診断されることが多いです。
・症状
朝起きたときから一日中嫌な気分は続き、今まで好きだったこと、興味のあったことがすべて無関心になります。また食欲もなくなり、美味しいと思えなくなります。また夜中に何度も目が覚め、眠れず、頭の働きもよくないのでボーっとしてしまうことが多くなります。本を読んでも内容が入ってこないので面白くなく、仕事や趣味、家事などもしなくてはいけないことが意欲がなく出来なくなります。何をしても気持ちが落ち着くことがないので、悪いほうに考えがちになります。役に立たない、ダメ人間などと思い始め、死にたくなってきます。このような症状が何日も何週間も続くのですから、本人はとても辛い思いをすることになります。
・原因
うつ病の主な原因は、ストレスといわれています。普通ストレスにさらされるとホルモンの作用によってストレス反応が抑えられます。うつ病になるとこの反応が出来なくなるのです。ストレスに対する強さ、弱さには個人的な差があるのでこれといった基準は無いのですが、遺伝的要因や育った環境なども原因といわれています。
・治療法
実はうつ病と診断されたら、回復には一番近い道のりです。ほとんどの場合が本人の自覚が無かったり、周りも具合が悪いだけと思っている場合が多いのです。うつ病は放って置くと重症になり、食事が出来ず栄養失調になったり、自殺願望が出てきたりします。少しでも異常を感じたら内科で見てもらって、異常なしとなったら精神科に受診しましょう。
抗うつ薬が処方されます。しかし効き目が出るまでに1、2週間かかるので、注意が必要です。また薬の副作用もありますので、よくお医者さんと相談してみてください。症状が重症の場合は入院の必要があります。修正電気けいれん療法という即効性のある治療法もあります。
また周囲の配慮も必要です。うつ病にかかる人には多くがもともと責任感が強かったり、しっかりした人が多いのが特徴です。そのような人が自信をなくしているときには優しく見守る姿勢が大切です。叱咤激励などは負担でしかないことを理解しましょう。
②双極性障害(躁うつ病)
うつの状態と躁の状態が両方でる疾患です。およそ100人に1人程度の発症率で、誰でもかかる可能性のあるうつ病とは少し違います。完治することは少なく、一生かけて気長に付き合っていく覚悟のいる症状です。きちんと対処していれば、日常生活を上手く送ることも可能です。
・症状
躁の状態とうつの状態が交互に、または一方が連続して現れます。
・躁の状態
爽快な気分で毎日が楽しくてしょうがないなどの精神状態になり、夜はほとんど寝なくても平気、疲れないなど活発な活動をします。早口になったり、言葉数が多くなったり、また面白いアイデアがわいてきたりするので周りからは積極性のあるすばらしい人との印象を持たれることが多いです。
しかし、あまり続かず、ちょっとしたことで怒りだす、気が散って集中できないなどの症状がでてきます。
・うつの状態
上記のうつ病のような症状が現れます。
・原因
遺伝的な体質から細胞内のカルシウム濃度調節に異変が起こり神経細胞の働きを妨げることだと考えられています。もともと体質的にこのような要素を持っていて、ストレスが直接的な原因として発症する人が多いようです。
・治療法
場合によってさまざまな薬が処方されます。
この双極性障害の特徴は、躁の状態だと誰も精神病を患っているとは思えないので、発見が遅れることです。本人の訴えがあれば別ですが、その本人も気がつかないことのほうが多いのが現実です。しかし放って置くと、家族や親しい人、または社会的信用を失いかねない病です。周囲が早めに気がついて対処するのが一番望ましいことです。
治療には多くが薬物療法が用いられますが、まずしっかりと話をすることや根気よく説得するなどの対話療法も進められます。またこの双極性障害では、再発予防が一番の治療になります。一生かけてゆっくりと治療するつもりでいましょう。
物質依存症
物質依存症について紹介します。
アルコール依存症
・症状
アルコールに対して精神的な依存があり、飲むと様々な社会的問題を起こしたりするものと、アルコールを飲まないと手の震えや動悸・息切れなどの身体に異常をきたすような症状がでて、アルコールを摂取すると治まる場合があります。
・原因
原因には、人間関係や社会的なストレスのほか、生活環境であったり、遺伝的な要素もあるのですが、飲酒の開始年齢も大きな要因となっています。アルコールを飲み始めるきっかけが単なる好奇心でもその年齢が早ければ早いほど、脳への依存度が増えるそうです。飲酒は適正な年齢を守るのがよいでしょう。
・治療法
徹底的な断酒です。個人で貫くのは難しい場合もあるので、社会的な組織に参加して多くの同じような病を持つ人と励ましあってすると出来るようです。また薬によって断酒をするということも出来ます。
社会不安障害
◆パニック症候群など
・症状
自分ではコントロールできないほどに不安やそれに伴う発作に襲われたりします。
具体的にはめまいや激しい動悸、震え、発汗や息苦しさなど不安感を伴い発症し、立っていられない状態になったりします。このような症状が緊張したときや何かで不安なときなど些細な日常生活の中で発症してしまうのです。このような状況が続くと、本人も外出を避けたり、人と関わらないようになります。
・原因
はっきりとした原因は解明されていないのが現状ですが、脳が大きく関係しているといわれています。脳内の神経伝達物質に異常があると言われています。
具体的には興奮作用を抑え、精神状態を安定させる幸せホルモンといわれるセロトニンと不安や恐怖などを引き起こし、血圧や心拍数などを上昇させるノルアドレナリンという物質のバランスが崩れることで発症するといわれています。それがストレスが引き金となって発症されるのです。
・治療法
主に神経伝達物質のバランスをとるための薬物療法が取り入れられます。減少したセロトニンの補給や抗不安薬などが処方されます。また必要に応じて心理療法など精神的な面からの治療も併せて行うことで症状も安定してきます。
治療には時間がかかりますが、根気強く取り組む姿勢が早めの改善につながります。
精神チェック法
このような精神的な症状は誰にでも起こりえるものです。普段から自分の精神状態を把握することで心の健康を保つことができます。あなたもこのようなことはありませんか?
このような症状は注意しましょう。
- 気分が晴れない。憂鬱である。
- イライラする
- 何をしても気分がすぐれない
- 理由がなく不安になる
- 息苦しい
- 幻聴が聞こえる
- 食事が美味しく感じない
- 夜寝付けない、または熟睡できない
- 誰かが悪口を言っていると思う
このようなことを感じたりしていて日常生活に支障をきたしているなら、すぐに医療機関に受診しましょう。早めの発見で症状は改善されます。
まとめ
いかがでしたか?精神病といっても様々な種類があります。また個人によって複数の症状が現れる場合もあり、治療法も様々です。まずは早期発見が大切です。
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