生活習慣病とされている”脂肪肝”は、今や他人事ではありません。現代は忙しい人が多く、不規則な生活やバランスの悪い食生活、ストレスや運動不足といった体に悪い事ばかりついてきます。”脂肪肝”は症状が無いので自覚症状が無いまま健康診断などで初めて気付くという人が多いようです。
”脂肪肝”は改善する事が出来るので諦めるのはまだ早いです!今回は脂肪肝の改善について詳しく見ていきます。
この記事の目次
脂肪肝とは
肝臓に脂肪が蓄積されている状態の事を脂肪肝と呼びます。食事で摂取した脂肪は小腸で脂肪酸に分解されて肝臓に送られます。糖分や脂質を大量に摂取してしまうと、肝臓に送られる脂肪酸が多くなり、発散出来なくなると肝臓に蓄積されていきます。
肝臓ではエネルギー源として脂肪を作る働きがあり、肝細胞の中に溜めこんでいます。発散するエネルギーよりも作られた脂肪が多いと増えていくという事です。通常の健康な肝臓も3%~5%ほど脂肪を蓄積していますが、5%を超えた場合脂肪肝になります。
脂肪肝は30~70代の人に多くみられ、肥満と診断されている半分の人が脂肪肝と診断されているようです。脂肪は食事だけでなくアルコールの過剰摂取でも蓄積されるので、アルコールを過剰摂取している若者でも脂肪肝になる事があります。アルコール性の脂肪肝は放っておくと悪化して肝硬変になる可能性が高くなります。
症状
脂肪肝には自覚症状がありません。元々肝臓自体が沈黙の臓器の1つなので、症状がかなり悪化しない限り自分でおかしいなと感じる事がありません。肝臓は再生能力が高く、肝臓に異常が起きても正常な肝臓部分でその分の機能を補ってくれるからです。
とても優秀な臓器ですが病気になっている時はとても厄介なんです。
原因
脂肪肝の主な原因は「飲酒」「肥満」「糖尿病」になります。飲酒をしている人でアルコールの過剰摂取が原因で脂肪肝になっている事をアルコール性脂肪肝と呼びます。アルコールは肝臓で解毒を行いますが、肝臓の機能を超える量を摂取してしまうと対応しきれずに肝臓に蓄積されてしまいます。
肥満や糖尿病などアルコール以外が原因の脂肪肝を非アルコール性脂肪肝と呼びます。インスリンという膵臓で作られているホルモンが血糖値を下げる働きをしていますが、このインスリンの働きが鈍くなっていると肝臓に脂肪が溜まりやすくなります。
過度なダイエットをしている人でも脂肪肝になる事を知っていましたか?ダイエット脂肪肝や低栄養性脂肪肝と呼ばれ、極端な食事制限や絶食を行うと肝臓に負担が掛かってしまい中性脂肪が蓄積されていきます。自分は痩せているから大丈夫と思っていると、栄養が足りずにいつの間にか脂肪肝になっていたという事もあります。
脂肪肝を改善する方法
脂肪肝は「肥満」「高血圧」「高脂血病」「糖尿病」の4つを揃いやすくする為、突然死のリスクが35.8倍も上がってしまう病気です。早めに改善策を取らないと大変な事になってしまいます。
脂肪肝は脂肪が原因なので食事制限する事も大事なのですが、極端な食事制限は逆に危険なのでやめて下さい。無理に絶食してしまったり体を追い込むような運動をしてしまうと、体エネルギー源が不足してしまいます。すると肝臓では蓄えていたグリコーゲンを分解して糖に変えてエネルギーとします。
それでもエネルギー源が追い付かないと肝臓自身のタンパク質を分解して糖を作り始めます。言わば身を削ってエネルギーを作ろうと働き出すので、無理なやり方では逆効果なのです。食事と運動をバランスよくする事が大切になります。
食事での改善
1日の摂取カロリーは「炭水化物:タンパク質:脂肪=5:3:2」にすると良いです。
●タンパク質
その中でもしっかり摂取したいのが良質のタンパク質です。タンパク質は幹細胞の生成と再生に必要なエネルギーになり、代謝機能に必要な酵素を作ります。肝臓が悪い人はタンパク質が必要になりますが、脂質が少ない物を選ばなければいけません。
「鶏ササミ」「赤身肉」は脂肪分が少なく良質タンパク質を多く摂取でき最適な食材です。他にも「牛乳」「タイ」「タラ」「ヒラメ」も低脂肪良質タンパク質です。
●ビタミン群
ビタミン群のなかでもビタミンB1とビタミンB12は摂取したタンパク質をより効果的に肝臓を助ける手助けをしてくれます。ビタミンを別々に摂取するよりもビタミン群を多く含んでいる食材で効率よく摂取する事をオススメします。
「鶏肉」「豚肉」「魚介類」「レバー」などはビタミン群を多く含む食材なのでこれらを摂取するように心がけて下さい。水溶性のビタミンは水に溶けやすく摂取量よりも体で分解される量が少なくなる傾向があります。サプリメントはそれが無いので、併用して摂取するのも良いです。
「シジミ」は肝臓にとても良い食材で、ビタミンB12や良質なタンパク質やミネラル類を含んでいて脂肪分が少ないので是非食事に取り入れて欲しい物です。特にしじみの味噌汁はしじみのエキスが余す事無く摂取出来ます。
●海藻類
「コンブ」「わかめ」「ひじき」などの海藻類はビタミン群やミネラル類の他に、食物繊維が豊富に含まれています。これらの食材はいくら摂取しても肝臓にダメージを与えませんし、脂肪肝に最適な食材です。「わかめ」はコレステロールや脂肪の蓄積を防ぐのでわかめの味噌汁などがオススメです。
これらの食材を毎日の食事に取り入れ以下の事を気を付けましょう。
- 自身の適正な体脂肪率を常に気にする
- 脂肪と糖質は控えめにする
- アルコールは適度な量で休肝日を作る
●コーヒー
コーヒーは肝機能の改善を期待できる飲み物です。コーヒーに含まれるカフェインには強い覚醒作用があり不眠原因や鉄の吸収を妨げるといった悪いイメージが強いと思いますが、コーヒーをたくさん飲んでいる人ほど脂肪肝の割合が少ないという調査結果が出ています。
カフェインにはコレステロール値を下げる効果が期待されたり、解毒作用、基礎代謝アップ、利尿作用、疲労回復など、肝臓の働きを高める効果が多くあります。
しかし、コーヒーの飲み方によっては逆効果になったりまったく意味を持たなくなってしまうので気を付けなければいけません。佐藤やクリームをたくさん入れたコーヒーは脂肪が多くなってしまうので、少量にする必要があります。また、1日1杯~3杯ほどにしましょう。
※これらの食材は一般的な物になるので、個人差が出てきます。また、既に医者から食事制限をされている場合はそちらをしっかり守ってください。
運動で改善
食生活で改善するのには限度があるので、食事とは別に運動で改善する必要があります。一番良いのが有酸素運動です。有酸素運動とは体内に酸素を取り込んで脂肪を燃焼させて、出来た物質をエネルギー源とするように働きかける運動の事です。
有酸素運動を行う事で肝臓の脂肪を燃焼させて、脂肪が抜けた後は新しい肝細胞が再生してくれるので脂肪肝を治す事が出来るとされています。
逆に無酸素運動というものがありますが、この運動は脂肪の燃焼効果がありませんので脂肪肝の改善には向いていません。無酸素運動はとても激しい運動をするので痩せると思われがちですが、体内に酸素がほとんど入らないので脂肪燃焼が起こりません。
●有酸素運動の種類
ジョギング・スロージョギング・ウォーキング・水泳・ヨガ・自転車・縄跳び
これらの運動が有酸素運動になりますが、一番手軽に毎日行えるのはジョギングやウォーキングでしょう。特にウォーキングであれば普段の移動手段を変えるだけで出来るのでオススメです。
筑波大学医学医療系の正田純一教授らが、食事・運動療法に取り組んでいる31~67歳の肥満体質の男性169人を対象に運動記録を取り、脂肪肝がどれほど改善されるかを調査しました。その結果週250分以上以上ウォーキングを続けると、脂肪肝の症状が改善すると筑波大学の研究で明らかになっています。
週250分未満の運動では改善が見られなかったので、週250分を目標に毎日ウォーキングをするようにしましょう。
サプリメントで改善
食事だけでは摂取しきれない成分を、確実に摂取する方法としてサプリメントという選択もあります。脂肪肝に良いとされる成分は「オルニチン」「タウリン」「ビタミン」「ミネラル」です。
●オルニチン
この成分は肝臓の機能を改善してくれてアンモニアの解毒作用を促進してくれる効果が期待されます。アンモニアが解毒されると代謝機能が活発に働くので、肝臓に蓄積された脂肪が代謝しやすくなります。オルニチンは食材か極僅かな量しか取れないので、食事で摂取しようとなると大変な成分です。
●タウリン
この成分は幹細胞の再生や胆汁酸の分泌を促進させる効果が期待されます。
●ビタミン
この成分は酵素をサポートする効果が期待されます。
●ミネラル
この成分は酵素をサポートする効果が期待されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。脂肪肝は「食事」「運動」「サプリメント」で改善する事が出来ます。脂肪肝と名前に脂肪がついているからといって過度な食事制限をしないという事が大事になります。バランスの良い食事をして決められた運動をする事で、脂肪肝は改善されるとわかっているので徹底して行いましょう。
サプリメントは食事で補う事が難しい成分が、決まった量で摂取する事が可能です。うまく取り入れて調整して健康な肝臓になるようにしましょう。