世の中には、ちょっと出かけるにも延々道を間違えたり、徒歩1分の場所なのに30分もかかったりする人がいます。いわゆる方向音痴ですね。
こうした人たちは、待ち合わせ場所へ行くにも一苦労ですよね。友達との待ち合わせなどならまだしも、仕事や大事な約束など、遅刻できない時に迷子になったらパニックです。
では、なぜ方向音痴の人は方角が分からないのでしょうか?方向音痴の原因や特徴、改善方法についてご紹介しましょう。ぜひ参考にしてみてくださいね。
方向音痴な人の特徴
では、方向音痴な人の特徴について見ていきましょう。自分自身が方向音痴だという人や、知り合いが方向音痴だという人は、思い当たる節があるかも知れませんね。
観察力がない
方向音痴の人は、周囲にあるものに対する観察力がないため、目標は分かっても道を覚えることができません。周囲の状況や看板、周りにある建物など、目印となるものを見つけられないので、迷ってしまうのです。
カーナビや地図アプリという便利なものがありますが、こうしたものも頼り切っていると観察力は一向に鍛えられず、ナビがなければ迷う、ということになります。
記憶力がない
また、方向音痴の人は記憶力がないことも特徴です。そのため、違う道でも少し似ているだけで混乱し、正しい道を覚えられないのです。
勘で歩く
方向音痴の人は、周りにあるものを注意深く見ていない上、記憶することも苦手です。
それにもかかわらず、「この辺りを曲がったような気がする」「ここをまっすぐ行けば出るだろう」と、勘を頼りに適当に歩いて、さらに迷子になります。そういう意味では、楽観的な人が多いとも言えるでしょう。
興味のあるものばかり視界に入る
普通の道ならいざ知らず、ショッピングモールやテーマパークのような場所では、自分が進んでいる道よりも、目に映るものに興味を示します。
「あの服可愛いなあ」「あのアトラクション楽しそうだな」というように、興味のあるものばかり見ているため、道が分からないのです。もちろん、目印となるようなランドマークにも気がつきません。
地図の見方が分からない
これも、方向音痴の大きな特徴と言えるでしょう。今は紙の地図以外にも地図アプリやカーナビなど、便利なツールがたくさんありますよね。しかし、方向音痴な人はそもそも地図が読めないので、カーナビや地図アプリでも役に立たない場合があるのです。
また、特徴が似ている道が現れると、間違った道を進んでナビのルート案内が再び始まる、ということもよくあるでしょう。
場合によっては、出発時点から進むべき道が分からず、1歩踏み出した途端、逆方向に進んでしまう人もいます。ですから、ナビでは目的地まで5分でも、なかなか到着することができないのですね。
人に道を尋ねる回数が多い
方向音痴な人は、人に道を尋ねても覚えられなかったり、間違った場所で曲がってしまったりするため、繰り返し人に道を聞きます。結果的に色々な人と話すため、コミュニケーション能力は高いと言えますが、教えられた道を覚えないので、教えた側としてがっかりするでしょう。
性格にも特徴あり?
必ずしも当てはまるわけではありませんが、方向音痴な人なら「あるある!」と思うような性格を他にもご紹介しましょう。
思い込みが激しい
方向音痴な人は、「道を間違えたかも」と思っても、なぜかすぐに引き返しません。戻ろうかという思いもありつつ、「このまま歩けば着くかも」という根拠のない自信があるために、だらだらと歩き続けてしまうのです。
そして、思っている道に似たような道があると「やっぱり合ってた」と安心して突き進みます。その結果、余計に迷ってしまうわけですね。かなり進んでしまってから迷ったことに気づくので、元の場所に戻るのも大変です。
生真面目
「まっすぐ」と言われると、少しのカーブでもまっすぐではないと思ってしまい、どの道を進めばよいのか分からなくなる、というのも方向音痴あるあるではないでしょうか?
言われた道を進めばよいのに、直線道路でないと、ついつい不安になってしまうのです。
疑り深い
これも方向音痴にはよく見られる傾向ではないでしょうか?「100メートル先を右」などと言われても、体感で100メートル以上歩いていると感じると「100メートルがこんなに長いはずがない」と勝手に疑い、適当なところで曲がったり、道を戻ってしまったりします。
せっかち
せっかちな性格をしているため、素直に地図通り進めばよいものを、なぜかショートカットしたり、逆方向へ進んだりして迷子になるのもよくあるパターンです。
本人は確信を持っていますが、方向音痴の確信はアテになりません。また、看板をよく見ずに裏口から入ったり、関係者以外立ち入り禁止のところから入ってしまったりと、通常では考えにくい行動に出る場合もあります。
方向音痴の原因
このように、方向音痴な人には様々な特徴があることが分かっていますが、方向音痴の原因を特定するものとして、1つの細胞が注目を集めています。
グリッド細胞
動物の中には、鳩のように、地球の磁気から方角をしることができるものもいます。しかし人間には、そのような能力は備わっていないため、方角を知るためには、駅から何メートル、コンビニから何軒目など、目印と比較して場所を把握するしか方法がありません。
自宅の周りや最寄り駅、通い慣れた会社の周りなど、勝手を知っている場所ならよいですが、初めての場所ではそうした知識が乏しいため、男女問わず、見知らぬ場所では方向音痴になると言われていますよ。
そんな中、まるでGPSのような役割をする細胞が人間にもあることが分かりました。細胞の名前はグリッド細胞と言い、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが発見したものです。
グリッド細胞の役割
グリッド細胞は、自分がいる空間に碁盤の目のように格子を描き、線と線が交わる交点に来ると知らせるという役割を持っています。
スタート地点から移動した方角、その距離を積み重ねによって現在位置を割り出すというわけですね。グリッド細胞は、地図上に方眼紙を描くような正確性があるため、自分の位置をより正確に把握できるのです。
女性の方が方向音痴が多い?
方向音痴というのは個人差がありますが、男性よりも女性の方が方向音痴が多いという話があります。
この説は、人間が狩猟生活をしていた時代に遡りますが、かつて男性は獲物を追い駆けて見知らぬ土地へ出かけることが多かったため、見知らぬ土地でも自分の居場所を把握する能力が高かったというのです。
一方の女性は、家で夫を待つ身ですから、基本的に見慣れた場所で暮らしています。ですから、見知らぬ場所へ行った時に、自分の居場所が把握できず、方向音痴になりやすい、というわけですね。
ただし、必ずしも女性の方が方向音痴が多いとは言い切れません。なぜなら、記憶を司る海馬が方向や位置、距離などを元に脳内マップを描き、それを記憶として保存するためです。
こうした情報は記憶として保存され、記憶したものをいかに正確に再現できるかが、方向音痴か否かにかかわってくるというわけですね。
そう考えると、女性よりも平均10%ほど脳が大きいと言われる男性の方が方向音痴は少ないように思えますが、実のところ、性別による違いよりも、個人差の方が大きいと言われています。そのため、単純に女性の方が方向音痴が多いとは言い切れないのですね。
方向音痴の治し方
少し迷ってしまう程度の方向音痴ならば可愛いものですが、やはり地図が全く読めず、知っている場所でも到着するまでに何時間もかかる、というようなレベルになると、普通に生活する上で非常に不便ですよね。
では、方向音痴を治すためには、どうしたらよいのでしょうか?
目印を覚える
方向音痴の人は、元来た道を戻ることすら困難です。ですから、目印を覚え、それを基準にして道に迷わないようにすることが重要です。
ただし、目印には動かないもの、そして、目印そのものだけでは忘れてしまったり、違う目印と見間違えたりするため、目印の周囲に何があるかなども把握しておくようにしましょう。
特に、コンビニやファミリーレストランは、系列店舗がいくつもあるため、看板などの目印だけ覚えても、違う店舗と間違えて、やはり迷子になるリスクがあります。周囲の情報まで含めて頭に入れておくことが大切です。
人任せにしない
方向音痴の人は、誰かと行動している時は、その人に任せ切りにしてついて行くだけなので、一向に道を覚えません。だから、普段は分かったような気になっている道でも、いざ1人で行こうとすると迷ってしまうのですね。
ですから、誰かと一緒にいても、人任せにせず、周りの目印や看板などを見て、自力で道を覚える努力が欠かせません。
時々振り返る
また、方向音痴の人は、行きの道は分かっても、いざ帰ろうとすると道が分からなくなる傾向にあります。それは、逆方向から見た状態を確認していないためですね。
進んでいる時も、時々は振り返って、逆から見た時の道を覚えておきましょう。そうすることで、帰り道が分からないという状況をできる限り防ぎます。
自分の居場所はこまめに確認する
方向音痴の人にありがちなことですが、勘を頼りに適当に歩き回っては迷うばかりです。必ず、自分の居場所を確かめながら進むようにしましょう。自分の位置を知る手がかりとしては、建物や看板、道路の名前などが役に立ちます。
迷ったらすぐに引き返す
「道はつながっているもの」「そこを曲がればこの道に出るはず」という決めつけは、方向音痴にとって禁物です。ただでさえ道に迷いやすいとことろを、決めつけて突き進めば、さらに迷うばかりですよ。道に迷ったら、潔く元来た道を戻りましょう。
最短ルートよりも曲がり角の少ないルートを選ぶ
地図アプリなどを使ってナビを起動させると、大概は目的地までの最短ルートを教えてくれます。しかし、最短ルートは裏道や複雑なルートになることもしばしばあるので、方向音痴な人には向きません。
あえて、時間はかかっても曲がり角の少ないルートを進むようにしましょう。その分、時間には余裕を持って行動をすることが大切です。
能力を鍛える
方向音痴を治すためには、方向を把握するために必要な能力を鍛える必要があります。
空間認識能力
空間認識能力とは、平面のものを立体的に考えたり、回転させたりする能力のことです。この能力は、野球でフライをキャッチしたり、サッカーで相手にパスをしたりする時に必要になる能力でもあり、平面の地図を立体的に見ることにも役立ちます。
この能力を鍛えるためには、5~7メートル先の目印まで、目を閉じたまま歩いて行く練習が必要です。距離や空間を確認し、目的の場所まで歩いて行く練習なので、繰り返し行うことで空間認識能力が鍛えられるのです。
視覚認知能力を鍛える
また、見たものを正確に記憶する、視覚認知能力を鍛えることも重要です。方向音痴の人は、建物や看板などを目印にしても覚えられないことがあるため、視覚認知能力が低いのではないか?と言われているためです。
この能力を鍛えるためには、パズルや間違い探しなどを行うとよいでしょう。
東西南北を把握する
方向音痴によく見られる傾向として、東西南北が分からない、というものがあります。地図をクルクル回してしまうのも、そもそも方向が分かっていないから、ということも考えられますね。
方向を知るものと言えば方位磁石ですが、いつも持ち歩いている人はまれでしょう。ですから、方位磁石を使わずに方角を知る方法を身につけておくことが重要です。
時計を使った方法では、アナログ時計の短針を太陽に向け、短針と12時の間が南、と判断することができます。また、夜であれば、北極星の方向が北だと分かります。そ
海馬を鍛える
方向音痴の人は記憶力がないとお伝えしました。そのため、記憶力を司る海馬を鍛えることが重要なのです。
海馬は重要な記憶ほど長く覚え、忘れても構わない記憶ほど短期間で忘れるようになっています。ですから、道順を覚えて迷わず目的地にたどり着けるようにするためには、目的地までの目印を重要な記憶として長期保存することが必要なのですね。
トレーニング方法は、自分の歩いた道を描き、自分の書いた道と、正確な地図を見比べるだけという、至ってシンプルなものです。
また、地図を書く時には、興味のあるものを目印にするよう意識しましょう。好きなものや大切な記憶に基づいた事柄は長い期間記憶するという海馬の特性を利用するのです。
また、実際に歩いた時間を思い出しながら描くことで、脳のトレーニングにもなり、一石二鳥ですよ。
曲がり角に好きな目印を2つ設定する
まず、道は自宅から最寄り駅や、駅から通い慣れた会社などどいうように、迷わずたどり着けるルートを選びます。
そして、道を曲がるたびに、道の手前と奥に目印を設定しながら歩きましょう。目印に選ぶのは、大切な人との思い出の場所や好きなカフェ、可愛い洋服やなど、居身を惹かれるものに絞ります。
興味のあるものを目印にすることで海馬に記憶されやすくなり、かつ2つの目印を設定することにより、道を間違えることなく進めるというわけですね。
記憶を頼りに地図を描く
家に帰ってきたら、記憶をたどりながら地図を描きます。この時、細かく書き込む必要はありません。地図に必要な、正確な情報ではなく、記憶に残っているものだけを書き込んでいきましょう。
「レトロなカフェがあったので今度行ってみよう」「BGMが素敵なお店があった」など、日記感覚で地図を描くことがポイントです。好き、楽しい、面白いといった記憶が海馬を刺激し、より長く記憶に留めてくれるからです。
実際の地図と比較する
最後に、自分が書いた地図と実際の地図を比較します。これは整合性を確認することが目的ですから、間違っているところを過度に気にする必要はありません。
ここまでのステップを、初めて行く場所でも繰り返し行うことで、徐々に地図が読めるようになっていきます。練習を重ねることで、1度通った道をすぐに忘れてしまうのではなく、きちんと記憶されるようになるので、方向音痴脱却への道筋となるのです。
まとめ
方向音痴は程度にも寄りますが、本人にとっては非常に厄介な問題です。プライベートで友達や家族に迷惑をかけてしまうこともあるでしょうし、仕事に支障が出てしまってはさらに大変ですよね。
「方向音痴は生まれつき・・・」と諦めず、目印を常に意識したり、海馬を鍛えたり、空間認識能力を鍛えたりするなど、日常的に方向音痴を改善できる方法はありますから、普段の生活に取り込んで、少しずつよくしていきましょう。
方向音痴を解消して、買い物も仕事も、迷子という不安なく過ごしていきたいものです。普段はつい一緒にいる人に頼っている人も、ぜひ自力で方向音痴を改善する努力を始めてみてくださいね。