イップスとは?原因や克服方法、野球やゴルフなどの症状を紹介!

イップスは、野球やゴルフなどに見られる、精神的なストレスを要因とする様々な症状を指します。イップスになってしまうと、これまで当たり前にできていたこともできなくなり、非常に不自然な動きになるため、スポーツ選手にとっては厄介な症状です。

また、1度なってしまうと治そうとするプレッシャーによって、さらに症状が悪化する、というのもイップスの特徴です。では、イップスを克服することはできるのか、対処法や上手な付き合い方についてご紹介します。

イップスの原因

イップス

イップスは誰もがかかりうるもので、原因は様々です。

イップスになってしまった場合に症状がわかりやすいのがゴルフや野球で、思い描いたプレーができず、成績や勝敗に深く関わってしまいます。チームの優勝など、失敗できない状況による外部からの強いプレッシャーや、完璧にこなしたいという思いが強いプレッシャーとなって精神に影響を与え、これまで意識せずにできていたことが突然できなくなってしまうのです。

当たり前にできていたことができなくなるため、本人はさらに強いプレッシャーを感じることになり、悪循環に陥ります。

イップスを引き起こす精神状態

イップスになってしまう人にありがちな心の動きとして、以下のようなものがあります。

記憶に左右されるもの

記憶には本人が自覚しているものと、自分でも気付かない無意識の記憶があります。自覚できる記憶の内、強く焼き付いているものは頭から離れず、強迫観念となります。

また、無意識であっても失敗した時のイメージが残っていることで、イップスの要因になる可能性はあります。

強迫観念

完璧を求めるあまり、何事に対しても「~しなければいけない」「〜してはいけない」という強い義務感を持ってしまうことが原因で生じます。完璧主義の人に多いですが、「失敗できない」「結果を出さなければいけない」 と自分を追い詰めてしまうため、常に過度のストレスがかかった状態になってしまうのですね。

してはいけないことを意識しすぎるあまり、イップスになりミスを連発するというスパイラルに陥る危険性があります。

自責の念

周りの期待に応えたい、誰かを喜ばせたいという思いが強いために、失敗すると自分を強くせめてしまいます。

責任のすべてを自分に向けてしまうことで、必要以上に自分を責めてしまうのです。強い自責の念は、強迫観念と非常に強く結びつています。

周囲の環境

新しい環境に変わった時はもちろん、慣れ親しんだ環境に身を置いていても、人間関係や仕事関係など、様々なストレスがが精神面に悪影響を及ぼします、イップスになることがあります。

ケガに対する恐怖心

1度ケガをすると、その時の恐怖心やまたケガをしたらどうしようという思いから、そこをかばってプレーをしてしまいます。プレーの度にかばう上、ケガに対する恐怖感が邪魔をして、これまで通りのプレーができなくなります。

つまり、「失敗してはいけない」「同じ失敗をしたらどうしよう」という精神面の恐怖と、「またケガをしたらどうしよう」という肉体面での恐怖により、思うような動きができなくなることがイップスの原因だと考えられています。

イップスの症状

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イップスの症状は、意識的、無意識に関わらず、心の葛藤が筋肉や神経、さらには脳細胞にまで影響してしまう症状です。筋肉の緊張によって自然な動きができなくなり、フォームが崩れたり、暴投してしまったりします。

また、イップスになると、普段通りのプレーができず、集中すべき場面でのミスの連続なども見受けられます。

スポーツ別に見たイップスの症状の表れ方

あくまで一例に過ぎませんが、比較的表れやすい症状をご紹介します。

ゴルフ

  • 腕に力が入り過ぎることによって、ストロークが一定にならない
  • テークバックがスムーズに行えない
  • インパクト時、手に震えが来る

野球

  • たとえ短い距離であっても、正確な送球や返球ができない
  • 目的の場所までボールが届かない
  • ボールが手から抜けてしまう、または引っかかる
  • キャッチボールがきちんとできない
  • 指先の感覚がなくなる

テニス

  • 球出しをする時に手が震える
  • フォアハンドで打つことができない
  • トスがちゃんと上がらない、または乱れる
  • サーブを打つ時、腕の回転がスムーズに行えない
  • 腕の感覚がなくなる

卓球

  • フォアハンドでプレーできない
  • 指の力加減が掴めなくなる
  • インパクトの時、手が震える
  • サーブが入らない
  • ラケットをスムーズに振ることができない

これらの症状は、集中やプレッシャーによって過度の緊張状態にあることで、筋肉が硬直することが原因です。それによって正しいフォームやスムーズなプレーができなくなり、勝敗やチームの成績にも関係してしまうような、重大な影響を及ぼします。

イップスのもたらす悪循環

イップスは、1度犯したミスが頭から離れず、2度とミスをしないようにと強く思うことでかえってミスを連発してしまう、負のスパイラルです。ミスをした時のショックや後悔の念が強すぎるため、かえって影響されてしまうのですね。負のイメージが強いと当たり前にできていたことさえこなせなくなり、焦りが募り、また失敗してしまいます。

これは、周りが理屈で説明してもどうしようもないことです。「気にするな」と言う言葉が強迫観念を増長することにもなりかねませんから、軽い気持ちで慰めの言葉をかけることは慎みましょう。イップスは自分の意志だけではコントロールできないものだと言うことを、本人も周りもしっかりと理解することが大切です。

イップスを克服するには

克服

イップスは自分の意思に関係なく、強迫観念などにより体が思う通りに動かせない症状です。これを克服するためには、自分でコントロールできない部分、つまり潜在意識が重要になります。

顕在意識と潜在意識

人の意識の中には、「顕在意識」と「潜在意識」があります。

顕在意識とは

顕在意識というのは、自分で認知し、コントロールできる意識を指します。自分の意思によって判断したり行動に踏み切ったりできるものですね。目標を立てたり、未来を予想したり、希望したり悩んだりできる意識を顕在意識と言います。

潜在意識とは

自覚できない意識のことで、無意識とも言います。これまでの経験の中で、過去の記憶や信念、望みなどが含まれます。意識して判断したり決断したりするのではなく、直感や無自覚な行動がこれにあたります。

普段生活する中で、わたしたちが自覚できる顕在意識は、意識全体の10%しかありません。残りの90%は無自覚な潜在意識が占めていると言われます。そして、この90%の潜在意識こそ、イップスを克服する上で非常に大切なのです。

潜在意識には自分と他人の区別がなく、意思も存在しません。そのため、「失敗しなくない」と思っているにも関わらず、「失敗」と言うイメージだけが影響し、ミスを誘発してしまうのです。これは、相手に対して思っていても同じことです。「失敗」をイメージすることで、望んでいなくても失敗し続ける負のスパイラルに入り込んでしまうのです。つまり、潜在的にマイナスのイメージを持っているとマイナスの結果を引き寄せ、プラスのイメージを持っていればプラスの結果が訪れやすいというわけですね。ポジティブシンキングが大切だと言われるのは、こういう理由があるのです。

環境を変える

イップスを改善するためには、これまでの環境をがらりと変えることが大切です。サッカーならディフェンダーからサイドバックに、野球なら外野から内野に、など、ポジションを変えるだけでも気持ちを切り替えることができますよ。

慣れない環境に身を置くことで、ミスに対する恐怖感を払拭し、「失敗しても仕方がない」という感覚を持ちましょう。いわゆる「開き直り」も、イップス改善にはプラスに働きます。

自分の中でルーティーンを作る

自分の中でルーティーン(習慣)を作ることで、成功をイメージしやすくします。また、決まった行動をとることで心に安定感が生まれ、平常心を保つのにも役立ちますよ。

強迫観念の払拭

イップスの原因の一つに、強すぎる義務感や責任感があります。

これが強迫観念となって悪影響を及ぼすのですが、自分の好きな音楽を聴いたり好きなことに没頭したりする時間を設けることで、リラックス効果が生まれ、強迫観念を和らげてくれます。

イメージトレーニング

負のイメージがイップスの原因ならば、反対に成功のイメージを膨らませましょう。イメージトレーニングですから、毎日毎日、しっかりとイメージすることで、成功のイメージを潜在意識に浸透させます。これが自然に行えるようになると、イップスはかなり改善されるでしょう。

基礎トレーニングをする

過去の失敗を忘れ、再びプレーできるようになるためには、自信の他に技術の習得も重要です。

基礎トレーニングは練習の原点に立ち返るとともに、きちんとした技術を再習得できるので、純粋にスキルアップも図ることができます。

自律神経を整える

イップスになると、リラックスを司る副交感神経の働きが悪くなり、活動を司る交感神経が活発になります。副交感神経の働きを活発にするためには、たとえば深呼吸のように、息を深く吐いて吸うことでリラックスを図りましょう。

まとめ

フォーカス

イップスは、あることがきっかけで突然起こります。さっきまでできていたことが急にできなくなり、できていた感覚さえ失ってしまうことは、とても怖いし不安ですよね。だからこそ焦り、感覚を失ったまま挑戦し続けることで、さらにミスを犯すという悪循環が起こってしまいます。

大切なのは、間違ったイメージを体や意識にインプットしないことです。間違ったイメージが染み付くとイップスは悪化し、より悪い結果を呼び寄せてしまいますよ?少しでも「感覚がおかしい」「いつもと違う」と感じたら、無理してプレーせず、一旦休憩して頭をリセットすることが大切です。

辛いですが、イップスは誰にでも起こりうるものです。リラックスすることを覚えて、気楽に構え、少しでも早くイップスと決別できるように意識しましょう。

  
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