正露丸の副作用を紹介!害性があるというのは事実?

『正露丸』と言えば、あなたは何をイメージしますか?真っ黒な丸薬とあなたをノスタルジックな気分にさせる、あの何ともいえない特有の香りを思いだされる人も多いのではないでしょうか?

日本人の大衆薬として服用されてきた『正露丸』は、1998年頃より、雑誌やブックレット『買ってはいけない』(「週刊金曜日」編/1999年発行)にその有害性が取り上げられ、2000年には、市民団体より『正露丸』などのクレオソート製剤の販売中止を求める要望書が厚生省(現在の厚生労働省)と正露丸を製造、販売している19社の製薬企業に送られるまでに至りました。

『正露丸』とは、本当に怖い薬なのでしょうか?買ってはいけない薬なのでしょうか?一家に一瓶あれば安心と、永年家庭で愛されて来た『正露丸』とは一体どのような薬なのか、なぜその有害性を指摘されることとなったのか?副作用、そして正しい服用の仕方と共に紹介していきます。

正露丸の知識

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まずが、正露丸について知っておきましょう。

歴史

ラッパのマークをシンボルとする皆さんにおなじみの『正露丸』が大幸薬品株式会社から製造販売されたのは、1946年(昭和21年)のことです。

最初は、1902年(明治35年)に中島佐一氏が『正露丸』の前身となる『忠勇征露丸』の売薬営業免許の証を大阪府から所得しました。日露戦争中には、日本軍において『制露丸』として製造され、陸海軍の御用薬として缶入りのものを将兵に持たせ、胃腸薬として軍人全員に服用を命じていました。

その後、『忠勇征露丸』の製造販売権を継承した大幸薬品は、名称を『忠勇征露丸』から国際関係の都合上、露を意味するロシアを征するという意味は、よくないという理由から「征」を「正」に改め、中島佐一の名字を付け加え、『中島正露丸』に変更されました。

現在の『正露丸』に名称が変更されたのは、1954年(昭和29年)の頃です。歴史をさかのぼると『正露丸』は、100年以上にわたって、我々日本人にとって大変身近な薬であったことがわかります。

『正露丸』の成分とその歴史

【主成分】

では、あの色と香りを構成する『正露丸』の主成分とは一体何なのでしょうか?1902年、中島佐一薬房は、木クレオソート(もくクレオソート)を主成分とする丸薬を製造しました。これが『正露丸』の原型となる薬です。木クレオソートと言っても、私達には何のことかさっぱりわからないことと思います。

木クレオソート(Wood Creosote)とは、微黄色透明の液体で、これはブナや松などを炭化させた時にできる木タールを蒸留することにより精製されます。殺菌剤として、食あたり水あたりなどの感染性の下痢や腸管内での水分分泌調整、また大腸の亢進の正常化にも効きめがあります。そしてこの木クレオソートこそあの燻製臭漂う『正露丸』の看板とも言うべき独特な匂いの源なのです。

【木クレオソートの歴史】

紀元前には、古代エジプトに於いて、この木クレオソートの原料である木タールをミイラを保存する時に使用しました。木クレオソートが『ケレヲソート』の名称で長崎に輸入されたのは、1839年のことです。

【その他の成分】

『正露丸』の主成分として木クレオソートの説明をしてきましたが、『正露丸』に含まれる成分は、他にもいろいろあります。

・アセンヤク末 …..アカネ科のガンビールの葉、及び若枝から得た乾燥水製エキス、下痢止め、整腸薬として使用される。味は極めて渋く苦い。

・オウバク末     …..ミカン科のキハダのコルク層を取り除いた樹皮を乾燥粉末した物、抗菌、収れん(下痢)、健胃作用がある。味は苦い。

・カンゾウ末      …..マメ科のカンゾウ属植物の根や根茎を乾燥粉末した物、緩和作用、抗炎症作用がある。

・陳皮(ちんぴ)末 …..ミカン科のウンシュウミカン又はマンダリンオレンジの果皮を干し、粉末した物、芳香健胃、嘔吐などに対して用いられる。

『正露丸』の有害性と副作用とは?

では、正露丸の有害性や副作用について紹介します。

混同された真実

では、何故『正露丸』は有害であると指摘されたのでしょうか?

大きな理由の1つが、『買ってはいけない』(「週刊金曜日」編/1999年発行)において、『正露丸』の主成分である、植物由来の木クレオソート鉱物由来のクレオソート油(石炭クレオソート)を呼称が似ているため、両者が同じ物であるかのように混同されてしまったことです。

本文中には、『正露丸』の主成分はクレオソートと言われるもので、かつて電柱などの防腐材として使用され、コールタールを原料としたものであると説明されています。そこで、皮膚刺激や呼吸器刺激作用、発がん性も指摘されました。これには、大幸薬品も間違いの訂正を出版社に求め、「週刊金曜日」誌上において訂正記事が掲載されました。

では、木クレオソートは安全なのか?

木クレオソートは、大変強力な殺菌防腐剤です。これは、フェノールp-クレゾールグアヤコールクレオソール4-エチルグアヤコールo-クレゾールなどを主成分としたフェノール系化合物なのです。フェノール化合物は、高濃度では細胞原形質を障害する大変危険な物質です。神経毒性、腎障害、溶血などを生じます。

『正露丸』の副作用

胃痙攣 原因

【グアヤコールによる副作用】

グアヤコールとは、歯の治療時に使用されます。歯の神経を麻痺させ、その部分を消毒します。歯痛の時は『正露丸』を虫歯につめておくと痛みを麻痺させてくれます。

しかし大変に刺激性、毒性が強いので、治療時はこぼれて口の中の粘膜にふれないよう使用しなければなりません。成人の致死量は3〜10gです。大幸薬品の論文には、クレオソート中の53パーセントを占めるとなっているので、1回に『正露丸』を9粒飲むとすると0.21gのグアヤコールを服用したことになるので、100粒ほど一気に服用した場合、致死量に達して死に至る可能性があります。

【クレゾール/フェノールによる副作用

クレゾールもフェノールも手洗い用の消毒液に含まれる成分です。濃度が高い場合は、火傷や意識混濁を引き起こします。刺激性、毒性のある劇薬です。そのような成分が内服薬に使用されていることが問題視されています。

【その他の副作用】

  • 皮膚…かゆみ発疹発赤浮腫など
  • 消化器…悪心がある嘔吐便秘胃部の不快感食欲不振など
  • 精神神経系…めまい頭痛など

重篤なレベルの副作用としては、肝機能障害(倦怠感の増大、食欲不振、呼吸困難など)、黄疸(嘔吐、食欲不振、倦怠感があるなど)があります。

『正露丸』の正しい服用の仕方

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薬の正しい服用とは、『正露丸』に限らず、その薬の使用上の注意をよく読み、用法、用量を必ず守る事です。自然の生薬から出来た薬であろうがなかろうが、自分勝手な思惑で薬の服用を続けることは、大変な結果を招きかねません。

まとめ

『正露丸』は、大変古い薬です。100年以上も前に作り出された薬ですから、さまざまな薬が発見され製造されている現在、昔のレシピに沿って製造されている『正露丸』に安全とは言い難い成分を使用することに疑問を持つ人がいることは確かです。しかしながら、製薬会社も薬を製造する上で、その成分の危険性も把握した使用量を決めています。自己判断で過剰服用すれば副作用が起こるのも当然です。

毒と薬は、紙一重と昔からよく言われます。体をよくする薬であっても、用法、用量を間違えると人間の体にとって大変な毒薬と変化するのです。大衆薬は、いつもみなさんの手の届く所に常備されていて大変便利ではありますが、病状がなかなか回復しない時は、そのまま飲み続けたり、重ねて他の薬を服用したりせず、すぐに病院で診察を受けるようにして下さい。

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