人の話を最後まで聞くことができず、途中で口を挟んでしまうこと、ありますよね?また、相手にそうされた経験のある方もいらっしゃるかと思います。
その原因は「話が長い」「話が退屈」などの他にも、せっかちだとか、集中力がなくて、最後まで落ち着いて聞くことができないなど、人によってさまざまでしょう。
でも話を聞けない人というのは、子供なら「落ち着きのない子」、大人になると「人の話を聞けない人、いい加減な人」というレッテルを貼られかねません。多くの人に囲まれて生活する中で、そういうレッテルを貼られてしまうのは非常に厄介です。
まず、話が聞けない人の特徴と原因について、詳しく見ていきましょう。
なぜ人の話が聞けないのか
話が聞けないと言っても、大人と子供では特徴が違います。また、子供のころは落ち着きがなく話が聞けなかった人でも、大人になるにつれて徐々に改善されていくことが多いですね。
ではそもそも、なぜ話が聞けないのか、その原因と特徴について見ていきましょう。
人の話が聞けない人の特徴
1.子供の場合
子供が話を聞けない理由は、次の2つが考えられます。
- ①話を聞かない(意図的に)
- ②話を聞けない(意図的でない)
人の話が聞けないという観点から、ここでは②の「話が聞けない」理由についてお話しします。注目すべき点は、「話を聞かない」のではなく、「話を聞けない」ことです。聞く気がないわけではないのに、話を聞くことができないのであれば、その原因はあなたに自分にあるかも知れないと疑ってみましょう。
子供が話を聞かない理由には、以下の3つが考えられます。
①論理的に話す
まずは、「どういう理由で」「何について」「誰に」話しかけているのかが伝わる話し方を心がけましょう。子供にかかわらず、誰かに何かを伝える上で、筋道を立てて分かりやすく説明することは重要です。
例えばあなたが叱られた場合、「誰の」「何がいけなくて」「どうすればよかったのか」この3つが知りたいですよね。訳もわからず叱られるのは誰だっていやなものですし、受け入れられません。まずは、なぜそれを伝えたいのか、相手にしっかりと伝えることを意識しましょう。
②子供の意識を向けさせる
話す相手が子供子供に話を聞いてもらうためには、子供の興味を引き付ける話し方が必要です。今、話しかけられていることが自分に関係のある物事である、と理解させなければ、子供はいつまで経っても親の話を聞こうとしません。
ですから、話の趣旨を子供に分かりやすく伝え、興味を向けさせることが重要です。
2.大人の場合
一方、大人が人の話を聞けない理由は別のところにあります。ある程度の経験があり、自分の考えを持っているこそ起こりうるものなのです。
①自分の常識=世間の常識という考え方
人は見た目も性格も十人十色ですよね。同様に、ものごとの考え方や常識も人によってさまざまです。自分にとっては常識でも、他人から見たら非常識、変わっている、と捉えられてしまうこともあるわけです。
しかし、人の話を聞けない人は、少しでも自分の考えと合わないもの、違うものを見ると、「自分に理解できないもの=非常識」と捉えてしまうため、人の話をちゃんと聞くことが困難になってしまいます。何事も決めつけてかかると、理解を示すのも示されるのも困難になります。まずは自分の固定観念を捨て、素直な気持ちで話を聞くことが大切です。
②「相手はこう考えているはずだ」という思い込み
例えば、仕事でミスをした女性社員が泣いていたとします。話が聞けない人は、「泣けば済むと思っている」「泣いて許してもらおうと思っている」と決めつけてしまいがちです。
実際に相手がなぜ泣いているのかは本人に聞かなければわからないことで、他人が判断できることではありません。それを自分の立場で勝手に決め付け、相手を責め立てるのはナンセンスです。
③悪いのは自分ではなく相手という決めつけ
人の話が聞けない人は、相手の話が理解できない時、それを相手の伝え方が悪いせいだと考えてしまします。「相手の立場になって考える」「気持ちを理解しようとする」この努力を怠れば、そもそも会話なんて成立しませんし、良好な人間関係を築くこともできませんよね。
ほんの少し、相手の気持ちや立場になって考えるだけで、これまで理解できなかった話も理解できるようになるのです。
病気に起因するもの
さて、ここまでは親の接し方や意識の持ち方で改善することのできるものについて紹介しました。しかし、気の持ちようだけでは解決できないものも存在します。
原因が性格や考え方ではなく病気によるものだった場合、本人の努力だけでは解決できません。周囲の理解と協力を得て、まずは症状についてしっかりと理解を深めることが大切です。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
話を聞けない原因が病気である場合、ADHD(注意欠如・多動性障害)が考えられます。空気の読めない発言をする人、同じ注意を何度もされる人は、ADHDの可能性も考えられるでしょう。特徴として、以下のような症状が見られます。
- 人との約束や社会的なルールが守れない
- 自己中心的で、協調性がない
- 人の気持ちを読み、適切な行動を取ることができない
- 「ありがとう」「ごめんなさい」など、感謝や反省の感情を現すことができない
- 孤立しやすい
仕事をする上で、何度も同じミスを繰り返したり、指示通りに動けなかったりすると、社会人としての信用を失いかねません。相手の立場や気持ちを考えない発言で、敬遠されてしまうリスクもありますよね。
また、知能的には問題がないため、一見して病気とはわかりにくく、単に問題行動の多い人と評されてしまうこともあるでしょう。
では具体的に、ADHDの人がどのような症状に悩まされているのか、子供と大人での症状の違いも含め、以下で詳しく説明してきます。
子供のADHD
ADHDの症状は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに分類されます。それぞれ、小さな子供によく見られる特徴のため、病気だと診断されるまでに時間を要することが多々あります。
1.不注意
- 勉強などでケアレスミスをする
- 興味のあることにのめりこみすぎてしまう
- 人の話を聞いていない(ように見える)
- 物事を順序立てて行うことが苦手
- 忘れっぽく、必要なものもなくしてしまう
- 注意力が散漫で、他のことに目がいってしまいやすい
2.多動性
- 授業など、席についていなければならない時にじっとしていられない
- 遊びや課外活動におとなしく参加することが苦手
- おしゃべりをしすぎてしまう
3.衝動性
- 相手の質問がまだ終わっていないのに答えてしまう
- 順番を待つことが苦手
- 他人のしていることを遮ったり、邪魔したりしてしまう
大人のADHD
大人のADHDの場合、「多動性」「衝動性」は徐々に改善され、「不注意」が目立つようになります。特徴としては以下のようなものがあります。
1.不注意
- 仕事などでのケアレスミスが多い(何度も繰り返す)
- 忘れ物や無くし物が絶えない
- 約束や期日を守れない
- 「いつまでに何をやる」などの時間管理ができない
- 仕事や作業など、物事を順序立てて行うことが苦手
- 片付けが苦手で、いつも散らかっている
2.多動性
- 落ち着きがない
- 貧乏ゆすりなど、目的のない動きをする
3.衝動性
- 後先考えず、思い付きで発言してしまう
- 衝動買いをする
子供のころに目立っていた「多動性」「衝動性」は抑えられ、ある程度は社会に適応できるようになりますが、「不注意」が残るため、仕事でのミスにつがなります。
期日までに言われた仕事ができない、忘れ物が多い、何度も同じミスを繰り返す、など、社会での信用を失いかねない重大な症状と言えるでしょう。
周囲から見ると、いい加減な人、仕事のできない人、という風に見られてしまい、本人とすると居場所のない、肩身の狭い思いをすることになってしまいます。
ADHDについては、ADHDは遺伝するの?実は原因すら解明されていなかったを読んでおきましょう。
理解を深めることが一番の改善策
これまでお話ししてきたように、「話を聞けない」と言っても、その原因はさまざまです。社会との良好な関係を築き上げていくためには、その原因について理解し、ともに改善策を見つけていくことが大切です。
人の話を聞いている時、意識は自分に向いている
例えば、友人から「この前、○○のコンサートに行ってきた!最高だった!」という話を聞いたとしましょう。それがあなたの大好きな人のコンサートだった場合、あなたはコンサートに行っている自分を想像し、相手の話から意識が離れてしまいます。これは、あなたの中にある記憶や経験が友人の話によって蘇るためです。
また、会社の上司から仕事の依頼をされたとして、それが苦手な仕事だったらどうでしょうか。「いやだな、期日までに終わるかな」など、その仕事に対する不安に意識が向いてしまいますよね?
さらに、人と話をする時は適度な相槌も必要ですから、どのタイミングで、どんな表情で相槌をしようか、無意識に考えてしまうものです。それが共感にしくい、興味の薄いものであればなおさら、意識は話の内容から逸れていきます。
つまり、人は自分で思っているほど、人の話を聞いていないのです。これは逆の立場でも同様ですから、あなたがちゃんと相手に伝えたつもりでも、相手はその半分も聞いていないかもしれません。
ですから、「必要なことはすべて伝えたから大丈夫!」と相手や自分を過信しないことです。人間関係のトラブルを防ぐためにも、大切なことは必ず再度確認しましょう。「聞いたつもり」「言ったつもり」になって失敗するよりはるかにマシです。
自分の状況を理解し、周りに知ってもらう
先に述べたように、意識の持ち方や努力だけではどうしようもない場合もあります。ADHDを抱えている方は、その症状を理解されず、非常に辛い思いを強いられていますよね。しかし、周りに自分の症状を知ってもらうことで、良い方向へ改善してゆくことは十分に可能です。
いきなり職場の上司に伝えるのは抵抗があるでしょうが、まずは身近な人に相談して、専門機関で自分の症状を診断してもらうことが大切です。今、自分に起きていることの原因を知ることで、次にどう動いたらよいのか、解決の道も開けてくるでしょう。
また、ADHDの方に合った職場をさがすことで、病気と向き合いながら活き活きと働くことのできる環境は作れます。まずは、当事者団体などを通して作業場で働き、徐々にできることを増やしていくことをオススメします。いきなりハードルを上げてしまうと、仕事に慣れる前につまずいてしまうことにもなりかねません。ゆっくり、地道に経験を重ねていきましょう。
ADHDの方には、具体的な指示が必要です。あなたの状況を理解し、受け入れてくれる職場で、自分に合った仕事を見るけることができれば、充実した社会生活を送ることは十分可能なのです。
まとめ
プライベートでも仕事でも、人との関りは避けて通ることのできないものです。人の話をうまく聞くことができない、自分の話ばかりしてしまう人、会話の意図が理解できないと、人間関係のトラブルにもつながりますよね。
あなたの人間性や能力を評価される前に、会話の段階でつまづいてしまうのは非常にもったいないことです。「人の話が聞けない」特徴に心当たりのある方は、まずは意識を少し変えて、相手の立場になって考えてみましょう。相手ではなく、まずはあなたが意識を変えることで、解決の糸口は見えてくるものです。
- 相手がどんな気持ちで話しているか
- どうしてほしいのか
- 自分の常識だけで判断していないか
と会話する時は、この3つに注意してみましょう。
また、自分はADHDかも知れない・・・と思った方は、勇気を出して医療機関を受診してみましょう。あなたが一人で悩んでいることを他人は知りません。もしも自分の意識や努力だけで解決することが難しい場合には、一度病気の可能性を疑ってみることも大切です。
自分の状況を正しく判断し、正しい解決策を見出していくことが、現状を変える第一歩になりますよ。
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