前立腺肥大の原因とは?症状や治療法、検査方法を紹介!

早速ですが、前立腺についてはご存知でしょうか。前立腺とは、膀胱の排泄口(尿道)の両脇に位置する男性特有の器官です。精液の成分の一部となる前立腺液の生産をその働きとしています。ではこの前立腺の病気についてはご存知でしょうか。例えば、前立腺肥大症という病気などがあります。

その症状を簡単に、ざっくりと言ってしまえば前立腺の肥大によって尿道が圧迫されてしまい、尿の排泄に不調をきたしてしまう病気です。今回はそんな前立腺肥大症のより具体的な症状、原因、治療法等々を紹介させて頂ければと思います。

前立腺肥大症の症状

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これまたざっくりと大別すると、前立腺肥大症の症状は3つにわけられます。排尿症状、畜尿症状、排尿後症状の3つです。排尿症状とは、簡単に言えば尿が出にくくなってしまう症状の総称です。

畜尿症状は一概には言えませんが、「とにかく頻尿になってしまう」というのが最大の特徴です。排尿後症状は「うまく言えないが、尿のキレが悪くなる」ような症状のことです。

排尿症状

すでに簡単に触れましたが、改めて排尿症状の特徴を列挙させて頂きますと、

  • 尿の勢いが弱い
  • 尿が出始めるまでに、異様な時間がかかってしまう
  • 尿が一本にまとまらず、枝分かれしてしまう
  • 途中で尿が途切れてしまい、なかなか再開できない
  • 尿が自然に出なくなってしまうので、強く力んで無理やり出す必要がある

と、なります。 

畜尿症状

畜尿症状の特徴は多様ですが主に、

  • 昼間頻尿と夜間頻尿のどちらか、あるいはその両方が起きる(明確な基準はありませんが大体、朝起きてから就寝までの排尿の回数が10回前後かそれ以上の場合は昼間頻尿、就寝後に毎日のように排尿のために1回以上起きる場合は夜間頻尿と言われています)
  • 我慢できないような強い尿意(尿意切迫感)が、急に起きてしまう
  • 尿意切迫感を感じた後、トイレに着くまですら我慢できずに漏らしてしまう(切迫性失禁)
  • 尿意切迫感と頻尿の両方を併発(過活動膀胱)する。これは前立腺肥大症患者の半数以上が発症します。

ちなみに、畜尿症状を発症した場合に必ずしも前立腺肥大症によるものとは言えません。脳卒中やパーキンソン病、膀胱炎、高血圧、心不全、腎機能障害など、様々な病気の際に起きる症状です。

何れにせよ、恐ろしい病気の兆候である可能性は高いので、強い頻尿の自覚症状がある場合は、一刻も早く病院で診察を受けるべきでしょう。

排尿後症状

先程は「尿のキレが悪くなる」という非常に抽象的な説明をさせて頂きましたが例を挙げますと、

  • 排尿後にスッキリしない
  • 尿を出し切った感じがしない
  • 尿を出し終えたと思ったが、下着を履きなおすと尿が漏れてしまう(排尿後尿滴下)

などがあります。 

前立腺肥大が起きる原因

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前立腺肥大症の主な原因の1つは前立腺肥大です。非常に紛らわしいので混同されがちですが、「前立腺肥大」と「前立腺肥大症」は別物です。といっても「別の病気」というわけではなく、「別の意味を指し示す言葉」です。

「前立腺肥大」は正確には病気の名前ではなく、「前立腺の中にできてしまった良性腫瘍」のことです。腫瘍が出来てしまった前立腺が肥大化してしまい、間にある尿道が圧迫されてしまい、前述した排尿障害や頻尿などが伴う病気を発症します。この病気の名前こそが、「前立腺肥大症」なのです。ではなぜそもそも前立腺肥大が起きるのかなどを説明したいと思います。

ホルモン説

説明すると申し上げておきながら恐縮ですが、実は前立腺が肥大する原因とメカニズムは明確に解明されてはいません。「有力な説はいくつかあるが、決定的な証拠はない」というのが現状です。そして、そんな「有力な説」の1つが「ホルモン原因説」です。年と共に男性ホルモンは減少し、相対的に女性ホルモンの割合が増します。これは自然なことですが、このホルモンバランスの変化によって起きるのではないかと考えられています。

このホルモン原因説の最大の根拠は「年齢ごとに占める前立腺肥大の割合」です。前立腺肥大を発症した人の数は年齢に比例して増えていきます。その割合は大体30代ごろから増えていきます。そして50歳代の30%、60歳の60%、70歳の80%、そして80歳では90%もの人が発症しています。このデータから、「加齢と共に否応なく生じるホルモンバランスの変化」が原因だと考えられるようになりました。

ちなみに、60歳以降で半数以上の人が前立腺肥大になるとはいえ、そうした人々全てが「前立腺肥大症」を発症するわけではありません。もちろん、ある程度の頻尿や排尿症状は起きますが、治療を必要としないレベルであることが大半です。本当に治療が必要な前立腺肥大症患者の人数は、先ほど示したパーセンテージのさらに1/4程だと考えられています。

 その他の説

ではホルモン以外にはどのような原因や説が考えられているのでしょうか。例えば、肥満や高血圧、はたまた高血糖や脂質異常症との関係が指摘されています。要するに、「肥満体質の方に多いのではないか」と考えられているということです。それ故、メタボリック症候群との関連性も、医学界では検討されています。

その他にも不摂生な食生活による栄養の偏りも挙げられています。野菜、穀物、大豆などにはイソフラボノイドという栄養が多く含まれているのですが、このイソフラボイドに前立腺肥大症の発症抑制効果があるのではないかと、疑問が呈されているのです。こうした食物の摂取が不十分だと、前立腺肥大症にかかりやすくなるのではないかということです。

また、肥満と同じように万病の源と考えられがちである喫煙やアルコールに関しては、以外にも前立腺肥大症との関係は明らかではありません。

前立腺肥大の検査法

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そんな前立腺肥大症がどうか調べる方法ですが、複数あります。そんな複数ある検査を以下に列挙させて頂きます。

尿検査

主に、尿の排出口に異常がないかの検査となります。一般的に行う尿検査と同じです。

排泄中の尿を採取し、それを検査することで尿路に何らかの病気がないか、出血していないか、尿路結石がないか、たんぱく質や糖質が過多でないかなどなどを調べます。費用は高くても1000円に届かないくらいです。

直腸診

これは少々特別な検査でして、前立腺肥大症の疑いがあると思われた時に初めて行われます。俗にいう、触診に当たります。直腸、つまり肛門から指を挿入し、前立腺に触れて触診を行います。

この触診によって前立腺の大きさが異常でないか、変に固くないかなどを調査します。一見しますと、抵抗感を覚えられる方も多いと思いますが、確実性も高いですし王道の検査だと言えます。

超音波検査

一言で言ってしまえば、前立腺の内部を超音波によって検査する方法です。具体的には、例えば前立腺のサイズや形状に異常がないか、水腎症にかかってないか等を検査します。また、尿が十分に溜まっている時の方が超音波の通りや反響が良くなり、検査の精度が増します。よって、検査前には排尿を控え、尿をためるべきです。ですが費用は少々高額でして、下手をすると4000円を超えます。

PSA検査

これは少々特別でして、前立腺に腫瘍がないかを確かめる検査です。前立腺肥大は良性とはいえ、腫瘍ですからこの検査で十分確かめられます。ちなみに血液を通しての検査ですので採血が必要です。しかし、一般的な採血検査と同じですので、これといった負担はありません。ですが費用は今回挙げた検査の中で最も高額です。下手をすると、5000円を超える程です。

前立腺肥大の治療法

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では肝心な治療法ですが、どのようなものがあるのでしょうか。代表的なのは、三種類あります。薬物治療、手術治療、保存治療の三種類です。

薬物治療

前立腺肥大の原因は大きくわけると2つです。1つは前立腺の筋肉が過剰に収縮することによる尿道の圧迫、もう一つはすでに紹介させて頂いたように、前立腺それ自体の肥大による圧迫です。これに対して、2種類の薬剤による治療があります。

1つは、全社に対する治療です。つまり前立腺周辺の筋肉を緩め、過剰な収縮を和らげることによる圧迫からの解放です。

もう1つは後者への治療です。つまり、前立腺そのものを小さくすることで圧迫を和らげる薬剤です。

手術治療

尿路に病気がある場合や尿路結石がある場合、はたまた尿閉が見られる場合には手術が行われます。手術と一言で言っても種類は様々です。

肥大した前立腺そのものを切除する「経尿道的前立腺切除術」、レーザーによって肥大した肉を内から剥がす「ホルミウムレーザー前立腺核手術」、レーザーで肥大した肉を蒸発させる「光選択的レーザー前立腺蒸散術」、マイクロ波によって前立腺を熱し縮小させる「経尿道的マイクロ波高温度治療術」、尿道に筒状のものを設置する「尿道ステント」などの方法があります。

保存治療

ある意味、最も一般的な治療かもしれません。要するに、食生活や生活食品などを指導し改善することによる治療です。

例えば適度な運動や不摂生や食事の改善、アルコール制限の指導など、極めて一般的な内容の指導です。

まとめ

いかがでしたか。もちろん、前立腺肥大症は必ずしも健康に甚大な被害を及ぼすとは限りません。軽度なものであれば、抱えながらも十分通常の生活を送る人も多いです。とはいえ、決して放置していいものではありません。

放置した結果、徐々に健康状態が損なわれ、そしてより酷い病気につながってしまうかもしれません。つまり、尿関連であっても異常があると判断した場合、可及的速やかに病院にいき、医師の診断と治療を受けるべきです。

  
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