ブルガダ症候群ってなに?心電図との関係って?症状・原因・治療法・予防法を知ろう!

皆さん「ブルガダ症候群」と言う、名前の病名を聞いた事ありますか?そんなの知らないよ,と言われる方が多いのではないでしょうか?しかし「ぽっくり病」と言う名前なら知っている方は多いと思います。このブルガダ症候群とは、今まで言われてきたぽっくり病なのです。

ぽっくり病として扱われてきた、病気の原因が分かって、ブルガダ症候群となりました。

日本人をはじめとして、アジア系の働き盛りの、30代から50代の男性に、多くみられる病気です。この病気の特徴などを、色々調べて見ましたので、一緒に見てみたいと思います。

ブルガダ症候群とは

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ブルガダ症候群の名前の由来

ブルガダ症候群と言うのは以前から、夜中の睡眠中に突然亡くなられて、身体を解剖しても原因が全く見つからず、原因不明のぽっくり病として、取り扱われてきました。日本人には特に多く、スペインのブルガダ兄弟が1992年に、特発性心室細動の研究発表をしてから、兄弟の名前をとって、ブルガダ症候群の名前が付けられました。

ブルガダ症候群の日本における取組

◆ブルガダ症候群は以前はぽっくり病として、扱われていました。ぽっくり病と言われる、原因不明の突然死が、日本では今まで多く発生していて、原因が分からなくていたものが、このブルガダ兄弟の研究発表により、原因がはっきりした病気です。

働き盛りの30代から50代の、男性の突然死の中の、比較的大きな要因として、日本でとても注目を集めて、研究が始められる様になりました。

◆解剖学的にブルガダ症候群は解剖しても、心臓には異常が認められず、生物の身体の仕組みの心筋細胞という、生理学的に機能的に正常でないところがある為、心電図的に特徴的な形を表し、心室細動と言う致命的な不整脈が発生して、生命に係わる様な症状を、引き起こさせるのです。

◆男性の50人に1人が心電図検査をすると、この病気に近い波形をしています。しかし本当に危険なのはその中のごく一部の方たちです。

◆これまでに意識を失ったり、家族に突然死がいたり、遺伝的要因が可成り多く報告がされています。この病気の長期的な、予後は全く分かりません。まだ研究が始まったばかりで、新しい病気として、これから色々な事が解ってくると思います。

現在では日本循環器学会のガイドラインが、診察の基準となっています。これから色々な事が分かってくると、ガイドラインも見直されるものと思います。

ブルガダ症候群の特徴

◆ブルガダ症候群とは原因がないのに、心室細動が全く働く事ができず、生命に直接係わる不整脈を、突然引き起こす特発性心室細動を起こす症状を、長期によって繰り返される症状の集まりです。

◆この病気の特徴は男性に多くて、安静に床に就いて居たり、睡眠中に発作が起こる事が多く、夜中に心室細動の発作がでるのが特徴で、心室細動が起こる事で、心臓から全身に血液を送れない状態になり、意識を失い痙攣を起こしたりします。

◆睡眠中なら呼吸がおかしい、息をしていないと周りや本人も気が付く事が多く、多くの場合は心室細動が一過性に終わります。再び正常な脈拍に戻る場合は良いのですが、中には心室細動が止まらなくて、命に関わる状態になる時もあります。

また心電図の特徴としては、ST上昇と言う波形を描く事が、ブルガダ症候群の特徴的心電図の波形です。

ブル型症候群の種類

ブルガダ症候群には症候性ブルガダ症候群と、無症候性ブルガダ症候群があります。

症候性ブルガダ症候群

心停止蘇生例や、心室細動、失神の既往性のある集まりを、症候性ブルガダ症候群といいます。心肺停止や、心身細動の既往性のある、このブルガダ症候群の、突然死イベント発生率は、10~15%と可成り多いです。

無症候性ブルガダ症候群

全く症状が出ない集まりを、無症候性ブルガダ症候群といいます。典型的なブルガダ症候群は全人口の0.05~0.2%で多くは無症候性です。無症候性ブルガダ症候群の、突然死のイベント発生率は0.3~4%です。

ブルガダ症候群の原因

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ブルガダ症候群の原因は、まだはっきりとした原因は解っておりません。全く未知数でどの患者さんが重症で、どの患者さんが軽症なのかも、実際のところ解ってはいません。学会においてもまだ議論が、十分に尽くされていないそうです。

原因がはっきりしない為、将来的に心室細動が起こらないと言う事はなく、その為軽症な患者さんや、重傷な患者さんの区別も、はっきりとしていない状態です。

原因として心臓の電気現象

不整脈に繋がる原因として、心臓の筋肉の細胞が洞結節(心臓に動け動けと命令)によって電気的興奮が作られ、電気的に興奮している時間(活動電位持続時間)が心臓の外膜側と内膜側とで異なるので、電気的に不安定性となり、不整脈が起こると考えられています。

洞結節は自然な身体に備わったペースメーカーで、この洞結節がリズミカルに、信号が作られなくなると、心室細動が起こる事になります。

心室細動の発生については、心外膜側と心内膜側が、拡張期に電位差が起きて、局所興奮旋回が、起こるのではないかと考えられている様です。

これが原因と考えると、やはりストレスや過労が病気の、引き金になる様にも思われますね。

遺伝子の異常

ブルガダ症候群の患者の20%に、心臓ナトリウムチャネル遺伝子の、異常が見つかっていますが、心臓ナトリウムチャネルとは、心臓の動きの電解質イオンの、ナトリウムの流入と流出のことです。その他にカルシウムチャネルの等の、7種類の遺伝子異常の関与が報告されています。

男性ホルモン

ブルガダ症候群の患者は、働き盛りの30代から50代の男性に最も多く、男性ホルモンの関与も考えられています。女性との比率は男性9に対し女性1の割合です。

ブルガダ症候群の症状

失神

失神

ブルガダ症候群の失神は、原因不明な失神がありますが、これは心室細動の一時的な出現により、一過性の失神を起こすので、検査して原因が見つからない事があります。失神の原因として、心室細動だけではないので、一度病院で検査を受ける事は必要となります。

但し失神をしてブルガダ症候群と診断されても、ICD植え込みまでには至らない様です。まだ原因がはっきりしていないので、議論の余地はある物の、日本循環器学会のガイドラインに沿って、現在では診療されています。

突然死の家族歴

ブルガダ症候群の一部に、遺伝子異常が報告されているため、45歳以下の突然死で亡くなった方や、家族に多形成心室頻拍や、心室細動等の心電図の人が、家族にいるかなどを、詳しく問診します。家族に同じ心電図の人がいると、要注意となります。

多形成心室頻拍

心室頻拍とは、心臓の筋肉の部屋から十分な血液を、送り出す事ができず、心不全や循環不全などを起こす不整脈で、心臓の部屋で突然現れたり、突然止まったりする頻拍発作の事です。多形成心室頻拍とは、心電図の上の所がねじれたり、波形が刻々と変化して、自然に止まったりもします。心室でおこる洞結節から起こる、心臓刺激以外の刺激の、異所性刺激が発生して不整脈となります。

心室細動

心室細動とは心臓の部屋の、筋肉の規則正しい収縮が失われ、心臓の筋肉が部分的、また頻繁にまとまりなく不規則に起こって、収縮機能を失い血液の1回の量を送り出す事ができず、致命的な状態になります。

心肺停止の既往

ブルガダ症候群の患者さんの中には、心室細動を起こして、心肺停止になって救急車で運ばれてくる患者さんがいます。

蘇生して心電図検査で、ブルガダ症候群の患者さんと診断されますが、この様な方は現在では、ICD植え込み型の装着を治療としています。

ブルガダ症候群の診断

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1000人に1人~2人の人が、ブルガダ症候群の心電図の波形をしていますが、この人達全てが危険な不整脈を起こす事には成らないのです。このなかの10%ぐらいが、危険な不整脈を起こすのです。

電極カテーテルによる診断

◆ブルガダ症候群の診断をする為の方法は、身体の末梢神経から、電極カテーテルを心室内に侵入させます。心室内部から、人工的に電気による刺激を与えて、心室細動が誘発されるかどうかをみます。これによって心室細動が、誘発される検証となるための、誘発試験が行われる事になります。

◆もっと詳しく不整脈などが、どの様に起こるかなどの詳細を知る為に、2~3本の電極カテーテルを侵入させます。そして外から電極による刺激を与える事で、心室細動が誘発されたら、身体の表面から直流通電により、心室細動を停止させます。それにより心室細動は自然停止しますが、停止しない場合は、生命に関わる状態になります。

◆普通は身体の表面から通電を適切に行えば、100%停止が可能なはずです。この誘発試験での合併症は、カテーテルを侵入させる時の、操作による発熱等がありますが、生命には異常をきたす事はありません。

◆電極カテーテルによる心室細動誘発試験は、心室細動のリスクがあるかないかを行うもので、すでに心室細動を発症した、症状が出ている場合には、心室細動の誘発試験はさらに誘発を繰り返す検査となるので、やる必要はないのです。

しかし発作が何度も頻繁に起こる場合や、薬剤を併用して心室細動の、発症頻度を抑制する必要がある場合、その様な場合には誘発試験を何度も繰り返し、薬剤の効果を確認する事もあります。

ブルガダ症候群の心電図による診断

◆ブルガダ症候群の心電図による診断は、心電図異常のみで心室細動に変化がない場合は、電気刺激による誘発試験を行います。誘発される場合は、将来的に心室細動が、自然発症するブルガダ症候群の可能性の確立が高いと判断されます。

◆血縁者に多形成心室頻拍や、心室細動の様な心電図異常の方がおられないか、突然死された方ががおられないか問診で聞きます。そのような方がおられた場合、誘発試験を行うのはとても大切に成ります。

◆ブルガダ症候群の心電図は、特徴的な心電図を表します。カテーテルの誘発試験を行って、心室細動の誘発が起こる場合は、本当のブルガダ症候群で、心室細動を将来自然発症する事が、あると考えられます。

◆ブルガダ症候群ではない健常者でも、過激な誘発試験を行う事で、心室細動等の不整脈が誘発されることがあるので、一般的には心電図で診断を下すものが多いです。

◆カテーテルの検査だけですべてを診断するには、無理がありますので、色々な方面から検査をして、ブルガダ症候群と確定したら、その治療は現在の所、日本循環器学会のガイドラインに、そって治療が行われるものと思います。

ブルガダ症候群の治療

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ブルガダ症候群の外来での治療

ブルガダ症候群の外来での治療は、採血や遺伝子検査、胸部エックス線撮影、心臓超音波等があり、その他に24時間ホルター心電図、12誘導心電図、運動負荷心電図、加算平均心電図などの、心電図をとります。

ブルガダ症候群の入院での治療

ブルガダ症候群の入院での治療は、不整脈を起こす可能性が高ければ、入院して検査を行います。検査入院して心臓電気生理検査を行い、またブルガダ症候群の、心電図のはっきりしない患者さんは、ナトリウムチャネル遮断薬という、不整脈の薬のサンリズムを注射して、心電図の変化を調べます。

ブルガダ症候群の治療方法

ブルガダ症候群が発生する、ぽっくり病に対処できる治療としては、現在のところ植え込み型、除細動器(ICD)の植え込みのみが、致死性不整脈の心室細動による、突然死を予防できるものと考えられています。

ICD除細動器の植え込みによって、突然死は99%予防できると言われていますが、定期的な通院と5~7年に1度、電池交換が必要となります。また電磁波の影響を受けない生活や、自動車の運転等生活面において、注意を要する点があります。

ブルガダ症候群の治療の除細動器(ICD)の埋込の、日本循環器学会のガイドラインは、1.心停止蘇生例があるか2.自然停止する心室細動や、多形成心室頻拍が確認される場合にのみ、ICDの植え込みを行う様になっています。

除細動器(ICD)

心臓の働きを回復させる、補助人工臓器です。心室頻拍や心室細動などの、生命に係わる不整脈を予防する為、この補助人工器の除細動器(ICD)を身体に植え込み式で、身体に埋込ます。

薬で突然死を確実に予防する、内服薬はありません。内服薬を処方するときは、ICDを植え込んだ患者さんで、発作の回数を減らす目的で処方する事もあります。

効果があると言われている薬は、ジソプラミド(商品名リスモダン)やぺプリジル(商品名ペプリコール)、シロスタゾール(商品名プレタール)等があります。

繰り返す心室細動が起きている場合(電気的ストーム)の治療の方法としては、イソプロテレノール(商品名プロタノール)の、薬を点滴する事が良いそうです。

ブルガダ症候群の予防

ストレス

ブルガダ症候群の予防としては、疲れやストレスを溜めない事がとても大切です。また規則正しい生活をして、血圧や、血糖、高脂血症等に、気を付ける事が必要となります。

一番良くないのは自律神経の乱れです。ストレスや過労や、夜更かしをして、タバコをふかす生活は、ブルガダ症候群には一番良くありません。不規則な不摂生な生活が、ブルガダ症候群の、発作を引き起こさせます。

ブルガダ症候群の患者さんは、夜から早朝に発作が起きる事が多く、また飲酒後や食後にも、発作が起こりやすいので、過食や暴飲暴食、脂っこい物や糖分や塩分の、摂りすぎ等を気を付けましょう!

できたら禁酒や食事を、腹八分目にすることが、予防となりますので、一度挑戦してみては如何でしょうか。また運動不足も発作を、起こす原因になりますので、適度な運動も必要です。

ブルガダ症候群の患者さんは、熱が出ると発作が起こる事があるので、その様な場合には病院で、解熱剤をすぐにもらえる様に、しておくことが必要となります。

またブルガダ症候群の方の薬が、害になる事があります。不整脈の薬の抗うつ薬や、ナトリウムチャネル遮断薬の不整脈の薬は、ブルガダ症候群の発作を引き起こし、症状を悪化させますので、注意して処方してもらう事が大切です。

まとめ

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如何でしたでしょうか?ブルガダ症候群のぽっくり病の事が、少しでも理解して頂けましたでしょうか?古くて新しい病気なので、学会などでも意見が十分に尽くされていませんが、今は日本循環器学会のガイドラインによって、診察が行われ治療的判断が下されています。

ブルガダ症候群の予防も、原因がまだしっかりと判っていないので、難しい面もありますが要するに病気はどの病気もそうですが、規則正しい生活と、バランスの取れた食事に、適度な運動を心がける事によって、病気を予防できるように思います。

遺伝的要因もありますので、ブルガダ症候群の予防を正確に守っても、起こらない保証は有りませんが、少なくともこれらの予防方法を達成できたら、ブルガダ症候群の症状を引き起こす事は最小限になると思います。

  
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