赤ちゃんがケラケラと笑っているのを見ると、なぜかこちらも笑顔になってしまいます。
この笑顔には、赤ちゃんが生きていく上でとても重要な意味があること、知っていましたか?
赤ちゃんの笑いに隠された意味
実は、赤ちゃんの笑いには、私たちおとなが本能的に「かわいい」「愛したい」と思ってしまう力が秘められているのです。
人間の新生児は他の動物と違い、生まれた後、自力で生きていくことができません。過去には他の動物であるオオカミに育てられるという事例もありますが、多くの種の中でも人間の赤ちゃんは丸々と愛らしい外見をしており、他者からの援助を受けやすくなるためにそういった外見をもって生まれてくるという説があります。
特に、赤ちゃんの微笑みは「エンジェル・スマイル(天使の微笑み)」と呼ばれ、赤ちゃんが自らの生命を保持するための自衛手段であると考えられています。
これは余談ですが、赤ちゃんの「泣き」も同様に生命を存続させるために起きる行動であるとみられています。
赤ちゃんが笑っている!と思っても…?
生まれて間もない生後2ヵ月くらいまでの赤ちゃんは、基本的に泣いたり無表情でいることが多いですよね。ところが、ときにミルクを飲んだりした後、口元をゆるませニタッと微笑む表情を見せます。このときの赤ちゃんは実は楽しかったり喜んだりして笑っているわけではありません。
この微笑みはあくまで生理的なもので、発達論的には「生理的微笑(あるいは新生児微笑)」と呼ばれます。この場合の微笑みは、ミルクが胃に入った刺激による、無意識の反射行動にすぎません。
しかし、この頃にお母さんや近しい人がその「微笑み」によって喜び、優しくしてくれることが繰り返されると、赤ちゃんはやがてこの「微笑み」の表情が他者からの援助を得る手段であることを本能的に学んでいきます。
つまり、お母さんにとっても嬉しいことに、「よく笑う赤ちゃん」になってくれるというわけですね。お母さん側でも、赤ちゃんの微笑みに対して、声をかけ、微笑み返してあげると、この学びはより確実なものになっていきます。
私を見て笑った!
そして、こういったお母さんと赤ちゃんの「微笑み」を介してのコミュニケーションが繰り返され、生後2~3ヵ月頃を過ぎると発達論的にいうところの「社会的微笑」がみられます。この頃になると、赤ちゃんは自発的に「笑う」ようになります。
もちろん、初期のうちは大人のような「ワッハッハ」といった類のものではなく、一瞬のうちにニヤッとしたり、顔をクシャっと歪ませたりする行為がこれにあたります。まだ視力は十分でなくとも、お母さんの声のする方に反応して笑ったり、顔の輪郭を認識してその方を向いて笑うので、お母さんとしては「あっ、私を見て喜んでいる」と感慨に浸ることができますよね。
「エンジェル・スマイル」を堪能できる時期とも言えそうです。
親子のスキンシップ!
優しく声をかけてあげたり、ミルクをあげて空腹を満たしてあげるとか、オムツを替えて苦痛を和らげてあげるとか、そういったときに赤ちゃんはよく笑います。心地よい状態になったことをお母さんに知らせているんですね。
そういった意味で、赤ちゃんとお母さんの双方向のコミュニケーションが「笑い」を通して成立しているのです。この時期にスキンシップを通したコミュニケーションを多く取ると、豊かな表現能力を養うことができます。
赤ちゃんの笑いのツボ?
また、大人がそうであるように、笑いのツボも、赤ちゃん一人ひとりで違います。もちろん、中々笑わない赤ちゃんもいるし、いつでも笑っている赤ちゃんもいます。こればかりはやはり個人差があるので、中々笑わないからといって悩む必要はないでしょう。
それよりも、お母さんの側で「何をすればこの子が喜ぶんだろう」「どういったときにこの子は笑うんだろう」と考えながらあやしたりスキンシップをすると、その子の個性を感じ取れて楽しいかもしれません。
もっと赤ちゃんの笑顔を見たい時の5つの方法
赤ちゃんはどのようにすれば喜んで笑う(=赤ちゃんなりの満足、幸福を感じる)のでしょうか。上では個人差、個性があると言いましたが、やはり色々と基本的な方法はあります。その方法を以下にまとめてみました。
高い声であやす
人間の発する音声とそれを聞き取ることができる周波数帯というのは、年齢と共に変化していきます。
小さい子と関わっている方にはピンとくるでしょうが、幼い頃は高い声を発し、また、聞く側としても高い声の方が聞き取りやすいです。それが赤ちゃんで、認知器官が発達途上にある赤ちゃんなら、なおさら高い声の方が良いのでしょう。
意識して高い声であやすと、赤ちゃんはお母さんの存在を知覚しやすく、笑う行為も多く見られます。
笑顔を見せる
人間に限らず動物は皆そうですが、学習行為の基本はそれを実際に見てマネをすることです。
おとながある行動をしているのを見て、赤ちゃんはその行動を真似て学んでいきます。つまり、お母さんや親しいおとな自身が赤ちゃんに向けて笑顔を見せることで、赤ちゃんも本能的に真似て笑顔を見せるようになるのです。
ただし、赤ちゃんの視力は相当に低いので、十分に赤ちゃんに顔を近づけて笑顔を見せることが必要です。
スキンシップ遊びをする
先ほど、赤ちゃんの視力は相当に低いと言いましたが、認知器官では「触覚」がその代わりを務めます。つまり、触れるものに対して赤ちゃんは敏感にそれを感じ取ることができるのです。
例えば、くすぐったりすると喜ぶ赤ちゃんは多いです。他にもほっぺたを撫でたり、手を握ったり、口元をさすってみたり。また、手足を取ってバタバタ運動をさせてみたり、手を開いたり閉じたりを繰り返すことでも、赤ちゃんはよく笑います。
親子間のスキンシップ遊びとして楽しむのが良いでしょう。
リズムをとったり、音楽のリズムに合わせながらあやす
赤ちゃんにもしっかりとしたリズム感覚があります。お母さんがリズムをとってあやしたり、色々な遊びをすると、子どもはそのリズムに共調し、その楽しみは増すようです。
新生児の内なら、お母さんがだっこしながら一定のリズムでゆっくりダンスしてみたり、歌をうたってあげると、赤ちゃんは喜び笑うことが多くなります。昔ながらの「よーしよし、よーしよし」や「うんしょ、こらしょ、どっこいしょ」などのリズム感あるあやし方も効果的です。
他にも、「フッ、フッ」や「ハッ、ハッ」といった発声にもよく反応します。
互いの身体を使って遊ぶ
赤ちゃんとの遊びも色々ありますが、十分に顔を近づけた「いない、いない、バー」や、おとなが仰向けに寝ながら赤ちゃんに「高い高い」をする遊びは小さい赤ちゃんでも楽しむことができます。
ちゃんと事故のないように身体を支えてあげなければなりませんが、赤ちゃんの身体をおとなが動かしてあげることで、正常な筋肉や神経の発達を促すこともできます。
まとめ
赤ちゃんが笑っているのを見ると、本当に、見ているこっちが幸せになってきますよね。そして、実はおとなが感じる幸せこそが、赤ちゃん自身が生きていく上でもっとも重要な要素であるということでした。
生後すぐの赤ちゃんは、眠ることと泣くことが仕事のようなものです。その時期はお母さんや家族の方々も色々と苦労をされる時期かもしれません。しかし、きちんとおとなが赤ちゃんに愛情を与え、その生命を守ってあげることで、やがて赤ちゃんがその苦労を吹き飛ばすような天使の笑顔を見せてくれます。その喜びは、やはり親であることでしか味わえない幸福であると思います。赤ちゃんの笑いを通して、十分に、親であることの幸せを感じ取っていきたいですね。
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