皆さんは「ミレニアル世代」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?ミレニアル世代とは、主に西暦2000年以降に大人となって社会に出る世代を指す言葉です。このミレニアル世代に属する人々には、それまでの世代とは異なる価値観やライフスタイルなどが見られるとされています。
これから社会の中核を担っていくミレニアル世代ですが、それまでの世代の人から見ると、その価値観やライフスタイルなどについて理解が及ばない部分もあるかもしれません。
そこで今回は、ミレニアル世代の意味や定義、ミレニアル世代に見られる価値観やライフスタイルなどについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
ミレニアル世代とは?
そもそもミレニアル世代とは、どのような人たちのことを指すのでしょうか?
ミレニアル世代の価値観やライフスタイルを探るにしても、「ミレニアル世代」という言葉の意味・定義を知っておく必要があります。
そこで、まずは「ミレニアル世代」という言葉の意味や定義について確認したいと思います。
ミレニアル世代の定義・意味
そもそもミレニアル(millennial)とは、名詞であるミレニアム(millennium)から派生した形容詞です。ミレニアムが「1000年」を意味するので、ミレニアルは「1000年間の」・「1000年ごとの」といった意味を有しています。
ミレニアル世代とは、アメリカで生まれたMillennial Generationという造語の日本語訳ですが、実は明確に定まった定義が存在しているわけではありません。とはいえ、ミレニアル世代という言葉の使われ方から、ある程度の意味は固まってきています。
ですから、ミレニアル世代の意味は、西暦1980年代から西暦2000年前後までに生まれ、西暦2000年以降に成人して社会に出る若者世代のことを意味します。
このミレニアル世代という言葉の類語・同義語として「Generation Y(ジェネレーションY・Y世代)」という言葉もあります。
ジェネレーションY(Y世代)
ジェネレーションYとは、アメリカで西暦1980年代から1990年代に誕生した世代のことです。
アメリカでは第二次世界大戦後にベビーブームが生じ、そのベビーブーマーが親となって生まれたベビーブーマーの子供世代がジェネレーションYと呼ばれる世代にあたります。ですから、ジェネレーションYは、基本的に両親が第二次世界大戦後生まれであるとも言えます。
ミレニアル世代の時代背景
このようにミレニアル世代とは、主に西暦1980年代~西暦2000年にかけて生まれたアメリカ人を指します。このミレニアル世代の多くは、幼少期もしくは誕生以前に東西冷戦構造が終結していて、かつ西暦2001年のアメリカ同時多発テロを映像で目撃しています。
それゆえ、歴史的に自由主義・資本主義が根強い米国において、ミレニアル世代は政府や国が社会経済政策に介入することについて肯定する傾向があり、政治的に社会主義者に対する嫌悪感がそれほど無いとされています。
例えば、西暦2016年のアメリカ大統領選挙の民主党候補をヒラリー・クリントンと最後まで争ったバーニー・サンダースは、民主社会主義者を自認して社会主義的な政策を掲げていたものの、ミレニアル世代に熱狂的に支持されたことは記憶に新しいところです。
また、ミレニアル世代はインターネットが急激に普及する環境で成長してきているため、難なくインターネットを使いこなし、デジタル化社会・情報化社会に自然と慣れ親しんでいます。そのため、ミレニアル世代は、デジタルネイティブ世代でもあるのです。
ちなみに、米国のミレニアル世代は人口比率で約20%を占めるとされますが、移民国家であることも反映して米国のあらゆる世代と比較しても、ミレニアル世代では白人の割合が少ないのが特徴的です。
日本におけるミレニアル世代とは?
このようにアメリカ生まれの概念・言葉である「ミレニアル世代」は、日本国内においても基本的には同じような意味で用いられています。
しかしながら、アメリカ社会と日本社会とでは事情が異なる部分があります。そこで、日本におけるミレニアル世代について、ご紹介したいと思います。
日本のミレニアル世代とは?
日本におけるミレニアル世代も、アメリカと同様に西暦1980年代から西暦2000年前後までに生まれ、西暦2000年以降に成人して社会人となる若者たちのことを意味します。
日本のミレニアル世代の時代背景
日本のミレニアル世代も、アメリカと同様にインターネット環境が普及する中で育っているため、デジタルネイティブ世代だと言えます。そのため、ミレニアル世代ではスマホの利用率が高く、電子マネーなどの電子決済サービスやスマホ決済サービスの利用にも抵抗は少ない傾向があります。
しかしながら、日本はアメリカと事情が異なり、バブル経済が崩壊して長い低成長時代に突入して、西暦2000年前後には就職氷河期が発生しました。そのため、日本のミレニアル世代は、氷河期世代や失われた世代(ロスト・ジェネレーション)と呼ばれることもあります。
就職氷河期によって非正規雇用でしか職を得られない若者が多く現れたことで、格差・貧困といったテーマがクローズアップされるようにもなりました。加えて、経済的な先行きが見通せないことから、男性と女性の双方で未婚率が高まり、いわゆる晩婚化が進んでいます。
また、日本のミレニアル世代は西暦1992年の学習指導要領の改訂にも強い影響を受けています。この学習指導要領の改訂は、それまでの詰め込み教育の反省の下で、個性や多様性を尊重しようという考え方を背景にしています。ただし、様々な個性を持つ人々が登場する一方で、全体的な学力低下も見られ、いわゆる「ゆとり世代」という別称も生まれています。
ちなみに、アメリカではミレニアル世代の人口に占める割合は高いのですが、日本では少子高齢化の進展によって、ミレニアル世代の存在感はアメリカほど大きくはありません。
日本のミレニアル世代の価値観やライフスタイル
それでは、このような日本のミレニアル世代に共通するような特徴的な価値観やライフスタイルについて見ていきたいと思います。
もちろん、日本のミレニアル世代にあたる全ての人が後述するような価値観・ライフスタイルを有しているというわけではなく、あくまでも日本のミレニアル世代は後述のような価値観・ライフスタイルを有している傾向があるということですので、その点は留意ください。
SNSを通じた共感を重視する
ミレニアル世代の特徴的な価値観の一つとして挙げられるのは、意識的にしろ無意識的にしろコミュニケーションでSNSを通じた共感を重要視していることです。
前述のように、ミレニアル世代はインターネット環境やデジタル通信機器が急激に普及する中で育っており、様々なネットサービスを難なく使いこなします。そのような中で、ミレニアル世代における友人などとのコミュニケーションも、それまでの世代のコミュニケーション方法から変化が生じているわけです。
というのも、ミレニアル世代は若い頃から、様々なソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用できる環境にいるため、友人や知人とのコミュニケーションにも積極的にSNSを利用しているからです。そして、SNSの利用は、SNSが存在しなかった時に比べると、人とのつながりを容易に増やすことができ、コミュニケーションの広がりをもたらしてくれます。極端に言えば、SNSによって全く面識のない有名人とも、コミュニケーションを図れる可能性があるわけです。
このようなSNSの登場によって、ミレニアル世代のコミュニケーションは友人や知人とお互いに深く理解し合うというような形ではなく、SNS上での相手の行動や発言に対して共感を示すようなコミュニケーションが主流となりつつあります。つまり、ミレニアル世代のコミュニケーションにおいては、自分は他者へ共感や関心を示し、一方で他者からの共感や自分への評価を強く意識するようになっているのです。
モノより体験・経験を重視する
ミレニアル世代の特徴的な価値観は、お金の消費の仕方にもハッキリと現れつつあります。それは、お金をモノに対して消費することよりも、自分が何かを体験や経験することに対して使う傾向があるのです。
モノより体験・経験を重視する背景
ミレニアル世代は、前述のように通信環境が十分に整備されて、様々なネットサービスが整った中で成長してきました。そのため、インターネット銀行やクレジットカードを用意してオンラインショップを利用すれば、ミレニアル世代にとって基本的に手に入らないモノはないと言えるでしょう。
一方で、前述のようにミレニアル世代はバブル経済の崩壊後の長い低成長時代に育ち、近年では西暦2008年に起こったリーマン・ショックに端を発する金融危機を経験するなど、ミレニアル世代の個人個人が育った経済環境は逆風と呼べるほど厳しいものと言えます。つまり、ミレニアル世代のマネー事情は、収入が右肩上がりだった以前の世代に比べて、よりシビアになっているのです。
それゆえ、このような何でもすぐにモノが手に入る環境や厳しい経済環境などを背景として、ミレニアル世代は必要不可欠な買い物はするものの、必要不可欠でないモノについては購入をせず、モノに対する執着心が低下している傾向にあるのです。
モノより体験・経験を重視する具体例
例えば、ミレニアル世代より前の世代の音楽好きにとっては、高額かつハイブランドのオーディオセットを揃え、レコードや限定品のCDなどを収集するなどモノを購入して金銭を消費することは、自分の欲求を満たすことでもありました。
しかしながら、ミレニアル世代にとっては、スマートフォンと通信環境さえあれば、どこにいてもデジタル化された音源で望む楽曲を手に入れられるので、オーディオなどのモノを購入する動機や欲求が生じにくいのです。
むしろ、ミレニアル世代はモノに対する執着心がなくなり、自分で体験や経験をすることを重要視します。例えば、今も昔もコンサートはありましたが、近年増加しているのが様々な音楽フェスです。野外の広々とした会場で、多くの人が好きな音楽を聴くことに加えて、その会場でしか体験・経験できないことに、ミレニアル世代は価値を見出しているのかもしれませんね。
モノより体験・経験を重視する心理
このような体験や経験に価値を見出す傾向は、前述したSNSを通じて他者との共感を重視する価値観とも整合的です。
例えば、その場で体験・経験したことを、スマホで動画撮影してSNSで共有することで、他者からの共感を得ようとするわけです。ミレニアル世代より前の世代にとっては、SNSに自分の体験や経験を示す動画を投稿する行為について、単なる自己顕示欲にすぎないと見る向きもあるかもしれません。
しかし、ミレニアル世代にとっては自己顕示欲というよりも、自分の体験・経験を仲間と共有して仲間からの共感を得たいという深層心理のほうが勝っていると言えるでしょう。
ですから、ミレニアル世代の価値観の一つとして、モノより体験や経験を重視することが挙げられるのです。
所有から共有・シェアへ
前述のモノより体験や経験を重視するという価値観と重なる部分もありますが、ミレニアル世代はモノを所有するよりも共有やシェアをする傾向が高く、これもミレニアル世代の特徴的な価値観・ライフスタイルと言えるでしょう。
前述したように、ミレニアル世代はオンラインショップなどの便利な環境や長らく続いた厳しい経済環境を主な理由として、モノを消費することに対して非常にシビアで堅実な側面を有する傾向にあります。
ミレニアル世代を対象としたある調査では、ミレニアル世代は前の世代に比較して親との同居率が増加し、持ち家の所有率・マイカーの所有率が低下していることが顕著に現れているそうです。
一方で、ミレニアル世代の社会進出と軌を一にして拡大傾向にあるのが、シェアリング・エコノミーです。シェアリング・エコノミーとは、いわゆるシェアハウス・ルームシェアやカーシェア・ライドシェアといった不動産や自動車などの資産を貸し借りすることで、新たな付加価値を生み出すことです。
このようにミレニアル世代においては、複合的な要因からモノを所有するよりも共有やシェアをする価値観・ライフスタイルが広がっているのです。
ちなみに、今後はミレニアル世代が社会の中核となり、主な消費者となっていくわけですから、小売り業やメーカーなど様々な業界や企業はミレニアル世代をターゲットとするきめ細かなマーケティングを行わなければ、モノが売れなくなってしまうかもしれませんね。
企業・会社への帰属意識の低下
ミレニアル世代の特徴的な価値観として、所属企業や会社への帰属意識が低下傾向にあって、より自らの価値観に合致した企業・会社へ転職をすることも選択肢としていることが挙げられます。
これから日本の労働者層の中核となっていくミレニアル世代ですが、彼らが社会に出始めた時は未だバブル経済崩壊後の就職氷河期でした。この時期は、企業も非正規雇用を増やすことでコスト削減する時代でもあったので、そのような時代背景から帰属意識が低下してしまうことも自然なことだと言えるでしょう。
また、ミレニアル世代は生まれた時から物質的には満たされた世代ですので、前述のようにモノに執着することがなく物欲も多くありません。そのため、より良いモノを得るために働くというよりは、ミレニアル世代は自分の価値観に従って自分のしたいことを仕事にする傾向があり、仕事を選択する際の収入額の優先度も低くなるのです。
それゆえ、ミレニアル世代の所属企業や会社への帰属意識は高くなく、自分の信念や価値観に基づいた働き方がミレニアル世代では増えつつあることは注目すべきことなのかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?ミレニアル世代の意味や定義、ミレニアル世代に見られる価値観やライフスタイルなどについて、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、続々と社会に進出してくるミレニアル世代ですが、それまでの世代の人から見ると、その価値観やライフスタイルなどについて理解が及ばない部分が多々あるかもしれません。
しかしながら、彼らミレニアル世代が生まれ育ってきた時代や背景を丹念に検討してみれば、その価値観やライフスタイルが変化することは必然だったと言えるのではないでしょうか。そして、ミレニアル世代は生まれ育った環境や時代背景から、それまでの世代よりも多様性に溢れ個性的な人が多くなっています。
ですから、価値観やライフスタイルなどについて理解ができないからと避けるのではなく、その価値観やライフスタイルを理解することに努め、ミレニアル世代の多様性や個性を活かすことを考えることが、より良い社会を築いていくために求められていることなのでしょう。
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