プロテウス症候群はどんな病気?症状や原因、似ている病気を知ろう!今後の医療しだいでは完治も可能?

難病という言葉をご存知でしょうか? 難病の定義とは「治りにくい」もしくは「治す方法が確立されていない」というものです。つまり現段階の医学では治すのは難しい、もしくは治療法が確立されていない病気を総称して難病と言います。

今回触れるこの「プロテウス症候群」という病気も難病の一種であり、未だに謎が多く病気の原因も不明である病気の一つです。一体プロテウス症候群とはどういう病気なのか、現段階の治療法などについて触れてきたいと思います。

プロテウス症候群とは何か?

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では、まずプロテウス症候群についてご説明します。

骨や皮膚の過剰成長

プロテウス症候群なんて言葉は恐らく聞いたことすらないでしょう。通常発症する可能性も極めて極めて低く、さらに先天性の遺伝性が強い病気ですのでまず日頃耳にすることすらない病気であることがわかります。

このプロテウス症候群という病気は先ほども述べたように、先天性の病気であり、筋骨格系障害の一つで、世界的に見てもごく僅か、とても珍しい難病や奇病と言われている病気の一つです。

具体的にどんな病気かと言いますと、一部の骨や皮膚、筋肉などが過剰に成長をする病気です。肥大や巨大化するという言葉も使われます。例えば、顔の半分だけがもう半分よりも大きく成長してしまったり、手足の片方が著しく巨大に成長したりと、身体の一部分が大きく発育、もしくは発達してしまったり、肥大化する病気というものです。

その他にも色々なものが現れます。難病と言われるだけあって、不思議な症状とも言えます。骨粗鬆症とは違い、全くの真逆の症状、つまり骨密度が異常に増加する骨化過剰などや、骨の成長が著しく早まる過度成長が見られることがあります。

また、表皮母斑という出生時、もしくは幼児期から見られることがある表皮を形成する時に起こる過形成による痣などが見られるほか、脂肪腫という脂肪の細胞などからできた柔らかいプニプニとした可動性のある皮下の塊などの症状も現れることがあります。

この症状のすべては、出生した時にはすでに存在しています。つまりお腹の中ですでにそのような症状を持って、病気を持って生まれるということです。そして成長すると共に断続的に病状が悪化していく進行性の症状がこのプロテウス症候群の特徴でもあります。さらに、時に色々な種類の精巣腫瘍や中枢神経系腫瘍などのごく稀な腫瘍を併発することがあります。

この病気の実態はまだ不明な部分が多いところが現段階の医学です。身体の細胞の一部分に遺伝子の変異が起こり、その他の細胞は通常通りであるという「モザイク障害」というもので知られています。遺伝学で言うところのモザイクというのは、一つの個体の中で、遺伝的に全く異なる細胞が混ざっていることを指しています。そしてその変異というのは自然発生するものであって、親から、つまり母体から引き継ぐ遺伝的なものではないということになります。

症例について

この難病の症例は先進国全体でも500にも満たないほどしか存在しない病気です。過去の実例が少ないからこその難病でもあるのでしょうが、それにしても先進国でもこれだけしか発症例がないということはかなりの難病であることがわかります。

昔の映画で「エレファントマン」という映画があったのをご存知でしょうか?世代の方はご存知の方も多かと思いますが、これのモデルとなった「ジョゼフキャリーメリック」という方が有名でもあり、この病気を別名「エレファントマン病」と呼ぶこともあるくらいらしいです。

それだけ稀であり、また難病でもあり、症例も少なく治療法も確立されていない、とても悲惨な病気であることがわかりますね。

もともとは原因不明であった

このプロテウス症候群はもともと「原因不明の難病」の一つでもありました。原因遺伝子の特定がされたと報告されるまでは、この病気は長い間原因不明の難病の一つとして数えられていたのです。

最初はドイツ皮膚科医の「Rudolf Happle」は発生初期の細胞の一つに対して偶然生じた遺伝子変異が原因の元であり、生後その変異細胞由来の組織全体が正常細胞間でモザイク状に異常増殖をする疾患であるという仮説を提唱したのですが、家族性の遺伝子疾患ではないために、原因遺伝子を特定するための連鎖解析が使用できず、新たなDNA解析技術が登場するまでの間、原因の特定は皆無でした。

しかし2011年に米国立ヒトゲノム研究所で原因遺伝子が特定され、この病気は原因不明ではなくなったのです。難病であるには違いありませんが、原因が特定されただけでも大きな進歩であるといえるでしょう。

勘違いされやすい病気との違い

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では、ここでプロテウス症候群と症状が少し似ていて勘違いされやす病気について触れたいと思います。

先端巨大症

似ている病名や病気で先端巨大症というものがあります。先端巨大症とは、手足の先端部分や額、鼻や唇などが肥大する病気です。身体の一部が大きくなったりすることや、顎が突き出してしまい噛み合わせが悪くなったりもします。他にも頭痛や視野の狭まりなどが挙げられます。先端巨大症の多くは40代から50代かけてで決して先天性のもので発症するものではありません。

この病気の発症原因となっているのはホルモンです。人間の脳内には脳下垂体という小さな期間が存在します。これは人が生命活動を維持して、健康的に生活する上で欠かすことのできない重要なホルモンを作っている部分なのです。この部分に良性の腫瘍ができてしまい成長ホルモンを過剰に分泌するようになると、額や鼻、顎や手足などの身体の先端部分が肥大してしまう先端巨大症になってしまうのです。

さらに、小児に発症が見られると、慎重や四肢が異常に伸びることがあり巨大症なることもあります。成長ホルモンは子供にとって成長そのものを促すホルモンです。大人では代謝などを調節する役割がありますので、過剰に分泌されてしまうと上記のような症状が現れるというわけです。

また、上記でも述べましたが、頭痛や高血圧、他にも糖尿病やいびき、多汗症などの症状を併発することもあります。この症状とプロテウス症候群との違いについては、この先端巨大症は一見肥大するという部分では似ていますが、そもそも原因が違います。先端巨大症はホルモンが原因であり、プロテウス症候群は遺伝子が原因となっています。さらにプロテウス症候群は先天性のものであり生まれた時にはもうすでに発症して生まれてきます。その部分が違うと言えますね。

象皮症

これも度々間違われることがありますが、あまりないとも言えます。象皮症(象皮病とも言います)とは、主に人に寄生するバンクロフト糸状虫による後遺症の一つです。見た目的な症状は病名の通りで、象の皮膚のように腕や足、陰部や外陰部、乳房がゴツゴツとして皮膚になってしまうことのことを言います。

これについては、リンパ管やリンパ節に寄生するフィラリア類もその部類に含まれます。寄生された後の後遺症としてこのような症状が出ます。

主に熱帯地域や亜熱帯に生息する寄生虫とも言われており、その熱帯や亜熱帯にはリンパ系フィラリア症という症状や病気が存在しています。病原体は先ほど述べたようにフィラリアやバンクロフトなどの寄生虫です。蚊に媒介され人間に感染する類の病気であり、感染すると、リンパ系に大きなダメージが至ります。その影響で主に足などが象のように大きく腫れ上がります。この病気に関して、日本ではまず発症の危険はない病気と言えます。1978年の沖縄本島での報告を最後に根絶した病気であると言えます。

主にこの病気は熱帯や亜熱帯地域に蔓延する病気であり、その地域では世界73か国で1億2千万人以上の感染者を出していますので、地域的に見れば非常に流行りの病気でもあると言えます。ただ日本ではまず発症はありません。

この病気とプロテウス症候群の違いはもう言うまではありせんが、そもそも原因が全く違いますし、手足が晴れるといっても見た目的にも似て非なるものと言えます。プロテウス症候群の場合は片方の手足のが肥大するという部分ですがこの象皮症は両方がかなり晴れ上がり、そして皮膚が象の皮膚のようになりますので、実際には勘違いされると言っても流行っている地域で一見、ぱっと見で間違われやすいというくらいでしょう。

プロテウス症候群の治療法について

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では、プロテウス症候群の治療法について触れていきたいと思います。

チーム医療が行われる

今現在、プロテウス症候群の患者に対して行なわれている治療法というのは、基本的に早期発見、診断を確定して、早期治療に勤め、より重症化することを予防するのが望ましいと考えられています。

ですが、複数ある進行性奇形が並行的に悪化の一途を辿るプロテウス症候群は治療も困難を極め治療法も限定的になります。さらに治療が困難で不可能の場合もありえます。これは多岐にわたる診療科の医療チームが団結し総合的に治療を行うことが現在の医療現場で行なわれている最善の治療法と言えるでしょう。

とは言ってもやはり限定的な治療法しか存在しておらず症状ある程度緩和させ進行をできる限り抑制させるということなどしか現在では手の打ちようなないというのが本音なのです。

では具体的にどのような治療法が行われているのがざっくりと見ていきましょう。

・骨化過剰の治療法

骨粗鬆症とは非対称性とも言える骨化過剰症、四肢や手足の巨大発育などに関しての治療法は整形外科的治療を行います。治療といっても場当たり的な処置と言えるでしょう。

・頭蓋・顔面・咬合などの治療法

頭蓋・顔面の奇形や咬合の異常に関して言えば、頭蓋顔面外科や整形外科などで治療をします。これも治療といっても対処法でしかありません。特に肥大した部分は肥大しきってから治療を行わなければならない点もありますので、見極めが重要です。

・皮膚などの治療法

皮膚などの異常に対しての治療法についてなのですが、皮膚の異常と言えば、結合織母斑や血管、リンパ管奇形や脂肪腫などが挙げられます。これに関しての治療法といえば、皮膚科や形成外科で各々の疾患に対しての標準的な治療法を試みます。具体的にはレーザー治療や外科的切除治療法です。これによりある程度の回復が望めます。

・その他の治療法について

その他の症状に対しての治療法についてご説明しましょう。その他の症状というと、血栓症や二次的結晶板減少症などが挙げられます。これが生じた場合の治療法はそれに対する治療が必要不可欠となります。また、MRI検査などで腫瘍がみられた場合には必要に応じて切除や摘出する手術が必要となります。このその他の症状に関しては稀に見られる症状ではあります。

主に現れる症状は手足の肥大などですので、この治療法などはごく稀ではありますが、徹底的に検査を行い治療が必要な場合は見落としがないように検査を行うことが今のプロテウス症候群の治療法となっています。そのためにチーム医療が必要となってくるのです。

プロテウス症候群の医学的進歩は?これからどうなる?

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現段階では治療法は対処法などしかありませんが、今後どうなるのか、それを考察したいと思います。

プロテウス症候群の今後

プロテウス症候群の原因の究明など治療薬の開発などは日々行われています。今現段階でどの程度の進捗があるのか、そして今後完治の希望があるのか、その点についてはとても真剣に気になる部分ではあります。

難病指定の病気は現在でも沢山存在しますが、その一つ一つの原因を究明し、そして完治するために治療薬の開発を行っている人たちは沢山おられます。その人たちにすべてを託すということになっていますが、是非今後も完治のために頑張っていただきたいと思います。

原因遺伝子の特定は「AKT1」というものに特定されています。米国立ヒトゲノム研究所でドイツの皮膚科医が提唱した仮説を確定のものにするために29例のプロテウス症候群患者から158のDNAのサンプルをもらい、その一部を使い、次世代シークエンサーというものを使って特定領域のみの塩基配列解読を行ったデータがあります。

そしてその結果を同じ患者の正常組織部分と異常増殖を繰り返している組織とで比較を試みたところ、異常増殖の組織のみで、遺伝子AKT1に変異が見られました。この変異については、29例あるうちの26例で認められたので確証は確実と言ってもいいものになりました。

遺伝子学で原因の遺伝子の特定をするところまでの進歩があり、今後、完治への道のりはそう遠くないと思われています。

遺伝子の特定により今後、この遺伝子をターゲットとして治療薬の開発に繋がることが期待されます。AKT1という遺伝子は、ホルモン、成長因子、もしくは細胞外基質成分というような色々な刺激に応じて細胞内で活性化が期待されます。グルコース代謝や転写、生存や細胞増殖や血管新生など、細胞の運動性に関係しているのです。

また結腸癌や乳癌、脳腫瘍、前立腺癌などの様々な癌に対して過剰発現して活性を提示することが認められています。このように、ATK1は癌の遺伝子として知られていたので、その部分をターゲットとした薬はこれまでも多岐にわたって開発が行われているようです。

プロテウス症候群を回復させる治療薬が開発されることは遠くない未来に完成を見ているのかもしれません。今後の医療や薬剤の開発に期待をしましょう。

難病と言われる病気について

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さて、ここで難病と言われている病気について、プロテウス症候群以外のものを少しだけ触れてみようと思います。世界にはまだたくさんの難病が存在しますので少しでも理解を深めるために触れてみようと思います。

メビウス症候群という難病

先天性という部分で括れる難病と言えます。メビウスが1888年に独立した疾患単位として提唱しました。主に先天性の顔面神経麻痺や先天性の外転神経麻痺などの症状が挙げられます。顔面の神経麻痺によるもので閉口障害なども挙げられるでしょう。

日本での発症頻度はかなり低く8万人に1人とされていて、日本全国の患者数は1000人前後と言われています。原因については不明で、胎児の脳の発育過程で、脳幹部分から中脳部分と菱脳が分化する時に障害が発生するという病気です。

これについての原因の特定はあまり進んでおらず様々な治療法が試みられている状況でもあります。

進行性骨化性線維異形成症という難病

もはや病名すら聞いたことのない病気であることがわかります。

これも難病指定の病気であり、子どもの頃から異所性骨化、つまり全身の筋肉などその周囲の膜や腱、靭帯などがだんだんと硬くなって骨へと変化する病気であり、進行していく病気でもあります。これが起こることによって手足の関節などの可動範囲が狭まり背中が変形します。国内での患者数は60人ほどで200万人に1人の確率で発症すると言われているごくごく稀な遺伝子に関係する難病です。

メカニズムについてはほとんど分かっておらず、タンパク質の信号などを細胞内に伝達する役割を果たす受容体である「ACVR1」という遺伝子の一部分に異変が起こるのが原因であるということくらいしかわかっていません。これは突然変異によるものが大きく、先天性とは言い難いとも言われています。

この他にも様々な難病、何百万人に数人の確率で発症するような病気があります。原因の特定もままならない病気で苦しむ人がこの世界にはたくさんいます。それを考えると、今現在こうして健康で生まれてきていながら生活習慣病などの怠惰とも言える病気にかかるのは、難病患者に対して失礼かもしれません。

こういうことを考えるのも大事なことであると思います。

まとめ

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では総括に入ります。

プロテウス症候群という難病は遠くない未来に完治の可能性があるかもしれない

まだ確証などはありませんが、原因の遺伝子特定はできている現状を考えると、今後、遠くない未来に治療薬、つまり特効薬が開発されるのも夢ではありません。先天性のごく稀な病気ではあるだけに治療法もほとんどなく、これに苦しむ人々を救うため日々研究者の人や医師の方々は頑張っています。

今後の医療に期待をして治療薬の開発ができることを心から望んでいます。

  
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