電車に乗っているときや、厳しい教師の授業を受けているとき、くしゃみが出そうになったとき手に汗を握る方がいるのではないでしょうか。鼻の奥がむずむずしていらいらする!でもまぁ放っておいても治るかな、なんて考えて見過ごす方が大半ではないでしょうか。
思えば体ではあらゆる場所が炎症を起こしますが、こと鼻に関しては放っておかれる方が多いような印象があります。けれど、鼻の炎症にもさまざまな種類があり、薬で治るものとそうでないもの、などがあります。
鼻のむずむずの原因となる5種類の鼻炎
くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状は、すべて体内に入ろうとするウイルスや異物(たとえば花粉や矮小な埃)を外に追い出そうとして行われる生理現象です。この症状が過剰に行われる状態を鼻過敏症といいます。
鼻過敏症にはアレルギー性鼻炎と血管運動性鼻炎というふたつの炎症があります。ただ鼻炎は、細分化していくとどんどん種類が増えていきますので代表的な鼻炎を紹介したいと思います。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は鼻の奥がむずがゆくなったり、くしゃみがでたり、鼻が詰まったり、鼻水がでたりします。目がかゆくなったり涙がでたりすることもあります。原因は、埃や花粉、カビ、動物などが挙げられます。
医者は、過去にどんな症状があったかを頼りに原因を突き止めようとします。さらに詳しい情報が必要だと感じたときは、血液検査や皮膚テストを行います。アレルギーを引き起こす要因を取り除けば治るかもしれませんが、日常生活において不可能といってよいでしょう。
また抗生物質を使ってもアレルギー性鼻炎は症状が軽減されることはありません。
慢性鼻炎
慢性鼻炎は、一般的に炎症や感染症によって引き起こされた鼻炎が長引いている状態を言います。さまざまな病気を併発する可能性がありますので、注意が必要です。
- リノスポリジウム症(鼻の感染症)
- リーシュマニア症
- ブラストミセス症
- ヒストプラスマ症
- ハンセン病
などが挙げられます。
慢性鼻炎は膿を含む分泌液などで鼻がふさがり、しばしばその液が鼻から出てくることがあります。空気中にある刺激物や低湿温が原因でなる場合があります。病院に行き、適切な治療を受けなければ治りません。
・萎縮性鼻炎
こちらは慢性鼻炎に含まれる鼻炎です。鼻の粘膜が萎縮し、固くなり、鼻腔が広がることで乾燥していきます。鼻の内側にかさぶたができ、悪臭がするようになります。
おもに高齢者がかかりやすいものです。正常な鼻は、裏側に細菌などを押し出す線毛を生やす細胞があるのですが、年をとることで皮膚のような細胞に変わっていく場合があります。手術で鼻の内側の組織や、粘膜を多量に切除したかたもなりやすいものです。
こちらはバシトラシンという抗生物質を局部に塗り、治します。エストロゲンやビタミンの入ったスプレーを吹きかけることで粘膜が再生する場合があります。病院に行かなければなりません。
ウイルス性鼻炎
こちらはウイルスが原因で鼻炎になります。症状にはアレルギー性鼻炎に加えて発熱があります。こちらは意外にも、抗生物質がききません。薬局でも売っているのですが、フェニレフリンのスプレー式点鼻薬やプソイドエフェドリンという内服薬を使用すると症状が緩和されます。
血管運動性鼻炎
アレルギー反応が検知しにくく、たしかな原因も明らかになっておりません。鼻粘膜の自律神経異常により、くしゃみがでたり、鼻がつまったり、鼻水がでたりします。アレルギー性鼻炎と大変よく似た症状です。
鼻炎ではないけれど似た症状!
鼻炎かそうでないか、というのはなかなか自分では気づきにくいかもしれません。けれど寒い時期、花粉が飛んでいるときにアレルギー持ちではないのに花粉症になったと思い込んでいる人がなかにはいます。くしゃみが出て、鼻水が出て、となると大抵は「花粉症になったんじゃい?」と言われ、本人さまも「そうかなぁ」と思ってしまうのではないですか。
花粉の季節だからといって花粉症になるわけではありません。またただの鼻炎だよ、と放っておくと慢性鼻炎が悪化し危険な病気になってしまう場合もあります。
ですからさまざまな症状を書いておきます。
寒暖差アレルギー
血管運動神経性鼻炎のなかにこちらのアレルギーがあります。気温や季節の変化で鼻づまり、鼻水が出ます。あまりに症状がひどいと次第に自律神経にも影響を及ぼし、集中力が低下したりなどします。マスクをしたり、湿度をある程度保つことで気温の変化に対応できるようにしましょう。予防になります。
通年性鼻アレルギー
こちらも季節に関係なく、年中鼻水が出たり、鼻づまりに苦しむアレルギーです。原因は室内のほこりやカビによるものです。
部屋が不潔になっている可能性が高いので毎日掃除をしましょう。カーペットなどの生地には埃やダニなどもくっつきやすいので念入りに掃除しましょう。
ドライノーズ
鼻のなかの粘膜が乾燥している状態をドライノーズといいます。鼻の内側が乾燥するとその違和感からむずむずしているように感じます。乾燥していて、鼻水は出ないはずなのですが、鼻をかみたくなってしまうのが特徴です。痛みも伴うことがあります。
症状が進むと炎症や出血の原因になるますので注意が必要です。
その原因は?
冬場の空気の乾燥によるものであったり、空調の乾いた空気が原因でドライノーズになる場合があります。湿度が20パーセント以下の室内で一日中過ごす日が続くとドライノーズの可能性は高いです。ドライノーズは感染症になることもあるので注意が必要です。
治療方法
しっかりとマスクをつけることが大事です。またマスクの内側に水や白湯で濡らしたガーゼを当ててつけると効果的です。またウエットシートなどを二枚ほど重ねてマスクの裏側に貼り付けておくのも効果的とされています。専用の保湿マスクも売っていますので、そちらを購入されるのもいいかもしれません。
室内ではクーラーなどに頼りすぎず、加湿を心がけることが治療になります。加湿器をつけたり、お茶をわかすなど、工夫をするといいでしょう。市販にはドライノーズ予防のスプレーなども売っていますので、心配なかたは購入されてみるのもいいかもしれません。
鼻炎の治療法
鼻炎には治療法がそれぞれにあった形で複数あります。自分で見極めることが大変むずかしいです。今から紹介する治療法は病院に行くことが前提の治療法です。合併症になるのを未然に防ぐためにも鼻がむずむずしていて長引くようなら病院に行きましょう。
それでは治療法を紹介させていただきます。
薬物療法
・ケミカルメディエーター遊離抑制薬
アレルギー反応を押さえ込む働きのある、ベターな薬です。
・抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを和らげる薬です。抗ヒスタリンには二種類あります。
・第一世代の抗ヒスタミン薬
即効性は大変あるのですが、副作用に眠気を伴います。
・第二世代の抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン作用がはじめに効果として現れますが、抗アレルギー作用は約二週間ほど経ってから効果が生まれます。
第一世代のヒスタミンに比べて副作用が少ないというのが特徴です。
アレルギー性鼻炎を治療するにあたってもっとも効果的だといわれていますのが、薬物療法です。ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などがおもな薬になります。上記にどういった効果があるのか書いておきました。
上には書いておりませんがステロイド薬が処方される場合もあります。大変強力な薬です。副作用がありますので、医師と相談して服用するように覚えておきましょう。またアレルギー性鼻炎には漢方薬を処方するところもあります。大変種類がありますので、漢方に詳しい医師に相談するのがよいでしょう。
減感作療法
こちらはアレルゲンの液体を少しずつ注射していき、アレルゲンが過剰に反応しないよう体をなれさせていく治療です。アレルギー体質の根本を治療していく方法ですので治療は多少長く、最低でも2~3年はかかるといわれております。
しかし長期的な治療ですので効果は期待できます。アレルゲンの液体注射をした70パーセント近くのかたが効果があったと報告しております。
外科的療法
鼻づまりがひどく、なかなか薬物療法でもなかなか改善がみられない場合、外科的手術をすることがあります。症状が進行し、分厚くなった鼻の粘膜を切除し、萎縮させることで、アレルギー反応を起こす面積がだいぶ少なくなります。
メスで切る場合もレーザー手術で剔除する場合もございます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。さまざまな鼻炎の種類やときにそこから派生して生まれたアレルギーについて複数ご紹介させていただきました。風邪や花粉症、などの軽度のものから重度のものまでさまざまな炎症がありました。どれも症状として現れてくるのは似通っていて、自分では気づきにくいというのが、鼻炎、あるいはアレルギーの特徴かと思います。
自宅で改善できるものも少なからずありましたね。部屋が汚れていてカビや、ダニ、埃などで炎症を起こしてしまう場合、あとは乾燥した空気を一日中吸い込むことで鼻の粘膜が乾いてしまう場合。私はすぐに病院に行くことを勧めましたが、もしもこの二点に心当たりがある場合は、改善されて少し様子をみるのもいいかもしれませんね。大したことはないと思い込まず、つねに体を大切に扱ってあげてください。
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