座右の銘として四字熟語(四文字熟語)を挙げる人は少なくありません。座右の銘とは、自分の心の中に常に意識する存在として、人生の励ましや戒めとする言葉のことです。
そんな座右の銘として挙げられる四字熟語の中でも、人気のある四字熟語の一つが「不言実行」です。不言実行とは、四の五の言わずに黙ってやるべきことを実行すること、を意味します。いかにも昔の日本男児を思わせるところが人気の理由となっていて、ビジネスにおいてもスポーツにおいても、この熟語を座右の銘とする人たちが少なくないのです。
とはいっても、不言実行には意志の強さが求められるため、誰でも不言実行をできるわけではないのも事実でしょう。そこで今回は、不言実行の意味を再確認した上で、不言実行の欠点・デメリット、不言実行の利点・メリットを紹介しますので、座右の銘を選ぶ判断の一助としていただければ幸いです。
「不言実行」の意味
そもそも「不言実行」という四字熟語は、どのような意味を有する言葉なのでしょうか?不言実行の利点・メリットや不言実行の欠点・デメリットについて考えるには、不言実行の意味を知っておく必要があります。
そこで、まずは「不言実行」という四字熟語の意味について再確認しておこうと思います。
「不言実行」の意味
「不言実行」という四字熟語の意味について、国語辞典などを調べてみると、概ね次のような意味を有することが分かります。
- あれこれ言わずに、黙ってやるべきことを実行すること。
- 理屈や文句を言わずに、黙ってなすべきことを実行すること。
このように「不言実行」という四字熟語は、自分がやるべきこと・自分がやらなければならないことに対して、言い訳や不平不満を言わずに黙って実行すること、を言うのです。
不言実行の対義語
不言実行の対義語には、「有言実行」という四字熟語が存在します。「有言実行」の意味は、次の通りです。
- 自分が口にしたことは、責任を持って実行すること。
- 自分で発言した内容は、何が何でも成し遂げること。
このように「有言実行」という四字熟語は、周囲の人たちに自分がやると宣言したことについて責任を持って実現すること、を言うのです。
ちなみに、もともと有言実行という言葉は存在せず、不言実行という熟語をもじって派生した言葉だとされています。
不言実行の欠点・デメリット
このように「不言実行」は、自分がやるべきことに対して言い訳や不平不満を言わずに黙って実行することです。
そのため、不言実行には意志の強さが求められますから、誰でも不言実行をできるわけではありません。そこで、不言実行の欠点・デメリットについて、ご紹介したいと思います。
意志の強さが無い人には無理
不言実行をするにあたっては、自分のやるべき仕事や目標を達成するまでやり遂げる意志の強さがなければなりません。というのも、そのような意志の強さがなければ、仕事や目標を達成することができないからです。それゆえ、不言実行の欠点の一つとして、誰にでもできるわけではないことが挙げられます。
そもそも物事をやり遂げる過程では、全てが順調に進むわけではありません。なにか困難にぶつかることもありますし、上手く進めることができない自分自身にイライラしたり、飽きてモチベーションが低下することもあるでしょう。不言実行においては、有言実行の場合のように周りの人に対して自分のやるべきことを宣言しているわけではありませんから、そのような困難や自分の弱さを乗り越えられるか否かは自分自身の意志や精神力次第になります。
そのため不言実行をするにあたっては、そのような困難や自分自身の弱さに負けない精神力の強さが必要になります。逆に言えば、意志の強さがない人には、不言実行をすることは無理だと言えるでしょう。
強制力がなく簡単に諦めることができる
不言実行をするにあたっては、自分自身の強い意志力や精神力以外に自分を強制するものがありませんから、途中で簡単に諦めることができてしまうのもデメリットの一つと言えるでしょう。
有言実行においては、周りの他人の目がプレッシャーとなり自分を努力に向かわせる強制力として働きます。しかしながら、前述のように不言実行においては、困難や自分の弱さを乗り越えられるか否かは自分自身の意志や精神力次第です。
ですから、不言実行をするにあたり、意志の弱い人や精神力が強くない人は、物事を途中で簡単に諦めてしまい、自分自身との約束を放棄することができてしまうわけです。
評価されるのは結果のみ
不言実行をするにあたっては、評価されるのは結果のみであり、その過程については評価されることがないのもデメリットの一つと言えるかもしれません。
有言実行においては、周りの人は何が目標であり到達点であるのかについて知っていますので、仮に結果が出なくとも過程が評価される余地は残ります。しかしながら、不言実行においては、周りの人に宣言することなく無言で始めるわけですから、周りの人が目標や到達点について知ることありません。ですから、不言実行においては、評価軸は結果のみであって過程が評価されることはないのです。
周りからのサポートは期待できない
不言実行をするにあたっては、周りからのサポートは期待できない点もデメリットの一つと言えるでしょう。
有言実行においては、周りの人は何が目標であり到達点であるのかについて知っていますので、関係者がより良い方法を教えてくれたり、周りの人が集中するための環境や状況を整えてくれたり、といった有形無形の協力をしてくれる可能性があります。しかしながら、不言実行においては、周りの人に宣言することなく無言で始めるわけですから、そのような協力を得られる可能性は低いでしょう。ですから、不言実行においては、周りからのサポートは期待できないのです。
不言実行の利点・メリット
このように不言実行をするにあたっては、様々な欠点やデメリットが存在します。それでは、反対に不言実行をするにあたっての利点やメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?そこで、不言実行の利点・メリットについて、ご紹介したいと思います。
自分の思い通りに進めることができる
不言実行をするにあたっては、周囲の人の意見に左右されることなく、自分の思い通りに決断力を発揮して自分の考えた通りに行動をすることができる、という点が最大の特徴であり利点だと言えるでしょう。
有言実行においては、周りの人は何が目標であり到達点であるのかについて知っていますので、周りの人が良かれと思ってアドバイスをしてきたり、周囲からネガティブな批判が聞こえてきたり、と心や気持ちが乱されて余裕を失う可能性があります。しかしながら、不言実行においては、そもそも周りに宣言することなく始めていますから、そのような周囲の雑音に惑わされる可能性が低いのです。
周囲に邪魔されることがない
不言実行をするにあたっては、周囲から邪魔される可能性が低いことも、メリットの一つだと言えるかもしれません。
有言実行においては、周りの人は何が目標であり到達点であるのかについて知っていますので、ときには妬みや嫉妬の対象となってしまい、周囲から邪魔が入るかもしれません。また、社会人として会社員など組織に所属する場合には、どうしても上司などの責任者から様々な制約を課されることもあるでしょう。
しかしながら、不言実行においては、そもそも周りに宣言することなく始めていますから、そのように周囲から邪魔や制約を受ける可能性は低いのです。
意志力や自分を律する力が身につく
不言実行において、物事をやり遂げる意志力の強さや自分自身を律する能力を身につけることができることは、大きな利点の一つと言えるでしょう。
前述したように不言実行では、有言実行の場合のように周りの人に対して自分のやるべきことを宣言しているわけではありませんから、直面する困難や自分の弱さを乗り越えられるか否かは自分自身の意志や精神力次第です。つまり、物事をやり遂げることができれば、強い意志力や自分を律する力が身につき、男性女性に関係なく一人の人間として自信を持てるようになれるのです。
周囲から賞賛される可能性も
不言実行において、物事をやり遂げて結果が出た時に、有言実行の場合に比べるとより大きな賞賛を周囲から得ることができる可能性があることは、メリットの一つと言えるでしょう。
前述したように不言実行では、有言実行の場合のように周りの人に対して自分のやるべきことを宣言しているわけではありませんから、結果が出た時には周囲の人たちにちょっとした驚きが走ることになります。それゆえ、同じことを成し遂げるにしても、不言実行のほうが有言実行の場合に比べて、賞賛が大きくなりやすいのです。
特に日本の場合、黙して語らず後ろ姿で魅せる職人気質のタイプにカッコ良さや好感を抱くような価値観が、現代でも少なからず残っていますから、不言実行で結果を出した人には注目が集まりやすいのです。
まとめ
いかがでしたか?不言実行の意味を再確認した上で、不言実行の欠点・デメリット、不言実行の利点・メリットについて説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
多くの人が掲げる座右の銘には、偉人の名言や四字熟語などが挙げられます。そんな座右の銘として挙げられる四字熟語の中で、人気のあるものの一つが「不言実行」です。そして、一口に不言実行と言っても、詳しく分析してみれば、様々な利点・メリットや欠点・デメリットが存在します。
ぜひ自分の性格や理想像に合った座右の銘を見つけてくださいね。本記事が読者の皆さんの座右の銘選びの一助となれば幸いです。