筋肉注射とは?痛いのは何故?その方法や副作用、注意点を紹介!どのような効果があるの?

医療技術の発展とともに、新しい薬もまた、いろいろなものが出ています。昔では治療が難しいと言われていた病気の治療が、現代では可能になっている事実を見ても、どれほど発見と研究を重ねて、今日に至っているのかと、改めて考えさせられます。

また、治療方法においても、精密なロボットを使用した治療法や、メスを使用しない手術など、より患者に負担をかけない治療法が開発されているようです。

このように、様々な治療法の中でも、昔からある治療法の一つとしてあげられるのが、「注射」です。おそらく、自ら好んで注射を受けたいという人は、そういないとは思いますが、薬を確実に体内に入れるための優れた方法であると言えるでしょう。

今回は、注射の中でも、強い痛みがあることで知られ、敬遠されがちな筋肉注射について、ご紹介いたします。

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いろいろな注射の種類

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注射には、今回ご紹介する筋肉注射だけではなく、そのほかにもいろいろな種類のものがあります。

使用する薬や治療の目的によって、どのタイプの注射を使用するかを分けています。まずは、筋肉注射以外で、現在医療で使用されている注射には、どのようなものがあるのか、見ていきましょう。

皮内注射

皆さんご存知のように注射をするときは、腕などの皮膚から注射針を刺して行いますが、その皮膚は、大きく分けて、表皮・真皮・皮下組織に分かれています。

皮内注射は、このうちの「皮内」と呼ばれる、表皮と真皮の間に打つ注射を示します。

  • アレルギー診断
  • ツベルクリン反応
  • 薬物過敏診断

などの検査のほかにも、予防接種として使用されることが多いため、小さな子供から大人まで、比較的身近なタイプの注射と言えるかもしれません。

皮内注射を受けた人ならばわかるかもしれませんが、皮膚に対して、針をほぼ平行の角度で刺して薬液を注入します。痛みもさほどありません。

皮下注射

これは前述した皮膚の「皮下組織」と呼ばれる、ちょうど筋肉との境目あたりに針を刺す注射を示します。これは、薬の経口投与が難しい患者や、薬の効果をより早く得たいときに使用される方法です。

皮膚をつまみ、そこに30度の角度になるように寝かせて針を刺し、薬を注入します。詳しくは、皮下注射はどこの部位がいいの?合併症の恐れや注意点も紹介!を参考にしてください!

静脈内注射

これは、静脈に直接薬を注入するための方法です。血管内に直接入れることで、素早く薬液が全身に回るため、より早急な処置が必要な場合などに用いられる方法です。人によって静脈までの深さは異なりますが、大体、皮膚に対して15度~20度程度の角度で針を刺します。

点滴静脈注射

これはよくご存知のことでしょう。時間をかけて薬液を投与するため、静脈に刺した針を固定し、ボトルなどに入っている薬液を投与する方法です。

薬の血中濃度を一定に保つことを必要とするときや、薬液の注入量が多い時などに効果的な方法で、一般的には、脱水症状や低栄養のときなどに使用されます。

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筋肉注射について

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それでは、筋肉注射とは、どのような注射なのでしょうか。その名の通り、筋肉に直接薬液を注入する方法として知られていますが、同時に、強い痛みを伴うことでも有名です。

それでは、筋肉注射についての詳細を、早速見ていきましょう。

なぜ、筋肉に薬液を注入するのか?

先に述べたような様々な注射の中で、もっとも薬の効果を早く得られるのは静脈内注射だと言われています。血管に直接注入するので、効果も早く得られるということは、容易に想像できますが、筋肉注射もまた、それについで、迅速な効果が得られる注射として知られています。

筋肉には、毛細血管やリンパ管が多く存在するため、静脈内注射には及ばないものの、皮下注射の2倍の速度で薬液を体内に吸収することが可能なのです。

また、静脈内注射で使用できる薬液は、量や薬液の種類が限られています。血管内に直接薬液を注入するため、油性あるいは懸濁性の、強い作用をもたらす薬液を注入すると、障害を起こす可能性があります。

そのため、静脈内注射ではこれらを使用することはできませんが、筋肉注射の場合は可能になります。

また、皮下注射が投与できる薬液量は0.2~2mlであることに対し、5mlという比較的多い量の薬液を注入することができるという点も、メリットの一つと言えるでしょう。

筋肉注射が用いられるのは、

  • 解熱鎮痛薬
  • 不活化ワクチン
  • ホルモン薬
  • 検査前投薬

などの薬液を注入する場合が多いようです。

筋肉注射の注射部位について

筋肉注射では、注射する部位が決まっています。大きな血管や神経を損傷しないよう、それらが少ない部位に注射することを基本とし、以下の三ヶ所とされています。

<上腕部>

鎖骨と腕の付け根をつないだ、ちょうど肩先にあたる「肩峰」と呼ばれる部分から指三本分ほど下がったところに、三角筋と呼ばれる筋肉があります。その三角筋の中央部に注射します。

三角筋への筋肉注射は、どの年代の人にも可能な注射部位として知られています。

<臀部>

臀部(お尻)には、中臀筋と呼ばれる筋肉が存在します。

注射部位は、上前腸骨棘(お腹側の骨盤の骨の先端部。外から手で触れても確認できる骨)と上後腸骨棘(上前腸骨棘と反対側の部位のこと。背中側にあり、一般的に腰骨と呼ばれることが多い)をつなぐ線を三等分したうちの、上前腸骨棘側から三分の一にあたる点に注射します。この方法を、医療用語では「クラークの点」と呼んでいます。

さらに、「四分三分法」と呼ばれる方法では、腸骨稜と呼ばれる部分と、臀溝(お尻と太ももの境目)を結ぶライン、そして臀裂(お尻の割れ目部分)から臀部の外側へ向かって結ぶようにラインを引きます。ちょうど、片側のお尻の真ん中に十字を書くようなイメージです。

その二つのラインが合わさる中心部から、45度の角度で引いたラインの三等分したうちの、外側から三分の一にあたるところを注射部位とします。

また、臀筋が未発達の小児の場合には、この部分へ注射することはあまり望ましいとは言われていません。一方、高齢者で三角筋が減少している場合においては、臀部への注射が選択されることもあるようです。

<大腿上部>

一般的には太ももと呼ばれる部分にあたります。太ももには「大腿直筋」「中間広筋」「内側広筋」「外側広筋」からなる「大腿四頭筋」と呼ばれる筋肉が前側に存在します。このうち、太ももの外側に位置する「外側広筋」と呼ばれる筋肉に注射します。

注射部位は、太ももの付け根にあたる大転子部と膝の膝蓋骨と呼ばれる骨を結ぶ線の中央部とされています。

この部位への注射は、小児の場合、筋萎縮を起こす可能性があるため、行いません。また、以前はこの部位への筋肉注射も行われていたようですが、現在では滅多に大腿上部へ筋肉注射を行うことはないと言われています。

筋肉注射はなぜ痛いのか?

皆さんもよくご存知のように、筋肉注射は皮下注射に比べて、強い痛みがあることで知られています。担当医の技術によっても痛みの程度は異なるかもしれませんが、これには理由があります。

ここまでご覧いただくと、既にご理解いただけるかもしれませんが、筋肉注射は皮下注射よりも深い部分に薬液を届けなければなりません。

そのため、皮下注射や静脈内注射などでは、針をほぼ寝かせて刺すのに対し、筋肉注射は45度から90度というほぼ垂直に近い状態で針を指します。

さらには、私たちが通常の注射針と認識しているものよりも、太い針を使用することも、痛みの原因と考えられるでしょう。

しかし、それが主な原因というわけではありません。もう一度思い出していいただきたいのが、注射ごとの薬液の種類です。

筋肉注射の場合、静脈内注射では危険とされているような、作用の強い薬が多いということを先にもご紹介しました。そしてもう一点が、薬液の量です。皮下注射に比べると、筋肉注射で投与される薬液は多くなります。これらの2つの要素が合わさると、「強い薬を、多く」注入しているということになります。

とくに、アルカリ性や酸性の薬液の場合、刺激を感じやすいと言われていることに加え、多めの薬液を注入することで、注射部位の組織が圧迫されるという要素も重なっています。

筋肉注射が、ほかの注射よりも痛みを感じやすいのは、注射部位や針の太さというよりも、「痛みを感じやすい薬液を、多めに投与されること」が大きな原因と考えられています。

痛みを緩和させる方法は?

これは、注射を受ける側としては自分で行うことができませんが、注射をする側の工夫で、痛みを緩和させることも可能だと言われています。

たとえば、針を刺すときには、皮膚を軽く引っ張るような感じになるようにしたり、三角筋への筋肉注射の場合は、注射部位をつまむときに、少しだけ爪を立てるようにしてつまんでもらうと、痛みの感覚が分散されるため、注射時の痛みを若干和らげることができるとも言われています。

注射後のマッサージについて

よく、注射をしたあとに、注射部位を揉むか否かで意見が分かれることがありますが、これは、注射の種類によっても異なるようです。

筋肉注射の場合、薬液を毛細血管やリンパ管といった体内組織に早く吸収させるほかに、痛みを和らげるためにも、マッサージはするべきだと言われています。

特に、静脈内注射では投与できない、脂溶性の薬液においては、硬結を招きやすいため、それを予防するためにも注射後のマッサージは必要です。

アルコール消毒液などを含ませた綿を医師から渡されたら、そのまま約1~2分ほど、軽く円を描くようにマッサージしましょう。

ただし、投与する薬によっては、局所障害を起こしたり、痛みが悪化する場合もあるので、必ず事前に医師に確認し、指示に従うように気をつけましょう。

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筋肉注射の注意点

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筋肉注射では、周囲の神経や血管を傷つけてしまう可能性があります。これらを避けるためには、どうしても医療機関側の技術にのみ頼りたくなりますが、受ける側においても、注意すべき点はあります。

ここでは、注射をする側と受ける側、双方の注意点について確認しておきましょう。

注射を受ける側の注意点

筋肉注射を受ける際には以下のような点に注意しておきましょう。

  • 普段と体調が違うときには、必ず事前に医師に報告してください。
  • 適当ではない薬液があるかもしれませんので、何らかのアレルギーなどがある場合には、必ず事前に医師に報告してください。
  • 注射を受ける前に、必ず名前を確認されます。間違っていないかを確認するようにしてください。
  • 何の薬を投与し、どのような効果があるのかなどを、事前に医師から説明されますので、きちんと聞き、理解しておきましょう。
  • 安全に注射を行うため、注射時には、安易に身体を動かさないようにしてください。
  • 注射後は、注射部位を清潔に保ちましょう。
  • 注射を受けた日は、できるだけ安静に過ごすようにしてください。

以上のような点に気をつけておきましょう。また、注射時や注射後に、体調あるいは注射部位に明らかに異変が見られる場合には、迅速に医師に連絡し、診察を受けるようにしてください。

特に、アレルギー反応などが見られる場合においては、早急な処置が必要になります。くれぐれも自己判断で対処しないようにしてください。

注射をする側の注意点

筋肉注射を行う際には、以下のような点に注意し、安全に行いましょう。

  • カルテを確認し、必ず患者の名前と使用する薬液に間違いがないか確認しましょう。名前の確認は患者本人に「フルネームで」述べてもらうのが確実です。
  • 薬液の説明や、筋肉注射の必要性について事前に患者に説明しましょう。
  • 注射器に薬液を注入するときは、必ず注射器の空気を抜きましょう。
  • 注射時に患者の様子を確認し、しびれなどの異常がないかを確かめましょう。万が一しびれを感じている場合には、神経に触れている可能性があるので、早急に医師に報告しましょう。
  • 針刺し事故を防ぐため、使用後の注射器はすぐに廃棄ボックスに捨てましょう。万が一針刺し事故が起きた場合には、すぐに流水で患部を洗い流し、医師にまたは上司に報告するようにしてください。
  • 筋肉注射は、そのほかの注射より痛みを強く感じることがあります。できるだけ手早く確実に行うように心がけましょう。患者の筋肉が硬直していると上手く注射できないので、患者をリラックスさせてあげることも大切です。
  • 筋肉注射を何度も重ねている患者の場合は、注射部位が硬くなっているケースもあります。その場合においては、注射部位を変更しましょう。
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筋肉注射のリスクについて

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筋肉注射は、皮下注射などに比べて副作用が出にくいと言われており、海外では、ワクチン接種なども筋肉注射で行われているところがあるほどです。しかし、血管や神経を傷つけるというリスクが生じるのもまた、事実です。

ここでは、筋肉注射で考えられるリスクについて詳しく見ていきましょう。

薬液による副作用

薬を内服する場合も同様ですが、薬を体内に入れる以上、副作用が生じる可能性はゼロとは言い切れません。

ステロイド剤は量を守っていれば問題ありませんが、不妊治療などでホルモン剤を投与する場合には、嘔吐や下痢、めまいといった副作用が出ることもあります。

神経損傷

筋肉注射で最も注目すべきリスクは、やはり神経損傷による様々な症状でしょう。三角筋に注射することで神経を損傷し、腕が回らなくなるなどの後遺症が残ってしまうケースもまれにあります。

とくに、痩せている人の場合には、通常の人に比べて三角筋が薄いこともあるため、ほかの人と同じように深く針を刺すと神経を傷つけてしまう可能性があります。

神経を損傷すると、腕や首、肩などが思うように動かなくなるだけではなく、麻痺などの症状も残るケースがあるので、十分に注意しなければなりません。

また、違う例では、ホルモン注射などによって、坐骨神経が傷つくこともあるようです。随分昔の例になりますが、臀部による筋肉注射で、坐骨神経が傷つき、下半身付随になったというケースも見られました。

注射をする側の技術とも言えますが、受ける側も、できるだけリラックスし、安全に筋肉注射を行えるように心がけましょう。

筋短縮症

これは1970年代に起きた山梨県の症例が、よく知られています。大腿四頭筋への筋肉注射によって幼児を中心に筋短縮症が生じたというケースです。これは、注射液の刺激が筋肉組織を破壊したものと考えられています。

太ももの筋肉組織が破棄し、線維化すると、膝が伸びなくなるなどの症状が出るため、歩行が困難になるといった運動障害が残るのです。

筋短縮症と筋肉注射の因果関係は、はっきりと医学的に証明されているものではありませんが、これらが筋肉注射によって起きたことは確かであるため、以前に比べると、筋肉注射が行われることも少なくなったと言われています。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。筋肉注射は内服薬よりも、早く薬の成分を吸収させることができるため、治療法としては大変効果的で確実な方法と言えるでしょう。

しかし、昔であれば、風邪薬や解熱剤などは、臀部への注射で行っていましたが、先にあげた筋肉注射のリスクなどを懸念し、現在は、そのほとんどが内服薬に変わっています。

いずれの場合においても、注射が必要ないほどの健康体でいることが一番望ましい姿です。日々、自分の身体を大切にして、健康を心がけたいものですね。

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