ばね指の治し方とは?原因や症状、手術の方法を知ろう!

ある日突然、指を曲げた状態のまま伸ばすことが出来なくなった、また無理やり伸ばそうとする時に激しい痛みを伴う経験をしたことはありますか?

この現象はバネ指と呼ばれていて、指の腱鞘炎の1種です。腱鞘炎と聞くと指を酷使するようなこと、ピアノを弾いていたり、指を使ったスポーツをしているが対象なのかなとイメージを持つ方もいるかと思いますが、実際は更年期や妊娠中の女性にも最も多くこの症状が見られるといわれています。

この症状が起きると普段の生活でも支障がでることがあまりにも多くあり、早く治したいと思います。今回、このバネ指の症状や原因、治療方法についてご紹介します。

バネ指(弾発指)について

hands

ここではバネ指の概要と主な症状、診断方法についてご紹介します。

バネ指とは?

バネ指とは指でおこる腱鞘炎の1種です。指を曲げたり伸ばしたりすると毎回指の中では摩擦が生じています。その為、指を酷使すると摩擦が多く生じて指の部分に炎症が起きます。この症状が起きやすいのは、手を使いすぎる仕事やピアノや指をよく使うスポーツを行っている方や、妊娠中の女性、更年期の女性、糖尿病、リウマチ、透析患者の方にも多く発症する病気です。

指の中でも特に右手の親指が多く、次に中指の薬指に発症しやすいと言われていますが、どの指でも発症します。指を曲げようとするとひっかかりを感じて、その指を曲げると今度は戻すことが難しく、戻した際にはバネのようにビーンと戻り、張るような状態になるようなことから、バネ指という名前がつけられていると言われています。

症状とは?

主な症状は、指を内側に曲げる際に痛みを伴い、曲げることが困難になります。また、曲げた後に元の伸びた状態に戻そうとすると、指がバネのようになって、ビーンと張った状態になります。症状がひどい場合は、指が曲がったままになり、反対の手で補助を加えて戻さないと伸ばすことができないという状態になります。

バネ指の症状が起きると、指がスムーズに動かせなくなり、下記のような症状が現れます。
ここでは、初期症状から末期症状に分けてご紹介します。

■初期症状(日常生活に支障をきたさない程度)

  • 指を曲げるとひっかかる感じがする
  • 指の跳ね返りが若干見られる
  • 指を曲げる時に少し痛みを感じる
  • 指の付け根に違和感を感じる

■中期症状(日常生活に支障が出始めます)

  • 指の跳ね返り症状が見られる
  • 指を曲げたり伸ばしたりするのが困難
  • 痛みが強くなってきている
  • 指の付け根に痛みや腫れ、熱感がある

■末期症状(日常生活に支障が出る)

  • 指の曲げ、伸ばしが自力で全く出来ない
  • 指を曲げ、伸ばしするのに反対側の手を必要とする
  • 無理やり動かすと激しい痛みを感じる
  • 日常的に痛みがある

このバネ指は、起きたときに痛みを強く感じたり、指が伸びない、指を伸ばすと激痛を感じるなど、特に朝方に症状を強く感じる方が多いと言われています。

日中で指を多く使っている時間帯は症状が緩和されているように感じる方も多いですが、初期の症状を感じたまま指を酷使し続けると、末期症状までどんどんと症状が進行し、指が曲がったまま動かない「バネ指」の状態になります。

診断方法とは?

指の付け根に圧迫感や腫れを感じたり、上記で挙げたような症状が現れている場合は、病院で容易に診断結果がでます。

指を伸ばすときに異常がでるのか、指を曲げるときに異常があるのかを自分で確認し、指を曲げるときに困難で戻すときにビーンと一気に戻るのであれば、バネ指と診断されます。

バネ指になる原因とは?

fingers

乳幼児や子供に症状が現れる場合は、原因が異なることがある為、ここでは主な原因と、乳幼児や子供に症状が現れた場合の原因に分けてご紹介します。

主な原因とは?

バネ指が起こる原因は、指の中にある腱と腱鞘の間で生じる摩擦が多く発生することで、炎症を起こし、様々な症状を引き起こします。指の関節を曲げるのに、筋肉の力を指先まで伝える役割をする腱というものが指の付け根から指先まで通っています。

この腱には2種類あり、1つは屈筋腱と呼ばれ、指を曲げる働きをし手の平側に位置しています。2つめは、伸筋腱と呼ばれ、指を伸ばす働きをし手の甲側に位置しています。

また、腱鞘と呼ばれる腱が通る道があります。腱鞘にも2種類あり、1つ目は滑膜性腱鞘という腱の通り道で、この中には少しだけ骨液が存在し、腱がスムーズに動けるように腱の働きを助ける役割もしています。2つ目は靭帯性腱鞘と呼ばれており、滑膜性腱鞘をバンドのようなもので覆って骨と固定し、腱が動いたときに浮き上がらないように補助的な役割をしてます。

指を屈折すると、腱が滑膜性腱鞘の中で動くことで摩擦が生じます。この摩擦を多く繰り返すことで、この間で炎症がおき、腫れあがり、腱が靭帯性腱鞘を通過できない状態になります。このような状態になると、スムーズに腱が滑膜性腱鞘内を動くことが出来ずに、その結果指を動かすことが出来なくなり、痛みを伴います。この症状が起きているのにも関わらず、指を使った生活をやめずに、治療を行わないとどんどんと悪化することになります。

また、バネ指を発症しやすい理由の1つに更年期の女性、妊娠中の女性というのが挙げられています。実はこのバネ指はほとんどが女性が発症しています。残念ながら詳しい原因は分かっておりませんが、妊娠を経験して、ホルモンバランスが崩れることが関わっているのではないかと考えられています。更年期だけでなく、妊娠をした方や産後にバネ指を発症する方が多いことからホルモンが何かしら影響があるのではないかと言われています。

乳幼児や子供に症状が現れた場合の原因

バネ指は基本的に手を使いすぎる仕事やスポーツを行っている方や、更年期の女性、糖尿病、リウマチ、透析患者の方にも多く発症する病気ですが、稀に乳幼児や子供に発症する場合があります。この場合は、指の使いすぎが原因ではなく、生まれ持った障害(先天性)の場合と生まれた時は症状がないけれど、しばらくしてから原因不明で症状がでる場合があります。

このバネ指を発症した子供の9割が親指に発症しています。親指の付け根あたりにしこりを感じる場合や痛みを伴わない場合があります。原因は指の軟骨組織が固まってしまうことで指が動かなくなる場合が多いようです。

自然治癒することもあるので、しばらくは様子をみます。基本的な治療方法は、指をシーネ固定方法を用いて強制的に伸ばした状態で固定し、日常生活を過ごさせます。この方法で50%の確率で完治するといわれていますが、5~6歳になっても症状の改善がみられない場合は、手術を行います。

手術方法は、大人のバネ指の手術方法と同で短時間で簡単に行われますが、子供には全身麻酔が必要なので、この全身麻酔が子供の体には負担になるかと思います。

ばね指の治療方法

injection

治療方法には、手術などをしない保存的療法のシーネ固定、注射、運動療法、温熱療法と手術の5つあります。

シーネ固定

まずは対象の指をこれ以上酷使せずに安静にすることが、とても重要になります。病院では通常の場合、指を動かさないように固定するシーネ固定と呼ばれる方法を取り入れ、添え木を使って包帯を巻いて指を固定して様子をみます。

ステロイド注射

痛みがひどいようであれば、腱鞘内にステロイド注射を行い炎症を抑えます。腫れている腱鞘と腱の間に直接ステロイド注射を打つと痛みがすぐに改善されます。注射を行っても痛みがひかない場合は、正しい場所に行われていない可能性があるので、我慢せずに再度診察をうけて注射を打ってもらってください。

固定とステロイド注射により、7割~9割の方が効果を感じられるといわれています。注射により3ヶ月以上痛みが現れなくなりますが、指を酷使して使い続けたりすると再発する確率が非常に高いので、指をあまり酷使しすぎないような生活、仕事を改善する必要があります。

運動療法

この運動療法は、痛みが強い場合は行うことが出来ません。シーネ固定を用いて痛みが軽減した場合は、痛みがない範囲で指の屈折運動を取り入れます。この方法は、指の関節を全て一気に曲げたりすると、腱の動きが大きくなり、指に負担がかかったり、曲げたり伸ばしたりしずらいと感じると思います。そのため、反対側の手でバネ指に補助を加えながら、1つ1つの間接ごとゆっくりと内側に曲げて、伸ばすという動作を繰り返します。

屈折運動の詳しいやり方とは、

  1. バネ指が起こっている手を机の上などにのせ、リラックスした状態をつくります。反対側の手でバネ指の指先を持ち、第一関節を屈折させるように、内側にゆっくりと曲げていきます。
  2. 次にそのまま反対側の手で指先を持ちながら、ゆっくりと指を元の状態に伸ばしていきます。親指以外の指は、指に第二間接があるので、先ほど第一関節で行ったことと同じような動作を行います。
  3. 最後に、バネ指の指は伸ばしたままの状態で、反対側の手でバネ指の付け根をもちます。ゆっくりと内側にまげていき、ゆっくりと反対側に伸ばしていきます。

上記の内容を、痛みがない程度に数回繰り返すことをおススメします。

温熱療法

この方法は、リハビリの一環で行う治療方法の1つです。これはリハビリの臨床でよく利用されており、暖かい物質(温湿布など)で体を覆うことです。

このホットパックを用いて、患部を温めると結合組織の弾力性が上がり、粘性が低くなり、伸張性がよくなります。お風呂上りにストレッチをすると、いつもより伸びるなと感じる方もいると思います。これと同じ現象がホットパックの温熱療法で期待できます。

痛みを感じない程度のバネ指の方は、家でお風呂上りに上記でご紹介した運動療法を取り入れることをお勧めします。

手術

上記でご紹介した、保存的療法を行ったにも関わらず3ヶ月以上に渡る長期間効果が見られなかったり、何度も繰り返し再発する場合は、手術を検討します。また、保存的療法で紹介したステロイド注射は即効性や強い効果を感じられますが、何度も行うと腱自体が弱まってしまう副作用が起こる可能性があるので、何度も注射での治療をすることが出来ません。仕事上の都合などで、時間をかけられないという理由で、この手術方法を選ぶ方もいます。

手術方法は、腱鞘の一部を切開する手術を行います。手術は局所麻酔を行ってから、約0.7~1.2cmほど皮膚を切り開き、腱鞘内の腫瘤を取り出します。手術範囲は非常に小さい範囲なので、小さい傷で済みます。手術自体は15分程度で終わるので、日帰り出来とても手軽に手術を受けられます。

まとめ

バネ指とは指に起こる腱鞘炎の1種で、指を駆使することで炎症がおき、指を曲げるのが困難になる病気です。また、曲げた指を戻すときにバネのように跳ね返りを起こすことからこのように呼ばれています。この状態になると、普段の生活に支障がでるので早く完治したいと思わている方が多いと思いますが、まずはなぜこの状態が起こってしまったのか、仕事や生活の中でどんな時に指をつかいすぎているのか日常生活を見直して安静にすることが大事です。

しかし、生活改善を行ったにも関わらず、この症状が頻繁に起こったり、保存的療法が効果を示さなかった場合は、15分程度で手軽にできる手術を行い、完治されることをおススメします。

  
/* */
  
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする