風邪等で体が弱っている時や、二日酔い、胃痛、胃もたれ等々…胃腸が弱っている時に普通の食事を摂ると、胃に負担をかけてしまい更に体調が悪くなったり、そもそも食べられなかったりしますよね。
そんな時によく「消化の良い食べ物を食べて下さいね。」とお勧めされませんか?
消化に良い食べ物と言えばまず”おかゆ”が頭に浮かぶかと思いますが、その他は意外と思いつくバリエーションは少ないのではないのでしょうか。
そこで今回は具体的に胃に優しく消化が良いとされている食べ物や調理方法、逆に胃に負担をかけてしまう避けたい食べ物について詳しくご紹介していきたいと思います。
なぜ消化に良い食べ物が良いのか
そもそもなぜ病気の時に消化の良い食べ物を勧められるのでしょうか?消化の良い食べ物が体にもたらす効果をまとめました。
消化に負担をかけない
風邪や胃腸が弱っている時というのは、体に入り込んだウイルスを追い出すため、あるいは起こっている炎症を治すために、免疫細胞が一生懸命働いている状態です。
特に熱が出ている時等はその免疫細胞が全力で戦っているので、その分他の器官の機能が弱まります。つまり、食べ物を消化する為の消化機能も落ちているのです。
その為、まず第一の理由として、病気の時は消化機能をあまり使わなくても済むように、消化に良い食べ物を選ぶことが必要となります。
病気を早く治す
消化機能に負担をかけない目的には、機能が低下しているからという理由の他に、病気を早く治すという大きな目的があります。
人の体には「体内酵素」と呼ばれる酵素が存在しており、この体内酵素は消化酵素と代謝酵素の二つに分けられます。
消化酵素とは、食べ物を食べた際、体に栄養が吸収されやすくるために働く酵素です。代謝酵素とは、消化された栄養をエネルギーとして体に働かせる為の酵素です。
病気の時には、この二つの酵素のうち代謝酵素をより働かせた方が早い回復に繋がります。
つまり、消化の良い食べ物を食べることによって消化酵素をあまり働かせずに済み、その分代謝酵素を優先して働かせることができるため、病気を早く治すことが出来るのです。
食べ過ぎを抑える
上記に挙げた代謝の働きをあげる為には、食べ過ぎないことも大切な要素となります。
体内酵素には使用できる量が限られており、その限られた量の中で消化酵素と代謝酵素が分け合って使用しています。そしてどちらか一方の酵素が働くと、もう一方の酵素量は減少するという関係性があります。
食べ過ぎるとその分消化酵素を使わなければいけないので、腹八分目を意識する必要があります。
消化に良い食べ物は比較的ドカ食いできるような食品ではなく、どちらかというと少量で満足できるもの(主食となるようなもの)が多いです。これらをゆっくり食べることによって食べ過ぎを抑え、代謝酵素の働きをサポートすることに繋がるのです。
消化に良い食べ物のポイント
消化に良い食べ物を選ぶ時、幾つかのポイントがあります。どれか一つではなく、全ての条件を満たしたものが消化に良い食べ物となりますので、是非そのポイントをおさえておきましょう。
柔らかい
固い食べ物のほど消化に時間がかかってしまいます。
消化に時間がかかるとその分胃に負担をかけてしまいますので、柔らかい食材、柔らかく調理された食材を選びましょう。
温かい
食べ物は冷たくても熱くても胃に刺激を与えてしまいます。
どちらでもなく、食べて”温かい”と感じられる状態が最も胃に優しい温度です。
飲み物に関してもできるだけ温かい白湯、”常温”の水やスポーツドリンクを飲むことをお勧めします。
小分け
一度に多くの量を食べてしまうと、消化にも時間がかかりますし胃への負担にもなってしまいます。
胃腸が弱っている時には、一食分を何回かに分けて食べる等、一回の食事量を減らすことで消化が良くなります。
消化に悪い食材を使っていない
せっかく上記の条件を満たしていても、消化に悪い食材を使っていると効果が半減してしまいます。
消化に悪い食材の代表的なものとしては、
- 動物性脂肪の多い食べ物(揚げ物、ファーストフード、スナック菓子等)
- 白砂糖の多い食べ物(ケーキ、チョコレート、あんこ等)
- 冷たい食べ物(アイスクリーム、かき氷等)
- 食物繊維の多い食べ物(ごぼう、さつまいも、きくらげ等)
- アルコール
- 香辛料
です。
これらの食材を絶対に食べてはいけない訳ではないのですが、できるだけ避けることをお勧めします。
消化に良い食べ物
それでは消化に良いとされる食べ物を具体的に幾つかご紹介していきます。
おかゆ
消化に良い食べ物の代表といえばおかゆですよね。
ただの白がゆも良いのですが、飽きてしまったり栄養素が不足してしまう場合もありますので、お勧めの具材として、
- タンパク質の多い豆腐
- 消化酵素を助ける長いも
- 消化の良い卵(できれば半熟の状態で)
等を使うのがお勧めです。
味つけも塩やかつおや昆布の出汁等でバリエーションをつけると、飽きずに食べることができますね。
柔らかいうどん
うどんも消化に良い食べ物としては王道ですが、幾つか注意点があります。
・よく噛むこと
うどんをあまり噛まずに飲む人がいますが、消化を良くする為によく噛みましょう。
・麺は柔らかく
麺のコシが強いと胃に負担がかかります。柔らかく茹でましょう。
・天ぷらはのせない
揚げ物は消化が悪くなってしまいます。
・温かいうどん
冷たいと胃に刺激となりますので、温かいうどんにしましょう。
以上のことに注意してうどんを食べましょう。
お勧めの具材は、
・卵
・ネギ
・柔らかく煮こんだ大根、にんじん
です。
少し回復してきたら、”けんちん風うどん”にすると栄養バランスが取れてお勧めです。詳しくは、うどんは消化に悪いの?食べ方のポイントを紹介!の記事を参考にしてください。
湯豆腐
タンパク質が多く、柔らかく、温かくてゆっくり食べられる「湯豆腐」もお勧めです。
病気の時に自分で作らなければいけない場合でも、非常に簡単に作れてしまうのもポイントです。
めんつゆや出汁で煮立て、薬味は万能ねぎがあると飽きずに食べられるかと思います。また、同じ材料で豆腐を崩して煮込むことで、お吸い物にすることも出来ます。
食パン(耳なし)
最も簡単で手軽に食べられるのが普通の食パンです。菓子パンや惣菜パンではなく、白パンや食パンを選びましょう。ただしパンの耳は消化に負担がかかるので、耳は外して食べましょう。
焼かずにそのまま食べて大丈夫です。バターは塗らない方が良いでしょう。
また、「パン粥」もお勧めです。
作り方は簡単で、牛乳にちぎった食パンを入れて煮込むだけ!
最後にはちみつを入れても美味しいですし、小さく切るか潰したバナナを入れるのもお勧めです。火にかけられない時は電子レンジで約2分程チンをしても作れますよ。
ジャガイモ
ジャガイモも消化に良い食材です。とはいえポテトサラダは消化に悪いマヨネーズを使っている為お勧めできません。
温かく蒸したり茹でて塩でシンプルに食べることがお勧めです。
それ以外にも玉ねぎとコンソメと一緒に煮てスープにしたり、こしたりミキサーにかけてポタージュスープにすることも出来ます。
ジャガイモの代わりにニンジンを使っても大丈夫です。
すりおろしリンゴ
昔から「1日1個のリンゴで医者いらず」と言われているように、リンゴは消化や健康にとても良い食品です。
消化に良いだけでなく整腸作用にも優れている為、胃腸が弱って下痢の症状が出ている場合にもお勧めです。
そのまま食べても良いのですが、すりおろすことで消化吸収しやすくなります。
また、すりおろしリンゴにヨーグルトを混ぜて一緒に食べることによって、ビフィズス菌や乳酸菌の腸内生成が促進され、更に健康効果がアップします。
カステラ
胃腸が弱っているけど甘いものやおやつが食べたい時に、お勧めなのがカステラです。
糖質の他に適度なタンパク質も含まれており消化も良く、栄養バランスに優れたおやつなのです。
実は有名なアスリート選手達が試合前に食べていると言われています。カステラの他にビスケットやゼリーもお勧めです。ゆっくり少しずつ食べるようにしましょう。
消化を良くする調理方法
消化が悪いと言われている食材も、調理方法を工夫することによって少しでも消化をしやすくすることができます。
茹でる
お肉や魚等の動物性脂肪のある食材は、茹でることによって脂が落ち、消化しやすくなります。
また、食物繊維が多く含まれる野菜についても、茹でることによって柔らかくなり、胃への負担が緩和されます。
ただ、茹でることによって食材に含まれるビタミンが溶けだしてしまいますので、茹でる際はできるだけ少量ずつ、たっぷりのお湯で茹でることがポイントです。
煮る
どの食材でも煮込むことでより消化が良くなります。その際、食材はできるだけ小さく切っておきましょう。
消化に良い食べ物は比較的薄味で飽きてしまうものが多いかと思いますが、出汁や他の食材と一緒に煮込むことで旨味が増し、より美味しく食べることが出来ます。
飽きてしまったり苦手な食材の場合は、調理法を変えることで食べられるようになる場合がありますのでお試し下さい。
電子レンジ
体調が悪い時に料理をするのは辛いですよね。そんな時は電子レンジを上手に活用しましょう。
電子レンジを使うと、お湯で茹でるよりもビタミン等の栄養素が溶けだすのを最小限にすることが出来ますし、調理時間も短縮することが可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
消化に良いとされる食材の他に、消化を良くする食べ方や調理法も色々とあることが分かりました。胃腸が弱っている時は無理をして食べる必要はありません。
しかし少しでも食べられるようになったら、消化に良い食事をすることで胃に負担をかけずに必要な栄養を吸収しやすくなり、それによって体の回復を早めることができます。
食べられる選択肢も意外とありますので、調理方法等を工夫しながら少しでも楽しく食事ができると良いですね。
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