産後、赤ちゃんを育ててゆく為に一番最初に赤ちゃんに与える食事がお母さんの母乳となります。以前は母乳からお母さんの栄養素や免疫力が赤ちゃんに分け与えられ、母乳をあげている時期は赤ちゃんは病気になりにくいという噂話のようなものが世の中に存在していました。
その辺も踏まえながら、母乳と食事の関係や免疫力、母乳の出が悪い時のエクササイズやマッサージなど、母乳に関連する全般のお話しをしてゆきたいと思います。
赤ちゃんには母親の栄養素が母乳を通して与えられる
赤ちゃんには母親の栄養素が母乳を通して与えられます。しかし母親の母乳の出方が悪かったり、食事の栄養素に偏りがあったりすると、赤ちゃんの成長に必要な栄養分が十分に運ばれない可能性が出てきます。
人間の身体の仕組みの関係上、母乳の出方だけではなく、ケガや組織の修復、病気の回復の為の治癒力にも関連して言えることなのですが、どんなに良い栄養素を含む食生活やサプリメントなどを使用していても、体内を循環する血流や内分泌系の働きが悪かったり、体内水(身体の中にある水分)の質が悪くなっていたりすると、せっかくの栄養素が身体の隅々に運ばれなくなり、質の良い食事の栄養素も母乳には含まれなくなってしまいます。
また、母乳は母親の血流が乳房に流れることで母乳に変わり、母親の血液を分け与えているということをきちんと理解する必要があります。
母乳に良い食べ物
母乳に良いとされる食べ物について紹介します。
お餅や団子を食べると母乳が出るというのは本当?
昔から「産後はお餅や団子を食べると母乳が出やすい」とか「母乳が出ない時はお餅や団子を食べた方が良い」と言われたことはありませんか?
確かにお餅や団子には蛋白質などの栄養素も豊富に含まれていますが、果たして本当にお餅や団子は母乳の出方に関係しているのか、また、積極的に摂取した方が良いのかを様々な面から検証してゆこうと思います。
Q1.「お餅や団子を食べると母乳の出が良くなるのは本当なんですか?」
A1.「確かに通常の白米と比較すると母乳の出自体は良くなりますが、これは白米と比べて餅米に含まれるカロリー値が高く、その高カロリーによって母乳の出方が良くなります。昔は食事で栄養分を補うことが難しく、その為に餅や団子のような高カロリーな食事で産後の栄養分を補っていた為にこのような話しを聞くようになりました。」
Q2.「母乳が出ない時は積極的に餅や団子を摂取した方が良いの?」
A2.「積極的な摂取は控えるようにしましょう。先ほどもお話ししましたが、白米に比べて餅米はカロリーが高く、積極的に摂取し過ぎると体質が高カロリーになってしまい、動脈硬化や血栓、その他の循環器障害、高血圧症などになる可能性も高くなります。また、乳腺炎になることもありますので注意が必要です。」
Q3.「産後の食生活はどのようなものが好ましいの?」
A3.「基本的には和食を中心に摂取して頂く方が良いと思います。主には野菜類の中でも根菜類を中心にしながら適度な塩分とミネラルを摂取してゆくのが好ましいのではないでしょうか。また、産後は特に水分管理を徹底する必要があり、通常時よりもやや多めの水分補給を心がけるようにしましょう。」
Q4.「産後にオススメの飲み物ってなんですか?」
A4.「産後は特に水分管理に気を使うということをお話ししましたが、通常時、1日約2リットルが摂取目安とされていますが、産後の母乳をあげている時期はプラス1リットルを目安にしましょう。ただしここで言う1日の水分量の目安は、飲み物だけで摂取する量ではなく、味噌汁や野菜類からも水分を摂取しているので、合計量とするように考えましょう。また、産後にはコーヒーや緑茶、紅茶などのカフェインの含まれているものではなく、ルイボスティに代表されるノンカフェインのものをオススメします。」
母乳からお母さんの免疫力が赤ちゃんに送られるのは本当?
これは結論から言うと、母親の免疫力が赤ちゃんに供給されるというのは特に根拠のないことで、母親から母乳をもらっている時期は風邪や病気にかからないと言われたりしますが、これは全く関連性がありません。
その為、母乳を飲んでいる時期にも赤ちゃんは風邪をひくことがありますし、様々な病気にかかってしまうこともあります。しかしながら母親の免疫力そのものが赤ちゃんに送られることはないものの、母親の質の良い食事から摂取した栄養素は供給されていますので、間接的に免疫力を上げたり赤ちゃんが成長する為の栄養素を送り届けていることになります。先に書いた内容と重複する部分もありますが確認の為にまとめてみます。
- 「母乳は母親の栄養素がそのまま反映されることを理解し質の良い食事を心がける」
- 「カフェインの過剰摂取は行わないようにする」
- 「緑黄色野菜、根菜、良質なタンパク質の摂取をメインとした食事をとる」
- 「水分量の管理に気を配る」
- 「飲酒や喫煙は控える」
- 「腸内環境を整え、消化器官を良好に保つように心がける」
質の良い栄養管理、水分管理の後は?
お母さんが質の良い食事を摂取した後に考えるべきことは、その栄養素を体内にきちんと蓄積、循環させられる体内環境になっているかどうかということです。
せっかく質の良い食事を心がけ、とても良い栄養素を摂取していたとしても、それが母親の体内にきちんと行き渡らなければ母乳にもその栄養素が反映されにくくなってしまいます。すると結果的に赤ちゃんにもその栄養素が運ばれなくなってしまいます。
- 「血流を促進させる為に入浴時には良く身体を温める」
- 「ストレス発散の為の趣味などを見つける」
- 「適度な運動や体操を日々行うように心がけ代謝機能を促進する」
- 「子育てや家事の合間を見つけたらマッサージなどに行ってみる」
- 「頭痛や痛みがあっても我慢できる程度であれば鎮痛剤の使用は控える」
- 「カフェインの過剰摂取による抹消血管の収縮は避ける」
- 「乳首を赤ちゃんによく吸ってもらうことで母乳の排出を促進させましょう」
全体的に血流を促進してゆくことが大切となることと、赤ちゃんと一緒にお昼寝などをすることで副交感神経を働かせることによって消化吸収を助ける補助的な作用もあります。
この昼寝は、夜泣きなどで中々夜の睡眠の質が低下してしまうことの多いお母さんにとっては意外にも重要で、ストレス緩和にも役立ちます。
また、ハーブティなども心身のリラックスには良いのですが、成分によっては母乳の排出を阻害してしまう恐れもあるので、ハーブティを過度に摂取するのは控えましょう。
体内環境の摂取と排泄のバランスを整える
人間の身体の役7割が水分だというお話しを聞いたことがありますか?実はこの体内水が健康や身体の体内環境に重要に関わっており、ストレスや食事、その他の様々な要因によって汚れてしまいます。
その汚れた水を大きく分けて2つの方法で循環と排泄をしており、ひとつはリンパから静脈へ、もうひとつは肝臓ら静脈へ流しています。この体内水の汚れは基礎代謝や代謝機能に大きく影響を及ぼす為、内臓の調子を整えておくことが重要となります。
- 「食事の摂取と便の排泄のバランスを確認することで腸内環境を整える」
- 「規則的な生活環境を心がける」
- 「手足などの抹消を温めることで身体に熱を取り込む」
- 「腕周囲、肩甲骨周囲を回したり動かしたりする体操を心がける」
まとめ
質の良い食生活をなくして、質の良い母乳や栄養素が赤ちゃんに供給されることは絶対にありません。
質の良い母乳はなにも食生活だけに左右されるわけではなく、人間が生きてゆく上で普通に考えられる「健康的な生活」を送ってゆくということがとても大切です。身体に関する全てのことに同じことが言えると思いますが、何かひとつをやることで健康になるわけではなく、全てのバランスが大切になるということです。
そのことを忘れないように心がけて、赤ちゃんに質の良い栄養分と愛情を注いであげて下さい。
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