指をドアにはさんだとき、強烈な痛みが走ったのに、出血していない。それで安心していると、しばらくして現れるのが…そうです、血豆です。決して大きいものではないのですが、赤黒く鮮明で、不気味な雰囲気を漂わせています。
基本的に血豆は外傷での衝撃、挟まる、ぶつける、長期的な訓練での摩擦などによって発生しやすいものですが、血豆は口の中にできることもあります。口の中にできると、とても不快です。そこで、「指の血豆」と「口の血豆」に分けて、その原因や治療法として有効な方法を紹介していきたいと思います。
また、外傷などによって発生しやすい手や足の血豆に比べて、口に発生してしまう血豆が頻繁に発生するという人は何かの病気の可能性もあります。考えられる病気についても紹介していきますので、そちらも合わせて参考にしてみてください。
血豆とは?
「指の血豆」も「口の血豆」、どちらも内出血です。大きな衝撃が加わって、皮膚の下の血管が破けた状態です。ところが衝撃によっては、皮膚は破れないことがあります。血管から漏れた血が行き場を失い、血豆を形成するのです。
内出血は皮下の表層で発生している場合には血豆のように隆起しやすく、深部で発生している場合にはあざになったり、皮膚の隆起は起きません。内部に出血が発生している場所によって皮膚表面の状態は変わってくるでしょう。
口の中の血豆については、口の中に血豆が出来る5つの原因とは?病気の可能性についての記事を参考にしてください。
血豆が発生しやすい人
血豆が発生しやすい人はイコール内出血が起きやすい人と同じとも言えます。外傷による問題が発生しやすいスポーツマンも足や手のひらに血豆が発生しやすい傾向はあるでしょう。
内出血が外傷以外の原因で発生しやすい人の特徴としては、栄養不足や細胞の異常などの原因で循環器系が弱くなっている人であることが挙げられます。
皮膚の下の血管から出血しやすく、毛細血管が裂けやすい性質を持っている人です。また皮膚の色素が薄く、下の血管などが透けやすいメラニン色素の薄い人なども内出血は目立ちやすいでしょう。
その他にも皮膚が柔らかい人も内出血なりやすいという特徴があります。
この様な細胞や遺伝的な性質により内出血が発生しやすい人、外傷による内出血になりやすい人、さらに血小板などの血液を止める働きのある成分が血液内に少ない人も内出血が広がりやすい傾向にあります。
血液検査や普段の生活の活動状況、体の身体的特徴などをしっかり把握して、血豆になりやすい原因を把握して症状に繋がらないように血小板を増やす、衝撃やダメージを減らす、皮膚を固くするなどの予防をしていきましょう。
指の血豆の治し方
ではまず、指の血豆の治し方について紹介します。治療法として有効とされる方法を紹介していきます。血豆が出来てしまったら痛いですし、何より行動に若干の制限が生まれてしまいますよね。
有効な治療法を行うことで血豆を早期に治すことが出来るので、正しい方法を知って適切に治療していきましょう。
自然治癒力に任せる
「治し方」をお教えしますと言っておいて、「自然治癒力に任せましょう」と言うのは無責任に感じるかもしれませんが、そうではありません。きちんとした理由があります。
血豆ぐらいの内出血であれば、体に悪影響を及ぼさないのです。そして、血豆は必ず自然に治るのです。なのに、「一刻でも早く治そう」と、切ったり突いたりすると、余計悪化させてしまうことがあるのです。
血豆の中の血を抜くには、皮膚を切る、もしくはハリで穴を開けるしかないのですが、「皮膚を切る」ダメージと、「血豆の状態」のダメージでは、それほど差はありません。なので放置して、自然に治癒するのを待つことが有効でもあるのです。
また、傷口を外気に晒すことで敏感な肌の内部の細胞に菌などが付着してしまい皮膚炎を起こしてしまうこともあります。なので特に緊急を要さない場合は、自然治療に任せて徐々に治癒していくのを待つほうが適しているでしょう。
冷やす
とはいえ、血豆は目立ちます。飲食店や販売など、客と接する人にとっては、見た目の悪さがとても気になるところです。そこで、自然治癒の次におすすめする治し方は、氷で冷やすことです。
冷やすことで炎症が抑えられ、血豆が大きくなることを防げる場合があります。
逆に温めることはおすすめできません。出血が発生した直ぐに血液が固まる前に温めてしまうと出血を促進させてしまい内出血がひどくなってしまう事に繋がります。
完全に血が止まってしまってから(血豆の発生から2〜3日後)温める場合は治療のために有効な血液の循環促進効果に変わるのでその場合には温める行為も有効に働きます。しかし、冷やすか温めるかの対処法の切り替えの判断は素人には難しいので、その判断を完全に把握するまでには失敗を繰り返して学んでいくしかないでしょう。
失敗のリスクを負いたくない人は初期状態での対処法で冷やす事のみを実行していきましょう。
血を抜く
次の紹介するのは「どうしてもなんとかしたい」という人、限定の治療法です。かなり昔に行われていた方法で、「原始的」といってもいいくらいです。
それは、裁縫用の針で血豆を刺し、血を強制的に体外に出すことです。「おばあちゃんの知恵」では、その針を火であぶり、滅菌してから使います。針は十分冷ましてから使わないと、やけどを負って、血豆より大きなダメージを受けることになります。
さらに、血を抜いた後に必ず消毒液を吹きかけ、絆創膏で保護してください。穴や破れた皮膚の箇所から菌や汚れが侵入してしまった場合は炎症を起こしたり化膿するなどの皮膚症状につながってしまう場合がありますので注意しましょう。
指の血豆の扱い方
それでは血豆ができたときの取り扱い方法を説明をします。以下の事に注意して血豆を悪化させないようにしましょう。
触らない
ドアに指をはさんででき血豆は、いうまでもありませんが、血豆の状態はいわゆる「傷」と同じ状態の扱いになります。傷の取り扱いで注意しなければならないのは、さわらない、いじらないです。「凝り」であれば、揉んだりほぐしたりということも有効ですが、「傷」は接触すればその分、悪化すると考えてください。
刺激を与えてしまうとその分事故的に血豆が避けてしまう危険性も高まります。スポーツ選手等の場合はどうしても血豆のできやすい部分は刺激が強く発生してしまう部分でどうしようもないですが、その場合はしっかり故意的に潰してしっかり対処したほうがいでしょう。
それ以外ではいじらない、触らない事を意識して置きましょう。
流水で洗う
もし血豆が破けてしまったら、すぐに水道水で流してください。水の勢いは弱くてOKです。水圧が強いと傷を痛めることになります。流水にさらす時間は、最低でも3分はかけてください。
また洗浄後は皮膚の乾燥などを防ぐために、ワセリンなどを塗ってもいいでしょう。軟膏なども有効ですので、オロナインなどの万能軟膏もありますので、そちらを利用していきましょう。
絆創膏
絆創膏も「接触」という点では、傷にはよくないのですが、「菌を入れない」「より大きな接触を防げる」という利点があります。
特に裂けてしまっている内出血に関しては、完全に傷口を覆ってしまって乾燥を防ぐ湿潤療法が可能なキズパワーパッドなどの絆創膏に代表される密着度の高い絆創膏が特に有効でしょう。
「刺激を減らす」という点と「傷口を塞ぐ」という二つの点での対処法として有効ですので、絆創膏を有効に使用していきましょう。
口の血豆の原因
それでは次に、口の血豆が発生してしまう原因をみてみましょう。口の血豆は、指の血豆より、やや複雑です。考えられるいくつかの原因について知っていきましょう。
誤って噛む
口の中の血豆の原因第1位は、頬の裏側を誤って歯で噛んでしまうことです。指の血豆と同じように、歯が口の中の表面を切り裂けば、出血をします。
しかし口の中の表面は軟らかくぬるぬるしているため、切ることが難しい「素材」といえます。それで「歯で噛む」という圧力だけが、口の奥の毛細血管に伝わり、血管が破壊され内出血し、そして血豆を形成するのです。
食いしばり
歯で誤って噛んでしまう人は、普段から歯を食いしばっている人が多いといわれています。しかも無意識にそうしていることがあるのです。いまのあなたの歯の状態はいかがでしょうか。もし上の歯と下の歯がくっついている場合、歯を食いしばる傾向があるかもしれません。
歯を食いしばるのは、大抵の場合、ストレス反応です。歯を噛むとストレスが一瞬、発散されるのです。イライラして歯をかちかちする行為も、ストレス発散の一種です。このような癖がある人は、常に「歯の位置」に注意する必要があります。
無意識にやってしまう行為を、どうやって修正したらいいでしょうか。ものすごく簡単で、かつ歯科医が勧める方法があります。それは、職場の電話機や自宅の冷蔵庫に、付箋に「歯」と書いて貼っておくことです。
最初は同僚や家族から「なんの暗号?」と不思議がられるかもしれません。しかし「食いしばり」は治した方がいい癖ですので、周囲に理解してもらいましょう。その付箋を見たら、口の中と歯の位置を意識してください。上の歯と下の歯がくっついていたら、離してください。
1カ月もすると、口の中を意識することが癖になります。そうすれば、もうその付箋をはがしても大丈夫です。
歯の治療で?
また、元々歯の形が悪い人も、口の中を誤って噛みやすいです。歯が斜めに生えていれば、それだけ口の中の表面を巻き込む確率が高くなるからです。軟らかい食べ物を注意せず食べていると、誤って噛んでしまうことがあります。
最近、歯の治療をした人は気を付けてください。誤って噛んでしまうことが多くなったな、と感じたら、被せものや義歯の形が「悪い」のかもしれません。
歯科医としては、元の歯の形や生え方が悪かったので、被せものや義歯を入れるとときに、わざと調整して「正しい位置」に設置したかもしれません。しかし、脳や口の中の感覚は、元の歯の位置を覚えているので、歯が間違って口の表面を攻撃してしまうのです。
また矯正治療でも口の中で装置が口内の皮膚に当たって刺激となったり、針金で口内を傷つけてしまう事が原因で内出血になってしまう事があります。特に慣れない最初の内は内出血や口内炎が出来やすいので、矯正歯科や通院している病院で相談してみましょう。
口内炎の悪化
口内炎は口の中が傷ついている状態なので、そこから細菌が侵入して、炎症が強まり血豆を形成することがあります。この場合の血豆は、「口内炎の症状が進んだ」状態ですので、治療が必要になります。
逆に、血豆が先にできて、口内炎になることもあります。痛みが強くでやすいので食事などが困難になる場合もあります。食べやすいものやビタミン剤などを購入しておいて食事が細くなることで栄養不足になり、治癒しにくくなる問題を回避して対策していきましょう。
血腫
一般的な血豆が、外からの刺激によって作られるのに対し、血腫による血豆は、体内が原因で形成されます。
そして、最悪の場合、口腔がんになります。誤って噛んだわけでもなく、また、口内炎でもないのに血豆ができていたら、様子を観察してください。数カ月経っても治らない場合は、口腔外科を受診してください。
口の中を噛む行為については、口の中をよく噛む5つの原因!癖がある人は要注意!の記事を参考にしてください。
ストレスによるもの
ストレスや妊娠中や疲労などが原因で口内に血豆が発生してしまう場合もあります。口内炎ができやすい口内環境になっていることも関係している問題になります。
ビタミンB群が不足していたり、口内が乾燥している、傷が発生しているなどの問題が発生してる場合にストレスや疲労、ホルモンバランスの崩れなどの問題が発生してしまった場合に血豆が発生してしまいやすくなります。
免疫機能に異常が起こってしまったり、ビタミンがストレスなどで消費されてしまう事が関係しているので、しっかり疲労やストレスは解消出来る状態を作るようにしていきましょう。
アレルギーによるもの
食物アレルギーやゴムアレルギーが原因となって口内に内出血が発生してしまう事もあります。アレルゲンとなるこれらの物質を持っていることが判明している場合は、これらの物質に触れることを避けるようにしましょう。
また、頻繁に血豆が発生している場合は食事内容などを詳しく調べて、アレルギーとなる食材などを摂取していないか探ってみて、アレルギー検査などを受けてみるといいでしょう。
ゴムアレルギーでは歯列矯正で使用する小さな輪ゴムのゴムとの接触で血豆が発生してしまう場合もあります。矯正は1年〜2年の期間装置を付けておかないといけないので、その間ずっとこの問題が発生してしまうのは非常に苦痛になります。
ある程度の覚悟が必要ですので、矯正歯科の専門家の先生ともよく相談しながら矯正を行うようにしましょう。
口の血豆の治し方
口の血豆も、血腫の疑いがあるものを除くと、治し方の原則は「放置」です。それは、唾液に殺菌効果があるからです。しかし、口の中の「異物」はとても気になります。ストレスになることもあります。
しかも、針でつぶしたり、氷で冷やしたり、ましてや流水を3分以上流すといった、指の血豆のような「簡単な治し方」を採用しにくいです。
レーザー治療
口の血豆の治療は、口腔外科が専門です。レーザーで簡単に焼き切ることができます。痛みが少なく、治療時間も短く済みます。
ビタミン補給
血豆も口内炎も、ビタミンB2やビタミンCの不足で生じることがあります。そこで、自宅で簡単に治す方法は、食生活の改善です。ビタミンB2が多く含まれるのは、レバーや納豆、青魚、牛乳です。ビタミンCは、野菜や果物で摂るといいでしょう。
忙しい方は、とりあえずサプリメントで補給してください。
ストレス解消
ストレスによる異変は、粘膜に生じやすいのです。大腸や胃、そして口の中も粘膜に覆われています。なので、血豆ができたら、「ストレスがたまっていないかな?」と考えてみてください。
仕事、育児、学校の勉強…子供も大人も関係なく、現代人はストレスにさらされています。疲れと血豆が同時にあったら、休息を取ってください。
まとめ
内出血の状態は、「皮膚が患部を保護している」と考えることができます。また、「皮膚や粘膜が破れていないのだから大したことはない」ともいえます。つまり、血豆にあまり気を取られないようにしてください。
小さな傷でも見た目が気になることがありますが、気にしすぎは返ってストレスを生じさせます。ストレスが生んだ血豆で、さらにストレスを増やす、なんてことのないようにしてくださいね。
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