足の親指のしびれの原因は?病気や対策法について

例えば何か格式張った会食の時、旅先で茶の湯を楽しむ時、お寺での法事の時・・・日本人として生きているとどうしても付きまとうのが正座という行為であり、正座の後に高確率で起こる足の痺れを思うと、何もかもがとても億劫になることはあると思います。

このように足の痺れは私たちにとって身近な存在でありますが、何もしていないのに足が痺れたら「何か病気なのではないか」と疑える程には異常な状態でもあります。今回はこの「足の痺れ」について紹介したいと思います。

足の親指の痺れの原因と対策方法

足の痺れ

何も無いのに足の痺れが表れたら、まず神経の病気を疑う方が多いと思いますが、神経科にかかる必要の無い病気もあります。

外反母趾による足の指の痺れについて

外反母趾は聞いたことがある人も多いと思います。外的、もしくは内的な要因で足の親指が小指の方向に曲がり、親指の付け根がくの字状態になる症状です。

原因の多くが合わない靴で、特にハイヒールによる発症が多いため、外反母趾に悩む女性はとても多いです。ハイヒールを履くと爪先部に負担がかかり、その結果足が横に広がるためです。外反母趾は足の関節が柔らかい人ほどなりやすいので、そういった点においても女性の比率が多くなりがちな症状と言えます。

外反母趾になると、歩くだけで足が痛んだり、足の裏にタコが出来たりします。くの字に曲がってしまった部分には足の親指に通じる神経があるので、足の親指が痺れることも多々あります

予防法としてはまず第一に足に合う靴を履くようにすることです。足の自然な形に沿わない先細りの靴は履きすぎないことは勿論、確実に合う靴を選ぶことも重要です。確実に合う靴を選ぶ方法は、足がむくんで大きくなる夕方以降に靴を試着して合ったものを買うことです。また、足の指を鍛える運動は外反母趾に効きます。時間がある時にタオルを床に敷き、それを足の指で掴んでみましょう。

坐骨神経痛と言われたら

坐骨神経痛とは、お尻から足にかけて通っている坐骨神経が何らかの理由で圧迫されてしまうことにより痛みを生じる症状です。

痛み方は激しい痛みだったり痺れだったり、はたまた違和感だったりと人それぞれ違った症状が確認されますが、痛む場所については初期こそ圧迫されている箇所が痛むのですが、痛みは拡大していくために、足の指が痺れ始めると重症化が考えられます。

いかにも「坐骨神経痛」という病気があるように見えますが、坐骨神経痛は病名ではなく症状名であり、その原因には椎間板ヘルニアなどの恐ろしい病気も潜んでいます。坐骨神経痛という診断を受けたら、坐骨神経痛を治すことより、坐骨神経痛の原因を改善していくことを考えましょう。

足の皮の神経の麻痺の可能性

上記の坐骨神経痛の原因の中でも多いのが、靴によって足の皮の神経が痛んでいるパターンです。

特に痛みやすい神経が、まずは腓腹神経というくるぶしの、盛り上がったところのすぐ下辺りにある神経です。ここが圧迫されることにより、足の指に痺れが生じることがあります。もうひとつの神経は、足首の外側から長く延びる浅腓骨神経です。この神経は最終的に足の親指まで延びていて、外反母趾の時にくの字に曲がる位置が靴によって圧迫されると、足の親指に痺れが生じてしまうのです。

対策としてはベルトなどで締め付けない靴を、足が1番むくむ夕方に試着して、楽に履ける靴を選ぶことです。痛みを和らげると同時に整体に相談するのも良いでしょう。

他の病気が潜んでいる場合・・・

脳神経

上記で椎間板ヘルニアの名前を出しましたが、足の指の痺れには様々な病気が潜んでいる可能性があります。

椎間板ヘルニアによる痺れ

椎間板ヘルニアという病名は一般に広く浸透しているので、病名だけは知っている、という方も多いでしょう。

椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間に挟まっている椎間板(背骨の動きを整えたり、背骨への衝撃を抑えたりするクッションのような存在)が背骨から飛び出て、背骨に沿って走る脊髄に刺激を与え、腰の痛みや足の痺れを引き起こす病気です。特に前屈した時、咳やくしゃみをした時、朝方などに痺れが強くなる場合は椎間板ヘルニアの可能性が高いです。

原因として考えられるのは「歪みや腰痛持ちの親からの遺伝など骨格によるもの」もしくは「疲労の蓄積」です。症状によっては手術をする可能性もあります。

動脈硬化による痺れ

歩くと足が痺れて歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる・・・と言うような足の痺れ方の場合は動脈硬化が原因かもしれません。

動脈硬化とは、加齢により動脈が狭くなったり詰まったりすることで、50歳以上の男性、特に喫煙者に多く見られる症状です。他にも高脂血症、糖尿病、高血圧、肥満と言った要素を持つ人たちも動脈硬化が表れる危険性が高いです。

動脈硬化の場合は循環器科か心臓血管外科にかかりますが、動脈硬化の場合は10分以内と言われている痛みの回復時間がすぐだったり、休憩後に歩ける距離がその前より短くなる場合は腰部脊柱管狭窄症という病気の可能性が高くなるので、その場合は整形外科に相談してみましょう。

糖尿病による親指の痺れは放置しないこと

糖尿病には3つの頻度が高く早期に症状が現れる3つの合併症(三大合併症)が存在します。

  • 糖尿病網膜症:かすみ目から始まり視力の低下が起こる
  • 糖尿病性腎症:蛋白質が保持できなくなり浮腫や血圧上昇を引き起こす
  • 糖尿病性神経障害:しびれや痛みを引き起こす

以上が三大合併症と呼ばれており、上記の通り糖尿病性神経障害を併発することで足の痺れが起こる可能性があります。

糖尿病によって神経障害が引き起こされる理由はまだ判明していませんが、一般には高血糖が続くことにより「ソルビドール」という物質が神経に蓄積して痺れや痛みが現れると言われています。糖尿病性神経障害は放っておいても治りません。

更に、放置によって症状が悪化するとちょっとした怪我に気付きにくくなったり、傷が治りにくくなる、更に自律神経に支障をきたす可能性もあるので、糖尿病を患っていて、尚且つ足の痺れを感じた時は必ず担当のお医者さんに相談しましょう。

脳梗塞による痺れ

脳梗塞が死因となるパターンはかなり多いので、名前ぐらいは知っている方も多いでしょう。

脳梗塞とは、脳内の動脈が狭くなったり詰まったりすることによって脳虚血(脳の血液が不足し、脳に十分な酸素や血液が行き渡らないこと)を引き起こし、それによって脳の細胞が壊死する病気であり、脳卒中の一種になります。

症状としては手足の痺れの他に意識障害や言語障害などが見られます。脳梗塞は突然発症するものであり、一度かかってしまうとどうにも出来なくなってしまいます。

脳梗塞の原因は心臓病や糖尿病など多々ありますが、最も多い原因は高血圧です。脳梗塞を事前に防ぐため、普段から塩分控えめ、腹八分目の食事を心がけるようにしましょう。

精神的な要因でも足の痺れは起こりうる

ストレス

意外かもしれませんが、足の痺れは精神的要因によるものである可能性もあるのです。

例えば足の痺れの他に「最近落ち込みがちである」ですとか「暑くないのに顔がほてる」、「夜は眠れず昼眠くなる」といった症状が出ていませんか。このような症状を併発している場合はストレスが原因で自律神経失調症を発症している可能性が高いです。

何故、精神的要因で足の痺れが起こるのかと言うと、自律神経失調症とは昼間の運動を管理する交感神経と、夜の休息を管理する副交感神経(併せて自律神経と言う)の不調なのですが、この交感神経の方の不調として筋肉のこわばりがあり、こわばった筋肉が血管を刺激し手足の痺れを起こすことがあります。

自律神経失調症は悪化するとうつ病に発展することもあるので、そうなる前に適度な運動や入浴など、自分に合ったストレス発散方法で悪化を防ぐ必要性があります。

まとめ

とても危険な脳梗塞から身近な外反母趾まで、痺れを伴う症状や病気は多岐にわたることがお分かり頂けたかと思います。その時起こった足の痺れが危険なものかそうでもないかは何となく判別出来そうではありますが、痺れると言うことはいずれにせよ体に不調が起きていると言うことなのです。

例えその痺れが今は軽いものでも、後々悪化して生活に支障をきたすかもしれません。足がよく痺れると思ったら、将来のためにも積極的にその原因を潰していくようにしましょう。

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