生理が終わったと思った頃にふと出血が起きたことはないでしょうか。女性の身体は非常にデリケートな仕組みになっているため、ふとしたことで不正な出血が起こることは良くあります。
しかし、あまりひどい場合や痛みを伴う場合など、日常生活に支障が出てしまっては大変です。重大な病気が隠れていることもあるため、それを見過ごさないためにもどのような仕組みで不正な出血が起こるのか確認しておきましょう。
不正出血とは
不正出血とは月経時以外の出血のことをまとめた呼び方ですが、細かく分類すると原因によって出血の元となっている場所はことなります。例えばホルモンバランスや子宮の病気の場合は子宮から出血しますが、ただれなどが原因の場合は膣や外陰部から出血することも考えられます。
不正出血には器質性出血と機能性出血があります。器質性出血は病気などの異常によるもので、良性のものと悪性のものに分けられ、良性のものは治療で完治します。
それに対して機能性出血は卵巣の機能の衰えや変化によるものとされています。その他にもホルモンの異常などにより不正出血は起こり得るものです。
出血の量や頻度でどちらか見分けることは難しく、病気だった場合もその重さとは一致しません。
病気でない場合
まず、不正出血が起こった原因として考えられるもののうち、病気ではないものについてまとめました。
ホルモンバランスの乱れ
女性の身体はプロゲステロンとエストロゲンという二種類のホルモンによって影響を受けており、月経周期の中で二種類が増減を交互に繰り返しています。女性ホルモンの分泌は脳からの指令で行われるため、ストレスや睡眠不足などで脳に負担がかかるとこのホルモンを出す指令が乱れ、バランスが崩れてしまうのです。また、思春期や更年期に起こるホルモンの増加や減少によりバランスが崩れることも多くあります。
ホルモンバランスが乱れると子宮内膜が刺激されて不正な時期に子宮内膜が剥がれてしまい、不正出血として現れます。
排卵日前後の出血
排卵日の前後に出血が起こる場合には排卵出血と呼ばれる症状の可能性があります。排卵時に卵子が放出される際に卵巣の表面が破れて出血するものを言い、排卵日の1〜2日前に起こる症状です。女性の 5%程度が経験しているといわれおり、排卵出血自体には問題はありません。
また、排卵日前後にはホルモンのバランスが変化するため、前項と同様の症状が出て出血を起こす場合があります。
子宮膣部びらん
名前は病気のように聞こえますが、病的な状態ではありません。びらんという名称はびらんに似ているために付いた名称のため、実際にただれて粘膜がただれた状態になっていることはまれと言われています。子宮頸管にある腺上皮と呼ばれるものが女性ホルモンの影響を受けてせり出して膣内に垂れ下がったもので、加齢に伴う生理的な変化と考えられています。
子宮膣部びらんは病気ではないですが、タンポンや性交時に刺激を受けることによって出血を起こします。また、細菌感染を起こす恐れがあるため症状が重い場合は治療を行う場合もあります。
妊娠初期症状
妊娠の非常に初期の症状に、着床出血があります。卵子が子宮に着床するときに子宮の壁が傷ついて出血して起こるもので、非常に微量である事や全く起こらない人も多くいます。
病気の場合
次に、病気が原因となって出血が起きている場合を紹介します。
外陰炎・外陰潰瘍
外陰部は元々感染に対する抵抗力を持っていますが、まれに炎症を起こすことがあります。自己免疫疾患であり感染症ではないのではないかというのが現在の考えられ方のようです。
膣の中や子宮頸部に潰瘍ができるケースもあり、炎症によるただれにより出血が起こるものです。
子宮筋腫
子宮は妊娠、出産時に収縮する筋肉の層からなっています。この筋肉にできる良性の腫瘍が子宮筋腫です。筋腫が大きくなると子宮の内膜が引き延ばされて剥離する面積が大きくなるため、月経時の出血が多くなったり不正出血が起きたりします。
筋腫は良性ですが、あまり大きくなると周りの臓器を圧迫したり着床の障害となり不妊の原因となる場合があるため、症状が重い場合等は薬や手術による治療を行います。
子宮内膜症
子宮以外の場所に子宮内膜と似た組織ができてしまう病気です。子宮の内膜になるはずだった組織が何らかの理由で卵管の中を逆流してどこかに根付いてしまうのではないかという説や、腹膜になるはずだった組織がうっかり良く似た内膜になってしまうのではという説がありますが、はっきりした原因は不明のようです。
この内膜が本来の内膜と同じ要に月経周期に併せて増減を繰り返し、やがては周りの組織と癒着を起こしてしまいます。
子宮内膜症による不正出血は下腹部の痛みを伴うことが多いとされています。
子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープは子宮の頸部にできる良性の腫瘍のことです。ホルモンバランスの乱れによって起こるのではと考えられていますが、こちらもまだはっきりとは原因が分かっていません。
組織がやわらかいため傷つきやすいことと、充血しやすいことから激しい運動や排便時などに出血することがあります。
出血以外に症状はありませんが、出血がたびたび起こる場合や妊娠出産に悪影響が出そうな場合などは切除します。
子宮がん
不正出血があった場合に最も気になる病気が子宮がんではないでしょうか。自覚症状が現れにくい病気であるため、不安なことがあればすぐに病院に行きましょう。
子宮頸がんの場合はある程度進行していないと不正出血は起きませんが、子宮体がんの場合は極めて早い段階で不正出血が症状として現れます。
どちらにせよすこしでも早い治療が大切です。
その他
上記以外では、不正出血だけではなくそもそも血が止まりにくい場合などは血液の病気や全身の疾患の場合があります。また、出産や中絶のあとなど子宮が痛んで起きる場合もあります。
見分け方
基本的には自己判断は避けてすぐに病院に行くようにすべきですが、特に急いで病院に行くべきだとされている症状が以下のものです。
・閉経間近、閉経後の不正出血
・茶色、黒い帯下が見られることがある
・一ヶ月、二ヶ月続いた出血がある
・だんだん出血量が増えている
・血のかたまりが出る
出血の対策
ホルモンバランスを整えることが様々な病気の対策となります。特に子宮筋腫には血行を良くすることや適度な運動が効果的とされています。当たり前のようですがタバコやアルコールも良くありません。
逆に、鉄分を多く含むレバーやホルモンバランスを整える豆類、ザクロを採るとホルモンの乱れが整い、女性特有の病気の予防に役立ちます。
また、受診時には基礎体温表が大きく役立ちます。月経不順で不正出血かどうかがわからない場合は特に基礎体温を付けておくことをお勧め致します。
また、定期的な検診はもちろん大切です。
まとめ
非常に多くの女性が経験している不正出血ですが、中には大きな病気が隠れている場合もあります。特に子宮内膜症は20代の患者が増えているといわれ、ストレスによる発症も増加しており、女性であれば年代に関わらず皆さん気をつけなくてはならない病気が増えています。
病気の治療に際しては早期発見が非常に重要なので、日頃から体調に気を配り、わずかな変化に気が付くようにしていたいものです。妊娠出産を望む方は特に、放っておくと大変な障害になる場合があるので注意しましょう。
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