書痙の治療方法や克服方法は?原因や症状も知ろう!なりやすい人はどんな人なの?

名前だけ聞けばまったく聞いたことがないという方も少なくはないでしょう。聞き慣れない言葉でもありますし、聞いたことすらない方もいるはずです。

ですが、この病気、日常、誰でもなり得る可能性のある病気です。この「書痙」という病気について詳細に触れていきたいと思います。

書痙とは何か?

%e5%8c%bb%e5%b8%ab

では、まず書痙(しょけい)について詳しく説明しましょう。

手の震えや、それに伴う痛み

「書痙」とは、読んで字のごとく、字を書くとき、書こうとするときに手が震え、字を書くのが困難になる書字障害のことです。

単純に聞こえるかもしれませんが、実はこの病気、そう軽いものではありません。誰にでもなり得る可能性があるのです。

主に、この病気は日本人口の約半分が掛かっていると言われています。単純に字を書くときに震える、というだけではなく、人前でお茶を出す時や、人にお酌をする時に手が震えるなども挙げられます。

そして、その震えからくる、筋肉の異常な動きにより痛みを伴うこともあります。これは全ての人がそうではありませんが、重度になるとそういう例もあるということです。

具体的な症状について

上記で幾つかの例を挙げましたが、もちろん字を書く時に起こることが一番多いとされています。字を書こうとするときに手が震えて書けなかったり、もう一方の手で押さえていないと書けない、などのことが挙げられます。

結婚式や葬儀などの記帳や、ホテルなどで宿泊する際のサイン、サービス店などで記載する書類など、人前で字を書くということが主な原因に挙げられます。

つまり人前で字を書く、ということに慣れていない方や神経質体質の方、また、人に字を汚いと思われたくないという思い込みからくるものであると言えます。

そしてもう一つが、職業病です。

作家やタイピニスト、ピアニスト、速記など、ある一部を反復して使い続ける人にも多く見れれる病気と言われています。

これには手や指、腕の筋肉の酷使やストレスによる原因が大きいと思われます。

書痙の原因とは何か?

原因と言っても一括りにしていうことはできません。

先ほどの述べたように、ストレスや過度の運動など、そして人に字を汚いと思われたくないという思い込みなど、様々な原因が挙げられます。

順番に一つずつ見ていきましょう。

緊張しやすい人に見られることが多い

人前で何かをするのが苦手な方や、過度の緊張、あがり症などの人に多く見られる病気とも言われています。

誰でも人前で喋ったりするなどの行為は緊張するものですが、上記の人の場合は普通の人の数倍緊張するということがわかっています。苦手、というと軽く聞こえるかもしれませんが、本当に苦手な人は普通の人が思っている数十倍は精神的負担があると思って頂いてもいいくらいです。過言などではありません。

そして上記の人に多く見られるのが、人と接している緊張や人に字が汚いと思われたくない、字を書くときに震える自分を見られたくないなどのことから、強迫観念に囚われていることが多いということです。この強迫観念に囚われている所為で、症状が悪化し、担任を意識しすぎてさらに緊張が高まり、次に対人恐怖にまで至る可能性もあります。

これは神経症や心身症などの一種とも言われていて、心の病気が大きいと思われます。

作家やピアニストなどの職業病

緊張などの他にも職業病という括りがあります。作家やピアニスト、タイピニストなどの指を多く使う仕事などにも多く見られる症状です。長年同じ筋肉の動きを繰り返すことや過度のストレスなどが原因とされています。

一括りに書痙と言っても色々な原因があることがわかります。

書痙の治療法はあるの?

doctor-1228627_640

では、具体的な治療法について触れていきたいと思います。

神経内科や心療内科などのメンタル面の療法

人前で字を書くときに手が震える、過度の緊張、強迫観念などが主の原因である場合、神経内科や心療内科の療法を用います。

主に薬物療法や認知行動療法、自律訓練法、催眠療法などが挙げられます。

人前で緊張するなどの場合は大抵が強迫観念や思い込み、囚われによるもので心のケアが重要となってきます。薬物療法が一番一般的な例であると思われます。

主に使われる薬剤は抗不安薬などのお薬です。即効性があるものや、じわじわと効いて一日中効果のあるものまで多種に亘って存在します。

ただ、即効性のあるものは効果も覿面なのですが、依存性が強く、耐性もできてしまいます。お薬にも服用限度があるので、薬依存になる可能性も視野に入れなければなりません。少しずつ慣らしていくことが一番大事なポイントではないでしょうか。

精神的な面で言えることは、薬物療法と心理療法を同時に用いて治す方法もあります。お薬を服用しつつ、同時に少しずつ経験を積み重ねて慣らしていくという方法です。

人間は繰り返しすることで慣れというものが生じますので、慣れてしまえば問題はありません。ただそこに行き着くまでが長い道のりとなるでしょう。

主に精神面の療法は長い期間の治療になります。最低でも半年、長ければ2年や3年かかるケースもあります。どう言った手法や段階を踏むかは主治医の判断に任せるほかありませんが、無理に急がせようとすると逆に悪化してしまいます。

上記でも述べましたが、強迫観念に囚われてしまい対人恐怖症にまで至るケースも少なくはありません。自意識からくるものですが、早めの治療はおすすめしません。しっかりと主治医と相談し、ゆっくりと治療することが大事でしょう。

外科的療法

この治療はごく稀なケースのみですが、外科の手術で手の震えを治すという方法もあります。

具体的には定位脳手術で頭蓋骨に穴を開けて、針状の装置を使い震えのある元の命令部分を凝固させてしまう治療法です。

局部麻酔で随時指の動きを書くにしながら手術を行います。どの部分を動かすと震えるのかというのを確かめながらその部分を凝固させていきます。10日程度の入院が必要であるのと、ある程度のリスクが伴いますが、外科的療法では一番良い方法として取り入れられています。

これにより経過がよければ完治もあり得るという療法です。

ただし、リスクもあるということを念頭において頂きたいと思います。仮にも頭蓋骨に穴を開けて脳の一部分を凝固させますので、多少のリスクは生じます。それだけは覚えておいてください。

書痙はどういう職業の人がなりやすいの?

checklist-1266989_960_720

上記の一部の職業を除いて、他にどのような職業の方がなりやすいのか。

一般的なサラリーマンでもなり得る

上記で挙げた、ピアニストや作家などの職業病は一部に限られますが、一般的に見れば、普通の会社勤めの方でもなり得る病気です。営業などをされている方や、人前で字を書くことがある人、そして個人で事業をされている方や会社の管理職などの方も多く見られます。

管理職などの場合は人前で字を書くということと、管理職という役職のストレスの重なりが原因であると思われます。個人事業をされている方もストレスが原因であるとみていいでしょう。日常的に潜むこのストレスが書痙の一番主な原因であると言っても過言ではないかもしれません。

ストレス社会とまで言われている今現在の日本ですが、日本人の性格上、きちんと仕事を熟す、遅刻欠席をしないなどの性格も大きなストレスの理由に繋がっているとみていいでしょう。

他にもスマートフォンやネットの普及に伴い、コミュニケーション能力が10年前と比べて圧倒的に低下しているのもストレス社会を作る大きな原因の一つだと言われています。

こういった日常的なストレスと、囚われやすい性格、緊張しやすい性格、などが重なり書痙に至る場合が非常に多いのです。

字が上手いと言われる人ほどなりやすい?

自分で字が上手くないと思っている人よりも、他人から字が上手いと言われている人、つまり書道などを習っていて人から字が上手いと言われている人ほどなりやすい病気であることがわかっています。

理由としては、書道を習っていて、普段人から字が上手いと言われているだけに、人前で下手な字を書くことはできない、という囚われからくるものです。

他にも、結婚式や葬儀などの際に他の人と見比べてしまい「自分は書道を習っていて、普段上手いと言われているから下手に書けない」などの思い込みなどが挙げられます。

書痙の詳細

japanese-1206509_960_720

ではここで、もっと掘り下げて書痙について見てみましょう。

震えは人前で手作業をする時に限る

対人恐怖症や対人不安、対人緊張などを除けば、手の震えは人前で字を書いたり、お茶を出したり、お酌をするなどの際に限ります。

普段は何も問題なく過ごせていて、一人で字を書くことも可能出るということもわかっていますが、これは全員が全員そうではないと言えます。

軽度と重度でそれが分かれるということです。軽度である場合は一人で字を書くときは普通に書ける場合が多いです。何の問題もなく震えることなく字を書くことが可能であるということです。

しかし重度の場合は誰も見ていないところでも震えて字が書けないことがあります。これは囚われや思い込み、つまり精神的な面での原因がとても強く表れている証拠でもあります。

全体的に見て言えることはメンメル面

ここで全てを一括りにして言うのであれば、主な原因となるものは精神的な囚われや思い込みなどによるものが大きいということです。つまりメンタル面による作用がこの場合大半を占めるということになります。過度に他人の目を意識する、汚い字になってしまったらどうしよう、などの予期的不安がもたらす傾向が強いということです。

だからと言って、これをすぐに改善することは簡単ではありません。囚われや思い込みなどはもともと持っている性格がほとんどを占めています。もともと持っている性格を変えるというのは生半可なものではありません。むしろ不可能に近いと言ってもいいでしょう。

なので、やはり慣れるということがここでは一番重要になってきます。訓練と薬物療法を同時進行に、できるだけその場に慣れさせるというのが克服の大きな元となります。徐々に不安を取り除いていく、自信をつけるなどの訓練を重ねて書痙を克服された方もたくさんいらっしゃいます。なので諦めてはいけません。

もう人前では字が書けない、などと諦めていると余計に不安になり、気持ちが塞がってしまいます。この場合、対人恐怖症に陥る可能性が十分に考えられます。

パニック障害によく見られる広場恐怖というものがあります。広場恐怖とはその場所、つまり不安が起きるそのものを避けるという行為、つまり人前で字を書くということを避けるようになってしまうほどの重症化にまで行くと対人恐怖、対人緊張よりも酷くなってしまいます。できるだけそうならないように、早期に病院へ行き、治療をするように心がけましょう。

書痙の悪化に伴う対人恐怖症とは?

書痙の悪化、一部の方に見られる傾向がある対人恐怖症について触れます。

対人恐怖症とは人と対面する場面、対人場面で過度の緊張や不安を起こす神経症の一つです。主に挙げられるのが、外見、つまり見た目や仕草、臭いなど、「このように思われたらどうしよう」という思い込みからくるもので、それが重症化すると対人恐怖に至ります。別名「あがり症」とも言われています。

多くの場合、トラウマなど、人前で何かをした際に失敗した経験が原因となり、また次も失敗してしまったらどうしようなどの不安などに囚われていまい、人前に出ることを避けるようになったり、人前に出ること自体を恐怖と捉えてしまうことを対人恐怖と言います。

これは一部思春期に見られることも多く、その場合は成長と共に自然に回復しますが、成人し、社会的に支障を来すほどの場合には自然回復は望めません。その場合は神経症の治療が必要不可欠になってきます。

どの病気にも言えますが、早期に治療することが一番です。そのうち治ると思い放っておくと悪化する可能性の方が十分高いと思われます。特に、もともと神経質な体質の方や過度の緊張をされる方などはより注意が必要です。

書痙の原理とは?

手が震えるなどの主な原理とは筋肉にあります。これを専門的に言うと「ジストニア」と言います。ジストニアとは意識的に手を動かすなどの動作で作用する筋肉運動とは別に、意識していないのに勝手に筋肉が緊張し動いてしまうことを指します。筋肉の収縮や緊張ともいえるでしょう。無意識に筋肉の収縮や緊張が起こる事を不随意とも言います。

不随意運動は無意識のうちに筋肉の収縮や緊張が起こり、結果手の震えや痛みに繋がるという事になります。もちろん無意識のうちに筋肉がこわばってしまうので、筋肉の負担にもなります。痛みは長年の積み重ねにより起こるものですぐに痛みが発症する事はありません。同じ場所、つまり局部の筋肉が収縮、緊張を続けると意識的に動かすだけで痛みが生じるようになってします場合もあります。

上記で述べたように筋肉の無意識な動きですが、これは神経伝達物質の異常により起こると言われている説もあります。ドーパミンやセロトニン、アセチルコリンなどの神経伝達物質が足りない、もしくは異常分泌されることによって起こる病気であるとも考えられていますが、まだ確証には至っていません。ただ、神経症の療法で神経伝達物質の働きを整える薬を服用することで症状を軽くすることができることから、逆説的にそうでないかとも考えられています。

漢方による療法もある

最近では新薬と共に漢方による治療も一般化されてきました。保険適用の漢方も100種以上あり、その効果も国が認めています。ただ漢方は新薬と違い即効性はありません。ある程度の期間服用し続けて徐々に効いてくるというのが漢方の特徴であり、予防的な効果も漢方の一番の特徴といえるでしょう。

漢方による治療の場合、主に原因とされている「ストレス」を緩和するという事になります。臓器で言えば「肝」になります。「ストレス」によって「肝」の働きが低下する事により筋肉の収縮や緊張、異常が見られるということでもあります。

この治療法を俗に「肝血を補う」と言います。肝に溜められている血が少なくなってしまう、消耗してしまうという考えから、それを改善するという意味を込めてそう呼ばれています。

血を補うということで、それの効果が見られる生薬を服用します。主に挙げられるものが、熟地黄、竜眼肉、当帰、芍薬などです。筋肉をリラックスさせる効果も見られるので漢方療法ではよく使われているものです。

また神経的なストレスの緩和も同時に行うことでより効果を高めることができます。神経的なストレス緩和に繋がる具体的なものが、半夏、厚朴、紫胡などが挙げられます。鎮静効果のある竜骨などの生薬も効果的でしょう。

このように漢方療法も書痙の改善に効果があるとされています。

まとめ

では総括になります。

書痙は一般的にたくさんの人が悩んでいる病気でもあります。神経症、つまり精神的なストレスや体質によってその症状はまちまちです。軽度から重度の方まで様々な症状がありますが、重症化するまで放置することは避けましょう。

少しでもおかしいと気づいたらすぐに病院へ行き段階的な治療を行うように心がけることが大事です。自然に回復することはほとんどないと思ってください。精神的なものは一度囚われてしまうと中々治りません。

早期に発見し、早期に治療をするよう心がけてください。

  
/* */
  
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする