ツツガムシ病ってどんな病気?症状や原因、治療法を知ろう!病原体はなに?

ツツガムシ病という病気を聞いたことはありますか?この病気はツツガムシという種類の中でも、リケッチアという病原菌をもつダニに吸着されることで発症する感染病です。

病原菌を持つ確率は0.1~3%と低い確率であることや、感染するまでの吸着時間は6時間以上必要であることなどから、一見発症しにくい病気に思えますが、日本では毎年400人~800人が感染し、数人の死亡報告があります。

野山や川など自然を楽しむ際には、ダニによって発症する病気があることを念頭に入れておかないと、最悪の場合治療が遅れて死に至る危険性があります。ここでは、ツツガムシ病の症状や原因、ツツガムシの特徴、予防・治療方法を詳しくご紹介します。

ツツガムシ病について

ハイキング2

ここでは、ツツガムシ病の概要と症状についてご紹介します。

ツツガムシ病とは

ツツガムシ病とは、ツツガムシリケッチア(Orientia tsutsugamushi)と呼ばれるダニから引き起こされる感染病の1つです。このツツガムシは、一生に一度幼虫期の時のみ、哺乳類動物に吸着して、組織液を吸いだして生活し、その後は土の中で昆虫の卵などを食べます。

古典系と新型系の2つのタイプが存在し、日本では、新潟県、山形県、秋田県で古典系の発症が多く見られ、新型は沖縄や離島で多く発症していますが、日本中どこでも発症する可能性のある感染病です。日本以外にも、南アジア、東南アジア、オーストラリア北部、朝鮮半島、カムチャッカ半島など広く存在する為、旅行先でも注意が必要です。

このツツガムシ科に属するダニは、約100種類ほどいると考えられており、その中でも日本では、リケッチアという病原菌を媒介しているのは、アカツツガムシ、タテツツガムシ(、およびフトゲツツガムシの3種だけだと言われています。

更に、この3種類のダニの中でもリケッチアという菌をもつのは0.1~3%と比較的に低い確率です。

ツツガムシ病の症状とは?

皮膚にはダニに噛まれた場所には、特徴的な刺し口が残ります。また、感染した場合は5日~14日ほどの潜伏期間の後に、発症します。発症後、初期症状から重篤症状にかけて、どのような経過をたどるのかご紹介します。

■初期症状

体がだるい、食欲がない、ひどい頭痛、寒気、39度~40度の高熱、全身のリンパの腫れが見られます。

■中期症状

発症から4日~5日経過すると、2mm~3mmの大きさの、赤い色の発疹が見られます。初めは、胸や腹部、背中などに見られ、その後は腕や顔などと全身に広がりをみせます。

■重篤症状

肺炎や脳炎、播種性血管内凝固症候群、多臓器不全を起こす為、死亡する危険があります。

この病気は、日本では毎年400人~800人の感染があり、毎年死亡例も報告されている、危険な病気です。発症しても人から人に感染することはありませんが、中期症状までに、適切な治療が行われないと、死亡する危険リスクが高まります。初期症状では、風邪やインフルエンザなど他の症状と間違われやすい為、特徴的な刺し口が見つかった場合は、この事を医師に必ず伝えましょう。早期発見の手がかりになります。

ツツガムシ病の原因とツツガムシの特徴

ダニ

ここでは、ツツガムシ病になる原因とツツガムシの特徴をご紹介します。

ツツガムシ病の原因とは?

細菌とウイルスの両方の特質を兼ね備えた、リケッチアと呼ばれる病原菌が存在します。この病原菌を媒介する、有毒なツツガムシに吸着されることで感染症を起こします。

吸着時間は1日~2日間と長い時間にわたり行われ、ダニから哺乳類へ菌が移る時間は6時間以上必要といわれています。菌を持っていない無毒なツツガムシが吸着しても感染することはありません。

ツツガムシの幼虫は0.2mm程度の小ささの為、目で直接確認することは困難です。また、アカツツガムシ以外の種類の幼虫は、吸着しても痛みやかゆみを感じない為、患者さんの多くはダニが吸着した認識を持っていない場合が多いことや、症状がインフルエンザや他の病気の症状と似ている為、発見が遅れる可能性があります。

日本国内で、菌を媒介するといわれいているツツガムシは、秋の季節に孵化する為、この時期に多く発症例が見られます。しかし、ツツガムシは冷たい気候に比較的に強い体質の為、一部は冬の時期をのりこえ、雪解けの時期に再度活動を始める場合があります。その為、東北地方や北陸地方の春~初夏にも発症が見られるなど、季節に関係なく発症する危険性がある病気です。

病原菌を持つツツガムシの種類と特徴

ここでは、日本で確認できる病原菌を持つツツガムシの種類と特徴をご紹介します。成虫は赤色で、幼虫はオレンジ色しています。幼虫のときの体長は0.2mmと小さく肉眼で確認することが困難です。

草むらや草原のような場所に好んで生息し、幼虫の時には哺乳類に吸着しようと地面に姿を現します。そして、哺乳類の体から発している炭酸ガスを感知して、取り付きます。吸引の際にはやわらかい場所を好む為、陰部、内股、脇の下、下腹部などが刺されやすい箇所になります。また、発症しやすい地域や季節は下記のように種類によって分かれます。

発症地域と季節

  • アカツツガムシ:全国的に発症し、特に真夏に多い
  • フトゲツツガムシ:全国的に発症し、特に春と秋の季節に多い
  • タテツツガムシ:主に房総半島、東海、関西、九州地方で発症し、秋の季節に多い

ツツガムシ病の予防と治療方法について

ハイキング

ここでは予防方法と治療方法についてご紹介します。

予防方法とは?

ツツガムシは野山や草むらを好んで生息します。特に発生のピークといわれている春と秋には十分に注意が必要です。

本来このような場所に行かないことが望ましいのですが、ハイキングや桜や紅葉を見たり、キノコや山菜取りのイベントも多いことから、この時期、野山に出かけるのは楽しみの1つでもあります。ツツガムシ病の効果的なワクチンはない為、野山に出かける際には、下記のような予防対策を用いて、しっかり予防しましょう。

1.野山に立ちいる際には、完全防備する

ツツガムシは、哺乳類の出す酸化ガスを見分けて吸着しにきます。そのため、出来るだけ肌の露出しないように気をつけてください。出かける際には、長袖・長ズボン、長靴、帽子を着用し、肌の露出を避けましょう。

2.虫除けスプレーをつける

野山にでかける際には、必ず虫除けスプレーをつけましょう。購入する際には、虫除けスプレーの効能部分をしっかりと確認して、ツツガムシに効くがどうか確認してから購入しましょう。

通常、数時間で効き目がなくなる為、用法・用量を確認し、使用方法を守ってお使いください。市販約の虫除けスプレーでは、「ムヒの虫よけ ムシペールα 60mL」などがツツガムシの予防に効果的だと言われています。

3.帰宅後は必ずお風呂に入る

野山から帰ってきた際には、必ずお風呂にしっかりとつかり、丁寧に体を洗い流しましょう。一度、お風呂の中で、虫に刺された跡がないか、虫が吸着していないか体の隅々まで確認しましょう。特に、ツツガムシは吸引の際にはやわらかい場所を好む為、陰部、内股、脇の下、下腹部などが刺されていないかチェックすることが重要です。

ツツガムシの幼虫は一般的には、肉眼では確認できないほど小さい為、肉眼で異常が見つからなかった場合でも、体を洗うタオルを使い、石鹸をしっかりと泡立てて体全体をしっかりと洗い流すことが重要です。

万が一、数日後に熱が出たり、体調が悪くなった場合はお医者さんに野山に数日前に出かけた旨を伝えましょう。

ツツガムシ病の治療方法について

効果があると言われている抗菌剤が複数存在します。しかしハッキリとした原因が分からずに、幅広い病原体に効果を示すようなペニシリン系の抗菌剤は全く効果がないと言われています。その為、ツツガムシのリケッチアという病原体が原因であると早急に診断を受けることが重要です。

■病原の診断

まずは病原の診断を受ける必要があります。初期症状がインフルエンザなどの症状と似ていますが、患者さんのうち90%はダニによる刺し口が体のどこかで確認できるといわれています。その為、ダニ媒介性リケッチア症を疑い、症状が現れたら体全体をチェックして刺し口がないかチェックすることが、早期の病気断定に繋がります。また、医師に数日前に野山にいったことなども伝えておくと、早期診断の手がかりになります。

確定診断には、血清診断もしくは、血液検査で確定できます。血清診断の場合、主に間接蛍光抗体法と免疫ペルオキシダーゼ法を用いて検査を行い、体の中の抗体物質(IgM抗体)が4倍以上上昇が見られた場合は陽性とすると言われています。また、血液検査の場合は、分離・同帝の方法を用いて病原菌を検出し、特定します。

■テトラサイクリン系の抗菌剤投与

ツツガムシ病に有効な薬剤は、テトラサイクリン系の抗菌剤です。初期状態でこの薬を投与するとあっという間に治ります。

しかし、初期症状の段階では風邪やインフルエンザに間違われやすい為、ペニシリン系の抗菌剤を使われることがあります。ペニシリン系の抗菌剤はツツガムシには全く効果がありません。ツツガムシが病原菌だとハッキリ診断されないと、完治するまでに長い間入院を要したり、最悪の場合死に至る危険性があります。

まとめ

ツツガムシ病とは、有毒なダニに吸着されることで発症する病気です。この症状が現れた場合、有効な抗菌剤が存在し、初期症状の際に診断が確定すれば、すぐに治ります。しかし、初期症状の際には、風邪やインフルエンザなどの他の病気に間違えられたりするこも多い為、発見が遅れる可能性が高いです。

医師も完璧ではないので、私たちがダニ媒介性リケッチア症が年中おきるという情報を知っていれば、数日前に野山に出かけたことや刺し口が見つかったなどの情報から、早期診断につなげることが出来ます。自然を楽む際には、どんな危険性が潜んでいるのか、きちんとした情報を把握しておくことが重要です。

  
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