狼男症候群とは?症状や原因、治療方法を知っておこう!

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世界では、発症率が極まれで、確たる治療法が見つかっていない病気=奇病と呼ばれるものがあります。
テレビ番組の特集やインターネットから発信されるニュースで、私たちはその存在を知る事が
増えました。
ここでは、最近認知度が高くなってきている「狼男症候群」という病気についてお話します。

狼男症候群について

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多毛症(=ホルモン異常から通常うぶ毛が生える部分が剛毛になってしまい、毛が多く生えている様に見える病気)のうちの1つです。

肌が黒くなり、全身の60パーセント以上が剛毛に覆われてしまいます。外見が狼の様になることから「狼男症候群」と名付けられました。

英語では 狼男=WereWolf、症候群=Syndrome となる為、頭文字を取って「WWS」と呼ばれることもあります。

発症率は1/10億と言われている珍しい病気

現在、狼男症候群にかかってしまっている人は、世界で確認されている段階で100〜150人程だそうです。

主にメキシコ(男性7人、女性6人の13人は一族でこの症状に悩まされているそうです)、バングラデシュ、インド(6人姉妹の中で3人が発症しました。その狼男症候群の長女から生まれた娘も、同じ様に診断されました)中国で、確認されています。

最近話題になったのは2016年5月中頃で、バングラデシュに住んでいる女の子でした。女の子の両親が治療費支援を呼びかける為に、国際ニュースの取材を受けたのです。

考えられる原因

多毛症である狼男症候群の原因は大きく先天性と後天性との場合で分けられます。

先天性の場合

先にお話した、メキシコに暮らす一族の人たちや、インドの姉妹とその長女の娘の症例は、先天性によるものです。

先祖返り(直接の両親でなく,それより遠い祖先の形質が子孫に突然に現れる遺伝)によるものが大きく、その後、一族で遺伝しているものだと言われています。

他の先天性の発症で考えられるのは、男性ホルモンの一つであるアンドロゲンの異常分泌で、異常に発毛してしまうことが挙げられます。

後天性の場合

後天性の場合の多くは、何らかの治療で使用する薬の副作用として発症してしまいます多毛症の副作用が確認されているものは、ミノキシジル、フェニトイン、シクロスポリン、タンパク同化ステロイドなどです。

○ミノキシジル・・・血管拡張剤として開発された成分であり、高血圧の経口薬に用いられたものです。後に発毛効果があるとされ発毛剤に転用され、頭皮用の外用溶液にも使われています。体質や、使用濃度、頻度で副作用が確認されました。

○フェニトイン・・・抗てんかん薬の一種で、けいれんの発作を抑えます。点滴による副作用で全身多毛症が確認されています。

○シクロスポリン・・・臓器移植による拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療に使用されます。数ある副作用の内5パーセントの確率で多毛症を発症します。

○タンパク同化ステロイド・・・身体能力や筋肉の成長を増強するために使用されます。毛髪の変化等の男性化作用が有るため、医師の指導や管理なしに誤った用量、期間で使用すると、多毛症をはじめとする副作用が出ます。

詳細な症状

狼男症候群は、全身が毛で覆われる場合と、部分的に毛が濃くなる場合があり、部分的に毛が濃くなる場合、腕や顔に斑点状に毛が密集しているように見えます。

毛が濃くなるだけではない症例

狼男症候群のほとんどの人が、毛が濃くなるという以外には特に疾患を抱えていません。しかし、先にお話したバングラデシュの女の子は、合併症にも悩まされています。

歯が隠れてしまうほど歯茎が腫れ、体重の半分を占めるほど胸が肥大化してしまいました。体のバランスが取れず立ち上がる事が出来ない為、日常生活が大変不便なものになってしまっています。

合併症を引き起こしてしまう直接の原因は不明ですが、狼男症候群の原因であるDNA異常に関わるものだと思われます。

今後症例が増える可能性は・・・

狼男症候群として症例が挙げられているのは、先にお話した国に集中していることから遺伝性の強い病気と言われます。多毛症という病気でひとくくりにしてしまえば、沢山挙げられますが、日本を始め、欧米やヨーロッパ諸国での発症の報告はまだ公に確認されていません。

しかし、先天性、後天性関わらず、今後どこの国で発症するのか、というのは予測できません。確認されている症例が少ない事と、症状の原因になるDNA異常や薬の副作用などのメカニズムを解明できていない以上、いつ、どこで、誰が発症してもおかしくない状況です。

多毛症は犬、猫にも現れる

人間と違い、元々全身が毛で覆われている犬や猫も、多毛症を発症することがあります。

先天性のホルモン異常で顔面まで長毛で覆われ、ヨークシャテリアの様な見た目の猫がいたり、薬の副作用で、短毛だったのに長毛になってしまった犬もいたりします。

人間より特異に見えないので、見逃されがちになっていることでしょう。

治療や暮らしについて

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これまで狼男症候群について、考えられる原因、症状等をお話しました。

まだまだ研究する余地が有る故に、発症してしまった人に対する治療や暮らしについても課題が多いのです。

有効とされる治療法

現在は、多毛症の患者さんの多くに対する治療法を用いて改善を試みています。確たる治療法が無い故に完治とまではいきませんが、有効とされるものがいくつかあげられます。

レーザー治療

光を当てて、永久脱毛を試みる方法です。毛の黒色が光に反応して脱毛できる仕組みになっています。

しかし、狼男症候群の特徴でもある「肌が黒くなる」というのが弱点になってしまっています。肌の黒さが光に反応して吸収するばかりになってしまい、脱毛まで時間がかかってしまうのです。繰り返す脱毛により肌が荒れてしまう可能性もあります。

除毛クリーム

レーザー治療での脱毛と並行する人、レーザー治療が肌に合わない人に向けて行う治療法です。

除毛効果の他に、毛の成長を遅らせる効果も期待できるので、クリームを使用して、症状を抑えていきます。

内服、注射薬など

検査の結果、男性ホルモンの異常分泌がみられた場合に行います。

抗男性ホルモン剤として有効なものが『スピロノラクトン(アルダクトンA)』です。

医師の適正な処方の元、副作用が出ないか体に合っているか確認しながら、脱毛治療と並行して行います。

狼男症候群と向き合う暮らし

特異な見た目と症例が少ない病気ということで、社会に出れば好奇な目線で見られ、心ない言葉を浴びせられ、辛い目にあってしまう人が多いのが事実です。彼らは、この世界に生きる全ての人間と等しい存在です。遊んで、学んで、恋をして・・・と、そんな当たり前の生活を望んでいます。

ここでは、周りに居る人たちと同じように生きたい本人、そして幸せになってほしくて行動を起こす家族、友人たちがいる事をお話します。

メディアに出て、知ってもらう人

メディアに出る事で、更に周囲からの視線が増えます。しかし、興味を持つ人の中から「治療費の援助をしたい。」「暮らしやすい様に職業の斡旋、教育のサポートをしたい。」という人も出てきてくれるのです。

ドキュメンタリーとして短編映画を撮影する人、数多くの取材を受ける人、治療を受けるまでの写真を納めて発表する人など、その発信方法は人それぞれです。

私たちは、勇気を持って症状を発信している人たちや、その家族がいるからこそ、問題に対して考える事、アクションを起こす事ができます。

狼男症候群を前向きにとらえて暮らす

家族や近い周囲の人の理解こそが、暮らしやすい環境作りに欠かせないのです。インドで狼男症候群を抱えている男の子2人を例にあげます。

一人目の男の子の家族、周囲の人は、彼の姿を見て「神の子」だと称えています。学校に行っていじめられても、一方でこの姿を愛してくれてサポートしてくれている人たちを「自分の為に会いに来てくれる」と感謝しているそうで、治療の申し出があっても現在は拒否しているそうです。

もう一人の男の子は、10歳の頃からアーユルヴェーダ、ホメオパシー、レーザー療法などあらゆる治療法を試しました。しかし、いずれも効果がなく現在に至っているそうです。それからは自分の姿を受け入れ、前向きに学校に通っています。

始めは心ない言葉をかけられ、いじめられてしまう事が多かったそうです。しかし彼の強く生きる力、優しい性格から、やがて偏見をする人が減りました。今では積極的にスポーツ活動が出来る仲間もできたそうです。

彼らの他にも、ありのままの姿を愛され、前向きに生きている人たちはいます。しかし残念ながら、その様な暮らしが出来る人たちは少数派であることが事実なのです。

たまたま狼男症候群でない私たちは「自分の姿を変えたい。」もしくは「ありのままの自分として生きていく。」という、どちらの意思も尊重するべきです。そして同じ世界に生きる人間同士対等に暮らせるように、出来る事、手伝える事を何かしら考える時間があってもいいのではないかと思います。

インターネットが普及したおかげで、どんなに遠い国からの発信でもすぐに気づける様になりました。情報を共有できる、という意味で、国同士が実際の距離より身近なものになりました。これからもっと発達するであろう、この情報の共有方法を活用していきたいものです。

まとめ

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世界中の奇病と呼ばれるものの中で、狼男症候群についてお話しました。

今現在の医療の発達、情報共有の力を持ってもまだ解明されていないことばかりの病気でした。この病気を抱えている人たちは、現在も私たちと共に生き続けているのです。

そして新たな手がかり、改善策を掴む為に、様々な分野で研究を続けている人たちがいます。

私たちは、情報を手に入れる手段を持っています。これからも発症してしまっている人の存在を知る機会があるでしょう。手に入れた情報に対して、自分にも出来る支援や、更なる情報提供の方法など、考える時間を作っていきたいものです。

  
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