メタノール中毒という言葉を、聞いた事ありますか?メタノール中毒とは、メタノールアルコールを飲んだり、またメタノールの蒸発した蒸気を、身体に取り込んだ場合に起こる、有害な症状です。
メタノールが身体に入ると、有害なホルムアルデヒドから、有害な蟻酸に分解されます。この蟻酸は視神経を損傷させ、失明などおこさせます。頭痛も酷くなり中毒症状を起こします。
メタノールは化学薬品や医薬品の、原料として使われていますが、意外と身近に使われている事も多く、事故などが多発しています。メタノールの特徴を良く知って、事故のない様に心がける為、このサイトがお役に立てればと思います。
メタノールとは
メタノールとエタノール
◆メタノールもエタノールもどちらもアルコールです。メタノールはCH3OHで、エタノールはC2H5OHです。メタノールは炭素が1つ水素が2つ少ない、アルコールで有害物質です。
◆メタノールは工業用アルコールで、エタノールはアルコールです。メタノールは有害物質でエタノールはお酒です。ですからメタノールはアルコールでも酒税の対象外で、エタノールは酒税が掛けられています。
◆その為メタノールは安価に買えますが、エタノールは高いです。その理由はエタノールは穀物や果物を醗酵させて作られますが、メタノールは天然ガスや石油ガスから作られるからです。
メタノールの原料が天然ガスや、石油ガスから作られるとわかるだけで、身体に有害であると理解できますが、製品になってしまうと、悲しいかな判別がつきにくくなりますね。
◆これはエタノール、これはメタノールと書いてあるのを信じるしかないです。その為にも取り扱いに注意が必要です。
メタノールの用途
メタノールは水に溶けない物質を、溶かす有機溶媒として、用いられるアルコールです。アルコールランプ等に利用され、現在では燃料電池の水素供給源として、注目を浴びつつあります。
メタノールの用途は、ホルマリン、燃料、接着剤、殺虫剤などに使われています。学校の実験などでランプを利用する際に、メタノールが使われています。
メタノールとはメチルアルコールと、別名呼ばれています。メチルアルコールは、昔から危険であると認識していましたが、メタノールの呼び方は、余り私は聞いた事がありませんでした。
劇物としてのメタノール
メタノールでも純度の高いメタノールは無色透明で、臭いも余り強くないそうです。ですからお酒に混ぜられると、殆ど気が付く事ができないと、専門家の中でも言っている人がいます。メタノールは劇物として分類され、毒物性が高いので注意が必要です。
購入時には第4類危険物指定にされ劇物取り扱い法の、毒物劇物取締法で書類の記入、記名、身分証明書等が必要となります。
但し燃料用アルコールとして、エタノールと混合して一定の条件を満たせば、ホームセンターなどでも売っているそうです。一般にも購入できるようになったようですね。怖いですね。
メタノールの特徴
沸点、引火点が低い
メタノールは引火点が11℃と引火点が低く、非常に引火の強い危険性の高い液体です。火にかけると爆発します。
引火すると太陽の光では、とても見えにくいです。沸点が65℃でとても沸点が低いので、蒸発しやすいです。ですから漏れているのが分からなくて、タバコなどを吸ったりすると、爆発してしまいます。
これはアルコールの中で一番引火点や沸点が低く、炎が青白く見えるのが特徴で、発火しても明るい光の中では、遠目からは見えにくのも特徴です。
引火点が低いのは爆発の危険性があり、沸点が低いのは蒸発しやすい事なので、蒸発したメタノールに火を近づけると発火します。密封した容器に入れないと、ガソリンと同じく蒸発します。
水に溶けやすい
メタノールは水に溶けやすく、アルコールの独特の臭いがあり、有害物質で神経系に強く症状が出て失明します。
間違ってメタノールを飲んだ時だけでなく、メタノールの蒸発したものを身体に吸い込んだときも、この様な症状が出ますので注意が必要です。
窒息消化で火を消す
メタノールは水よりも軽いので、メタノールが燃えた時に水を掛けると、水が浮いて余計に燃え広がります。発火した時は二酸化炭素の粉末や、耐アルコール泡による、窒息消化を行う事が火を消す事になります。
学校の実験などでメタノールの入ったランプを倒した時等は、ぬれ雑巾をかぶせて窒息消化をして消す事が大切です。空気(酸素)を閉じ込め窒息消化をすることです。
メタノール中毒の原因
◆体内にメタノールが入ると、アセトアルデヒドより毒性の強い、ホルムアルデヒドに分解酵素により分解され、それよりも浸透の強い猛毒の、蟻酸に分解されます。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群などでおなじみの、呼吸などの粘膜を刺激して、呼吸困難などの症状を引き起こします。
また蟻酸は頭痛や吐き気、視神経を損傷させて失明を引き起こします。
◆メタノールの致死量は大人で30ml~100ml(大さじ一杯で30ml)です。個人差が大きいですが、非常に毒性が強い事がお解り頂けると思います。ちなみに8~10ml(小さじ1杯)身体に取り込むと失明します。
メタノールはエタノールよりも排出される時間が10倍程おそいので、悪酔いの原因になるそうです。
メタノール中毒の症状
メタノール中毒のメカニズム
メタノールの中毒初期症状は、飲酒した時と同じように、酩酊状態になります。半日か1日後に身体の症状として、頭痛、腹痛、嘔吐、吐き気などの症状が出てきます。
メタノールを身体に取り込んだ場合、神経萎縮による神経狭窄が1週間以内に起こって、視力の障害が起こります。
多量にメタノールを身体に取り込んだ場合は、身体の生命活動維持に必要な酸と、塩基のバランスを保つ酸塩基平衡が乱れて、呼吸の困難や循環器の障害やけいれん等が起こり、生命の危険も伴ってきます。
メタノール中毒は何故起こる?
◆メタノール中毒は何故起こるのでしょうか?それは国が貧しく、人々の生活が貧しいからに他なりません。また業者が利益を稼ぐために、密造などをすることにより、メタノール中毒で死亡する人がいまだに沢山存在しています。人々の心の貧困が起こす事です。
◆日本でも昔日本が貧しい時に、メタノールは安い為メタノールのお酒が、闇市等で売られていました。その数は多く、失明や死者が多く出ていたので、メチルアルコールとして怖がられていました。
◆近年でもインドでは工業用のメチルアルコールや、殺虫剤から取り出したメタノールをアルコールとして販売し、121人の死者を出しています。2004年にはロシアでは、密造酒の濃度を高める為、メタノールが混入されたウオッカが販売され、それを飲んだ14人が死亡し、12人が重症となりました。
◆メタノールは工場などで、良く事故が起こっています。それはメタノールの蒸発した蒸気を吸い込む事で、身体に非常に有害となります。
◆水に溶け安いので水に溶けない物質を、溶かすために使われる有機溶剤を、密封した所で使い続けると、頭が重くなったり、めまいがしたりするのは毒性がある為なのです。またお酒と間違って飲む事も多く、頭痛や、吐き気、めまい、悪寒等の症状を伴います。
◆合成繊維や高機能プラスチック、接着剤、インクや塗料の溶剤、燃料用、洗浄用、排出用等に使われていますが、工場などで扱う人たちは、くれぐれもお気を付け下さいね。
メタノール中毒の治療
◆メタノールが吸収されるまでの時間は1時間です。その前にメタノールを間違って飲んだ場合は吐き出す事です。
また吐き出すのが無理なら、エタノール(お酒を)多量に飲んで、身体の中のメタノールの量を薄くする事です。
◆エタノールもメタノールも同じ分解酵素で分解されます。アセトアルデヒドで分解され、エタノールを沢山飲む事で、飲む量が多ければ多い程、分解されずに体外に排出される量がおおくなります。
メチルアルコールが分解され蟻酸に変化しなければ、中毒は引き起こされません。嘔吐で排泄して多量のエタノールを飲んで、その後病院で胃の中を洗浄すればよいのです。
◆高度な治療法は人工透析でメタノールを取り除く方法です。また身体が酸と塩基のバランスが崩れる、酸塩基平衡が乱れる事によって、代謝性アシドーシス(身体が酸性に傾く)を、補正する事が必要となります。
メタノールは意外に入っていた
◆メタノールを飲まない事が、メタノール中毒を起こさない事です。しかし私達の身近な所で、メタノールが使われています。ワインやウイスキー・ブランディー等比較的多く利用されています。
◆赤ワインにはメタノールが多く含まれているそうです。知らなかった!!赤ワインは身体に良いと思っていましたが、こんなところに落とし穴がありました。
ワインは14%1000mlあたり0.6~1.4g ブランディー45%1.8~4.5g
◆果物ジュースにもメタノールが入っています。これは果物の中の植物繊維のぺプチンが、果物からジュースになる時に、ペプチナーゼと言う分解酵素によって分解されるので、メタノールが作られてしまうのです。
ですから赤ワインには1Lあたり、30mgのメタノールが含まれていて、皮つきの場合はそれよりも多い様です。
◆意外とメタノールが身近な所に入っていたとは驚きです。飲み物だけでなく、プラスチックや接着剤、インクや塗料の溶剤で私達の身近には、本当に沢山のメタノールが使われていますね。
まとめ
これまでメタノール中毒について見てきましたが、メタノールは有害物質で劇物に指定されています。それもそのはずメタノールの原料は、天然ガスや石油ガスだったのです。
天然ガスや石油ガスが身体に害が、ないと思う人はいないと思います。天然ガスや石油ガスが身体に入れば有害で有る事は、だれでも想像がつくと思いますが、メタノールと言う製品になると、エタノールとメタノールの区別がつかないくらい解らないので、間違えて飲む人もいると思います。
今までは第4類危険物質として、扱われていましたが、現在は燃料用アルコールとして誰でも購入できるようになって、その取り扱いに注意を払わないと行けなくなりました。
メタノールを扱う人は特に注意して扱って下さいね。