ホルネル症候群とは?症状や原因、治療法を知ろう!瞳孔の変化で病気に気づける?

ホルネル症候群という言葉は普段耳にすることはないと思います。しかし、この病気は様々な病気が原因となって発症する病気ですのでしっかりと知識をつけていざという時に対処できるようにしておく必要があります。

今回はこの「ホルネル症候群」の症状や治療法について深く触れていきたいと思います。

ホルネル症候群とは何か?

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では、まずホルネル症候群の詳細についてご説明しようと思います。

神経障害の一種

ホルネル症候群と言うと何が何だかさっぱりわからないし、言葉から導き出せるイメージもないでしょう。それもそのはずでこの病気はまず一般的には知られていない病気です。ですが侮っていはいけません。これはいろいろな病気が原因で発症する症状でもあります。

ホルネル症候群とは神経障害の一種で、片側の瞼が垂れ下がったり、瞳、つまり瞳孔が小さく狭くなったり、汗が出にくくなる、発汗が減少する病気の総称です。

詳しく説明すると、眼と脳を直結する神経伝達が何かによって分断されてしまうことが大きな要因となっているのです。脳は身体全てに命令を出す機関とも言えますし、中枢、つまり身体の命令核とも言えますので、そこからの神経が分断されれば必然的に異変を起こすでしょう。

これは生まれつき発症する部類と、何らかの病気により発症する二つの要因が挙げられます。発症年齢は定まっておらず、どの年代の方でも発症の可能性があると言える病気の一つです。

人間だけでなく動物でもこの症状は見られることがあります。どう言った原因が元で引き起こされるのか、詳しく知る必要があるでしょう。

ホルネル症候群の主な症状

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では、次にホルネル症候群の症状について触れていきたいと思います。

眼瞼下垂症状

ホルネル症候群の一番の特徴とも言える、瞼が垂れ下がる症状である眼瞼下垂についてご説明します。

代表的とも言える主症状で、上瞼が垂れ下がります。神経の損傷が起こった側の瞼にその症状が現れるのが一般的であり、右目の神経の損傷であれば右目瞼が、左目の神経の損傷であれば左目瞼が垂れ下がります。これは両方ではなく片目だけに現れるというのもホルネル症候群の特徴であると言えます。

もし片目の瞼に力が入らず垂れ下がってきた場合はホルネル症候群(眼瞼下垂)であると断定しても良いでしょう。片目の瞼が垂れ下がるというものがホルネル症候群の特徴的なものであると言えます。

また、先天性ホルネル症候群の場合ですと、症状が出ている側の眼の色が薄い青色になる「虹彩異色症」が併発する可能性があります。しかしこれはごく稀なケースであるといえるでしょう。先天性自体が稀ですので、この症状は稀に起こることがあるということですね。

もし虹彩異色症が出た場合は先天性ホルネル症候群であることがわかります。先天性のみに発症する事例ですので、それ以外は出ません。ほぼ間違いはないといえるでしょう。

瞳、瞳孔の萎縮や収縮

ホルネル症候群の症状の二つ目に瞳孔の萎縮や収縮が挙げられます。これは損傷が起こっている部分の交感神経の麻痺が原因で起こるもので、瞳孔が収縮し小さくなってしまう「縮瞳」という症状が出る場合もあります。また、稀に眼球が凹むような「眼球後退」なども起こる場合があります。

交感神経とは活動的な神経で、副交感神経と密接な関係にあります。交感神経は体を動かしたり仕事をしていたりしているときに働く神経で、副交感神経とは休んでいるとき、寝ているときなどに働く神経のことです。

この神経の伝達が分断されることによってバランスが崩れ、損傷した交感神経により活動ができなくなり、機能障害や瞳孔つまりカメラでいうこと路の視点を捉える働きをすることができなくなってしまうので瞳孔が収縮、萎縮してしまうという原理となっています。瞳孔は正常な場合は光に反応して、まぶしいと瞳孔が閉じ、暗く、よく観察しようとすると開きます。交感神経の損傷は視力にも大きな影響を及ぼすのです。

脳と神経の大事さがここでわかりますね。

発汗障害、汗をかきにくくなる

ホルネル症候群の症状は眼だけには止まりません。先ほどの述べた神経伝達の障害により、損傷を受けた側の顔部分の汗の量が極端に減ります。つまり汗が出にくくなるということです。これが重症化すれば全く出なくなってしまう場合もあります。

これには神経が密接に関わってきていて、汗を出す、ということは神経伝達により行っているとこで、その神経に異常が来してしまった場合汗を出すことができなくなってしまうのです。

汗が出なくなってしまった場合は熱が篭り、顔が火照ったようになったり、むくんできたりします。発汗するということは体から熱を逃がす意味があります。つまり熱が外に出なくなってしまうということは夏場は特に危険であることがいえるでしょう。熱中症や体温調節ができなくなり、次第に意識にも影響してきます。

これは初期症状ではなく二次症状や三次症状であるので、ここまで来てしまった場合は危険であるサインと思ってください。

ホルネル症候群になる原因とは?

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では、ここでホルネル症候群の原因を探っていきましょう。

神経線維の分断

ホルネル症候群になる原因とは何か、という疑問が湧くと思います。ここではその原因についてご説明しようと思います。

一番いあげられることは神経に主な原因があることです。ホルネル症候群は、元を、根底をいえば神経の障害が原因でもありますので、これを除いては語れないでしょう。脳と眼を繋ぐ重要な役割を果たす神経線維ですが、神経のある部分というのは骨に沿って通っています。またもっと詳しく言うのであれば頸動脈のそばを脳の上部に沿ってまっすぐと伸びている神経が眼と脳をつなぐ神経線維なのです。

何らかの影響によりこの神経が分断されてしまうことによって、脳の命令が神経を伝って眼に行き渡らなくなってしまうことが原因でホルネル症候群は発症してしまいます。この何らかの原因というのは幾つかの分類に分かれます。

下記でそれを細かく説明しましょう。

自然発症が原因の先天性ホルネル症候群の場合

生まれつきホルネル症候群を持っている人がいます。これは先天性、つまり遺伝が要因となっています。幼児期に目の色が変わる虹彩異色症や汗がでない場合は先天性を疑うのが妥当だと言えます。幼児期に発症することは極めて低いのでこの場合のみ先天性であるとわかります。

これの主な原因は生まれつき、つまり遺伝の影響で神経線維に分断が起こって生まれてしまったというのが正しい表現だと思います。根底の理由についてはわかっていないことの方が多いのです。

先天性の場合は生まれつきそう言った症状既に持って生まれてきているので、片目の瞼が垂れ下がり、垂れ下がった部分の顔は汗がでない、そして目の色が変わる、などの症状が見られれば先天性であることが断定できるでしょう。

肺癌など、腫瘍が原因の場合

ホルネル症候群発症の原因として癌などの腫瘍が要因の場合もあります。肺癌などで腫瘍ができた際、局所浸潤という肺に発生した癌が壁側胸膜に浸潤します。

その際に、交感神経を浸潤するのでホルモン症候群を発症するという経緯になります。浸潤とは浸透し、次第に広がり犯すという意味です。つまり癌の腫瘍が徐々に神経を侵食し、交感神経を侵食してしまうということで分断が起きるということです。

また、その他にも肺の近くの神経が浸潤されることによって声帯に異常を来す場合もあります。これも神経の浸潤が主な原因で、神経とは無数に広がっていますので幅広く浸潤することで様々な場所に異常をきたす恐れがあるということなのです。

他にも、胸や肩の神経浸潤により運動麻痺や知覚の異常なども現れることがあります。これを俗に腕神経業麻痺といいます。これは肺の神経と眼の神経は密接に繋がっていることがわかりますね。

眼だけではなく、それをつなぐ神経全体に浸潤した際、様々な病状が起きるということです。つまり、肺癌と密接な関係を持つということがわかります。

腫瘍による首リンパ節の腫れ

肺の上部に腫瘍がある場合、ホルネル症候群が発症すると、胸の上部から首に走る神経にも支障を来します。これは腫瘍が主な原因でホルネル症候群を発症し、浸潤した神経が首にダメージを与えて起こるものとされています。

症状では痛みや腫れが主ですが、炎症が酷いのがホルネル症候群の併発によりリンパ節の腫れの特徴です。神経伝達というのはとても重要な役割を果たしておりバランスが崩れたり損傷を起こしたり、病が侵食することによって併発する類の病気は悪化すると大変危険であることがわかります。

これは全て肺癌が元となっており、肺癌が発症してなければ首までの浸潤はほぼないといえるでしょう。もともとは眼と脳の神経線維の分裂が原因ですので肺癌が主である場合というのは後天性が主です。しかしこの肺癌も誰でもなる可能性があるということを忘れてはいけません。

肺癌を発症することによってホルネル症候群となり、様々な病状を併発することは念頭に置いておいてください。

脊髄空洞症が原因の場合

ホルネル症候群にはまだ原因が存在します。脊髄空洞症という病気が元となっていることもあります。人間の神経の一番大事な部分は背骨、つまり脊髄に通っています。その脊髄の中心部分に脳脊髄液という液体が溜まり空洞が出来てしまいます。空洞ができると圧力がかかり、脊髄を内部から圧迫するという原理になり、重要な神経が圧迫され様々な神経障害が引き起こされるということです。この症状は若い世代にも発症しうる病気といえます。特定の年齢や高齢者に多いというわけではありません。

半身不随などの原因は脊髄損傷、つまり脊髄に通る神経を傷つけた、もしくは修復不可能なまでに痛めてしまった、切断されたなどの場合が挙げられます。身体を動かすにおいてこの脊髄神経とはとても大事な役割を果たしているので、この部分を圧迫すると主に首から下部分に影響が出てきます。

とても危険であることがわかりますね。

また、頸動脈に関する原因で挙げられるものが、内頸動脈解離です。内頸動脈解離とは、何らかの原因で頸動脈内の血管が損傷し、亀裂を起こして出血することを言います。これは脳卒中などの原因の一つとも言われており、早急な処置が必要です。これによりホルネル症候群となるのはごく稀なケースで、ホルネル症候群になる前に脳卒中を起こすことの方が多いのです。万が一内頸動脈解離が起こった場合は緊急的な手術が必要で一刻を争う事態となります。一応これも原因の一つであるので挙げさせて頂きましたが、ごく稀なケースであることはご理解ください。

外傷による原因

外傷によってホルネル症候群となることもあります。手術ミスや、交通事故などで脊髄を損傷した場合に起こることがほとんどです。これの主な原因は脊髄の損傷により、頸動脈、または大動脈の亀裂が原因とされています。

ほとんどの事例で挙げられているこの頸動脈や神経、血管などがホルネル症候群に起因していると言ってもおかしくはありません。

外傷を負った場合軽い状態でも内部では損傷を起こしており後々ホルネル症候群に至るというケースも少なくはありません。こういった事例で一番大事なことは隅々まで検査を行うということです。

軽い事故であっても脊髄や神経を傷つけていた場合はホルネル症候群だけでなくもっと重大な病気、つまり命に関わるかもしれないこともあります。軽視せず、隅々まで検査を行って異常がないか調べることを心に留めておいてください。

ホルネル症候群の治療法

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では、ここでホルネル症候群の治療法や対策などについて触れていきたいと思います。

具体的な治療法は確立されていない

実は、ホルネル症候群の具体的な治療法についてはまだ確立されていない部分が大きいのです。外見上、ホルネル症候群の方は瞼が垂れ下がるということなのですが、これについての治療は行われていないのが現状です。垂れ下がると言ってもごくわずかで、見てもわからない部分が大きいためだと思われます。

ただ、大元の原因を探り、その大元の治療を行うという方針が今の医療現場での最善だそうです。例えば、肺癌が原因でホルネル症候群になった場合は肺癌治療をする、といった具合に、大元を探りそちらの対処、つまり治療を行うということですね。

具体的な肺癌によるホルネル症候群の治療とは、肺癌によってもたらされている浸潤を取り除くという治療法を行います。元を立てば、これ以上の悪化を防ぐことが可能となっています。

対象が子供の場合は?

先天性のホルネル症候群ということになります。先天性の場合、瞼が落ちてくる症状と同じく目の色が変わる虹彩異色症を併発します。これによる治療法も今のところは確立されていないと言わざる得ません。

ホルネル症候群ではなく上眼の筋肉が原因で瞼が落ちてくる病気があります。近年はほとんどがホルネル症候群ではなくそれであると言われていますが、先天性の場合も稀に存在します。

先天性のホルネル症候群でない場合は症状が現れて1〜2か月程度で回復することが殆どです。成長に伴い筋肉も成長するのでそれで回復することがあります。

ただ先天性の場合は治療法が確立されていないので、やはり大元を探りその部分を治すということ以外は今の医学の限界であるそうです。

ホルネル症候群を知るにはどうすればいい?

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では、実際どうやって検査を行うのかを説明致します。

瞳孔の反応を調べる

ホルネル症候群で必ず見られる症状の一つに瞳孔の開き具合というものがあります。詳しく述べると、収縮です。まずは瞳孔がどれだけ光や物に反応するのかを調べます。両眼の瞳孔径を調べ、明るい場所と暗い場所で瞳孔不同が見られるかどうかをチェックします。

その後、点眼薬を使った検査を行います。予め瞳孔を調べて疑わしい方の目にコカインを低濃度含んだ点眼薬を指して30分ほど待ちます。30分後、瞳孔が広がらないという結果に至れば、ホルネル症候群とみて間違い無いと判断されるでしょう。

またこの結果が陽性であれば、ヒドロキシフェタミン溶液を点眼し、原因となる場所を調べることが可能となっています。神経の節前にあるのか節後にあるのかを調べることが可能です。

その後、神経損傷のおおよその位置を調べるためにチラミンや低濃度エピネフリンを点眼し検査を行います。これは全て瞳孔の反応を見て、神経のどの部分に異常が見られるのかというのを特定する検査になります。

予防法について

ホルネル症候群の予防法についてなのですが、現段階の医学では予防法に関することは一切見つけられていません。まだわかっていないことも多く、その対処法もほとんどがありません。元を断つという治療法しかない分、予防法もガンなどを防ぐという対処法しか挙げることができません。

今後の医学に希望を託すしかありませんね。

まとめ

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では総括に入ります。

現段階の医学では治療法や対処法についてはわかっていないことだらけのホルネル症候群ですが、早期発見により病状をストップすることは可能です。先天性でない場合は大元はやはり癌や腫瘍、脊髄や大動脈などが原因ですのでその大元を治すということが大事だと思います。

主な治療法の確立を今後の医学に期待しましょう。

  
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