風邪にはビタミンCが効果がある?大量に摂取してはいけない理由は?

風邪はできれば誰も引きたくないですし、早く治したいですよね。大切な試験が控えていたり、楽しみにしていたデートや旅行があれば、なおさら風邪で計画が狂ってしまっては大変です。風邪の予防や治癒に、ビタミンCが効果的という話を聞いたことがありませんか?

それなら、ビタミンCをどんどん摂ろう・・・とビタミン剤に手を伸ばすのは、ちょっと待ってください。ウワサの真相は、この記事でビタミンCを摂るメリット、摂り過ぎのデメリットについて理解すると、みえてきます。

ビタミンCは風邪に効果があるの?

プロパガンダ

ビタミンCが風邪に効くというウワサについて、真相を探っていきましょう。

ビタミンCが効いたというネット上のクチコミ

インターネット上には、ビタミンCが風邪予防・風邪退治に効果的という情報が多くみられます。風邪の初期症状が出ていたのにビタミンCのサプリを飲んだら鼻水が止まってだるさも取れた、翌朝にはすっかり元気になったという話や、毎朝必ず果物を食べるようになってから風邪を引かなくなったという話もあります。インターネット上のこうした書き込みを鵜呑みにしてしまっていませんか?

インターネット上にある情報の信ぴょう性は、その情報源をたどればある程度判断できます。もしビタミンCのサプリの宣伝などがされているホームページ上の情報であれば、商品の宣伝文句の1つだということがわかります。

実際に効果があったのかもしれませんが、少なくとも一定のバイアスのかかった情報なのです。ビタミンCが風邪に効果がないなどと、わざわざ謳うサプリメント会社はないからです。

ビタミンCで風邪が治ったという知人の話

毎年秋になると柿を毎日、冬はみかんを毎日食べるから風邪を引かないといった知人の話や、野菜と果物が嫌いな人がしょっちゅう風邪を引くと言っているようなときは、どうでしょうか?こうした情報は、信頼のおける人が言っていると本当のことのような気がするものです。

実際に、きっとその人はビタミンCで風邪予防に成功した、早く風邪が治ったと思っているのでしょう。一緒に生活をしている家族であれば、日頃の生活をみているので明らかにビタミンCが要因がなのかどうかも、客観的に判断しやすいです。ただ、普段の生活を知らない友人の話であれば、風邪が予防できたり早く治ったのは本人も気づかない他の要因があったのかもしれません。

プラセボ効果の可能性も

プラセボ(placebo)というのは、偽薬を意味する言葉です。新しい薬の効果を試すとき、患者さんが偽薬を「本物の薬」と信じて服用すると、本来何の効果もない偽薬であっても一定の効果を発することが科学的に証明されているのです。

つまり、人は「これは病気に効く」と信じると、心理的効果で病気が改善することがあるのです。昔から「病は気から」といいますが、その逆もまた然りなのです。

ビタミンCが風邪に効くというウワサを否定する側の意見としては、このプラセボ効果説が代表的です。個人ブログでのビタミンCが風邪に効いたとするクチコミや、ビタミンのサプリを飲んで風邪を引かなくなったという友人も、このプラセボ効果で風邪の症状が良くなったという可能性もあります。

医学的見解について

ビタミンCが風邪予防・治療に効果を発揮するか否かという医学的議論は、70年も前から行われています。そして、医学的見解もまた二分しているのです。

ビタミンCの大量摂取が風邪予防・治療に効果的だと過去に主張した人で特に有名なのは、ノーベル科学賞とノーベル平和賞両方の受賞歴がある、アメリカの物理化学者ライナス・ポーリング(Pauling, Linus Carl)博士です。免疫理論やタンパク質の構造に関する説の研究発表もしているライナス氏は、1970年にビタミンCが風邪に有効作用すると発表したのです。

一方で、1万人以上を対象に29回の臨床試験が行われた結果について、「日常的なビタミンCのサプリ摂取は風邪予防に効果がない」「風邪を発症した後に大量のビタミンCを摂取することについては一致した結論に至っていない」とする見解を主張する専門家もいます。

ビタミンCの効果効能はたくさん

オレンジレモン

ビタミンCが風邪に直接効果を発揮するかどうかは、様々な意見が対立しています。しかし、すでに証明されているビタミンCの効果効能はたくさんあります。ビタミンCの持つパワーについてみていきましょう。

ビタミンCの基礎知識

別名をアスコルビン酸ともいうビタミンCは、水溶性のビタミンの一種です。新鮮な野菜やくだもの、緑茶に含まれています。熱に弱く、すぐに分解してしまう性質があります。

1919年にイギリスのドルモンド博士が、レモンに含まれる壊血病に有効な物質を「水溶性C」と名付けたことが、ビタミンCの概念の始まりです。その後、1928年に、セント・ジェルジ氏が牛の皮膚から結晶を得て、アスコルビン酸と命名したために2つの異なる名前で呼ばれるのです。

壊血病(かいけつびょう)とは、ビタミンCの欠乏によって起こる病気です。皮膚や歯肉からの出血や、骨の発育不全、貧血、衰弱といった症状があります。

ビタミンCはコラーゲンをつくる

コラーゲンは、人の体のタンパク質の3分の1を占めています。歯、皮膚、血管、骨など体中のあらゆるところで役立っているのです。

美肌の元ともいわれるコラーゲンの材料は、タンパク質と鉄とビタミンCなのです。これらの材料の1つでも足りないと、コラーゲンがつくられないため、本来コラーゲンでつなげられている細胞同士が離れてしまうのです。

すると、骨や歯がもろくなったり、内臓を悪くする原因にもなります。コラーゲンは美肌はもちろん、健康な体を維持するために欠かせないものなのです。

鉄の吸収を助ける

女性にありがちな鉄欠乏性貧血は、「よくあることだから」と見過ごされがちです。しかし、この鉄欠乏性貧血は自覚症状がないままに女性の心と体を苦しめるので、注意が必要なのです。

鉄が足りないと体の酸素のめぐりが悪くなるため、さまざまな不調につながります。脳にも酸素が足りなくなり、怒りやすくなる、落ち込みやすいなど感情のコントロールができなくなっていきます。レバーや鉄剤で補給しても、上手く体が吸収してくれないと排出されてしまいます。

ビタミンCは鉄の吸収を助ける役割をしてくれるので、鉄と合わせて取り入れることで貧血を改善して、健康な身体をつくる元となるのです。

酵素のはたらきを助ける

私たちは普段の食生活で、アルコールや過度の脂肪、添加物など体に悪いものを取り入れてしまっています。すると、肝臓がはたらいて、アルコールや脂肪を分解して不要なものを体外に出してくれます。

その肝臓の解毒作用に必要なものが酵素です。ただ、恒常的にアルコール摂取や添加物の多いコンビニ弁当など体に悪い食事が続くと、解毒作用が低下して肝臓を悪くしたり肌トラブルを招くのです。そこで活躍するのが、酵素のはたらきを助けるビタミンCです。

ビタミンCが足りないと、肝臓の解毒作用が低下するのでお酒を飲むと気分が悪くなったり、重症化すると肝臓を悪くしてしまうのです。

体のサビをとってくれる

ビタミンCは水溶性、つまり水に溶けるので血液などにより体のすみずみまで行きわたります。そして血液中や水晶体の中で、サビをとってくれる作用、抗酸化作用をもたらしてくれます。

たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって体内で酸化してしまうと、体の老化の原因になります。

ビタミンCは、活性酸素から細胞や組織を守ってくれるのです。この作用によって、悪玉コレステロールのサビによってできる過酸化脂質の生成を抑えることができます。

風邪の予防・治療に上手くビタミンCを活用

せっけん

ビタミンCが風邪に直接的な予防・治癒の効果をもたらすかどうかについては、議論が分かれるところです。

しかし、ビタミンCが体にもたらす様々な利点については証明されていますので、風邪に負けない健全な体をつくるためにビタミンCを活用する方法を紹介します。

免疫力を高めるためにビタミンCの力

ビタミンCは体内に侵入した病原菌を退治する白血球の働きを助けます。また、ビタミンCがコラーゲンを生成して、細胞が強化されることによって、風邪菌などのウィルスを体内に侵入させにくくするのです。

また、ビタミンCは抗ウィルス作用のあるインターフェロンという物質を作り出す手助けもします。インターフェロンは、抗生物質でもなくならないウィルスを破壊するとされています。

ビタミンCは神経伝達をしてくれるドーパミン、アドレナリンなどの合成や、副腎皮質ホルモンの合成にも一役かっています。副腎皮質ホルモンは、抗ストレスホルモンで作られるときにビタミンCが大量に必要なのです。ビタミンCを十分に摂取することで、風邪の症状による不安感やイライラを自然にコントロールしやすくなることが期待されます。

ビタミンCを多く含む食品

ビタミンCは、野菜やくだものに多く含まれています。特に多い食品は、レモン、アセロラ、キウイ、いちご、赤ピーマン、キャベツ、菜の花などが挙げられます。栄養学的に推奨される一日のビタミンCの摂取量はおよそ80mgといわれています。これは、キウィフルーツ2個分、赤ピーマンなら6個分の量です。

ビタミンCは熱によって破壊されてしまう性質がありますが、じゃがいもやさつまいものビタミンCはでんぷんで守られているので、熱してもビタミンCを逃さず摂りいれることができます。手軽にビタミンCを補給できる、フルーツのフレッシュジュースなどもお勧めです。

過度なビタミンC摂取は要注意

ビタミンCの体内吸収率は90%と高いため、1度に3~4グラムも摂取してしまうと下痢をしやすくなります。

3度の食事でまんべんなく、ビタミンCを摂りいれることが推奨されます。ビタミンCを摂りすぎると結石になるという話もありますが、こちらはビタミンCの風邪への直接作用のウワサと同様に賛否両論あります。

ビタミンCは健康な体をつくるために大きな役割を果たしてくれますが、単体でビタミンCだけを摂っていても、タンパク質や鉄分がなければコラーゲンの生成はできません。

また、充分なエネルギー源を得なければ、ビタミンCだけでは活動的な健康状態にすることはできないのです。1つの栄養素、1つの食品に偏ることなく、1日30品目を目で見て舌で味わうことが心身の健康を守るために大切なのです。

まとめ

ビタミンCが風邪の予防や治療に直接的な効果を及ぼすかどうかは、医学的根拠を含めて諸説あることがわかりました。ビタミンCが健康な心身のために必要不可欠な栄養素であることは疑いがなく、また人間はビタミンCを体内でつくることができません。

そのため、風邪を引かない健全な体をつくるためには、1日3度の食事において適度に野菜やくだものを摂ることが大切です。ビタミンCの過剰摂取についても、健康を害する説と体に不要な分は自然排出されるので問題がないとする説が対立しています。ビタミンCだけを補給しても、他の栄養素が足りなければ体の健康は保てません。

食事を楽しむこともまた、私たちの心に良い影響を与えることが知られています。大量のサプリメントに頼るのではなく、日々の食生活で必要な栄養素をバランスよく摂りいれていきましょう。

  
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