髪を抜くと、毛根に白いものが・・・。あれは、何でしょうか?
白髪の初め?薄毛の始まり?もしかして何かの病気の症状なのでは・・・?などといろいろと心配になります。
「髪は、ながーい、友達!」というようなCMが、昔ありましたが、”短い友”にならないように健康な毛根を保つための工夫などを、詳しく紹介します。
髪が生えるサイクルとは?
ヘアサイクルという言葉を聞いたことがあると思います。髪が生えて抜け落ちて、また生えるという髪の一生のことです。
毛根の状態を知るためには、まず、このヘアサイクルのことを知ることが重要です。
ヘアサイクルについて
①「成長期」
髪が日々伸びて、成長している時期です。ヘヤサイクルの中でも最も長く、5年程度この時期が続きます。
②「後退期」
髪の活発な成長が終わって老化し、毛根が縮小する時期で、2から3週間その時期が続きます。
③「休止期」
髪が抜ける時期です。次の髪が生えるための準備期間です。通常2から3か月間です。
このように、最大6年をかけて、1本1本が「成長期」「後退期」「休止期」の順で3つのサイクルを経て、それを終えると自然に抜けていきます。1日に100本程度抜けて、春と秋には200本程度抜けることもあるようです。
この、一連のヘアサイクルが何らかの原因で乱れることにより、健康な髪が影響を受けてしまうことがあります。
ヘアサイクルの乱れとケアについて
ヘアサイクルが乱れると?
ヘアサイクルにおいて、「成長期」が短くなり「休止期」が長くなると、それは薄毛のサインかもしれません。
髪が抜けるのは、正しく健康なヘアサイクルであれば全く異常ではありません。しかしこのヘアサイクルを乱す原因としては、以下のようなものがあげられます。
- 偏食による栄養不足
- 暴飲暴食
- 肉食中心の食生活
このような生活をつづけることにより、脂分により毛穴が詰まったり、髪の成長を妨げたり、血行不良になった結果、薄毛や抜け毛が発生するのです。
薄毛や抜け毛のケアについて
ヘアサイクルの乱れによって起きる、薄毛や抜け毛は、毎日のケアによって改善できます。
- 頭皮に負担をかけない。(くしなどで、こすりすぎない。)
- 頭皮を乾燥や刺激から守るために、保湿する。
- 食事時間や、バランスの良い食事に気をつける。
などの、ちょっとした意識を持つことでヘアサイクルの乱れを予防することができます。
抜け毛をチェック!毛根の形状と原因を詳しく解説!
ヘアサイクルにより抜けた髪を観察したことはありますか?抜け毛の毛根の形状を調べることで、髪にどのような症状が起きているのか、その原因は何なのかを詳しく知ることができます。
抜け毛は、髪の生え変わりの際に抜ける自然脱毛、頭皮や毛根の異常が原因で抜ける異常脱毛があります。
それでは、毛根の形をチェックをしてみましょう。
”自然脱毛”の毛根
通常のヘアサイクルによって、髪が抜けることを、自然脱毛と言います。正常な現象で問題はありません。
・膨らんで、マッチ棒のようになっている。
この状態の毛根は、通常の健康なヘアサイクルの状態での現象なので、心配はいりません。
・ふくらみは小さく、形が悪い。
前述の健康な毛根に比べると、ふくらみが小さい場合は、毛根組織が活性化せず髪の寿命が短くなっているということが考えられます。
そして、形にも注意が必要です。正常な毛根はすっきりとした楕円形ですが、形がくずれている場合、毛根細胞が弱ってきていることを知らせています。
”異常脱毛”の毛根
・ふくらみがない。
毛根のふくらみがなく細いのは、髪の栄養不足です。栄養不足になると、元気な髪が生えてこなくなり髪が抜けやすくなります。
毛根に栄養を送るためにも、十分な栄養を取るために、食生活を整えることが重要です。
・ふくらみが太くて、短い。
頭皮が乾燥し、硬くなっているときに太く短い毛根になります。頭皮が乾燥しているということは、フケやかゆみの原因にもなりますので注意しましょう。
・毛根がない
ふっくらとしているはずの毛根が、ない場合があります。
これは、髪にとっては危険信号です。髪がかなり弱っている状態なので早めの対処が必要になります。
また、突然このような状態になることはまずないので、これ以前に述べてきた症状から徐々に進行して、このような状態になると考えられます。
・毛根がギザギザしている
毛根がギザギザしている場合は、髪が非常にダメージを受けている状態だと言えます。
円形脱毛症の方に多く見られる状態で、早めに医師に相談することをお勧めします。
毛根の白い塊の正体と原因とは?
これまで、様々な毛根の形状について述べてきましたが、よく観察すると毛根に白い色をした塊が付着している場合や、黒くなっている場合があります。
毛根の色は、何を意味しているのでしょうか?それは、自然な状態なのでしょうか?その正体や原因についてさぐってみようと思います。
毛根の白い塊は、毛根鞘(もうこんしょう)
毛根鞘とは、半透明で毛根と髪の接着剤のような役割をする組織です。髪が頭皮から抜けないのは、この毛根鞘のおかげです。
正常な脱毛で、ヘアサイクルのなかで抜けた自然脱毛と言えます。毛根にこの毛根鞘が付着していたとしても、健康な髪にもついているものなので、心配なものではありません。
自然に抜けた髪には、この毛根鞘はつきにくいのですが、自分で抜いた時に一緒に、この毛根鞘が抜けてしまうことが多いようです。
さらに、毛根鞘の奥には毛母細胞と呼ばれる、毛髪の育成に大切な細胞があります。これはよっぽど繰り返し抜いたりしない限りは、傷つくことはなく、新しい髪も生えてきますので問題ありません。
毛根の白い塊は、皮脂
毛根鞘とは違い、皮脂の過剰な分泌で毛根に油がついて白くなっている状態です。皮脂として付着した汚れがつまり、健康な発毛を妨げる原因になっています。
症状としては、頭皮の張りを感じたり、頭皮が健康ならば白くて柔らかいけれども、黄褐色に変化したり、フケの異常発生があげられます。
薄毛の始まりと関係があると言われています。
・脂質・糖質の摂りすぎが原因
毛根に皮脂が付着している、つまり油分の過剰摂取であることはもちろん、実は、それ以上に重要なのが、糖質の過剰摂取なのです。
お菓子、ジュース、炭水化物が皮脂の材料になって、皮脂量を増やす原因になっているのです。
・シャンプーが原因
皮脂が多い場合は、シャンプーでしっかり頭皮を洗いましょう!と思いきや・・・実は、シャンプーで頭皮を洗いすぎることが逆に、皮脂を増やす原因になるのです。
本来は、皮脂を必要な分だけ分泌していますが、過剰にシャンプーをすることで、必要な皮脂まで取り除いてしまい、結果として皮脂不足となり、どんどん皮脂が過剰に分泌されるようになります。
顔の洗顔において、洗いすぎは皮脂のとりすぎとなり、洗い上がりがさっぱりするどころか、肌がガサガサになるのと同じです。
したがって、毛根に皮脂のかたまりがみられた場合は、毎日洗浄力の弱いシャンプーで優しく洗い、すすぎをしっかりすることが大切です。なかには、シャンプーを使用せずに洗髪する人もいるようです。実は水洗いだけで、髪に付着した汚れ70%は落ちるそうです。
・男性ホルモンが原因
男性ホルモンの1つであるDHT(ジヒドロテストステロン)の増加で、皮脂が過剰に分泌されることが分かっています。それは、男性型脱毛症や最近話題のAGA(男性ホルモン型脱毛症)と呼ばれる薄毛の原因となります。
DHTの働きを直接抑えるのではなく、それを作り出す還元酵素(5αリダクターゼ)を抑制する研究がすすめられています。この還元酵素(5αリダクターゼ)を抑制する成分入りの、育毛剤やサプリメントなども発売されています。
一方女性は、妊娠、出産などによりホルモンバランスが乱れや、年をとることにより、エストロゲンという女性ホルモンが減少します。それによって、男性ホルモンの働きが強まると、もともと皮脂が少ない女性の頭皮も、脂性になる可能性があります。
・ストレスや睡眠不足が原因
ストレスや睡眠不足が続くと、自律神経やホルモンバランスに影響し、その働きを乱してしまいます。その結果、交感神経が優位になると皮脂腺が活発になり、皮脂が増えることにつながるようですので注意が必要です。
黒い色の毛根
健康な毛根は、透明のことが多いのですが、黒く変色していることがあります。これは血行不良が原因です。
ストレスがたまっていたり、リラックスできない状態が続くと、血のめぐりが悪くなり、毛根の色が少しずつ変色していき、黒っぽくなるようです。
女性の髪のトラブル!「脱毛外来」「毛髪外来」って?
実は、薄毛などの髪のトラブルは、男性だけではなく、更年期以降の女性にもよく見られる症状なのです。女性の髪のトラブルの原因は複雑です。原因そのものが解明されていないのが現状です。女性ホルモンの低下以外にも、膠原病によって引き起こされる薄毛や脱毛の場合もあるので注意が必要です。
最近「脱毛外来」「毛髪外来」といった言葉を聞いたことはありませんか?大学病院などの大きな病院でそのような診療科があることをご存知でしょうか?
これまで述べてきた原因が当てはまらない場合は、自己判断せずに一度、「脱毛外来」「毛髪外来」に相談してみるのも一つの方法です。(大学病院は、紹介状が必要なところもありますので、まずは問い合わせてみることをお勧めします。)
まとめ
髪は抜けてしまえば、それほど気にもしないでごみ箱にごみとして捨てられるものです。しかし、これまで述べてきたように、捨てられるはずの抜け毛をよく観察すると、意外に体の状態が分かるバロメーターだということがわかりました。
男性も女性も、多くの方が髪のトラブルに悩んでいることと思います。
髪は一生付き合っていくものですから、いつまでも体の一部として健康な状態を保ちたいものです。